俺のクラスメイトが全員東方キャラになっていた件   作:マジカル赤褐色

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食堂のラーメン店主がカリチュマ溢れる吸血鬼な件

 

 

「…………………………………………」

 

 

俺の名前は『(名前)』。

ZUN帽を被り、八雲藍の道士服に身を包み廊下を歩いて食堂へ向かう高校2年生だ。

 

なぜ俺が八雲藍のコスプレをしているのかと言うと、色々事情があって着ていた服が濡れてしまい、数学担当の藍先生に渡された代えの服がこれだったのだ。

 

こんな奇抜すぎる衣装で廊下を歩く自分が恥ずかしすぎてめちゃくちゃ死にたくなる。

 

救いがあるとしたら俺の存在感が薄すぎて誰も俺に気づいてくれないことだ。

普段は空気ぇある俺がこの服を着ることで、ようやく一般生徒ぐらいのオーラになっている。

だが注目はされない。ちょうどよい塩梅だ。

 

 

「さて、今日は何を食おうかな」

 

 

本日のお昼ご飯は食堂で食べるとしようか。

 

昨日は喫茶店と化した紅魔館に行ってマッサマンカレーとラーメンを食わされたのだが、今日は違う場所に行くとしよう。

 

食堂に到着した俺は辺りを見渡す。

 

 

「そうだな…………今日はラーメンにするか」

 

 

ここ2日間、非現実的な現象を見すぎてそろそろ一般的な暮らしをして脳を休ませたいと思った。

さて、今日はラーメンに決めた。

 

この学校の食堂のラーメンは絶品だ。

なんてったって某有名なチェーン店のだからな。

金に余裕があるわけでもないが、食う気になれば奮発してしまおうじゃないか。チャーハンつけるぞ。

 

 

「───────おっ?」

 

 

今日のラーメンはやけに空いているな…………

誰も並んでいない。どういうことだ?

 

いつもなら一番長い行列ができるから、教室から全力ダッシュしないと長時間待たされるというのに、今日はガラ空きで誰もいない。

 

 

「………………………………………」

 

 

今日はやってない………?

いや、でも…………煙はあがってるし…………

 

 

「──────────まぁいいか、」

 

 

俺はお盆を取って受け取り口に一直線。

 

 

「あの、すみません。ラーメンやってますか?」

 

 

カウンター中に向かって呼びかけた次の瞬間、

 

 

「やった!久しぶりのお客さんね!へいらっしゃい!うちはこの学園で最も気高く強いラーメン屋、紅楽苑よ!」

 

 

「──────────────」

 

 

まさか、と思って俺は一本後退して看板を見上げる。

 

 

 

「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ーっ!!!!!!」

 

 

 

なんと、俺の学校の食堂のラーメン店の看板に「紅楽苑」と刻まれてあったのだ。

 

フランドールは「姉は紅楽苑というラーメン店でバイトをしている」と言っていた。

 

 

「まさか、君がレミリア・スカーレットか!?」

 

「あら。私のことを知っているのね。まぁ、それも当然か。そう、この私こそが、あの気高きスカーレット姉妹の長女、この学園で最も強く美しい生徒…………3年E組、レミリア・スカーレットなのよ!!!」

 

 

レミリア・スカーレット。

美鈴や咲夜さんの住まう紅魔館の主であり、フランの姉でもあり、幻想郷で最も危険度の高い妖怪の一人である、強大な力を持った吸血鬼。

そんな強キャラお嬢様が……………

 

頭に手ぬぐいつけて、ラーメン店主装束。

 

カフェ店員のフランが林業のおじさんの格好していたけどなんなの、この姉妹はこういう服が好きなの?

 

 

「フランから一度聞いたことはあるが、OBなんじゃなかったのか?」 

 

「敬語を使いなさい敬語を。私は偉大なる紅魔館の主よ。あと先輩だし。…………先輩よね!?」

 

「先輩ですよーそんな不安がらないでください」

 

 

ちょっと思ったのが正しくは「紅魔館の偉大な主」なんじゃないかなって。

紅魔館のほうが偉大になっちゃった。

 

フランはあたかもレミリアが一つ上の学年かのように言っていたが、これはどうなっている?

幻想郷化が進んでいるこの学園はなぜか1年過ごしただけでは進級できない謎のシステムになっているというのは輝夜や妹紅から聞いた通りだが、今回も歳の差があるだけで学年は同じだったパターンか?俺の勘違いか?

 

 

「あら、フランに会ったのね。あの子は学校でも元気にしているかしら?」

 

「あぁ。そこの喫茶店で元気にやってるからたまには顔を出してあげてほしいです」

 

「ふん。たかだか喫茶店の一つじゃない。私が見に行くまでもないわ。そもそも、私の口には咲夜の紅茶以外は合わないもの」

 

 

そういうそっちはたかだかラーメン店の1店だろ。

 

 

「ちなみに私は本来の予定なら去年卒業する予定だったけれど、多くの後輩たちに嘆き悲しまれたために、この学校に残らざるを得なくなったのよ。たしかに教育課程を終えたとはいえ、この私の庭を明け渡すわけにもいかないもの。咲夜と美鈴に任せようとは思ったけど、やはり私がいなくては威厳というものがないわ。城主のいない城などただの石壁にすぎないもの」

 

「ん?去年卒業見込生だったんですか?」

 

「えぇそうよ。ま、この私に似つかわしい大学も見つからなかった事ですし、別にそれでもいいと思うけど」

 

「…………………………………………」

 

 

…………言うか言うまいか。

 

いや、言うか。

 

 

「お前もしかして留年してる?」

 

「──────────!?!?!?」

 

 

あっ、紅の悪魔が白一色に染め上がった!

 

 

「いいいいいいいやいや!そんなワケがないじゃない!この私が、成績不振で留年なんて、あるワケがないじゃない!勘違いもほどほどにするがいい!」

 

 

もうどう考えても手遅れだろ。

 

 

「そりゃ成績悪かったら学力に似つかわしい大学見つからないだろ…………」

 

「なっ、なぜそれがわかるの!貴方、さてはただ者ではないわね!」

 

 

俺が言いたいぐらいだよそれ。

その精神力とあとアホさ?はどこからやってくるんだよお前なにもんだよ。

 

 

「しかしよく考えてもみなさい。私がこの学校に留年するためにわざと定期テストですべて赤点で採点するように先生がたに命令していなければ、私は今この学校にこの御殿を持つこともできなかったのよ」

 

「ラーメン店は御殿とは言わない」

 

「それに、私がここにいなければ貴方はこのラーメンを食べることすらできない。この学校の数多の一般生徒たちが求める、この私の特製カリスマラーメンは他でもないこの私にしか作れない味。それを欲する者たちの願望を尊重し、身を挺して庶民らのそれを叶えようとしたこの私はえらい。えらすぎるわ!褒めなさい」

 

「がちすごいですごいとおもいましたまる」

 

「コラー!!!!全然気持ちこもってないじゃないのー!」

 

 

怒り方クソ可愛いんだが。

というか、自己肯定感ヤバすぎるだろ。

何が起きても屈さないその無敵の精神力だけはけっこうマジですごいと思える。

 

 

「さて、そんな事言ってる間にできたわよ。へいお待ち、この私が腕によりをかけて創造したカリスマラーメンよ。スープの一滴も残さず食べなさい」

 

「はやッ、いつの間に作った!?」

 

「ふふん。褒めるな、私を誰だと思っているのかしら?」

 

「そのへんの留年生」

 

「割り箸投げつけるわよ」

 

 

スピア・ザ・グングニルかよ。

 

 

「そうそう。ラーメンだけど、そこのカウンターで食べなさい」

 

 

レミリアは左を指さす。

そこには5個だけ赤い豪奢な椅子が置いてあり、正面にカウンターテーブルがついていた。

テーブルと椅子のバランスが終わり散らしているが、すぐそこで食べれるのは嬉しい。

 

 

「カウンターを設置しているなんて珍しい………」

 

「客への当然の配慮よ。常に満員となっている食堂の席を少しでも確保しやすくするためにね。もちろんここのラーメン以外の一切を食することは許さないけれど、せっかくの麺を伸ばさせてしまったら客も麺も可哀想じゃない。だからすぐに食べれるようにしているの」

 

 

やっぱりこんなんでも上司属性だよなぁ。

仕事する能力はほんとに高いもんな…………

 

 

「ま、ほんとは食べ残しがないように見張るためでもあるんだけどね」

 

「食べ残しを許さない精神は流石は良家のお嬢様だな」

 

「当たり前じゃない。両手で抱えられる程度の丼だけど、その中には豚さんや小麦さん、キャベツさん、それからもやしさんたちの尊い生命がある。その一切を蔑ろにすることは種の頂点であるこの私が許さないわ」

 

 

えぐいて、全ての命にリスペクト持ってるぞこの人。そりゃ俺も牛や豚の命に感謝する程度の感覚はあるけど「キャベツさん」と呼んで植物類にまでそれ向けれるやつなかなかいない。

もやしとか俺の中では精子の次ぐらいに替えが利くもんだと思ってるぞ。水に浸してたら勝手に増えるもん。

誇り高すぎて視野が広がりすぎてるぞ。

 

 

「喰らう、とはそういうコトよ。私が世界の指導者でいられるのはこの私を崇め称える下々の者たちがあってこそ。貴方たちだって下々にある家畜の命で生きているのだから…………」

 

「────────────」

 

 

俺の脳内で誰かがピアノを演奏している。

 

 

「しかし勘違いしてはならない。種として、階級としての格の優劣はあっても、命そのものの価値はすべてにおいて平等。たとえこの私であっても、そこのもやしさんと命の価値は同じ。もちろん貴方ともね。地位と力の上下関係はあっても命とは全てが一つしかない。すべて一つしかないということは全ての命の共通点よ。だからこそ、全ての命の価値は等しく「一つしかない」という位置づけになる。それを殺し、糧として生きることはこの世に一つしかない命を奪い、生きるために消費するという行為…………それが食べるという行為なのよ。だからこそ、命に感謝して残さず食べなさい。私はここへ来た客の全員にそれを伝えている」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────普通にいい話すぎるんだが?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………こんな話されて食えるか」

 

 

 

 

第一の感想これに尽きるだろ。

 

 

 

 

「食べないというのも違うわ。それでは貴方が生きられないじゃないの。ま、貴方が死んだら私の餌になるだけだしそれもまた一興ね」

 

「ま、流石に食べますよ。今日から毎日ここ来るかな〜っと、いただきます」

 

「ふふん。歓迎するわ。紅楽苑学園店、1号常連獲得ね。会員の証にポイントカードを授けるわ」

 

 

ちょっと待てポイントカードがブラックカードなんだよ見た目。

 

 

「プレミア会員とかのやつだよこれ!使い捨てのポイントカードにはこんな豪華なやつねぇよ!」

 

「1来店ごとにレミィポイントが1ずつ溜まっていき、ポイントが貯まると一定量のポイントで色々なものを交換できるようになるわ。100ポイントでいけるものもあれば1万ポイントも必要な豪華賞品もあるけど、頑張って貯めなさい」

 

「交換レートミスりすぎだろ」

 

 

学校のラーメン1万回行くやつどこにいるんだよ。どう考えても無理じゃねぇか。

100でも普通太るわ。

 

 

「ちなみに何と交換できるんだ」

 

「ラーメン一杯タダになったり、握手券になったりするわ」

 

「なんでラーメン屋のポイントで握手券と交換になるんだよ!」

 

「あとはそうね、肩たたき券にもなるわよ」

 

「なんだよラーメン屋で肩たたき券って!」

 

「読んで字のごとく、私の肩たたきができるようになる券よ」

 

 

しかもお前の肩かい!!!

おぜうさ漫才やめてくれ。

 

 

「ま。気が向いたらまた来てくれると嬉しいわ。運命の車輪(フォルトーナ)だからかしら、この私の店には奇妙な客がたくさん現れるの。これほど退屈しない店はこの食堂では珍しいわよ」

 

 

「………………………………」

 

 

要約すると、この店には東方キャラが頻繁に出現するということか…………

今日は誰もいないが、日によっては誰かいるというわけか。

 

フランや咲夜さんが来るかもしれない。他の新しい店がなかったら、明日も来てみるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………ごちそうさまでした」

 

「はいお粗末さま。なかなかいい食べっぷりだったわよ、はいお代出しなさい」

 

「えーっと、いくらするんだ?」

 

「お代は9000賽銭ね」

 

「賽銭?」

 

 

聞いたことのない単位を聞かされた。

 

 

「……………………」

 

 

円換算でいくらになるかわからなかったので俺は黙って梅子を差し出す。

 

 

「ごめんなさい、円と電子決済はやってないわよ。支払いは賽銭だけ」

 

「なんだ賽銭って!?」

 

「……………へぇ。支払いはしないってこと…………」

 

 

レミリアの手に身長よりも長い巨大な紅の割り箸が出現した。

待て待て割り箸グングニルまじであるのかよ!

 

 

「待て!誤解だ!賽銭は俺の知らん単位だ!そんな高位な貴族の間でしか流通しないような通貨は持っとらん!」

 

「この学園で買い物をする際には賽銭が交換単位になる。そんな校則も知らないようなバカモノは蹴散らすのみ!」

 

 

意味不明な校則追加されとる────!?

 

 

「種族間での通貨の違いを賽銭という通貨によって物々交換を公平で統一的なものにした校長の働きを無碍にするような蛮行、ましてこの私の店で食い逃げなど、万死に値する!」

 

「だから賽銭ってなんだ────!!!!!」

 

「ほんとに知らないのね…………でも不思議な感覚だ、たしかに貴方からは他の生徒とは異なる運命を感じるわね。同じ学校の生徒のはずなのに、まるで他校の生徒のような…………」

 

 

それはあれか、東方の二次創作で言うところの「幻想郷にいるのに元々は幻想郷の外からやってきた人」ってやつ。

 

これ他校の生徒って言うんだ()

 

 

「なにやらただならぬ事情を察したわ。詮索はしない、命だけなら助けてやるわ。ただ、必ずお代は確実に払ってもらうわよ」

 

「あぁ。そりゃ払うが、賽銭はどうしたらいいんだ」

 

 

金はないわけでもないが、賽銭だけは持ってない。

 

 

「なに、簡単なことよ。今日から昼休みはこの店で私の手伝いをしなさい」

 

 

レミリアはドヤ顔でとんでもねぇことを言ってきた。

 

 

「は!?」

 

「いきなりラーメンを作れとは言わないわ、最初のうちは皿洗いや食材の搬入だけでいいの」

 

 

舐めすぎだろ俺のこと。

まぁたしかに、ラーメン作るの楽とは言ったって店の味はたしかに店の人にしか作れんか…………

 

 

「私と一緒に働けるだけでなくちゃんと稼ぎを出してくれるのなら毎日まかないもつけてあげるわ。悪い条件ではないでしょう?学内バイトみたいなものよ」

 

「……………………けっこう良待遇なんだよな………」

 

 

てか、従業員が毎日まかないもらえる程度のラーメンって、1日働くだけで賽銭返済できるくないか?

 

 

「………………一旦やってみる」

 

「そうこなくってはね。ま、それ以外は食い逃げになるので始末の対象なのだけど。これで貴方は紅楽苑学園店の第一従業員ね。歓迎するわ、これからよろしくね」

 

「は、はい……………」

 

 

危険度高い妖怪とは聞いていたがけっこう色々な意味で危険度高いぞこの人。

 

 

「あ、そうそう。ルールが一つだけあるわ。仕事中は私のことは『大将』と呼びなさい」

 

 

なにそのルール!?

一個しかないルールそれ!?

 

 

「は、はい大将」

 

「よろしい。私も働き手が欲しかったところだし、貴方の奇妙な運命には興味がある。その行く末に、貴方は誰を、何を手繰り寄せるのか。この私が見守っていてあげるわ」

 

 

 

 

 

 

こうして俺はひょんなことから学園食堂の店員として働くことになったのだ。

 

 

そしてレミリアの言葉通り、この場所で働き出してから、俺の運命はさらに歪んだ方向へと進んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────次の日、さっそく変なやつが来ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや、運命動きだすの早すぎるだろ!!!!!

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