おほほですわ   作:トモットモ

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第1章 お嬢様学園に潜入せよ!

 聖ジュリアナ女学院に着いたテンは息を切らせながら、スマホを見る。

「あれ? 先輩の位置情報が消えている?」

 ええー? とテンはワチャワチャと髪を搔き乱す。

「ん? テンじゃないか」

 するとテンの前方から影が現れた。

「あっ! ハンドレッド先輩!」

 ハンドレッドと呼ばれたスーツ姿のビューティフォーな女性は上品に溜息をつく。

「なぜこんなところに? 任務はどうした?」

「完了しました!」

 テンはビシッと敬礼する。若干ドヤッてもいる。可愛い。

「ならば休め。体調管理も大事だ」

「ですが、ワン先輩が……!」

「あいつがヘマすると思うのか?」

「全く思いません!」

「そんなにあいつに会いたいのか?」

「はい! ワン先輩成分を摂取したいです!」

 ワン先輩成分って何ぞや? 

 ハンドレッドはもう1度溜息をついて、テンと一緒に行動を共にすることにした。

「ハンドレッド先輩はなぜ、ここに?」

「監視だ。もしものための、な。全く心配いらなかったが」

「さすがワン先輩ですね~じゅるり」

「念には念を、ということだから続けはするがな」

「ワン先輩は異能力を回収して移動中ですか?」

「いや、それが……」

 ハンドレッドは、テンにちょっと言いにくそうにした。若干歯を食いしばっているご様子。

「? 何ですか?」

「ターゲットと仲良く喫茶店へゴー! だったな」

「はあああああああああああああああああああ!?」

 テンちゃんの叫びが学院中に木霊した。

 

「お待たせ致しました。クリームソーダでございます」

 マスターが車瑚の前にクリームソーダを提供する。メロンソーダが入ったグラスの上にバニラアイスとサクランボが乗っている。

「おほほ見目麗しいですわ~~~~~~! まるで私のようですわ~~~~~~!」

「そうか」

 おほほってる車瑚に対してフランクなワン。

「お待たせ致しました。エスプレッソでございます」

「ああ」

 ワンはおほらない。代わりにまずエスプレッソの香りを楽しむ。

「パシャパシャですわ~~~~~~!」

 一方車瑚はデコスマホでクリームソーダの写真をパシャパシャ撮っている。楽しそうで何より。

 ワンはエスプレッソを一口飲んでふうと息をつく。

「それでお前の異能力だが」

「ズゾゾ~~~~~~ですわ」

 どうやって飲みながらですわっているのだろうか。ワンの疑問は尽きない。お嬢様って不思議だ。

「俺が次にターゲットにしている者との相性がいい。協力してくれると助かる」

 とりあえず、ですわスルーで話を進めるワン。

「私の能力に相性がいい? もしや、あれ系ですの?」

 アイスをスプーンでペロリンチョしながら、車瑚は言う。

「あれ系とは何だ?」

 同じ事思いました。

「神ってる能力って事ですわ~~~~~~! おーほっほっほ!」

 車瑚はデコ扇子をバサッとはためかせる。

「異能力は全部神ってるだろう?」

 ワンが事も無げにそう呟く。

「私の能力は~~風! 神! ですわ~~~~~~!」

「なるほど。そういうことか」

 ワンはエスプレッソを嗜みながら、納得したように頷く。って、え? 分かったんすか? ワンさん。

「お前の言うそいつでおそらく合っている。知り合いか?」

「初等部からのマブダチですわ~~~~~~!」

「そうか。なら、頼めるか?」

「合点承知の助ですわ~~~~~~!」

「助かる」

 ワンは、一言そう言った。

「マスター! またこの店来ますわ~~~~~~!」

「心よりご来店をお待ちしております」

 バサッとデコ扇子を掲げ、クリームソーダをグビグビしている車瑚が予約すると、マスターは真摯に頭を下げる。

「どうやら気に入ったようだな」

 ほんの少し口許をニヤリとさせるワンは、エスプレッソを優雅に飲む。

 喫茶店の店内にはスパイとお嬢様が楽し~く飲み物を飲んでいる様子が出来上がっていた。

 

 数十分後。ワンと車瑚は喫茶店を出た。すると道の脇にワンの見覚えのある車が止まっていた。

「あれは……」

 ワンが気付いて声を発した瞬間、バンッ! と勢い良くドアが開いた。

「ワン先輩!」

「テンか」

 ワンは慌てることなく冷静にテンを迎える。テンはふしゅ~と息をついて肩を上げ下げしている。

「に、任務お疲れ様です……!」

「お前もな。こちらは問題ない。もう済んだ」

 端的にワンがそう伝えていると、テンの後ろからハンドレッドが溜息をつきながら現れた。

「すまんな。ワン。監視しているつもりだったがこいつが聞かなくてな」

「ハンドレッド先輩。そうでしたか。いえ、問題はありません」

 これまたワンが端的に答えていると、車瑚は見ましたですわ~~と言うようにあわあわしている。どったの?

「ビビビっときましたわ~~~~~~!」

 車瑚がバサッとデコ扇子を広げる。

「何がだ?」

 ワンが首を捻る。

「これはまさしく……ただならぬ関係ですわ~~~~~~!」

「は、はあ!? な、何を言っているんですか!?」

 テンが驚きの声を上げる。

「私の勘ですわ~~! 50%の確率で当たりますわ~~!」

「普通だな」

 ワンがコクリと頷く。

「本当に何なのだこの娘は?」

 ハンドレッドは呆れたように首を振る。

「そちらの御方!」

 車瑚がデコ団扇をずびしっ! とテンに向ける。

「な、何ですか?」

「見たところ、学生っぽいですわ~~。 年齢をダイレクト公開するのですわ~~!」

「は、はあ? まあ、いいですけど……16です」

「まさかのタメでしたわ~~~~~~! 驚き栗の木桃の木ですわ~~~~~~!」

 車瑚は微弱な風に乗ってクルクルと回っている。

「「「…………」」」

 ワン、テン、ハンドレッド一同どうしたらいいのかと言う沈黙。

「更にそちらの御方!」

 ずびしっ! とデコ扇子をハンドレッドの方に向ける風に乗る車瑚。

「私か?」

 ハンドレッドが優雅に腕を組む。黒髪ポニーテールゆらゆら~。

「とてもお綺麗ですわ~~! さすれば年齢をダイレクト公開するのですわ~~!」

 途端にハンドレッドはギランと目を鋭くする。

「女性に年齢を聞くのは御法度ではないか?」

「こりゃ失敬ですわ~~~~~~! てへぺろですわ~~~~~~!」

 車瑚は、てへぺろしながら風に乗っていた。

 やれやれと、ワンは首を小さく振る。

 任務はまだ始まったばかりだ。

 

 




ワン、車瑚、テン、ハンドレッド揃いました。ハンドレッドちゃんはワンの先輩おにゃのこスパイです。次から第2章へと入ります。
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