一方その頃。地下アジトの1つに大音声が響いていた。
「じょ~~~~~~か~~~~~~ん!」
ドタバタドタバタと駆け込んでくる音。上官サウザンドは、ソファに座ってスマホをスワスワしながら棒状のスナック菓子をポリポリしていた。
「ん? あ、お帰り~テンちゃん」
「ど、ど、ど、ど~ゆ~事なんですか!?」
バン! とドアを開けるや否やテンと呼ばれたおにゃのこは、後ろで縛った銀髪を右左と揺らしながらサウザンドちゃんに捲し立てる。
「どうもこうも連絡した通りだよ?」
棒状のスナック菓子をポリポリしながらサウザンドちゃんは言った。
テンは、スマホの画面をばっ! と見せつける。
「わ、わ、わ、わ、ワン先輩をお嬢様だらけの魔窟に潜入させるからよろ~~、って何を考えているんですか!?」
「いやさ、私も最初はどっかな~とは思ったんだけどさ」
「だけど?」
「異能力者相手だとワンちゃんしか頼れなくなくなくな~い?」
「で、ですが先輩1人を危険な目に……!」
グルルと噛みつかんばかりに言うテン。
「ところがどっこい、ワンちゃんはいつもピンピンしてるじゃ~~ん」
「え、ええ……。そこが先輩の凄くて、素敵なところ……ってハッ! そうじゃなくって!」
顔を赤くしながらバンバンと机を叩くテンちゃん。
「はぐらかさないでください!」
「大丈夫大丈夫。心配ナッシングだって」
「~~! 私も行きます!」
「ええ!? 任務から帰ってきたばかりなのに? 休みなよ~~」
「いえ、先輩に微力ながら加勢を!」
サウザンドちゃんは、目をキュピン! とさせる。
「とか何とか言っちゃって~~。本当はワンちゃんに早く会いたいだけなんじゃ……」
「!! い、い、行ってきま~~~~~~す!」
テンがバビュン! とアジトを後にするのをサウザンドちゃんは棒状のスナック菓子をポリポリしながら見送った。
「いってら~~」
〖暗号名、コードネーム〗テン。ワンを慕う、敏腕おにゃのこスパイである。
「シャ、シャレオツですわ~~~~~~!」
「そうか」
ワンと車瑚は喫茶店にいた。その喫茶店にはアンティークな雰囲気が漂っていて、クラシックも流れており、車瑚が言うようにシャレオツな場所だった。
白い口髭を生やしたマスターがグラスを一際大きくキュ! キュ! している。シャレオツと言われて喜んでいるようだ。
ワンと車瑚はカウンターに並んで腰掛けながら話を始める。
「それでだが、お前の異能力の使い道について」
「ちょ、ちょ、ちょ、お待ちくださいまし」
車瑚がデコ扇子をバサッと広げ、制止する。
「なんだ」
ワンは、腕組みをしてそのまま待つ。
「オ、オーダー入れてもよろしくて?」
「好きにしろ。金は俺が出す」
「イッエーイですわ~~~~~~!」
車瑚は喜びの声を上げる。そしてメニュー表とにらめっこすること数分。たちまち大声を上げた。
「ヘイマスター! クリームソーダをダイレクトオーダー致しますわ~~~~~~!」
「俺はいつものを頼む」
「かしこまりました」
テンションの差やば~。ってことで注文を承りました~~。
「いつもは何をダイレクトオーダーされていますの~~?」
ダイレクトオーダーに関してツッコミを入れるべきか迷うワン。お嬢様って普通に注文って言わないものなのか? 新たな生態系に出会った感覚を得るワンであった。
「エスプレッソだ」
ワンは、すっと生真面目に答える。車瑚はメニュー表をパンパンと示しながら、訊いてきた。
「このマスターが、オススメだ、とりあえず飲んでみたら分かる。深いコクとキレのある苦みにきっとあなたは驚くことであろう……。値段はお手頃だから財布は苦い思いをしなくて済むぜ、ってメニュー表に書いてある感じのエスプレッソですの~~?」
「概ね当たっている」
ワンが車瑚の指摘に頷き、マスターにチラリと目配せすると、マスターもチラリと見て、グラスをキュ! キュ! とダイレクトフキフキしている。どうやら同じ気持ちのようだった。
テンちゃんはワンの可愛い後輩おにゃのこスパイです。ダイレクト投稿ですわ~! 次回に続きます。