俺、ツインテールになります。 The Another Red Hero 作:IMBEL
「絵本を読んで差し上げましょう…おやおや、甘えん坊さんですね」
甘い声で人形にそう囁くフォクスギルディの精神攻撃にテイルレッドはズタズタにやられていた。
(なんて…恐るべき相手なんだ、フォクスギルディ!)
彼が語りかけているのは自分の姿を模した人形。けれど彼の属性力で作り出されたそれは精密にできており、あまりにもテイルレッドに似すぎていた。彼女の身長や細かなシワ、装飾品、そして見事なツインテール。フォクスギルディの強大な属性力によって生み出された人形はそれら全てを見事に再現した物であり、とてもまがい物と言えるものではなかった。それを破壊すること…それはすなわち、ツインテールへの冒涜になるのではないか? ツインテールを愛するレッドには、ツインテールを滅することができなかった。
「ふふ…もう眠ってしまいましたか。続きはベッドで…」
そして恐ろしいのは、フォクスギルディの克己心だ。幼女の人形相手にあそこまでの妄想劇を繰り広げられるとは。あそこまでやるにはきっと頭の中のどこかが壊れていなければ不可能のはずなのに、何ともないように己を保ったまま、真顔で真剣に取り組んでいる。それだけで奴がこれまでの敵と格が違うと感じざるを得ない。
(これが、心の力…! これがアルティメギルなのか!!)
レッドは膝をついたまま、苦しそうな顔をする。俺のツインテールは何も守れないのか? 俺のツインテールはこんな奴に負けてしまうのか…!?そう思いかけた時だった。
「うああああああああ!」
「む?」
「!?」
凛々しさと勇気が入り混じった少女の咆哮が聞こえた。
いったい何事かと空を見上げると、空から拳を真下に向けた少女が降下してくる。
「ブレイク!」
ガシン! 少女が右拳を変形させ、弓を引き絞るように照準をフォクスギルディに合わせた。
「これは…!」
フォクスギルディは咄嗟にテイルレッド人形を抱えて、その場から飛びのく。
「シュートォ!!」
「ぬおうっ!?」
掛け声と共に弾丸の如く射出される拳。その一撃は直接フォクスギルディには当らなかったものの、地面にぶつかった際の衝撃でフォクスギルディを吹き飛ばし、近くに生えている木へと叩きつけた。
そして少女はテイルレッドを守るように、大地へと降り立つ。
その姿をレッドは見覚えがあった。初めての戦いで自分を助けてくれたその少女を、刻まれたファイヤーシンボルを、攻撃の余波が巻き起こる中で焔色に揺れるツインテールを見間違えるなんてことをできるわけがなかった。
「テイル…ファイヤー…」
そう、テイルレッドを守るために、テイルファイヤーは再びその姿を現したのだった。
※
ガシン! と射出させた腕を戻して、俺はテイルレッドへと向き合う。
「ええと、テイルレッド、ちゃん?」
優しそうな声で話してみる。…改めてテイルレッドと向き合うと、何て言えばいいのか分からなくなってくる。
この間は彼女を助けるために戦いに乱入したが、実は彼女もまた俺と同じで侵略者と戦う戦士だった。…でも俺の中ではまだテイルレッドは「戦士」ではなく、どうしても「子供」として感じてしまうのだ。ネットでは彼女の勇士が確認できる動画は数あるものの、初めての戦いでの怯えている姿や涙目になっている姿からどう接するべきなのか未だに分からない。自分と同じで人々を守る「戦士」なのか、それとも守るべき「市民」なのか、その区別がつかなかった。
「あ、はい」
そう答えるテイルレッドはまあ、なんて可愛いんだろう。くりッとした目で俺を見てくる。これはネットでも見たことのない激レアな表情だ。…それに相変わらずなんてツインテールをしているんだろう、この子は。テレビやネットで散々見る機会はあるものの、やはり生で見るそれは格別だ。艶やかな髪が太陽に反射して、まるで太陽のように美しく輝いている。髪の毛の一本一本が絹でできたように滑らかで、可愛い。アルティメギルもレッドを最強のツインテール属性って言っていたが、正しくその通りだろう。
このようなツインテールを持つ幼女に切られたり殴られたりしたいと思う奴が出てもおかしくないのではという考えが一瞬、頭をよぎったが、チリッと感じた気配に、直ぐにその考えを取り消した。
「ぬうう…今のは効きましたよ、テイルファイヤー!」
バッと吹っ飛ばしたフォクスギルディがこちらへと戻ってきた。ダメージを負っているにも関わらず、どこか嬉々とした表情で等身大のテイルレッド人形を抱えてこっちを見ている。
やだな、あれ。何度見ても気持ち悪い。半ば覚悟していたものの、生で見る等身大のテイルレッド人形は実に気味の悪い物だった。細かな骨格まで完全再現されたそれは生物標本として見ても非常に悪趣味極まりない。
「それにしても…今日はなんて運のいい日なのでしょう! テイルレッドだけでなくテイルファイヤーも現れるとは! これもまさに天の定めなのでしょうね!!」
テイルレッド人形の頬を撫でながら、幸せそうな顔のフォクスギルディを俺はゴミを見るような目で見た。だが、そんな俺の目を見てもこいつは態度一つ変えない。というかむしろますます嬉しそうな顔をしてやがる。
「その凛々しき姿、是非とも私の手に!」
妖艶な笑みを浮かべて、新体操のようにどこからともなくリボンを繰り出すフォクスギルディ。
「『危ない!』」
テイルレッドの声とレイチェルの通信が重なるのと同時に、俺は左腕を突き出す。言われなくても分かっている! あいつは何か企んでいる…恐らくは今あいつが放ったリボン、これは攻撃の為だけに放ったんじゃない。
「ファイヤーウォール!」
左手から発生したバリアが、渦を巻いて迫りくるリボンを防ぎ、消滅させる。
「ほう…バリアですか。大胆に攻めてくるのにガードは堅い…やはりあなたは一筋縄ではいかないようですね」
攻撃が防がれたのに、なんて嬉しそうな顔をしているんだフォクスギルディ。そして次の言葉で俺の奴への呆れはさらに加速することになる。
「それでこそ、テイルレッドの姉であるあなたを倒す価値があるというもの!」
「は?」
フォクスギルディの言い放った言葉にポカンとするが、すぐに理解が及ぶと俺の頭が痛くなってくる。
…お前もその話題を出すのか、アルティメギル。人間とアルティメギルって非常に似ている生き物なんじゃないだろうか。学会にでも発表できそうなテーマをぼんやりと考える。
「ああ、誤魔化さなくてもいいのです! 戦いの中では姉妹関係など無意味!ですが、優しいあなたは妹であるテイルレッドを見捨てる非情さはなかった! こうして来たのも妹を助け、戦士としての道を…」
「どうすればいいんだろう?」
「無視していればいいと思うよ」
レッドの蚊が鳴くような呟きに俺はそう返した。長々と喋るフォクスギルディを完全に無視し、俺とレッドは作戦会議を始める。あの手の輩は話し終えるまで満足しないから、話すだけ話させておけばいいのだ。
「…ということは、あいつの属性力であの人形はできているんだな」
「うん。あの人形を壊せば、この気持ち悪い感覚は直るんだけど…」
「壊すのは気が引ける、と」
レッドは弱弱しく頷き、うつむいた。なるほど、レッドの説明と事前にレイチェルから聞いた情報を統合するとこういうことか。
奴は、フォクスギルディは
対策法は一応ある。人形が苦しませる原因ならばそれを破壊すればいい。無論、強化された人形を壊すことは至難。だがレッドはそれを覆すアイテム、リザドギルディを倒した際に手に入れた属性玉、
ツインテールを愛し、最強のツインテールを持つレッドだからこそ、破壊することができないでいたのだ。
「…」
俺はしばらく悩む。確かにレッドの言い分も分かる。テイルレッド人形は自分では動くことのできないという点を覗けば、レッドそのものといえるほどの存在だ。これを破壊するのは確かに苦悩する。レッド最大の特徴であるツインテールまで見事に再現されたそれを壊すことは、芸術品を地面に叩きつけて粉々にするような愚かな行動であることも分かる。
…だが、それでも。人形を壊せないからといって戦えませんでしたとはいかない。俺たちはアルティメギルと戦える唯一の人間だ。俺たちが負けを認めること、それは人類の敗北を意味しているからだ。例え、どんなにツインテールが好きでも、それが人形でも、どんなに馬鹿馬鹿しい侵略者でも、俺たちは奴らと戦って、倒さなければならない。
「…俺は今からあいつと戦う」
俺はそう呟き、唇を噛みしめながら立ち上がった。レッドが顔を上げる。
「まさか…壊すのか?」
何を? とは聞き返さなかった。そんなこと分かりきっている。
「できるだけ壊さないようにはする。…けど、もしかしたら傷つけたり、壊したりしてしまうかもしれない」
「本気か!?」
レッドが小さな体で、俺の足にしがみついた。分かっている、俺はきっと、愚かなことをしているのかもしれない。けど…!
「…残酷な運命だけど、やるしかない」
そう言ってから、目を瞑った。そして、一つの質問を彼女に投げかける。
「君はどうする? 」
「え?」
「俺は今からあいつと戦う。…テイルレッド、君はどうするんだ?」
これはいわば確認だ。レッドが俺と共に戦う「戦士」なのか、守るべき「市民」なのか。その確認のための問いだ。仮にレッドがここで戦うと答えても答えなくても俺は構わないと思う。
だってこんな残酷な運命、俺だって何が正しいか分からないからだ。俺よりも年下でしかも女の子にこんな選択を決断させたくなかった。できることなら、ここから逃げて欲しかった。
レッドはしばらくの間、押し黙っていた。俺が口を開こうとしたとき、レッドはこう答えた。
「お、俺も、戦う。戦って、あの人形も助ける…!」
弱弱しく、でもその声にははっきりとした意志が宿っていることが分かった。『戦わない』のではなく、『戦って助ける』。今の言葉から彼女の力強い意志が確認できる。
「…ありがとう、テイルレッド」
俺はそう言い、そしてフォクスギルディを睨んだ。フォクスギルディは既に話は終えたらしく、テイルレッド人形の髪を弄りながら立っていた。どうやら作戦会議が終わるまで俺たちの事を待っていてくれたらしい。
テイルファイヤーは両の拳を構え、テイルレッドは剣を構える。そして、2人は合図もなく、同時に走り出した。2人の赤き戦士の共闘劇が幕を開けた。
※
「いくぞぉ!」
テイルファイヤーの拳がフォクスギルディ目がけて飛んでくる。だが、今までの戦いで見せたような一発一発が力強いパンチではなく、力を押さえて手数を増やしたパンチでけん制する。
「何ですかこの弱弱しい拳は!? あなたの力はそんなものじゃないでしょう!」
フォクスギルディは人形を抱えたまま、片腕でそれを裁く。顔、胸、腹。それらに来る拳を全て叩かれ、防がれる。
「ほらほら、どうしたんですか!? あなたの本気を見せてください!!」
だが、ファイヤーはその挑発には乗らない。何故なら…。
「俺を忘れるな!」
「しまっ!?」
背後からの声にフォクスギルディは焦る。そう、ここにいるのはテイルファイヤーだけではない、この場にはもう一人の戦士がいるのだから。
大きく振りかぶったテイルレッドの攻撃に、たまらずフォクスギルディは体制を変え、避けようと身体を捻る。だがその隙をファイヤーは見逃さない。
「よそ見を、するなぁぁ!」
「ぐぬうっ!」
腹部に走る痛みにフォクスギルディは嫌そうに顔をしかめた。姿勢を変えたことで生じた隙にテイルファイヤーは先ほどの手数を増やしたパンチではなく、思いっきり振りかぶった本気の一撃を腹部に与えた。リザドギルディを吹っ飛ばしたその一撃は伊達ではなく、フォクスギルディに大きなダメージを与える。
「まだまだ!」
今度はレッドが前衛になって、フォクスギルディを追いつめる。小柄な身体ですばしっこく、巧みにフォクスギルディに食らいつく。剣を振り回し、突き、薙ぎ払う。どれも当ればただではすまない威力を誇る一撃に、段々とペースをテイルレッドに奪われていく。
「…まだ負けたわけではありませんよぉ!」
フォクスギルディはリボンをテイルレッド目がけて飛ばす。そのリボンで拘束させるのか、または新たな人形を作り出そうとしているのか。
「下がれ、レッド!」
ファイヤーはそう言ってレッドの肩をつかんで無理矢理下がらせ、フォクスギルディの間に割り込み、左手を構える。現れたバリア、ファイヤーウォールがリボンを消失させ、お返しにと言わんばかりに右手を構える。
「ブレイクゥ!」
「む!?」
ファイヤーのその掛け声と体勢でまずいと判断したのか、フォクスギルディは慌ててガードを固める。最初に見せた拳を放つあの技は余波だけでもあれほどの一撃を誇った。なら直撃すればどれだけの威力を持つのだ? その警戒心が反射的にガードの体勢にさせる。
「…!?」
しかしいつ待とうとも、テイルファイヤーの拳は飛んではこなかった。当たり前だ…何故なら、初めからファイヤーには拳を放つ気なんてないのだから。
ファイヤーはスッと拳を引っ込めて、がら空きになったフォクスギルディの右足目がけ、蹴りを放った。ゴリッという鈍い音がして、フォクスギルディは再び嫌そうな顔をする。
「ぬがあっ!? 拳では…ない、ですとぉ!?」
フォクスギルディは思わず一瞬膝をつきそうになった。
そう、構えた右はフェイント。ファイヤーの本命は蹴りだった。最初に現れた際の不意打ちで、既にこの右手の恐ろしさを理解し、次からは警戒してくるはず。だから、あえてそれを利用して貰った。乗ってくるかは賭けだったが、まさかここまで上手くいくとは。
「これで、終わりだ!」
テイルレッドはその瞬間を逃さない。剣を構え、決定的な一撃を与えようと、フォクスギルディに飛びかかる。だが、フォクスギルディも一筋縄ではいかない。
「させませんよぉ!!」
多数のリボンが、まるで弾丸のようにまっすぐレッドに襲い掛かる。そして、そのうちの一つがレッドの手に当り、その手から剣が弾け飛んだ。
「!?」
これでレッドの攻撃は失敗した。武器を失ったテイルレッドはただのツインテールな女の子だ。だからこそ、剣を失ったテイルレッドなど恐れるに足らずと不用意に飛び込んだ。だが…。
「う、ああああああああああ!」
テイルレッドは己の武器が拳だけになっても向かってきた。武器が弾かれても、諦めてなどいなかった。
「なん、ですとぉぉぉぉ!?」
そして、テイルファイヤーが先ほど打ち込んだ腹部と同じ箇所にレッドの拳が深々と突き刺さる。
「ぐ、あぁがぁ!」
そしてついにその時がやってきた。腕にずっと抱きかかえていたテイルレッド人形をフォクスギルディはついに地面に落としたのだ。
「え…!?」
それを見たファイヤーはそっと落ちたテイルレッド人形を抱きかかえ、そして気付いた。
フォクスギルディが戦闘中、ずっと大事そうに抱えていたテイルレッド人形はボロボロな彼の姿とは対照的に、傷一つ、埃一つなかった。あれだけボロボロならば、この人形だって、傷一つあってもいいのに…何故だ?
「…!」
そして一つの結論にたどり着いた。…奴はずっとこの人形を守りながら戦っていたのだ。どれだけ自分が傷つこうとも、あいつはこの人形を大事に、傷一つつかないように守って…。
「フォクスギルディ…」
レッドも人形の状態に気付いたのか、呆然とフォクスギルディを見た。だが、フォクスギルディは軽く笑い、何ともないようにこう言い放った。
「…あなた方にも信念があるように、私にも信念があります。
そう叫んだフォクスギルディは何故か笑っていた。何故なのかは分からない。しかしほほ笑む表情は、まるで悪友と馬鹿をやっているように、どこか穏やかな表情に見えた。
「…ああ、そうだな。勝負はまだ、終わっていなかったよな」
呆然としていたテイルレッドも何故か微笑み、叩き落とされた剣を拾った。
そして、拳を構えるファイヤーも笑っていた。奴は、フォクスギルディは馬鹿だ。だけど、この馬鹿はなんていうのか…気持ちのいい馬鹿というのか。何故か笑ってしまうのだ。初めは気持ち悪かったはずのフォクスギルディが、何故か今はもの凄くカッコよく見えてしまう。
「では、勝負を再開しようとしま―」
「そこまでよ、変態!」
だが、この雰囲気を壊す人物が稲妻の如き轟音と共に現れた。
「な、何ぃ!?」
まるで俺の時の登場と同じように、奴は立っていた。青き稲妻のようなブルーアーマー、何故か胸を強調している衣装、そして青いツインテールを纏った女。
「何者です!? せっかくの神聖な勝負の最中に!」
フォクスギルディのその問いに迷いなくその女は答えた。
「あたしは―テイルブルーよ!」
3人目の戦士、テイルブルー。女はそう名乗ったが…今のこの状況では彼女の存在が場違いというのかなんというのか。テイルギアを持っているとか、味方か敵かなどの疑問は色々あったが、せっかく張りつめていた緊張感がどこかへ飛んでしまった。
「…そうですか。では、レッド、ファイヤー。直ぐに勝負の再開を…」
フォクスギルディもブルーには構ってられないと言わんばかりな顔をする。このグダグダな空気を何とか軌道修正しようと雰囲気だけでも戻そうと頑張っている。
「お、おう。そうだな…。戦いはまだ、終わっていないもんな」
俺は一応そう答えたが、レッドはブルーを見ながら驚きと焦りが入り混じったような顔をしていた。レッドはまるで幼馴染と再会した転校生のような顔でブルーとあれこれ喋っている。…どうしたんだ?
「? どうしたのですか、テイルレッド?」
フォクスギルディも心配になったのか、おろおろし始めた。すると、テイルブルーは一振りの槍を持ち、鬼のような顔をしながら、こちらにやってきた。
「さあて、あんたは、あたしが相手になるわ…!」
えっ!? この場にいる全員がそう思っただろう。だって、今のこの空気じゃ絶対、あんたの出番じゃ…。
「ちょ、ちょっと待っ…!」
「うるさい、問答無用よ!」
そう言い放つと、ブルーの持っている槍から膨大なエネルギーが溢れだす。槍の切っ先が変形し、変形した部分から溢れんばかりのエネルギーの刃が生まれる。
「か、開幕必殺技は掟やぶ…」
「うるっっっさいのよ、この変態怪人!!」
そう吐き捨てるように言い、テイルブルーはそのエネルギーの刃をフォクスギルディ目がけ振り下ろした。
「な、なんじゃそりゃああああ!!??」
フォクスギルディは青色の濁流に飲まれながら消え、彼の信念であった2つの属性玉だけが残された。
「「…」」
俺とレッドは互いに向き合い、テイルブルーに感謝すればいいのか、それとも憎めばいいのか…どうリアクションすればいいのか分からないでいた。戦いが再開すると思ったらいきなり知らない奴が乱入してきて敵を倒してしまった。訳が分からない。
…こうしてフォクスギルディは倒され、俺たちの戦いは終わるのだった。残ったのは、最後まで俺たちと戦えなかったフォクスギルディの無念さと、俺たちが戦いの前に思った信念や意志が全部無駄になったと感じる脱力感だけだった。
そんな俺たちを無視するように、フォクスギルディを倒したテイルブルーは、でっかい仕事をやり遂げた気分でのんきに笑っていた。
…それをテレビ局のカメラが撮っていることにも気付かずに。
はい、とりあえずA以下さんは「戦いの最中に乱入し、ボロボロの敵を開幕必殺技で倒す」という最悪のパターンで登場させてもらいました。
…というか、この登場の仕方、どう見てもライバルキャラか敵役だよなぁ…。自分でもブルーはこういった方が動かしやすいのがなんとも。
次回もお楽しみに!