Deadpool: Sanctified Timeline   作:タピオカ&ピスタチオ

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第6話
決着戦の始まり


ドォォォン――ッ!!

 

再び爆音が夜空を裂いた。

地平の向こうで、紫の閃光が弾ける。

その中心から放たれる波動は、現実の布をねじ曲げ、風と重力を狂わせていた。

 

龍斗はバイクのスロットルを全開にし、黒煙の中を突き抜ける。

装甲スーツのHUDに映し出される無数の警告――「時空干渉率・上昇」「エネルギー汚染・警戒」――。

それでも彼の眼差しは、迷いひとつなく前を見据えていた。

 

「……やはり、“奴”だ。」

 

ヘルメット越しに呟いた瞬間、通信機がノイズを吐く。

 

『Yo!こっちはウェイドだ!お前、また先に行ってんだろ!?俺の見せ場カットすんなって!』

 

「……ここは危険すぎる。来るな、ウェイド。」

 

『来るなって言われたら余計行きたくなるタイプなんだよ、俺。ヒーローの宿命ってやつ?』

 

通信が途切れる。

龍斗はわずかに息を吐き、バイクを停止させた。

前方の空間が歪んでいる。まるで、世界の一部が“上書き”されているかのようだった。

 

その中心――

巨大な紫の球体と、それを囲む六枚の石板。

空気は震え、重力が断続的に反転する。

そして、その前に立つ影。

 

「やはり来たか……“死神”龍斗。」

 

ロッツォ。

その身体はかつてのぬいぐるみのような姿を保ってはいたが、毛並みは灰色に焼け焦げ、瞳は紅蓮の光を宿していた。

周囲の大気が、彼の発する波動に引きずられて揺らめく。

 

龍斗:「ロッツォ……その装置は何をしている。答えろ。」

 

ロッツォはゆっくりと振り返り、口角を吊り上げる。

「答え? 簡単なことさ。“神の瞳”を覚醒させているんだ。ストーンの力を超えた、“選ばれし血”の器をな。」

 

龍斗:「“血族”とは何を意味する? お前の言う“彼女”とは誰だ。」

 

「まだわからないか? お前たちが追っている存在――“彼女”こそ、この宇宙の調律者だよ。

 TVAも、ストーンも、全てはその目を欺くための“虚構”だ。」

 

紫の光が閃く。

瞬間、龍斗の足元が崩れ、重力のベクトルが反転する。

地面が空へと落ち、空が地に沈む。

“世界”そのものが裏返る錯覚。

 

龍斗は反射的に体勢を立て直し、二丁のデザートイーグルを構える。

弾丸にはTVA製の“時間干渉弾”が装填されていた。

 

「……お前の言葉に価値はない。だが、ここで止める。」

 

バンッ――!!

二発の銃声。

弾丸が空間を裂き、ロッツォの胴を貫く――はずだった。

 

しかし次の瞬間、弾道が途中で“消えた”。

否、別の時間軸へ転送されたのだ。

 

ロッツォ:「クク……効かないさ。この空間は私の“箱庭”。過去も未来も、私の意志で書き換えられる。」

 

龍斗はわずかに表情を変えることなく、腰のホルスターから短刀を抜く。

刃が青白く輝くと同時に、彼の身体が一瞬だけ霧のように揺らいだ。

 

「なら――時間ごと、斬り裂くだけだ。」

 

ドガァァン!!

 

二人の間で、爆発的な光と音が弾ける。

ロッツォの掌から放たれる“神の瞳”のエネルギー波が、龍斗の刀身にぶつかり、空間が歪曲する。

大地が崩壊し、時間の流れが断続的に遅延する。

 

ロッツォ:「君の力……やはり異質だ。“彼女”と同じ波動を感じる。」

 

龍斗:「黙れ!」

 

閃光の中、龍斗の姿が消え、次の瞬間、ロッツォの背後に現れる。

鋭い一閃。

ロッツォの肩口から火花が散った。

 

「クク……やるじゃないか、“死神”……だが、これはまだ――序章だ。」

 

ロッツォの身体が粒子状に崩れ、空間の裂け目へと消えていく。

残されたのは、紫に光る残滓と、脈動する“神の瞳”のみ。

 

龍斗は膝をつき、データ端末を起動する。

画面に浮かんだ文字列を見て、彼の目が鋭く光る。

 

> 『EM Project:Phase 02 ―対象はE.J.』

 

 

「……E.J.? まさか……エマ・ジェスナー……?」

 

風が止み、空間が再び静寂を取り戻す。

龍斗は立ち上がり、夜空を見上げて小さく呟いた。

 

「ロッツォ……お前の狙いが、もし彼女にあるなら――絶対に、許さない。」

 

そして、遠くでまた稲妻が閃いた。

“神の瞳”の中心に、微かに少女のシルエットが浮かび上がる。

 

物語は、次の段階へと動き出す――。

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