【カオ転三次】連木で腹を切る 作:苺ベリー
ストーリーは進んでないのだ!
星霊神社境内、夜。
古くから神社というものは、神聖なものである。
俗と聖を隔てる境界の向こう側の場所だ。
鳥居を越えれば、そこは異界である。
しかし、社殿は人の賑わいに満ちていた。
その声は、年若い子供たちの声や大人の酒が入ったような陽気な声が響く、その賑わいは社殿の外にまで響いているほどだ。
そんな、賑わいからわずかに外れた場所で、千景は夜空を見上げていた。魂を惹き寄せるような月が、薄雲を纏って星の林を進む。
「この夜空を見上げれば、私も良い詩を歌えそうなものですね」
「詩人気取りは、詩の一つでも作ってからにしたほうが良いのではありませんか?」
そんな、千景の側には一人の女が立つ。
左右の虹彩の色が異なる印象的な眼の持ち主で、ドールの様な出立ちの美しい女がそこにいた。
千景と同じく【原作のある姿】の女だ。
知っている人が見れば『あっ、時崎狂三だ』となる感じの美女なのである。
「狂三ちゃん、つめたーい!」
「あら、私は火照っているわよ?」
その顔立ちに良く似合う浴衣を着慣れた様子で、足場も良くないこの場所に汚れ一つ付けずにいる。
「温泉上がりだからねぇー。
湯冷めしちゃうから、何か羽織ったら?」
「あら?心配してくれるのね」
狂三の影が揺れ動く。
まるで泥のように沸き立ち、影を裂くようにして抜身の太刀を姿を現した。
「さぁ、受け取って?」
薄く反った刀身には、大丁子が八重桜のように乱れ咲き、強く匂い立っている。華美な刃文は、危険な魅力を持っていた。
「おぉ、KATANA!何かのコスプレ武器?」
「銘は【千景】よ」
「……私のこと大好きって解釈で良い?」
「原作再現よ。
Bloodborneって知ってるかしら?
アレのコス用にいくつか作ったのだけど、そのうちの一振りね。
まあ、見栄えだけのただの刀なのですけどね。
本来は、変形武器と呼ばれる物ですわ。
その【千景】には変形機構は搭載されていないのですわ。それを【千景】と呼ぶのはファンとしては思うところはあるのですが、先ずは見た目から入るのが、下学上達の一歩てすからね。
その【千景】は、一応試作品の一振りでゆくゆくは変形機構やスキルを組み込んで行きたいと思っていますわ。
でも、大切なのは実用性ですわよね。
刀の美しさは、その機能美に宿るものと考えておりますわ。だからこそ、刀としての性能を高めていくのが一番の近道になると確信しておりますわ」
大和撫子が早口で話しているのを聞き流しながら、その刀の握り心地を確かめる。軽く【千景】を振ってみせる。その反りの薄さは、使い手に技量を要求する作りだ。
「取り敢えず、刀としての実用性は確かだね」
「ありがとうございます」
誇らしげに微笑みながら、自分の髪を指に絡めてもて遊ぶようにしている。
「あと、貴方の顔と身体は素敵ですわよ。
特にベットの上の貴方は可愛らしかったもの」
「なんか、違うんだよなぁー」
この大和撫子は、ドールの様な美しい出で立ちで清楚な美女なのだが、その実のところ中身は清楚系ビッチの類である。その透明感を感じさせる女の姿に騙され、美味しく頂かれた子は多くいる。
「それで、依頼の内容に入りましょう?」
「待ってました」
そう、千景がこの場で密会のようにこの大和撫子と会っているのは、レベリング兼お金稼ぎの依頼を受けるためである。最近は、憧れの先輩のカッコイイところを魅せられて自分も少しだけ火がついたのだ。
「依頼内容は簡単ですわ。
その【千景】を使って戦闘をしてほしいの。要するにモニターをして頂きたいのですわ」
「まぁ、いつものやつですね」
こういった『オレの作った装備を使ってくれ!』という依頼は意外とあるのだ。実際に使ってみたら、実用に耐えなかったとか、〇〇で良くね?とか問題が見つかることが多いらしい。
そして、こういった依頼は意外と儲かるのだ。
異界攻略に挑む際の【装備】は、命を預けるものだ。それを『試作品で挑んでくれ』というのは、下手をすれば命を落とす仕事になる。相応に料金も上がるというものだ。
「明日、一緒に異界に潜って使用しているところを見せてほしいわ」
「おぉ、狂三ちゃんと異界に潜るなんて久しぶりだね」
とはいえ、この時崎狂三という女は一味違うのだ。自身の手掛けた作品が、どう使われているかをその目で確かめないといけない性質なのだ。
「そういえば、千景?
貴方ってレベルは幾つになりましたの?」
「えっ、えっと〜
レベルは……24です」
そして、その性質が高じて彼女はこの星霊神社の中でもそれなりの強さを誇っている。自身で作り上げた装備を身に着けて、過酷な異界行を繰り返しているのだ。
「……千景、最後にレベルアップしたのはいつかしら?」
「に、2ヵ月前ですね……」
そう千景が言った瞬間に、狂三の影が揺れる。
その白魚のような指に黒く冷たい鉄の塊が握れている。それを千景の脳が認識した瞬間に無意識に身体が動く。
瞬間、爆音が森に木霊した。
「BAN!」
「───っ、あっぶなっ!」
黒光りするそれは、少なくとも日本においては見慣れることのない回転式拳銃だ。それを握って、狂三は可愛らしい掛け声とともに引き金を引いていた。
「いきなり、人に銃を撃つのはどうかと思うんですけど!」
「2ヶ月も実戦から離れてたなら、もっと錆び付いてると思っていましたが、避けられてしまいましたわ」
クスクスと笑みを零しながら、何かを演じるような態度で巫山戯ている。しかし、その細い指は引き金に掛かったままだ。
「きひひ、久々に一戦どうかしら」
「えー、温泉入ったばっかりだよ」
「また入ればいいんですわ
その時は、お背中を流し差し上げますわ」
「……じゃあ、一戦だけね」
その答えに対して、一発の弾丸が放たれた。
反射的に身体を動かし、射線上から外れる。
しかし、銃口は千景を追っている。
だが、所詮は銃である。
撃たれると分かっていて、中ほど間抜けではない。常に銃口が真円を描かぬように、狂三の周りを回るように移動する。
「きひひ、これならどうかしら」
狂三の影が激しく沸き立ち、独りでに立ち上がる。
その影法師は狂三と同じく回転式拳銃を構えて、その銃口を千景へ向けて歩き出す。
「流石にクロスファイアはやめよ?
このジャージ学校指定のやつで破れたりすると、お母さんが心配すると言いますか……」
「あら、もう一人いますわよ?」
そう言って、狂三は空いていた左手にフリントロックピストルを握ってみせる。それをあろうことか、自身の米神へ向けて引き金を引く。
「おいでなさい、ザフキエル!」
「……本気じゃん」
現れたのは狂三の
『神の番人』『神の監視者』『神の知識』
それらの名で賛美され天使の名を冠する者。
しかし、聖書に綴られる天使の姿ではなく、巨大な円盤時計として姿を現した。
千景は、思わず握っていた刀を握り直す。
「ただの遊びよ?
私が貴方に本気を出すのは大人気ないもの!」
千景の側面へと移動した影法師が、引き金を引いた。爆音が鼓膜を揺らした。それを引き金に千景の思考は、余分を削ぎ落とし始める。
3方向からの銃撃は、回避の余地など無い。
ならぱ『安全地帯を作れば良い』千景の経験から導かれたのは、ひどく簡単なものだった。
側面からの影法師の射線から逃れる。
すると、当然の如く狂三の銃口が千景の回避先に向けられている。
「ほら!踊りなさい!」
だが、その高い射撃技能が裏目に出る。
握る太刀を弾道上に構えるだけで、射出された弾丸は弾かれてあらぬ方向へと逸れていく。
踏み込む、前へ。
千景と狂三の距離は、一足一刀の間合いにある。
「取った!」
一歩、踏み込み。
その手の太刀を振り下ろした。
刀剣の類で人を殺めるための動きとして、これ以上ない動きであった。一切の躊躇いなく、ただ殺意が込められた一振り。
それが、狂三の脳天に振り下ろされる───
「いいえ、私の勝ちですわ」
巨大な円盤時計の長針か動く。
すると、空間ごと圧壊させるエネルギーが、明確な指向性を持って、千景の全身に爆発的な衝撃として撃ち込まれる。
それによって、千景の身体は後方に風に吹かれた枯葉のように吹き飛ばされる。
「ぎっ……!」
そして、追い撃ちの弾丸が四肢に撃ち込まれる。
「魔法はズルじゃん……!」
「魔法は無しなんて言った覚えはありませんわよ?」
「……はぁ、良いよ本気で相手するから!」
元来、生物が未知の大敵と出会ったときの行動は、『逃走』である。それは、生物が種を残す上では当然の進化であった。
しかし、人は知性を持って『逃走』を捨てた。
『逃走』を『闘争』へと変えていくのは、人が編み出した知識によるものだ。
未知を解き明かし、既存の法則に落とし込む。
未知を、既知という現象への零落させる。
恐怖を、対処可能な事柄へと貶める。
そう、眼前に立つ『大敵』ですらも。
「あら、少々本気になるのが遅かったですわね」
「言ったはずですわよ?
私の勝ちですわ」
2人を隔てる距離を詰めるために、千景はその超人的な脚力をもって、地を踏み締めて───
視界には地面が広がった。
「……ぇ?」
身体が動かない。
起き上がれと、四肢へと電気信号が伝達されない。
「やはり、錆び付いてますわね。
以前の貴方なら、こんな簡単な手に引っ掛からなかったはずですわよ?」
首だけを動かして、動かない身体を見る。
そこには、冷たい石の塊があった。
太刀を握る両腕は肘まで冷たい石へと変わっていた。地面を踏みしめているはずの足は、踏み込んだ衝撃で、砕けて転がっている。
「……【石化針】」
「御明察ですわ」
衝撃魔法によって吹き飛ばされた時に、四肢に撃ち込まれたのは弾丸ではなかったのだろう。
千景は【物理耐性】がある。
霊装として造られたわけでもない拳銃で、撃ち出された普通の弾丸程度では、千景の肌を穿つには足りない。だからこそ、被弾した弾丸に対しての意識が甘くなっていたのだろう。
「ふふ、本当に弱くなりましたわね」
「……ズルしたじゃん」
「あら、負け惜しみですわね」
狂三が、倒れ伏す千景の側まで歩み寄る。
太刀を握ったままに固まった両腕を雑に蹴り砕く。砕かれ腕の断面からは止めどなく血が流れ出し始めた。
そのまま、足蹴にして千景の身体を転がして仰向けにする。
「【マリンカリン】」
「ぁ……っ……!」
狂三は浴衣が土で汚れるのも構わずに地面に膝をついて、もはや抵抗も出来なくなった千景に覆いかぶさる。
「弱っている姿も素敵ですわ」
1番上まで上げられたジッパーを細い指が下ろしていいく。胸元まで下ろして、千景の細い首筋に狂三は噛み付いた。
「ぁ……っ♥」
歯並びの良い白く美しい歯が、少女の瑞々しい肌を食い破り、血管を裂く。溢れ出る熱い血潮をコクリコクリと嚥下していく。
「やはり、千景の血は美味しいですわね」
幸せそうに青褪めた顔を歪める千景の頬を撫でながら、血によって艶やかに彩られた唇を千景の唇と重ね合わせた。
粘膜を通して、千景の中の魔力を吸い上げていく。千景の体力も魔力も全てを貪って、抵抗の余力すら奪い尽くす。
「ほら、分かるかしら?
貴方は、昔と変わらず弱いままですわよ。その弱さによって汚されて、奪われるだけの少女」
「私は、貴方が星霊神社を出ていくのは反対でしたのよ?こんなにも弱くて、脆い貴方が何処でどう生きられるというのかしら?」
慈母の如く微笑みながら、狂三は千景から離れる。そして、足元に帰ってきた影から黒く大きなビニール袋を取り出して、小さくなった千景を詰め込んだ。
「【
最後に袋の上から頭に触れる。
そして、千景の入った袋は狂三の影の中に沈んでいった。
「狂三、もう終わったの?」
「折紙さん、見ていらしゃったの?」
処女雪のような白髪を腰まで伸ばした美しい女が、まるで最初からそこにいたかのように立っていた。
「あれだけ、騒がしくしていればね」
「申し訳ありません、少し興が乗ってしまいましたわ」
星霊神社からは、僅かに離れているとはいえ覚醒者の耳を誤魔化せる程の距離ではなかったのだろう。
「それで、千景ちゃんを袋詰めにしてどうするつもり?」
「せっかくなので、私達の新居を紹介しようかと思いまして」
「ん、なら御馳走を作らないとね?」
「ふふ、それもいいですわね」
覚醒者:LV-24
初めての戦闘描写で、負けた上にダルマにされてお持ち帰りされた。一応、お互い本気ではなかった。
「だって、異界でもない場所で魔法使うと思わないじゃん!」
時崎狂三との関係は、
ペルソナ使い:LV-31
成長傾向:魔・速
年齢:19歳
出生:6月10日
身長:157cm
耐性︰【衝撃無効】【破魔吸収】【呪殺弱点】
スキル︰【ダブルシュート】【乱れ針】【夢見針】【石化針】【ザンマ】【マハザン】【コウガ】【マハコウハ】【エイガ】【ハマ】【メディア】【パララアイ】【ドロップボイス】【マリンカリン】【吸血】【吸魔】【スクカジャ】【タルンダ】【銃撃ブースト】
ペルソナ︰【ザフキエル】を覚醒させている。
そのペルソナが示すのは【悪魔】のカードである。
そろそろ美少女ではなく、美女と呼ばれても良い頃の現役JD。千景と同じく【原作のある姿】をしている。
武器や装備を自作して、異界に潜っている。
ただ、銃以外の武器はろくに使えないので、製作してもテスト出来なくて困っている。定期的にテスターを募っている。
また、コスプレの完成度を高めるために【スキル】ではない、影を利用する魔術を習得している。そのおかげで出来ることは多くある。
レズビアン。
かなりの節操無しで、最大七股まで行ったが現在の恋人に刺されて関係を改めた。
現在は、恋人の
将来のことを考えて大学に通う傍ら『魔術探偵』として働いている。オカルトに強い探偵です。で売っている。収入は結構ある。
ちなみに、「きひひ」と笑うのはキャラ作りの為にしてるだけ。
覚醒者:LV-12
特徴的な白髪蒼眼が美しい女である。
覚醒して、それなりに時間が経つが本人は戦闘の適性が皆無なため、レベルはここ数年上がっていない。
現在は、時崎狂三と恋人関係にある。
恋人の狂三の過去の関係を清算させるために色々頑張った。しかし、精神的に弱っていたロリ千景に媚薬盛って云々は流石に狂三に責任があるとして「本人が望むなら、私達で面倒を見ようね」と話している。刺して抉った。