俺のクラスメイトが全員東方キャラになっていた件   作:マジカル赤褐色

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数学の先生&その飼い猫が式神になっていた件

 

 

「というわけで、書店で600円の文庫本と500円の漫画本、計70冊を購入したとして─────」

 

「…………………………………………」

 

 

先生が誰になっても数学っておもんねーわー。

 

 

俺は『(名前)』。

昼休み直前で空腹マックスの中4時間目の数学を受けている高校2年生だ。

 

学校のクラスメイトたちが東方キャラに変わってしまうという異変に巻き込まれて二日目。

この異変は、生徒だけでなく、今度は先生までもが東方キャラに変わるという規模に拡大していた。

 

養護教諭の八意永琳、担任の歴史担当上白沢慧音。

 

そして───────

 

 

 

 

 

「合計の支払金額が4万円になる場合、さぁそれぞれの本を何冊ずつ購入したか…………という問題だな、」

 

 

……………そこにいる、数学担当の八雲藍。

 

いや確かに藍しゃま数学っぽいけどさ………… 

 

八雲藍………霊夢達の暮らす幻想郷の大妖怪が下僕として信頼を置いている優秀な式神。

まっしろな道士服にいわゆるZUN帽と呼ばれる帽子、そして九つの狐の尾。

隙あらば、思わず飛び込みたくなってしまうようなふわふわの尻尾である。

新しい先生(でも前からここの数学担当という設定らしい)に興味津々なのでなんとか俺はこの時間寝ずに頑張れているが、いつもの先生だったから確実に寝ていた。

 

 

「おーい、何ぼーっとしてるのよ。大事な解説してるところじゃない」

 

 

隣の席から俺の幼馴染、博麗霊夢の指が伸びてきて、頬杖ついて眠そうにしている俺の腕をツンツンとつついてくる。

 

 

「う…………うん…………」

 

 

今朝はほんと色々あって疲れてんだよ…………

これで寝ないやついないよ…………

 

 

「なぁ、ところで、『』…………」

 

「なんだ魔理沙…………」

 

 

今度は俺の右隣から霧雨魔理沙が呼んできた。

俺はこんなクセ強い連中に挟まれて天国かとも思ったが、眠い間はこの組み合わせキツいかもしれん。

 

 

「藍の授業いつも思ってるんだけどさ…………あのネコ、なんでいるんだ?」

 

 

魔理沙が指差す先には、教室の前、窓際で藍しゃまが窓の上から吊るしたねこじゃらしをペチペチ叩いているネコみたいな生き物がいた。

 

あれはおそらく橙。

藍の助手を務める同じく見習いの式神なのだろう。

 

────橙の方はどういう設定で現実入りしてんだ。

 

学園ときてあのネコがなんのコンセプトで存在してるのか全くわからないんだけど。

数学の先生の飼い猫とか………?

 

 

「さて。ここの問題、わかった者は手を挙げてくれ」

 

 

 

 

しーーーーーーーーーーーーーーん。

 

 

 

 

「────────橙、これはどういう…………」

 

 

冷や汗を浮かべる藍しゃまと遊んでいる橙と顔を見合わせる。

 

 

「…………………………橙、お前はわかったか?」

 

「──────チピチピチャパチャパ、ドゥビドゥビダバダバ、」

 

「やはり私の授業では誰も分からないのか────!!!!!」

 

 

チョークを窓の外に凄い勢いで投げ捨てて、劇団の演技みたいに膝から崩れて手をつく藍しゃま。

 

外から一瞬ドでかい砂埃が上がったの見えたんだけど大丈夫かあれ。

 

 

「藍しゃまの授業はつまんないからねー………」

 

「おいストレートに言うな傷つくだろ」

 

「もっと面白い授業にしましょーよ!」

 

「いやしかし………数学を面白くと言われてもだな、」

 

 

それはマジで言えてる。

数学みたいな論理教科はできるできない関係なく大前提おもんない。

おもしろい数学の授業なんてなかなか作れるものではない。

 

 

「数学というのは感覚ではなく不変の法則で解き明かす学問だ、だから余計な思考力を使わないぶんお前たちも疲れやすいのだろうな………」

 

「先生数学得意なんですか?」

 

「あぁ、私は校長先生のもとで色々な事務方のお手伝いをしていることもあったから、資料や費用といった数字の整理は得意なんだ」

 

 

えっ、校長先生─────────?

 

 

「八雲藍は表向きはただの数学教師だけど、その裏では校長の手伝いをしているの。だから、授業はつまらないけど教員としてはとても優秀な人なのよ」

 

 

霊夢はノートに走らせていたペンを置いて話しかけてくる。

 

 

「じゃああのネコは?」

 

「ネコのことか?あれは橙、藍のペットだぜ」

 

 

やっぱりそうでしたかー!!!!

魔理沙は普通にペットと認識しているようだが服を着て二足歩行する生き物とかあれどう見てもペットではないだろ!

自分で言っといてなんだけどネコでもないだろ!

 

あー………でもたしかに元の数学の先生、実家で生き物飼ってるとか言ってたような気もしたなぁ。

 

 

「先生〜、先生の好きな食べ物ってなんなんですか〜」

 

 

「私か?ふっふー、先生は油揚げが大好き!」

 

「橙は食べれるものなら何でも大好き〜!特にお肉!」

 

 

ちょっと待て授業が雑談会に発展したんですけど!!!

 

 

「あーあ、だめねこりゃ」

 

「藍は授業につけてもプライベートにつけても話し始めたら長い。たぶん、油揚げの話を残り時間永遠と聞かされるぜ」

 

「なんだよそれ……………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして本日の4時間目は油揚げの授業で終わった。

 

 

途中で俺は、楽しそうに笑う藍しゃまに指名されて「富◯食品の油揚げと相◯屋食料のきざみ揚げのどちらが好みか」なんていうワケのわからない問いを投げられた。

 

知るかよそんなもん。

映像すら浮かばんわ。とりあえず◯模屋食料のほうにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

「『』、昼休みにすまないな。少しだけ時間をもらう」

 

 

藍しゃまにそう言われた俺は廊下に出される。

 

 

「えーっと、藍先生?」

 

「……………お前には謝らければならないな。3時間目の休み時間、橙がお前に突進したせいで大変な目に遭わせてしまった」

 

 

あぁ、そういえばそんなこともあったな。

3時間目の休み時間に理不尽にも水入りバケツを持たされて廊下に立たされていた俺に向かって橙が激突してきた。

そのせいで水バケツがひっくりかえって俺は水を浴びるわ、廊下は水びたしだわ、その掃除は俺一人がやる羽目になるわでおっしゃる通り散々だった。

 

 

「あー、えっと………別にそんな気にしてないです………猫の気まぐれなら全然、マシというか」

 

 

水バケツ両手に立つ人間に好奇心をわかしてちょっかいかけてくる猫よりも、今の時代に理不尽な理由で水バケツ両手に廊下立たせてくる先生のほうが圧倒的におかしいからね。

 

 

「それより、なぜお前は廊下で両手にバケツを?」

 

「えぇっと実は…………」

 

 

事を改めて説明しよう。

俺は今朝遅刻寸前で家を飛び出し、登校の道中で東風谷早苗に出会う。色々あって怪我をしてしまった早苗さんを背負って学校に到着した俺は、保険室に彼女を連れて行こうとした。

 

しかし、保険室へ続く廊下は迷いの廊下という非常に長くそして入り組んだ場所であり、そこで出会った変な2人組との絡みもあって保険室へ到着するのに1時間ぶんの時間を食った。

 

そして自教室へ戻るのにも来た道を引き返す必要があったしそこでも時間を使う。

結果的に俺が教室へ到着したのは3時間目。

 

そしたら鬼の形相で突っ込んできた担任の上白沢慧音によって理不尽にも廊下に追いやられ、入室記録、公遅刻が証明できる書類があったにも関わらず俺は理不尽にも体罰(4回の頭突き)と受けて両手と頭に水入りバケツ計3個を持ちながら廊下に立たされることになったのだった。

 

 

「うーむ…………こぉれはひどいwww」

 

 

お前はニャンち◯うか。

 

 

「上白沢先生は非常に生真面目な方だ。職員室の中でもかなり恐れられている。悪いお方ではないのだが、さすがに今回はやりすぎだな………」

 

 

よかった、少なくとも藍しゃまには俺への同情の念があったようだ。

 

 

「今回はうちの猫がしでかした被害もある。何とかしてせめて遅刻だけでも取り消せないか交渉してみるよ」

 

「マジですか!?」

 

「あぁ。お前も◯模屋食料のきざみ揚げが好きなみたいだからな。それも気に入った。仲間は救わねば」

 

 

あっ、アレが正解だったんだ。

俺って天才かよ。油揚げソムリエに向いてるかもしれんぞ。

というか、藍先生意外と優しい所あるな。

慧音先生とも同等ぐらいの厳しくて真面目な人だと思ってたんだけどけっこう慈悲がある。

 

 

「そうだ。お前の服も濡れてしまっているし、代わりを用意しておく」

 

「えーっ。藍先生神すぎませんか」

 

「いやぁ〜、私はそれほど褒められる程のことはしてないよ………全ては悩める生徒のためなのだから〜」

 

 

顔ピンク色にしながら目うろうろさせつつ髪の毛いじりながらさらに尻尾振るんじゃねぇ。

逆ポーカーフェイスやん。1ミクロンたりとも照れ隠しする意志がないじゃん。

素直すぎて可愛いから100点なんですが。

 

 

「残念ながらこれしか用意できなかったのだが、濡れたものよりは幾分かマシだろう。残りの授業の先生たちにも事情は説明しておくから、これを着ておいておくれ」

 

 

そう言って神ティーチャー八雲藍は丁寧に畳まれた、豆腐のように白い服を手渡してくれた。

 

 

「はい、藍先生、ありがとうございます!」

 

「それでは、私はこれで。昼休みの時間取って悪かったな。ゆっくり休んで欲しい」

 

「はい!」

 

 

藍先生は一礼して去っていった。

 

 

 

 

 

「さて、着替えるとしますか」

 

 

濡れた服でやってくのは辛い。

俺は冬より夏のほうが6000倍嫌いだ。

なぜなら汗で服が濡れて気持ちが悪いから。

それぐらい濡れた服が嫌いな俺にとってこれはありがたい。

まるで乾燥したてのように気持ちがいい肌触りの服だ。

………………やけに少し重いような気がするが。

 

 

「………………………………」

 

 

俺は畳まれた服を広げる。

 

 

 

 

 

「────────────うげッ、」

 

 

服を広げた時にパサッ、と落ちてきた小さめの布。

それが帽子だと分かった時に俺は明確に嫌な予感がした。

 

 

 

 

 

「…………こんなん着れるか────!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍先生と同じ匂いがしたのですぐに着た。

 

 

 

 

 

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