俺のクラスメイトが全員東方キャラになっていた件   作:マジカル赤褐色

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学園喫茶の店番が店番というより門番な件

 

ジャンピング・ジャンピーング。

ゴールデン俺タイム、通称お昼休みのお時間になりました。

 

この黄金の40分の間は生徒たちはいかなる場所をも(校外は不可)自由に行き来することが可能となり、好きな場所で昼食を取ったりスマホゲーかなんかで盛り上がったり話したり忌々しき学生カップルどもはイチャイチャしたりできる。

50分間の間椅子と机に縛り付けられて立ち上がることもできずに話を聞かされるハメになる俺たちにとってはこの自由時間はそれまで四時間の反動を一気に放出して大暴れできる。

 

そしてこの時間の俺は相も変わらぬ一人時間だ。

友達がいない言い訳じゃないが、一人で落ち着いたほうが気持ちいいし休憩になるに決まってるのになぜわざわざ他人に関わりに行くその神経が知れない。

なぜ休憩時間にわざわざ疲れることをするのか。

まっこと理解に苦しむ。

そんなことを思いながら俺は財布片手に教室を飛び出し、食堂という名の楽園を目指す。

 

 

 

 

 

うちの学校はこういうのも何だがけっこう私立の中でも増して良い学校なのだ。新しいし、校舎綺麗だし。いちおう進学校の部類に含まれるから、その分設備も充実しており特に俺はオープンスクール行ったときはこの食堂に惚れて選んだまである。

実はここのOBが某有名なフードサービス企業を設立している。そんなわけで、その人、今じゃ社長さんである者がここの学校の食堂に支店を構えてくれたのだ。しかもそれは一人ではない。

実に三つの企業が店を出しているという豪華すぎる仕様なのだ。

うどんそばの店、ハンバーグやオムライスを扱う洋食モノ、それからバーガー店。

バーガーのやつに関しては俺が知らない企業だが、残りの2つについてはよく知っている。ショッピングモールのフードコートでも見かけたりする大手チェーンだ。

 

もちろんこれだけじゃなくて本学食堂オリジナルのなんかカレーだのなんだのがあったりもして、食堂に関しては日本にある高校の中でもかなり上位のランクを誇るのではと俺は勝手に思っている。だからなに、って言われたらそれまでだが。

 

だが俺はこういうのは嫌いじゃない。

食うのは全く嫌いじゃない、好きだ。

美味いもんを食うことをなぜ避けるのか、俺は普通に大食いではないがよく食う方とは言われてる。俺の生まれつき悪魔と契約して手に入れた勝ち組な特殊能力、それは「幾ら食っても太らない」ということにある。まぁ生物学的にこの能力の実態を証明すると単に「代謝がいい」って言うんだが。脂肪の分解だったりなんだったりが凄く速いわけで、そんなだからパンとか油モンとか肉とか食っても太らない。むろん俺は運動などしてないし、部活に関しては全国大会で準優勝するほどの帰宅部エースだ。長野県から青森県まで新幹線で登校するやつには勝てなかった、なんて冗談はさておき。

 

食堂に着いた俺は辺りを一望する。

空いている席を探すという意味でもあるが、それより今は異変の方。

食堂を見渡す限り、おかしな点は何もない。

現在確認できている幻想郷の住民は俺の幼なじみ博麗霊夢、俺の隣の席霧雨魔理沙、俺のクラスメイトの十六夜咲夜、この3人。

今のところそれ以外には何も見つけていない。

よし、ならまだこの異変は深刻化していないようだな。体育館と同じくらい広いこの食堂にいる生徒たちの中に一人も違和感を感じられない以上はやはり俺のクラスに異常が発生しているようだ。

俺のクラスの中に手がかりはある。

 

よし、調査終了。お腹が空いたし食堂出てすぐそこにある店でコーヒーを飲むとしよう。

某ド◯ールコーヒーは俺のような男には高尚すぎるカフェテリアだが、俺は好きだから飲む。

あ、そうそう。この学校食堂の外に超大手のカフェがある。全国規模で開かれる超有名なカフェ。某ス◯バと2強張れるぐらいのな。俺は今から行く前者のほうが好きだ。

 

 

「さてさて…………」

 

 

俺は食堂で食うのが多いがたまにこうやってリア充のフリをして溶け込むことがある。

皆で集まって食堂でバカ話しながら騒ぐのと、一人で優雅にコーヒーを飲む。

さぁどちらのほうが心に余裕がありエレガントに見えるだろうかは言うまでもない。

俺は陰キャなのに見栄(以下略)なのでそういうのは気にするタイプなのだ。

 

 

 

───────そしてだが。

 

 

 

「くかー、すぅ…………くぅ〜……………」

 

「………………………………………」

 

 

 

なんか、世界一幸せそうな人いるんですが………!

 

 

店の扉の前で立ち尽くして昼寝するって。

巨大で丸々とした綺麗な鼻提灯を作っている女。

上半身は上着っぽいもんをちゃんと着用しているが、下半身はたぶん生脚と思われるその上からスカート………じゃない、これなんだろう。

あの…………あれか。エプロンっていうのか?

カフェ店員が下半身に巻いているスカートみたいなやつ。あの、例えるなら巨大ふんどし全方位バージョンみたいなやつ。

の、丈の長いものを着ていた。

店員………と思いたいが。

 

300メートルぐらい離れたらあるいはチャイナドレスに見えるやもしれん。

 

 

「ファッ!?ね、寝てませんよ!寝てませんからね!?」

 

 

突然起床してそんな甲高い声が挙げられるのはそれはそれで大したもんだ。

 

 

「何してるんだお前」

 

 

定型文。

 

 

「何って、店の門番だけど?」

 

「頼む日本語で答えてくれ俺日本語しか話せない」

 

 

英語最高記録54点を舐めるなよ。

「店の門番」って人生一度たりとも聞かねーよ。

どんな言葉だよ。

 

 

「あの、俺、店入りたいんだが。そこに立たれるとガチで困る」

 

「って、そう言われてもなぁ。私もお嬢様に頼まれてやっているから………」

 

 

音響さん確定演出流してください。

曲は明治十七年の上海アリスで。

紅魔館の門番…………紅美鈴が店の前に立ち尽くして客の来店を妨害してきます。

 

 

「お前の事情はどうでもいいから早くド◯ールコーヒー入らせろ!」

 

「失礼な!店の名前を間違えるなー!ここはド◯トールコーヒーじゃないぞっ!」

 

「はぁッ!?」

 

「ほら!ちゃあんと看板を見るんだ!上にあるぞ!」

 

 

 

言われた通りに俺は5歩下がって真上を見上げ、カフェの看板を見た。そんなはずはない、ここの学校のカフェはここしかないんだ。

いちおう常連の俺が今更店の名前を間違えるなどぜったいに……………

 

 

 

 

 

 

 

   【Frandoutor Coffee】

 

 

 

 

 

 

 

「………………………………………」

 

 

【フランドトールコーヒー】ィィィィィィ!?

 

 

「ここはフランドトールコーヒー。妹様のご命令で構えた世界に一つしかない店舗です。どこかの大手チェーンと間違えてはなりません」

 

 

間違えというか、普通に名前パクっとるがな。

あと世界に一つしかない店舗なんだったら私立高校じゃないところに作れよ。

てかそもそもここあの子の店なのかよ。

 

 

「ところでキミ、さっき咲夜さんと一緒にバレーしてた男子だよね。咲夜さんが組むなんて、そりゃあもうすごい運動神経を持ってたんだなぁ、すごいや」

 

「もちろん。といっても、部活してるだけなんだけどね」

 

 

ちなみに咲夜さんと偶然組めたのはお互いに余りだったからである。

部活もしてません。全部ウソ。

 

 

「お前名前なんて言うんだっけ」

 

「紅美鈴。普段はしがない2年B組一般生徒だけど今は違う。今の私は鉄壁の警備員紅美鈴。このお店を荒らす不届き者をつまみ出す為に今日も今日とてお仕事だ」

 

 

2年B組は俺のクラスだ。4人目の東方クラスメイトを発見したどころか、この学校にフランドールが存在しているという事実を確認。

つまりアレだな、クラスメイトどころか、このカフェ自体が紅魔館として現実入りしたんですね。

どうりで門番なんてワケのわからんもんがついてるわけだ。

そっかー。ついに建物が出てきちゃったかー。

 

 

「お前は学生になっても門番やってるのか」

 

「学生になっても?なんだよーその昔から門番やってるみたいな。ははぁん、ひょっとしてまさか私の直立不動のカンペキな守りを見たな?でも私が門番し始めたのはこのお店が最初なんだー。普段はこんなこと絶対にしないのに」

 

 

………………………美鈴には、幻想郷で門番をしている記憶がない?

紅美鈴とは幻想郷にある紅魔館という屋敷の門番だ。それが現実入りして、幻想郷での記憶がない………

まぁそれを言うなら同じ幻想郷からやってきた霊夢たちがあたかも昔からここに住んでいるかのように自然体でいるのは記憶がないからなんだろうが。そっか、元の習慣すらも忘れているという…………

 

 

「直立不動って…………寝てただけだろ…………」

 

「ぶぉっ!?いや、ねねねねねね寝てませんよ!?」

 

 

ウソをつくならせめてもっと隠す意志を見せろ。

 

 

「ところで、入れないのか俺は。客なんだが」

 

「………………………あっ!お客さんか!」

 

「だからずっとそう言ってんだろ!!!」

 

 

バカなのかお前は。まさか俺が店を荒らす敵だと思ったのかコノヤロウ。

陰キャが陽キャに比べて優れている点を教えてやろうか。礼儀正しさは陰キャのほうが陽キャよりも87枚上手なんだよ。

渋谷のハロウィンでゴチャゴチャと騒いで交通妨害したりイタズラしたりして警察に捕まる陽キャと、ハロウィンだろうがクリスマスだろうが家で一人誰にも迷惑かけずにゲームしている陰キャとどっちのほうが日本国民として優れているかは言うまでもない。

陰キャの特徴、絶対に犯罪行為とか人に迷惑かけることはしない。

だから俺はこの店を破壊する意志、何より能力がない。なんで俺が敵に見えた。オタクはス◯バ入るなってか。たまに聞く言い回しだけど別にいいだろ。イタ車見るのは別にス◯バじゃなくてもびっくりするだろ。でもそういう車に限ってめちゃくちゃ運転丁寧だから見習うべきなんだぞ。

まぁ逆に暴走するイタ車なんてこの世の屑の極みだとは思うが()

 

 

「そっかお客さんか!ささ、入って入ってー!やー、びっくりしたー。てっきり私が居眠りしていたのを報告しに行こうとしたのかと思って止めようとしたんだよねー!」

 

 

じゃあ止めるべきだと思うよ今から俺この店の上のやつに会いに行くんだから。

あとさらっとさっきと違うことを言うな。眠ってたんじゃんやっぱ。

 

 

「へぇ、誰に報告するのかしら?」

 

「いやぁ、そりゃあもう咲夜さんとかそのあt」

 

「あ、咲夜さんだこんにちは」

 

「こんにちは『』さん。先ほどはどうも」

 

 

ヌッ、と美鈴の背後から咲夜さんが現れた。

嫌な予感を察して時間止めてここまで飛んできたのかな。咲夜さんは昼休みどこで何をして過ごしているのかは気になるが、そこからここまでいちいち走ってくるの想像するとなんかシュール。

 

 

「ささささささささ咲夜さん!?!?!?!?」

 

 

うおほっ、細っそ。

どうやったらそんな、かんぴょうみたいに身体しわしわで細くできるの。

 

 

「ひょっとして貴女………勤務時間を睡眠に費やしていたりしないかしら………と思って飛んできたの」

 

 

十六夜咲夜独特の笑顔の圧って、これのこと言ってたんだ。すげー本物だ初めて見た。

 

 

「ひ、ひぃぃぃぃぃ!!!ねて、ねねね寝てないですよよよよよよよよよよよ!!!」

 

「……………………そうなの、」

 

 

咲夜さんの右手からシャキーンと一本の銀色のシャーペンが生えてきた。

銃刀法に配慮しているのかナイフはないらしいです。よい子のための小説ではナイフを投擲して可愛い女の子を串刺しにするなんてそんなR18Gな演出は存在しn

 

 

「言い訳の時間をあげるわ。面白かったら命だけは助けてあげる」

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「あ゙ーーーーーーーっ!!!!」

 

 

咲夜さんはシャーペンを逆手に持つと左腕で美鈴の首を巻き取って眼球の目の前でカチカチカチカチカチカチとシャーペンの芯を伸ばし始めた。

 

「ひぇぇぇぇぇぇおたすけぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 

怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!!!!

学園ネタじゃ定番の拷問だ。

 

 

「い、今はお昼休みじゃないですかぁぁぁ………!そりゃ眠たくなっちゃいますよぉ………!!!」

 

「そうしたら部活の練習中に寝てもいいのかしら?ん〜?」 

 

 

今度は芯を出しながらシャーペンそのものを近づけていく。

今ここで俺が咲夜さんの脇腹をくすぐったりしたらこの小説に一発でR18Gのタグが付くだろう。

それぐらいの距離でいま不可避の拷問が繰り広げられている。

 

 

「だぁぁぁぁずげぇぇぇでぇぇぇぇ………………」

 

 

目を巨大な◯にした状態でうるうるしている姿をよそに俺は普通に店に入ろうとしていたんだがこの二人が壁になって先に進めない。終わるまで店に行けないみたいだ。

俺はグロ動画とかはあんまり見ないのでたぶんこの調子だと気分が悪くなる。

黒くて上品な液体を飲みに行く直前に赤くて生臭い液体を見るのだけは勘弁だ。

うーん。助けるかぁ…………

 

 

「あのー、実は…………今日は俺が門番(?)やる予定だったんだ」

 

「む?」

 

「実は今日、彼女に門番アシスタントを頼まれていたもんで。それで………その、なんだ。彼女の代わりに俺が見ていたんだよな…………あっ、寝ていいよ、って言ったの俺だからな!?」

 

「………………………………」

 

 

咲夜さんはめっちゃこっちを見てくる。

見え透いたウソなんだが、こっちの意図を尊重したのか、美鈴を店壁にビターンと投げつけるとシャーペンを左腿に着けていた筆箱に片付けた。

え!?太ももに筆箱つけてんの!?

 

 

「美鈴、命拾いしたわね。これに懲りたら同じ疑いをかけられないよう、一人で門番をするときも眠らないように心がけなさい」

 

「ふ…………ふぁい…………」

 

 

店の壁にうつ伏せにめり込んだ状態で美鈴は返事をした。

咲夜さんはおほん、と気まずそうに一つせき払いすると上品な徒歩で去っていった。

 

 

「優しいのね、貴方」

 

 

俺の真横を通り過ぎる時耳元でそう囁かれた次の瞬間、咲夜さんの姿はなくなっていた。

時間を止めて立ち去ったらしい。

 

 

 

 

 

「─────う、ぉ……………ぶはぁ……………」

 

 

店壁から剥がれた美鈴は大の字で地面に倒れた。

 

 

「大丈夫かお前」

 

「ひえーっ、やっぱ咲夜さんの恐f……友愛には敵わないなぁ………………っとぉ…………ほっ!!!」

 

 

美鈴はその状態からネックスプリングで超スタイリッシュに飛び起きる。

その卓越した運動能力だけはあるのか。

 

 

「やー、助かったぁ………!ありがとう!今日こそもうダメだと思ったよ!」

 

 

やっぱいつもこんな感じだったのね。

 

 

「君、優しいねー。初対面でいきなり立ちはだかってきた私を助けるなんて。まぁ、それだけ咲夜さんがやりすぎだったのかな。まぁいいや!なにはともあれ助かった!生きてて良かったー!!」

 

 

ステステみたいな勢いで近づいて美鈴は俺に飛び込んで抱きついてきた。 

 

 

「ぶぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

勢いを殺しきれず地面に倒れる。

 

 

「いでででででででで離せコラぁぁぁぁ」

 

「だーめ。私を助けてくれた優しいキミにはお姉さんがぎゅーってしてあげよう!」

 

 

気持ちは嬉しいが絞め技と化している。

なんの型かは知らないけど絶対に技名のどっかに「蛇」の文字入ってるぞこれ。

紅茶みたいな良い匂いするけどちょっとごめん苦しすぎてよくわかんねぇぇぇぇぇ!!!

 

 

「単純にお前らがどかないと俺が店に入れないからだよ………」

 

「あはははっ。やー、ごめんごめん!お店、入って入って!あっ!そうだー!助けてくれたお礼に、何かごちそうでも振る舞っちゃおうかなー!ついてきて〜!」

 

 

言うが早いか、美鈴は俺を離すと店に飛び込んでいった。

いやお前、店番どうするよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───────おーい咲夜さーん!!!!」

 

 

 

「ちょちょちょちょちょちょやめてやめてやめ…………ぎゃぁぁぁぁばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば」

 

 

 

「咲夜さん!スタンガンはさすがにまずい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は今後の展開に対してどう向き合えばよいのだろう。

  • 神の定めた運命の通りに。
  • 何人もの【俺】に意見を聴く。
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