【カオ転三次】連木で腹を切る 作:苺ベリー
感想、ここすき、評価、ありがとうございます!
ここすき見てるの楽しいぜ……!
R18も書いたのですが、あまりオススメ出来ない内容となっています。
郡千景が、所属する『オカルト研究部』は新たに犬吠埼風を部員に加えて、心機一転活動を始めよう!といったところで、部長である御園栞が風邪を引いたとかで、お休みである。
そして、今日は金曜日である。
土日は部活動はお休みである。
そのため、フリーな3日間が生まれた千景は、だらけにだらけきっていた。
エアコンの効いた室内で、三人掛けのソファー寝そべって、ノーブラのTシャツとホットパンツというダラシのない姿でくつろぎながら、つまらないニュース番組をボーっと見ている。
『速報です。
連続猟奇殺人事件の犯人が、捕まったとのことです。
犯人は、無職10代男性……』
「ふーん、捕まったんだ。
しかも、10代かぁー」
要するに、何もしていないのである。
しかし、平日の昼下がりにこのようなことが出来てしまうのが、中学生というものである。今朝も、出社していく母を見送り、エアコンの効いた部屋で転がる。
お昼は、自分の式神にうどんを茹でてもらい、熱々の肉うどんに大根おろしをトッピングして、二玉食べて、軽く昼寝をしていたのだ。
そんな千景のもとにトレイにケーキとマグカップを乗せたリコが来る。その姿は、千景の双子の妹と言われても納得するような容姿だった。
「いくらお休みとはいえ、あまりダラシなく過ごすものではありませんよ」
「はーい」
「はい、ご主人様。
おやつの梅酒のケーキと紅茶ですよ」
「わっ!食べる!」
ケーキは、山梨の実家の祖母から毎年大量に送られてくる梅酒の梅を使って作ったパウンドケーキだ。材料は、ホットケーキミックスを使った簡単なものだ。
ちなみに、紅茶はティーバッグの物。
ケーキにつられて、ダラシなく寝そべっていた千景は急いで起き上がる。素早くフォークを手にして、ケーキに手を出した。
「んー!梅入りのケーキ美味しいよこれ!大成功じゃん!」
「お祖母様に感謝しなくてはいけませんね」
「ねぇー」
パクパクとケーキを口に運ぶ、甘すぎず梅のさっぱりとした味わいと香りは、飽きさせずフォークを進めさせる。人間とは単純なもので美味しいものを食べると、それだけで気分が上がるのだ。
そんなふうに、ケーキを楽しんでいる千景の隣にリコが、静かに座る。美味しそうにケーキを頬張る千景の横顔を幸せそうに眺めている。
「お母さんの分も残しておいて上げないとね」
「あまり日持ちするものではないですから、食べ切っても構わないと思いますよ。また作れますし」
「あー、今日も帰って来ないんだった」
そういえば、今朝の別れ際に「今日はお母さんいないから……」って感じで走ってたのを思い出す。
「ねぇ、リコ?」
「どうかしましたか?」
「私に14歳差の弟妹が出来る可能性があると思う?」
ここ最近の母の様子は少し変なのだ。
化粧や衣服に気を使いだしたり、妙に優しかったり、ご機嫌で帰ってきたりと、決して悪いことが起きているわけではないのは確かなのだが。
とても怪しいのだ。
「会社の上司の方が随分と良くしてくださるとか、転勤してきたお母様にとても親切に指導なさってくれたとか」
「ぬ、ぬぬぬ」
「お母様は、まだ33歳とお若くあり、第二の恋愛を楽しむのも遅くはありません」
「ぎ、ぎぎぎ……!」
「あと、35日前に遅くなると言った日に帰って来なかった日から、泊まりや朝帰りが増えましたね。とくに、今日のように次の日が休みの金曜日などは」
「ぅ、ううう……!」
千景は泣いた。
パウンドケーキを食べながら、ポロポロと涙を流し始めた。たが、食べるのは止めない。
最近、母親が遠回しに何かを伝えようとする気配があるのだ。こう、言い出せずに流してしまう感じで、もにょってる時がたまにあるのだ。
「では、ご主人様?
仮にお母様が『千景にね、紹介したい人がいるの』と男性を紹介してきたとしたら?」
「ころちゅ」
「マザコン」
お母さんは、男を見る目はない。
不愉快にも私の遺伝子の半分を占めている男は、分かりやすいクズだった。誰が見ても、この男と結婚して幸せな将来設計は出来ないだろう。そんなレベルの奴だった。
「ほら、紅茶でも飲んでください」
「うぅ、リコが冷たいよぉ」
「紅茶は熱いのでお気を付けください」
マグカップを傾け、熱い液体を口腔に誘う。
梅酒のケーキの甘みと紅茶の渋みが、上手く組み合わさり、1つの作品として完成する。
ポットのお湯を注いだだけの紅茶だが、それでもケーキと合わせれば絶品の紅茶だ。
そんなふうに、ケーキと紅茶を楽しみながら午後の時間を浪費していると、ピンポーンと大きな音でチャイムが鳴り響く。
その音に立ち上がろうとすると、リコが手で制して座らせる。
「私が出ますので、ゆっくりしていてください」
「ん、ありがと」
座ったときと同じように静かに立ち上がり、玄関へと向かった。玄関口からは「届け物」「判子かサイン」と聞こえてくる。
それからしばらくして、一抱えあるダンボール箱を持ってリコが戻ってきた。それをテーブルに置いて、また千景の隣に腰を下ろす。
「ご主人様、ガイア連合からのお届け物ですよ」
「わぁ、ありがと」
ガムテープでしっかりと梱包されたダンボールに、千景が爪を立てればスルリと切り裂いていく。
「……ご主人様?」
「ん、なーに?」
ダンボールの中身は雑多なモノがゴチャゴチャと入っている。小瓶や、飴、宝石、鉄の塊、金のブレスレット、さらにピンクの箱と色々と顔を見せている。
「また、ガチャですか?」
「ふふっ!今回も豊作だよ!」
中身を検めながら、千景は幾つかのグループに分けて並べていく。その中から、良さげなものをピックアップする。そして、それを冷たい目でリコは見つめていた。
「傷薬セット、業務用チャクラドロップ個包装、媚薬1ダース、魔石セット、宝石の詰め合わせ、霊鉄インゴット、汎用霊装、ミナミィネキ監修の大人の玩具セット」
「そして、これ!【アギ・ジオ・ブフ・ストーン各種12個入りセット】と【汎用スキル・食事】だよ!」
「それで、いくら掛かったのですか?」
ポンッとリコが肩を叩いてくる。
横を見れば、琥珀色の瞳が此方を映している。
「いくらですか?」
「…………13600マッカです」
「はぁ……」
「でもでも!普通に買ったらもっと掛かるんだよ!」
マッカ、漢字にすると【魔貨】
形状は1オンス金貨の【悪魔】や【覚醒者】にしかその価値を理解できない不思議な金貨である。
現在レートは、1マッカ=2千円とされている。
13600マッカは、日本円にして2720万円の価値である。
そして、ガチャ1回680マッカである。
すなわち、20回の回転があったのだ。
「殆どは、大して使わないものですよね」
「そ、そんなことないもん!」
千景は、ダンボールを抱きしめるようにして庇う。
確かに使わないものも多く入っているが、ガチャは楽しいのだ。つい回してしまうのだ。
「新しく専用式神を購入する予定はどうするんですか?」
「それは、その……」
「10万マッカ貯めるとおっしゃってましたよね。ご自分で宣言してましたよね?」
「えっと、えっーと!」
鏡写しの相貌が、冷たい視線を向けてくる。
ジトっと睨みつけるリコは、その美貌も相まって迫力がある。
「でもね、リコと一緒にご飯食べたかったの……」
「…………まぁ、ご主人様が良いなら」
睨みつけていた瞳が僅かに揺れて、リコは少しだけ千景との距離を詰めて寄り添うようにしなだれかかる。主従共々、甘え方が同じなのである。
「あ、そうです。
殺生院キアラ様から、メッセージが来ていましたよ。『前回の受診から2ヶ月ちましたが、次の診察予定日は今週の土曜日ですが、問題ないでしょうか?』とのことです」
「キアラさんから?もう2ヶ月経つんだ。
予定はなかったし、丁度良かったかも。
星霊に行くなら、スキルカードの調整もしてもらわないとね!」
『殺生院キアラ』
どこかで聞いたことのある名前は、千景と同じ転生者であり、前世は精神科医を、今世では心理カウンセラーをしている方である。
精神疾患に関わらず、あらゆる悩みに対応してくれる美人カウンセラーである。千景も過去に色々とお世話になったのである。
また、千景にとっては師匠と云う関係でもある。
初期スキル【ひっかき】だった千景に、近接戦闘のノウハウを教えたのが、殺生院キアラであった。
「あと、レベル上げとお金稼ぎもしたいな
そろそろ、攻撃スキルが欲しいところです」
「わかりました。
適当な依頼も探しておきます」
「ありがとね!」
リコが、スマホを操作して連絡やら確認やらをしている姿を横目に、パウンドケーキへとまた手を伸ばした。もう、母親へ残す分とやらは忘れたらしい。
「ふむ、依頼は現金多めのモノしかありませんね。また、修行用異界の攻略パーティメンバー募集なら、いくつかあります」
「うーん、現金も欲しいから依頼を一つ。パーティ募集のはレベリング出来そうなの適当に選んでおいて、マッカは自然と集まるでしょ!」
「はい、了解です」
パウンドケーキの最後の一切れを頬張り、残っていた紅茶をぐいっと飲み干す。
今、千景が抱える悩みは幾つかある。
一つは、ホームが香川という何もない街になったことだ。強い霊地もない、異界もない、仕事もない、そう修行が滞っているのだ。
装備の点検や、リコのスキルカードセット、良さげな依頼の確認、修行用異界の存在、上げればきりがないのだが、今まで恵まれた環境にいたからこそ、ツラいものがあるのだ。
「はぁ、栞先輩吸いたい……」
「何を言ってるんですか?」
色々と悩みが増えて、こんがらがって来たときは栞先輩を吸うのが一番スッキリするのだ。
「これから、また3日間会えない……
見てよリコ、私の手震えてる」
「薬物の禁断症状が何かで?」
そんな益体ないことを考えていると、千景の隣に座ったていたリコが、青白く発光する。
「千景さん、1日30分のハグのお約束は忘れてしまいましたか?」
「はぅ……!」
月光を織って仕立てた銀の髪が、視界を覆う。
甘やかなミルクのような香りが鼻腔を撫でつける。
そこには、御園栞の姿をした式神リコがいた。
「び、びっくりした……
不意打ちで、それするのやめてよぉ」
「ふふ、どうしてですか?
驚いてる千景さんの顔はとても可愛らしいですよ。思わず、こうして抱きしめてしまいたくなります」
スラリと長い腕が、千景の背中に回る。
その腕で腰を抱き寄せて、しっかりと押さえられる。その柔らかなものを押し付けるように抱き締められる。
「ご主人様
私では、我慢できませんか?」
「こ、こういうのは良くないって思います……!」
紫水晶の瞳と視線が交わる。
その奥にあるのは、情念の熱に溶けた愛情なのだろう。
「いずれ、手に入れる女なのです。
良いではありませんか?」
「良くない、良くないから」
「……もう今更でしょうに」
リコの手が這うように千景の顔に触れた。
頬を撫でて、顎をなぞり、唇に優しく触れる。
「だめ、戻って」
「……まったくもう」
『御園栞』が青白く発光し、その姿を千景の似姿へと戻した。
「まぁ、そうですね。
ご主人様は、手籠めにされたいタイプですもんね。はぁー、さっさと捕まえて監禁して飼えば良いのに」
「そんなこと思ってないけど!
というか、リコこそわかってないよ!
鳥は、飛んでる姿が一番キレイなの!」
面倒臭そうなモノを見る目で、リコは主人を見つめている。あんな小娘一人に心揺らいでるなら、捕まえてしまえばいいのにと、視線で語る。
「それで、野猫にでも食われたらどうするのですか?」
「の、野猫……?」
「最近は、犬吠埼風という方が入部したそうですね。あぁ、猫ではなく犬でしたか?」
「はわわ……!禁断の恋ってこと……!」
新しく出来た友人同士が親しくなる。そして、その先の関係を望んでしまい、互いの性が高い壁となり、恋はより熱く燃え上げる……!
「素敵かも……♥」
「やだ、このご主人様無敵かも」
覚醒者:LV-24
成長傾向:バランス
年齢:13歳
出生:2月3日
身長:159cm
耐性:【物理耐性】【破魔無効】【呪殺無効】【
スキル:【ひっかき】【鉄拳パンチ】【ヒートウェイブ】【ファイアブレス】【ダストマ】【マリンカリン】【ラクカジャ】【タルンダ】【反撃】【エストマ】【食いしばり】【逃走加速】
実は、最近レベルが上がっても攻撃スキルが手に入らないので、ちょっとだけ焦ってたりする。
リコ
専用式神:LV-16
成長傾向:体
耐性:【物理耐性】【火炎耐性】【呪殺耐性】
スキル:【アギ】【ジオ】【ディア】【パトラ】【ランダマイザ】【マリンカリン】【リカームドラ】【精神状態異常無効】
主である千景に対して深い愛情を持ってるが、それはそれとして、大丈夫かなぁって心配がある。