「ここですか? ワン先輩」
はすはすと気合十分なテンちゃんはワンにそう尋ねる。きゃわいい。
「ああ」
ワンは手をぐっぱーぐっぱーしている。感覚を確かめているのだろう。
「落ち合う場所はここで合っている」
ワンとテンは車で聖ジュリアナ女学院から程近いところにある公園へとやってきた。いい天気だ。
「お~~~ほっほっほ~~~!」
「フクロウか?」
ワンが首を少し傾げる。いやそれはホーホーでは?
「高飛車瑚、只今見参! ですわ~~~~~~!」
バアアアアアン! と風を拭き荒らしながら、車瑚が登場なすった。
「いちいち変なアクションをとらないとダメなのですかあなたは?」
テンがやれやれだぜと首を横に振る。
「今来たところだ。それで首尾の方はどうだ?」
ワンが車瑚にそう尋ねると、車瑚はデコ扇子をバサッとして口許を隠し、右手を前に突きだした。
「バッチパー! ですわ~~~~~~!」
「どっちだ?」
「どっちですか?」
どっちやねん。
「いろいろと情報を手に入れましたわよ~~~~~~!」
「そうか。助かる」
「雷鳴美語呂とはどんなお話を?」
「ダブチですわ~~~~~~!」
「「…………」」
テンは数秒待ってから口を開いた。
「えっと……続きは?」
「ゴロゴロゴロゴロピシャアー! ですわ~~~!」
ワンは鷹揚に頷いた。
「なるほどな」
「分かったんですか!?」
テンがギョッとする。マジ!?
「いや、さっぱり分からん」
テンちゃんズコッ。
「だが、それが答えだ。そうだな高飛車瑚?」
「おーほっほっほ! ご明察ですわ~~~! さすがはお師匠様ですわ~~~!」
キラキラと目を輝かせてズズイっとワンに近づく車瑚ちゃん。
「あっ、ちょ、離れてください! 近づきすぎです!」
テンちゃんがガルルとしながら車瑚ちゃんの腕を掴む。
「よし、ならばあの作戦でいくぞ」
ワンは、スマホを取り出して、操作を始めた。
「もしもし、私だ。ああ、すまん私は今別件で行動しているところだ」
ハンドレッドはスマホを耳に当て、そう答える。ポニーテールをゆらゆらさせながら淀みなくつかつかと歩く。
「ああ、分かった。この件が終わり次第すぐそちらへ向かおう。……ふっ。気にするな。可愛い後輩であるお前の頼みなんだからな……ああ、ではまた後で」
ハンドレッドは、スマホの通話を終えてそのスマホをスマートにお尻ポケットにインした。ん~いいね!
「……。はあ、あまり私をドキドキさせるな馬鹿者め……」
ぽしょりと可愛い悪態をついたハンドレッドちゃん。なかなか他人には見せない姿ですな~。
「さて、……ここか」
ハンドレッドが着いた目的地はとある場所にある倉庫。そこに危険とされている人物が潜伏しているそうな。
「マジっすか!? ボス!?」
倉庫の中で一際デカい声が響いた。ハンドレッドはすっと入り口に立ち、顔だけを出して中の様子を窺った。
「ああ。このデータさえあればあれを動かすことが可能だ」
黒い服を着てる男たちが5人ほど囲むようにして何やら話をしていた。ボスと呼ばれた男は口元をニヤリとしながら更に続ける。
「あれを動かすことが出来ればこの世界を支配することも出来るって寸法よ」
「ふ~!」
「いえ~いあ!」
「やりましたね!」
「コンビニって近くにあるっすかね?」
なんか1人だけ見当違いなこと言ってな~い?
「…………」
ハンドレッドは、その様子をじっと、つぶさに観察した後――ふう、とひとつ息をついた。
そしてツカツカと真正面からやいのやいの騒ぐ男たちのもとへと向かう。
「おいお前たち」
ハンドレッドは厳かな声を上げた。
「ん? 何だ嬢ちゃん?」
「おいおいこんなところにいたら危ないぜ~」
「俺たちと一緒に遊ぶ~?」
「ギャハハハ」
「あっ、やべ。後で電車代チャージしとかないと」
男たちはハンドレッドに対してやいのやいのと言い立てる。最後のやつ何言ってんだ?
「猶予をやる。その持っているデータを渡せ」
ハンドレッドは、ピシャリとそう言い放った。
ワンたちは作戦決行だ~。ハンドレッドは正面対決だ~。次回に続きます~。