俺、ツインテールになります。 The Another Red Hero   作:IMBEL

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一月半ぶりの更新ですが…どうぞ。


第50話 露見とツインテール

「分身能力…本当に3つに分かれてる…」

「これが三つ編み属性(トライブライド)の能力ですか…」

地下基地に戻った総二たちは、トゥアールが記録していた戦闘データを再生することにした。

モニター上では先ほどの戦闘シーンがコンマ数秒程のスロー映像で再生されている。そして、それを読み取る事でケルベロスギルディがどうやってブルーの即死コンボから逃れたのか、そのカラクリがハッキリと分かったのだ。

「オーラピラーで拘束される寸前に3体に分離し、そのうち1体だけを囮にして2体は拘束から免れていますね。直撃を受けたのは拘束された1体のみ…しかも、再合体した際には今までのダメージも帳消しという回復能力も備えています」

「面倒な敵だな…」

トゥアールはモニターに様々なシーンの映像を再生させながら、総二たちに解説を進める。

「結論を述べると、面倒臭さだけで言えばこれまで以上の敵ですね。今まで戦ってきた幹部級エレメリアンは真正面から戦う力押しタイプが主流でしたが、こいつはこの能力も込みで同じ戦法を行っているんですからね。ゲームのボスキャラが全回復呪文を使っているようなものですよ、これは」

再合体時にボロボロの傷が見る見るうちに癒えていくその光景は、ケルベロスギルディが単なる力押し戦法では絶対に勝てないことを物語っていた。更にファイヤーのパンチをあっさりと受け止めるその力は、ケルベロスギルディは能力に頼った戦い方をしていないという、何よりの証明だった。

向こうは分身の内1体でも生き残っていれば体力を全回復できる手段を持っており、持久戦になればなるほどツインテイルズ側が不利な状況へと追い込まれていく。向こうは回復手段を持っているのにもかかわらず、こちら側にはそれがない…これだけでツインテイルズがどれだけ不利な状況に陥っているかは一目瞭然だろう。

「幸いなのは、相手が分身したとしても人数の上ではこちら側が多いということですね。あっちは3体、こっちは4人。つまり、奴を倒すにはツインテイルズ全員での協力が不可欠となります」

普段以上に真面目なトーンでの作戦会議に、総二たち一同は新鮮な気分だった。何故ならば敵の倒し方についての会議など、ただの一度だって行った事がない。相手がどれだけ強くても、ほぼぶっつけ本番で勝利を収めてきたが、遂にそれだけでは勝てないという壁にぶち当たった。

「こいつがでてきたのは偶然…じゃないよな。俺たちツインテールに対しての三つ編み能力…まるでツインテイルズに合わせて選出されたみたいだ」

「流石は観束君!! 素晴らしい着眼点ですわ! 敵も私たちを倒すべく、同じカテゴリーの属性力をぶつけてきているという事実に気付くだなんて!!」

「えっ? ああ、そうですか…」

「三つ編み対ツインテール!! まるで大怪獣決戦のような気分ですわ!!」

慧理那に褒められて少し照れくさいリアクションをする総二だったが、愛香は逆に面白くなさそうにジト目で総二を睨む。

「…? 何で愛香は機嫌悪そうにしてんだ?」

「べっつに~?」

するとトゥアールも機嫌が悪そうな顔を押さえながら、慧理那の気を引かせようと必死にモニターを指さす。

「あー、ほらほら慧理那さん! テイルレッドが女の子にもみくちゃにされていますよ! 可愛い光景ですねー!! ほら、あの子なんて自分の制服の中に手ー突っ込ませてすぐに逃げていきましたよ、業師ですねー!!」

戦闘シーンが映し出されていたモニターは、いつしか中高生に絡まれて困惑するテイルレッドの映像で埋まっていた。総二は明日以降もこの映像をどこかで見る羽目になることに気が滅入り、しかめっ面になる。あの制服の子も隠し撮りの写真か映像なんかをネットに公開するんだろうなー、と容易に想像できるため、総二は必要以上に驚くことはしなかった。

「ええ、とっても可愛いですわね。それに隣にいるお姉さまも子供たちと絡めて羨ましい…私も加わりたいのですが、どういう訳か子供たちが逃げていって…」

モニターのとある映像には、ケルベロスギルディに無理矢理三つ編みにされた人の髪を解こうと懸命に作業をしているテイルファイヤーとそれに群がる幼子の姿があった。そこだけ見ると大変微笑ましいのだがその輪にイエローが加わろうとすると、子供たちが逃げるようにイエローと距離を取るのだ。

…やはり、『露出=テイルイエロー』という嫌な図式が成り立ってしまった今、子供たちもイエローを危ない人のような認識でいるらしい。

「ああ、これもまだ私が世間に受け入れてくれないという何よりも証拠…私も早く、人々に認められるヒーローになりたいですわ! とりあえず、ケルベロスギルディとの再戦時には露出を今までの3割増しにしますわ!!」

「いや…そうじゃないと思うんだが…」

「え?」

きょとんとした顔をする慧理那だったが、そのリアクションをするべきなのは総二の方だ。

「とりあえず、脱げば脱ぐほど人気がでるという考えは間違っているんじゃ…」

「観束君の方こそ間違っていますわ!! 私はありのままの自分でいるだけなのですから!!」

露出はイエローの人気を落とす要因にしか成りえないのだが、イエローの戦闘スタイルは今や露出ありきになってしまっている。総二はなんとか露出は控えないかと慧理那に説得を試みるのだが、これにますます愛香とトゥアールを不機嫌にさせていく。

「事態を悪化させてどーすんのよ! そーじも最近は光太郎と会長くらいしか絡まないし、当の会長はファイヤーとレイチェルちゃんラブだし!! そーじがそろそろ取り返しがつかない地点まで来始めているわよ!! このままじゃ本当にガチホ…」

「愛香さんの方が怒ってどうするんですか! 私だって一生懸命頑張っているのにいっつも事態が想定外の方へ行くんですよ!!」

「あんた頭いいんだからそれを予想した上で行動しなさいよ!?」

…作戦会議の体を為していたのは最初だけで、あっという間に皆好きなことを言い始めて脱線してしまう。

そんな中、特にやる事がなく、一人テーブルに座りながら書類にペンを走らせている尊の姿があった。総二はそんな尊に助けを求めようとしたが、書いている書類をよく見るまでもなく、それが婚姻届であることに気付き、行動を取り辞める。

尊は芸能人が長年書き慣れたサインレベルの速さで、婚姻届の妻の欄に自分の名を書いていくが…ここまで婚姻届を極める前に、もっと様々な道があったのではないだろうかと思わざるを得ない。

「今度こそ…今度こそ…受け取ってもらう為に…!」

怖いことをブツブツと呟き、目を血走らせながら婚姻届を書いている尊に関わってはいけないと察した総二はもう一人の大人である母、未春に助けを求めるが、未春はさっきからモニターに表示されたままの映像を見ながらうーんと唸ったままだ。相変わらずの悪の女幹部コス姿の母は、残念なことに今の思案顔が非常に絵になってしまう。

「ケルベロスねぇ…どこかで聞いたことがあるわ…」

「そりゃ俺だって知っているよ。知らない人の方が珍しいだろ?」

意外にもまともそうな未春に、総二は淡い期待を抱く。ケルベロスは地獄の番犬の異名を持つ神話上の生物であり、亡者を喰らうとして知られている、比較的ポピュラーなモンスターだ。小説やゲームでもちょくちょく出演しており、その名前を聞かない方が難しいかもしれない。

「そうじゃなくてねぇ…うーん、あ!」

ポン、と手を叩き、何かを思い出したようなリアクションをする未春に、総二は嫌な予感がした。

「そうだそうだ、思い出したわ。母さん高校生の頃、後輩の女の子を犬にして飼っていた時期があってね」

「ファミレストーク感覚でとんでもねえこと言っているじゃねええええええええええええええええ!!」

「やあねぇ総ちゃん、犬って言ってもちゃんと人間の下僕のことよ?」

「余計に駄目だよこんちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

総二は、一瞬でも母をまともだと思ってしまった自分に喝を入れたかった。最近、次から次へと知りたくない母の黒歴史が明らかになるが、今度の黒歴史は核兵器どころかゾンビウイルスを内包した細菌兵器クラスの代物だった。

「いやね、私というマスターに忠誠を誓っていた可愛い下僕…もとい、ワンちゃんがいてね? その子がもうすんごいドMでしかも忠犬で…地獄の番犬にちなんでケルベロスって呼んでいたのよ。あー、どこかで聞き覚えがあると思ったらこれだったのねー」

一言一句逃さずに聞いているのだが、総二はまるで理解が及ばない。本来なら思い出というものは微笑ましいはずなのに、まるで微笑みの欠片のないそれに総二は戦慄を覚える。

「ちなみに母さんはその頃、真なる闇の女王(オブスキユリイ=レイヌ)って名乗っていて、神魔超越神なる異名を持った父さんと昼休みの度に死闘を繰り広げて…」

「聞いてもいないことを喋るんじゃねええええええええええええええええええええええ!!」

今すぐ父の遺影をミキサーにかけて海にばら撒きたいという衝動を必死で堪える総二は母を静止させようと頑張るが、無駄な努力で終わってしまう。

「その子、高校卒業してすぐ結婚しちゃったから、トンと音沙汰が無くなっちゃって。風の噂では子宝にも恵まれて幸せに暮らしているらしいけれども…今どうしているのかしら? 結構いい所のお嬢さんだったみたいだけど、ドMだったおかげで距離感なく接していたのよねぇ~」

家柄以前にドMって時点で最強最長の距離感が発生していると思うのだが…。

(あれ…?)

ふと、総二の脳内に嫌な電流が走った。こんな時に限って、総二の頭はフル稼働を始める。

(卒業後すぐに結婚、そして子供を妊娠…ならば年齢は19歳前後…? そして母さんの後輩で…知り合いが中二病…いい所のお嬢さん…)

簡単な年齢の逆算と、記憶の海から掘り起こされる会話。そして頭に引っかかるものがあった。総二はごく最近、これと非常によく似た話を聞いている――。

「え、えっと母さん。何だっけ、その人…すんごいドMって言ったっけ?」

「そうなのよ、この哀れな犬をぶって下さいとか、首輪をつけてとか言われてねぇ! 下僕感が増すと思って、母さんもついついやりすぎちゃってね~! あの子は喜んでいたけれど、流石にやりすぎちゃったかしら?」

「!!!」

いやー、あの頃は若かった! といい感じな言葉で締める母だったが、総二は背中の冷や汗が尋常でないほど流れていた。

そんなに直感は冴える方ではないのだが…今日の総二は気持ち悪いほどに冴え、頭の中でピースがはまっていってしまう。

(…俺も、俺も似たようなことをされた!! 慧理那にぶってとかひっぱたいてとか―――言われた!!! 母さん程酷くはないけど、ベクトルはすんごく似ている!!!!)

観束という苗字にデジャヴを覚え、妙な名前を付けたがる人物にして、頭が痛くなるような思い出を甘酸っぱいとして昇華している人物――総二はこの人物に心当たりがあった。

『あの方は『自分の子供に命天男(メテオ)有帝滅人(アルティメット)という厳格な名前を付けるんだ』と言って―――』

『ちなみに母さんはその頃、真なる闇の女王(オブスキユリイ=レイヌ)って名乗っていて―――』

(に、似てる!! 厳格な名前となると、中二病チックになる…うちの母親に似ていやがる―――!!!!)

…そう、慧理那の母である理事長が未春の下僕ではないかという驚愕の仮説にたどり着いてしまった総二は頭を抱えて、テーブルに突っ伏した。

(もしそれが事実だとしたら…親子二代に渡って…知り合いってことに…?)

そう言えば、理事長も総二と光太郎に言い寄られている間、驚きと共にやけに変なリアクションをしていたが―――もしかしたら、あれは言葉攻めで快感を覚えていたのかもしれない。そうなると、理事長はドMだという確固たる証拠が完成してしまう。娘の慧理那がドMで、その母もドM…何と分かりやすい血の繋がりなのだろうか。

(…そう言えば、母さんと理事長って齢が近い感じもしたし…俺と会長の齢は一つ違い…。母さんも卒業後、父さんと結婚したけれどすぐには妊娠しなかったらしいから、1年ちょっとの誤差が生じてもおかしくはない…)

考えれば考えるほどに仮説は信憑を帯びていく。そして、奇跡とも思えるとんでもないニアミスで、総二以外誰一人気付かないでいるこの不思議な因縁に、一人戦慄していた。

総二は世の中は狭いと感じつつ、絶対にこの事を慧理那自身に知られる訳にはいかないと心の中で決心した。慧理那のツインテールを絶望に染めない為に、そして他の人にばれて、この恐るべき黒歴史が明らかにならない為にも。

「トゥアールさん、私もこのモニターを操作してみてよろしいかしら?」

当の慧理那はトゥアールに設備の操作方法を教えて貰っていた。トゥアールも満更ではなさそうな顔で操作方法をレクチャーしている。

…なんやかんや言いつつも、トゥアールも前向きな姿勢で色々な事を知りたがる慧理那にはどこか甘い所があり、総二はそんな慧理那の好奇心に満ち溢れた姿とツインテールを見て、不思議な気分を味わっていた。

親が血反吐ものの過去を持つという共通項はあるものの、よく考えれば、因縁…というよりも運命的な何かを感じていた。

ツインテールが導いた関係という以前に、2人は出会うべくして出会うことが定められていた―――というような考えもできるのだろうか。らしくない、とんだロマンチストな発想であったが。

「人工衛星―――『ようじょ』? これでエレメリアンの出現をキャッチしていますの?」

「地表全てをカバーするためにサブ三基を含め、全4基ありますが、基本的にはこのメインでまかなっています。総二様と出会う前にこっそりと打ち上げておいたんです」

「凄いですわね!」

「ええ凄いでしょう? トゥアルフォンなんかの中継もこれでまかなっていまして、なんと『ようじょ』では衛星写真もとれてですね! 」

確かにすごい性能を誇ることは理解できたが、ラジコン感覚で人工衛星は打ち上げるものではないはずだが…。

「更に更に!! ここにはあらゆるデータが保存されておりまして、今までの戦闘データが最高画質と音質で…!」

トゥアールはピッと再生ボタンを押すと一般には出回っていない戦いの内の一つである、テイルレッドVSドラグギルディとの死闘が映し出された。剣と剣がぶつかり合う

「まあ!!」

「ふふふ…どうですか? この人口衛星『ようじょ』に出来ない事は何もないのです!!」

「凄いのは分かったんだけど、その撃墜したくなるようなネーミングはどうにかならなかったの…?」

空から地球を見守るトゥアールの分身としてこれ以上ないストレートすぎるネーミングに嫌悪感があるのか、愛香は呆れ顔になっていた。

「す、凄いですわ…! あ、あの! もっと他に映像は…」

「ふふふ…まだまだありますからどうかご安心を!!」

おだてられてすっかり調子に乗ったトゥアールはモニター上に次々と衛星に保存していた映像を再生し、ツインテイルズ限定のスライドショーが開幕となる。

「あっ、これクラーケギルディ戦での愛香ちゃんじゃない」

「あたしこんな風に撮られていたんだ…しかも、無駄に良いアングルで…」

「白目をむいたところも最高画質になってるな…」

「まあ! これはワイバーンギルディ戦でのお姉さまですわ!! こんな角度で見られるとは…!」

「やっぱりこの戦いは迫力があるわね」

その鑑賞会に自然とメンバー全員の目線がモニターへと移動し、ワイワイと盛り上がる。そしてトゥアールが次の映像を再生した矢先だった。

『きゃははは』

『わーいわーい』

「「「!!!!」」」

…本来ならばモニターにはツインテイルズが映るはずなのだが、何故か見知らぬ幼女たちの通学光景の映像が映り込んでいた。しかも盗み撮りのレベルを遥かに超えた代物であり、明らかに幼女たちを被写体として映していた。

「…あっ!」

トゥアールが軽い悲鳴と共に慌ててモニターの電源を落としたが、覆水盆に返らず。こぼれた水を盆に戻す事などできはしない。事が起こってしまってからでは、何もかもが遅すぎた。

「「「「…………………」」」」

これまでの賑わいが嘘のようにピタリと止み、全員の視線がモニターからトゥアールへと集中する。電源が落とされる僅か数秒の間であったが、あのとんでもない映像はこの場にいる全員の脳裏に深く刻み込まれてしまった。

「…さーて、みなさん。ケルベロスギルディについて、話し合いを再会しましょうか。トリッキーな力を使うとはいえ、これは強敵ですからね」

「それよりももっと危険な奴がここにいるようね!!」

何事も無かったかのように会議を再会させようとするトゥアールに颯爽と掴みかかった愛香は、ぐるんと回転投げを決めてモニターに叩きつけた。…地味に叩きつけられるまでのスピードがじわじわと速くなっている事もまた恐ろしい。

「あんたねぇあんたねぇ…人類の英知を使って、なに盗撮にしゃれ込んでいるのよ!?」

「ああああああああああああ! 人はまた過ちを繰り返す!!」

「あんたは繰り返し過ぎだバカヤローーーーーーー!!!」

そして愛香はむんずと白衣を掴むと、ロケットを射出するかのようにトゥアールをブン投げた。だが、トゥアールはロケットと同じように大気圏突入には至らず、天井という物理の壁に阻まれてしまい、ついに宇宙に旅立つことは無かった。

 

 

 

 

 

 

その頃、アルティメギルの基地にある格納庫では、作業着を着たフェンリルギルディが翌朝に控えてある飛空艇の清掃作業の準備に取りかかっていた。

「エンジン部のオイル、ワックスも充分な量がある。こっちが床用でこっちが装甲用…外部装甲が多少傷ついている船が何隻かあるから、そこは溶接と研磨で補修して…ああ、大型バッテリーの予備もあった方がいいな」

ぶつぶつと手元にある書類と睨めっこしながら作業を進めていくフェンリルギルディの姿はすっかり板についていた。

雑用を初めて1ヶ月。様々な仕事で働くこととなったが、身のこなしやまるで整備士が本職かと思えるほど洗練していた。

「モケ!!」

「…ああ、どうも。お疲れ様です」

途中、退職時間になり定時に退社する戦闘員に愛想よく振る舞うそぶりを見せるが、フェンリルギルディの内心は穏やかではない。ダークグラスパーが近くにいないこといいように心の中では周囲の不満を思いっきりぶちまけていた。

(たかが戦闘員の癖にデカい顔してるんじゃねーよ! しかも道具を片付けないで帰りやがって…私はお手伝いさんじゃないんだぞ!!)

どれだけ作業の腕が上がったとしても、地位は相変わらず基地内ワーストワンの雑用係。模範的な行動を取ってはいるものの一向に雑用係から解かれる様子はない。そのことにフェンリルギルディの苛立ちは募るばかりだ。全く、ダークグラスパーに粛清されてから碌なことがない。

(ああくそ…私はいつまであの下っ端に頭を下げ続けなければならないのだ!! そもそもこんな仕事、雑用に押し付けなくとも…)

戦闘員ですら定時で上がれるのに対して、雑用係である自分は作業が完了するまで仕事を上がることは許されない。例え深夜になろうと作業が終わるまで眠ることも許されないのだ。

(第一…ダークグラスパーが来たからといって何か変わったか? 地球侵略は一向に進む兆しは見えないし、連戦連勝のツインテイルズは調子に乗るばかり…そもそも、偉そうにしているダークグラスパーはただ部屋でエロゲーを嗜んで、私に仕事とエロゲーを押し付けているだけではないか…! 偶に外出することはあるが、何処で何をしているのだか…!!)

そんな中、相変わらずおせっかい焼のスワンギルディだけがたまに様子を見に来てくれるが、フェンリルギルディにとってはそれが冷やかしのようにしか思えない。

…どうせ、老いたエレメリアンである自分の情けない姿を見ることで優越感に浸っているのだろう。向こうは隊長直属の地位にいるからこそ、雑用係の哀れな姿はさぞかし滑稽に見えているのだろう―――。戦闘員ですら調子に乗っている現状だ、上から数えた方が早い地位にいる貴様にやれない道理はないものな―――。

「失礼する」

「!」

いきなり聞いたことがない声が格納庫中に響き渡って、フェンリルギルディは驚きのあまり飛び上がった。はっと振り返ると、見知らぬ一匹のエレメリアンがずかずかと中に入り込んでいた。奥を見ると、いつの間にか小型の飛空艇が一隻、ハンガー内にあった。

まずい、と思った。許可のないものは通してはいけない決まりになっているし、もしこのことが上にばれれば、更に雑用の期間が延びてしまうかもしれない。フェンリルギルディは面倒なことにならないことを祈りつつ、慌てて整備台から降りていく。来客は無遠慮にずかずか奥まで歩いてくるが、フェンリルギルディを見るなり、首の下に下げてあるタグを見せてきた。

「ああ失礼。私はこういう者だが」

『外部来客者』―――そうタグに書かれていることを理解した瞬間、条件反射で目の前のエレメリアンに敬礼をした。関係者にも礼儀を尽くせ―――これも雑用の仕事をこなしていく内に染み付いてしまった行動の一つだ。

「ふむ、そう畏まらなくてもいい」

目の前にいる三つ首のエレメリアンは、白い牙を見せながら笑う。

「わざわざ作業の手を止めて済まなかった。だが私はここの上層部に用があって、一応関係者だ。今後の作戦の為に届け物があってな」

そう言って、トランクケースを見せる三つ首のエレメリアンの姿に、フェンリルギルディはあっ、と何かに気がついた。目の前のエレメリアンの存在はデータ上でしか見たことのない顔であったが、フェンリルギルディは確かにその人物のことを知っていた。

「もしかして…あなたは…ケルベロスギルディ…!?」

「…ほう。こんな引退済みの老兵のことを覚えてくれるのがいるだなんて、まだまだ捨てたものではないかもしれんな」

ケルベロスギルディ―――自らの属性力を示す為にあらゆる戦場で戦い続け、己の実力だけで幹部クラスの実力を手に入れたとされているアルティメギル屈指のたたき上げとして有名な戦士だった。フェンリルギルディも一時期、彼に近づいてどうにかそのおこぼれを貰えないか策を練っていたほどだが、数年前に突如として引退…その後、誰にも連絡先を教えないまま世間から姿を消してしまい、一時期は死亡説が流れていたほどであったのだが…。

「…引退した、と伺っておりましたが」

「ああ。つい先日に復帰してな。今は地球侵略の為に色々と裏でプロデュースしているところなのだよ」

そう言うと、ケルベロスギルディは基地内に通じている通路に歩みを向けた。

「あの…!」

「む?」

しかし、フェンリルギルディは何故かケルベロスギルディを呼び止めていた。まさか逆に呼び止められるだなんて思ってもいなかったのか、驚いたように足を止めた。

「あなたの属性力は…三つ編み属性(トライブライド)です…よね?」

「…ああそうだ。今も昔も私はこの髪型のみを愛している。生まれてからこれ一筋で貫き通しているさ」

「それはツインテールよりも…ですか?」

フェンリルギルディは恐る恐るだが、冗談めかしてそう言うと、ケルベロスギルディは茶化す様に笑った。

「ああそうさ。組織が何よりも欲しているツインテールよりも私は三つ編み属性(トライブライド)を愛している」

「………………アルティメギルを引退したのも…それが原因なのですか? あなたのその心は、アルティメギルの掟と反して…!」

「痛い所を突くな、君は」

ケルベロスギルディは自傷気味に笑うと、こちらを振り返ってきた。

「君の言う通りだ。ツインテールを愛するアルティメギルにとって、ツインテール以外の髪型の属性力は存在そのものが禁忌とされている。君は知らぬかもしれんがその昔、ツインテール属性と双璧を為す髪型のエレメリアンが存在そのものを危険視されたことがあってな…首領様直々に牢獄に閉じ込められたという話がある」

「………………」

「巨乳や貧乳などといった他の属性力ではツインテールと共存できるかもしれないが、同じ髪型の属性力は共存など出来ない。ツインテールとポニーテールは同時に存在することは出来ないし、サイドテールやシニヨンも同じだ。ツインテールの良さを殺してしまう厄病神…我々、髪型の属性力を持つ者はあっという間に日陰者にされた」

フェンリルギルディはそれを聞いている内にやるせない気分になった。自分とは違う境遇だが、ツインテールという存在のせいで自分自身の全てを否定されるのはどんなに苦しい事なのだろうか。

「私はその全てを、自らの三つ編み属性(トライブライド)を証明することのみにかけてきた。文字通り人生を投げ打って…。ゴールが見えないうちはまだそれに没頭する事が出来たが、やがて気づいてしまった。どれだけ戦っても自分を満たすことなど出来ないということにな…」

「…………………………」

「戦果を挙げさえすれば己の存在こそ否定はされない。だが、組織は己の愛する属性力は必要以上に求めてなどいないという現実を知ってしまってからは…心の支えを失ってしまったよ」

それはアルティメギルの陰、とも言えるのかもしれない。ツインテールを信仰していれば必ずその割を食う属性力もまた必ず現れてしまう。そして、それに苦しんでいるのはケルベロスギルディだけではないはずだ。きっと、その牢獄に閉じ込められたエレメリアンも苦しんだはずだ。

「なら…何故あなたは、現場へと戻ってきたのですか? 自分の愛する存在など求められていないと知ってしまったのですよね? 自分のやりたいことができないのに…どうして…?」

「…ふふ、どこぞの小童に私が得た知識や経験を求められていてな。軽い先生の真似事をしているのだよ。愛している三つ編み属性(トライブライド)の普及は出来ないが、それでも自分が何かの役に立っているということは嬉しいものでな」

すると、ケルベロスギルディはフェンリルギルディの胸にぶら下がっている『雑用係』のタグを指さし、その痩せた身体をチラリと見た。

「君も…まぁ、いろいろ苦労しているみたいだな。若いのに雑用まで転落など、一体何をやらかしたのだか…」

「ああ、いや、その…」

フェンリルギルディが何かを言おうとすると、ケルベロスギルディはそれ以上何も言うな、と手で制してきた。

「君も組織の在り方に不満を持っているのかもしれんし、今の境遇に納得がいかないかもしれない。だが、こんな厄病神でも誰かの役に立てるのだ。君にも、ちっぽけかもしれないがやりたいことがきっと、そのうちに見つかると思う。だから、それが見つかるまでは腐らずに働いてみてはどうかな? 何かを1つ失ってしまったからといって、残り全てを失うような愚かな真似だけはしないでくれよ」

まぁ、今の仕事の半分くらいは私も趣味でやっていることが多いのだけれどな、とケルベロスギルディは豪快に笑うと、地面に置いてあったトランクケースを持ち上げ、「ではこれから仕事の打ち合わせがあるので、失礼するよ」と言うと、ケルベロスギルディは格納庫から去っていった。

「あれが…ケルベロスギルディ…」

自分以外誰もいなくなった格納庫で、フェンリルギルディは信じられない感じがした。伝説の老兵と会話を交わして、しかもアドバイスまでくれた―――まるでドラマの始まりのような気分だった。

「自分の、やりたいこと…やりたいこと…? 私が、やりたいこと…やりたいこと…」

そしてフェンリルギルディはぶつぶつ…と、うわ言のようにその言葉だけを呟いていた。まるでその言葉を自分自身に刻みつけるように…。

 

 

 

 

 

 

「おーい、イースナちゃん。明日のライブ衣装の最終調節版が出来――あれ?」

「…遅い」

「お、遅い言うてもやな…これでも最速最大のスピードでケルベロスギルディが仕立ててくれて…」

「そ、そうじゃない。衣装のことは…どうでもいい」

着古したジャージ姿でソファに座るダークグラスパー…もとい、イースナは、先日のライブ映像を見ながら不満げにぼやいていた。熱狂的な固有ファンが増えてはいるものの、大人気というにはまだまだの人数だ。

「わ、私の見込みでは…も、もっとファンがどかんと増えているはずなのに…遅い…遅すぎる…!」

作戦の進みの遅さに、イースナは苛立つように貧乏ゆすりをするが、その相棒のメガ・ネプチューン…通称メガ・ネは呑気そうに返答する。

「焦りすぎやイースナちゃん。この短期間の間に、ほぼ無名の状態から人気って所まで来ただけでも凄い事やで! やっぱりツインテールが愛されている世界は手強いんやなぁ」

「あ、ありがとう…メガ・ネ。でも、何かが変、なの。この世界…眼鏡が、かなり蔑ろにされている…眼鏡の魅力を浸透させることだけでも、大変…。でも、それだけじゃない…」

イースナは、この世界が何か違和感が、異質な何かが根ざしているようなそんな感覚がした。

イースナはソファから立ち上がると、メ・ガネにずいっと手を差し出した。

「メガ・ネ…預けておいたあれを出して…」

「あれ?」

「ここに来る前にあなたに預けたものがあるでしょ…?」

「まさか…あのアルバムか? あんた、夢が叶うまでトゥアールはんの写真は見ないって…トゥアールさん断ちするって言ってたやんけ」

母親のように諭してくるメガ・ネにイースナは駄々っ子のように催促する。

「う、うるさい…トゥアールさんに巡り会えたんだし、頑張った自分へのご褒美だから…見せて!」

「…こういう願掛けは中途半端に破ると意味あらへんのやけどなぁ…まあ、頑張ったのは確かやしな! イースナちゃんも好きなだけ見ぃや!!」

メガ・ネはポンと右腰を叩くと、腹部から引き出しのようにアルバムがせり出してきた。

イースナは待ちきれないとばかりの笑顔で今まで盗撮…もとい、思い出を収めたアルバムをひったくるが、アルバムのページを捲るたびにその笑顔が曇り、そして陰鬱な表情へと変わっていった。

「何…これ?」

「ん、どーしたん?」

アルバムの写真が、奇妙なことになっていた。その豊満なバストが強調され、凛々しくテイルギアを纏っている先代のテイルブルー…トゥアール。全ページに渡って、様々なアングルの写真で彩られているのだが―――そのトゥアールが…全て、ツインテールを解いているのだ。

「ど、どうなっているの…?」

風呂上りや就寝時の写真ならばまだ分かるが、テイルギアを纏って戦っている時の写真もまた、例外なくツインテールを解いている。ツインテール属性を持つ者にしか纏えないテイルギアを、ツインテールでないトゥアールが纏っている…この果てしなく奇妙な矛盾に、イースナはとうとう気づいてしまった。

「トゥアールさん、ツインテール属性を…失ったんだ……!!」

「な、何やてぇ!?」

写真という、記憶や情景を形に収められる数少ない手段ですら容赦なく干渉し、属性力の消失は、文字通り世界の条理を変えてしまう程に強力だということはイースナも理解していたが、改めて突きつけられると驚くほかなかった。しかも、崇拝しきっていたトゥアールのツインテールがその被害にあったとなると、その驚きも一入だ。

「で、でもどーいう事なん? トゥアールはんはテイルレッドに生まれ変わったってこの間言うてたやん! テイルレッドはきちんとツインテールやったで!?」

「…そ、そのはずなんだよね…分かっているの…。テイルレッドはトゥアールさんな、の、に…」

その時、イースナの頭の中で白い閃光が爆発した。そして理解に至った。そもそもの前提が間違っていたことを。思い違いをしたまま、すっかり嘘を信じ込んでしまったことを。

「…待てども待てども、メールをくれないと思っていた。あんなに綺麗になったのに、トゥアールさんが振り向いてくれないなんて、おかしいって思っていた…!」

「いや、トゥアールはんは筋金入りの腐れロリコン野郎だから、今のイースナちゃんは多分ストライクゾーンでは…」

「おっぱいもトゥアールさんに匹敵するくらいに成長したのに…おかしいと思っていた!!」

「あの、イースナちゃん!? トゥアールはんはロリが好みであって、決してロリ巨乳が好みじゃ…!!」

メガ・ネの冷静な説得にも耳を貸さずに、イースナは震える指で眼鏡のブリッジを上げ―――戦士、ダークグラスパーへと変身した。

「テイルレッド…奴は、トゥアールではない…トゥアールの名を騙った、偽物だ!!」

 

 

 

 

 

 

『…はい、明日のライブでは初披露の3rdシングルもありますので楽しみに待っていてくださいね!! 当日のライブも勿論、とっておきの眼鏡姿で現れますから!!』

『頑張ってね~闇子ちゃん! 今度のライブは大型ドームだから、たくさんのファンによる眼鏡がドーム中を埋めつくすんだね!!』

『はい! 皆のレンズの光を想像するだけで、私立ちくらみしてしまいます!!』

『私も行きたいんだけど、どうしても生の仕事が入っちゃってて~』

総二はパジャマ姿で歯磨きを口に突っ込みながら、居間にあるテレビを見ていた。テレビでは丁度終わりに差し掛かった深夜番組のゲストに呼ばれていたアイドル、善沙闇子がライブの宣伝を行っている最中だった。今やテレビだけでなく、ネットのバナーやポスター、CMなど、彼女を見ない日がないほど露出しており、猛烈なプッシュは笑えないレベルまで来ていた。

「…………………」

そのあまりにも早すぎる人気っぷりに何か違和感が感じられると共に、闇子の活動内容にも疑問が見られる。

「それにこの子は、自分を売り込むっていうよりも眼鏡ばかり目立たせているよな…?」

スポンサーは全て眼鏡販売店、トーク番組でもツカミからオチまで全て眼鏡を絡ませている。

(…逆に言えば、本当に眼鏡を愛しているという何よりの証拠になっているんだよな。普通だったら、ここまで出来ないって…。俺も、ここまでやるべきなのかな?)

総二は歯ブラシを動かしながら明日あるというライブの宣伝をじっと見つつ、半笑いを浮かべた。確かに露出の多さや多少のうっとおしさはあるものの、眼鏡一筋を訴えてくるその熱意は、総二の心をも動かしていた。自分もツインテールに熱意を注いでいるが、ここまでくると天晴れとしか言えない。

(いっそ清々しいものがあるな。…しっかし、彼女を真似して眼鏡女子が急増中かぁ。眼鏡女子拡散中…ね。まるでツインテイルズがデビューした時と同じみたいじゃ…!?)

瞬間、総二はパチンと脳内になる電球が灯り、あっと叫びそうになった。口から歯ブラシが落ち、ゲホゲホとむせてカーペットに歯磨き粉が落ちるのにも気付かずに、総二は立ち上がっていた。

(そうだ…彼女の人気の爆発ぶりはツインテイルズとほぼ同じ…いや、そのまんまじゃないか!)

改めてみると、彼女の強すぎる属性力はテレビ越しでもはっきりと感じることができた。総二の心の中にあるツインテールが感度ビンビンで反応している。

ツインテイルズはアルティメギルと初戦から数日と経たない内に爆発的な人気を得た後、ツインテールにする人達で世間は溢れた。そして善沙闇子もまた、一月弱という僅かな時間にここまで人気を伸ばし、世間には眼鏡をするファンで溢れている。この2つのケースに共通しているのは…主役である人物が尋常でない程の属性力の持ち主であることだ。

そう―――それこそテイルギアを起動できるほどの強大な属性力持ちの人間であることだ。

ツインテイルズが戦えば戦う程、活躍すればするほどにツインテール属性が拡散し、世間のツインテールの人気が上がるように、彼女もアイドルという活動を通して眼鏡属性を浸透させている。仕事をすればするほどに、『芸能界』という名の戦場に立つたびに彼女の名声は面白いように広まっていく。

そうなると、彼女がここまで急速に人気になったのも納得だ。彼女はツインテイルズと同じ要領で人気を得ていたのだから。そのカラクリは総二自身が一番体感している。

そして、ほんの僅かの間だが、対峙した時に感じた属性力と今テレビの画面越しで感じている属性力―――それらが完全に一致する人物が、総二の記憶の中でたった一人だけ存在した。

「そうか…君は…アイドル、善沙闇子は…ダーク、グラスパーなのか…!」

頭の中でこの考えが浮かんだ瞬間、アイドル『善沙闇子』と戦士『ダークグラスパー』がイコールでつながった。ダークグラスパーはテイルギアの複製であるグラスギアを所有しているといっていた…すなわち、彼女もまたとんでもない属性力の持ち主であることの証拠となる。

そして、一つの問題が片付くと次々と謎が解けていく。ダークグラスパーは最初の対峙の際、去り際にこう言ってきたはずだ。

『わらわは、人間に仇なす存在としてアルティメギルの軍門に下った訳ではない。わらわは、わらわの守るものの為、戦いを選んだのじゃ』

彼女は彼女の目的があって、活動している。そして真の目的は―――。

「眼鏡属性の浸透と…それの奪取…!」

守るものの為に戦っている。あの言葉の真意に、総二はようやく気付いた。

(彼女は人間の属性力を守ろうとしているんじゃない…アルティメギルから守ろうとしているんだ!! 自分の愛する属性力を、自分の手で支配するために…!)

アルティメギルの手になど触れさせてなるものか、という思いがあるのだろう。自分の愛する属性力をアルティメギルに奪われるのを避ける為、自らの手で奪う。そして眼鏡属性を全て奪った時…彼女の支配は完了する。

その手口はまさに、支配者(グラスパー)だ。

「けれどよ…それは、そのやり方は間違っているぞ…ダークグラスパー…! 属性力は…お前だけの物じゃないんだ…!!」

総二はグッと顔を食いしばりながら、画面の中の闇子を睨んだ。そして、テロップで表示されている明日のライブ会場を克明に記憶することにした。

今ならまだ間に合う…止められるという、一つの願いにすがるように。




ダークグラスパーの目的や正体露見のカラクリは私の独自解釈が多く含まれています。お前らに奪われるぐらいなら自分で奪う! っていうスタンスで間違いないんだよね…?

…ここら辺で例の嘘?予告でもいっておきましょうか。


※この予告は“例のあの声”と”あのBGM”で再生してください。

次回予告

君達に最新情報を公開しよう!

遂にテイルレッドの正体がトゥアールでないことに気付いたイースナ!

そして人気アイドル善沙闇子のライブ会場が戦場へと変わる時、ダークグラスパーの侵略が幕を開けた!

ツインテール対眼鏡! この2つの属性力の対決は、ライブ会場を灼熱の炎に染め上げる!!

The Another Red Hero ネクスト!『鏡面の悪魔』
次回も、このチャンネルでファイナルフュージョン承認!!!
これが勝利の鍵だ!! 【光太郎の携帯電話】

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