ラスボスにはラスボスをぶつけんだよォ   作:ヒャッハァー!

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今回、オリジナルオートマタがでます。今のフェイスレスの精神の掘り下げのためにうまく…使えると…いいなぁ…。
あと、モモンのセリフは原作だとですます口調なのですが、正直私の腕だと同じですます口調のンフィーレア・ペテルとの書き分けが難しいので、口調をその後の「○○だ」という感じのものに変えています。


第五幕 道化師と夜

そうして戦闘をこなし、漆黒の剣士と魔法詠唱者の圧倒的な実力とコンビネーションを目にし、漆黒の剣のメンバーが彼らの強さを再認識した後。

 

彼らは目的地に向かって順調に進み、そして日も暮れてきたため野営の準備を始めた。木を軸として地面に布を敷き、そして布を円錐状にかぶせるシンプルなテント。周辺には警戒のためにひもを張り、鈴をつける。

 

空の端が暗くなり始めている。初めての設営なのに、完全に暗くなる前に準備が終わったのは僥倖だった。うっすらと星明りが見え始める。

 

(ブルー・プラネットさんがいたら、なんて言うだろうなぁ…。)

 

そんなことを思いながら、前世では現実で終ぞ見ることのなかった星空を茫洋と眺める。最初にこの世界に来た時から、何度見ても「美しい」とただそう思う。

 

そうやって何とはなしに感慨にふけっているアインズに、ペテルが声をかけてきた。

 

「モモンさん、テントの設営は終わりましたか?終わっていたら、とりあえずこっちは薪は集めてきたので、食事の準備を手伝ってもらっていいですか?」

 

「あぁ、ちょうど終わったところだ。手伝わせてもらおう。」

 

そういって立ち上がるとニニャたちが切った食材を鍋に入れているのが見えた。塩漬け肉と、玉ねぎのような植物。それらを鍋の中にまとめて放り込む。

 

そしてアインズたちは火がつけられた薪の上に鍋を運び、じっくりと煮立つまで加熱する。

 

「…うん、できたね。じゃぁ、とりわけるよ。」

 

そういって、それぞれの器になみなみとシチューがつがれる。簡素ではあるものの、具もしっかりと入っていて、かなりうまそうに見えた。

 

「あー、これで酒があったら最高なんだがな。」

 

「ルクルット、私たちは仕事中だぞ?酒なんて飲めるはずがないだろう?」

 

「わーってるって。ちょっと口寂しくなっただけですよーっと。」

 

軽くけんかをしているように見えるが、その口元は互いに笑っていた。おそらく、普段からお決まりのやり取りなのだろう。それぞれの面々が軽口をたたきながら食事を咀嚼する。和やかな雰囲気が流れる。そんな中、

 

(さて、どうするかなぁ。)

 

アインズは悩んでいた。作ってくれたのは非常にありがたいが、生憎とアインズの体は飲食不要。食ったところで鎧の隙間から滴り落ちるのがオチであった。どうやってごまかすべきか…。そんなことを考えていた。

 

「あの…モモンさん、なにか苦手なものでも…?」

 

ニニャがすこしためらいがちにアインズに問いかける。少し考えたのちにアインズはこう答えた。

 

「いや、そういうわけでは…。ただ、宗教上の理由で。生き物を殺した日には、4人以上での食事を禁じられていて。」

 

「ほう…。そういうわけでは仕方ないのである。しかし、変わった教えを信じられているのであるな。いやはや、世界は広いといったところか。」

 

そんな風に言って、ダインはスープをほおばった。

 

「なぁなぁ、やっぱモモンさんとナーベちゃんって、結構最近、遠いところから来た感じなのか?ここら辺の世情にあんま詳しくないように見えるし…。それにナーベちゃんはここらにいたら少なくとも必ず噂になるだろう美女だしさ。」

 

「…あぁ。実は少々込み入った事情があって、こちらには最近来たばかりなんだ。もともとはここよりはるか東方にいて、ナーベとはそのころからの付き合いだ。」

 

「東方ですか!というと都市国家連合とか…。いや、それでもこれほどお強いなら、多少のうわさは耳に入りそうなものですし…。もしやもっと遠く…?」

 

「あぁ、いや…。」

 

その後も、ペテルとアインズの間で、いくつかの周辺都市や、国についての会話がつづく。その様を、ルクルットは何か聞きた気に眺めていた。それを横目で見つつ、軽く笑いながらオルドナンスはアインズとナーベラルに問いかけた。

 

「…ルクルット君が聞きたそうにうずうずしてるから、少し聞いてもいいかね?ズバリ、君とナーベラル君は、恋人同士なのかい?」

 

「そ、そんな!私程度が烏滸がましい!モモンさんにはアルベド様という方がいるんですよ!?」

 

「なっ」

 

(何言ってんのナーベラルさん!!?)

 

全員の視線が、瞬間的にナーベラルとモモンのもとに集まる。

 

「え!?モモンさん、結婚されていらっしゃるんですか!?それとも婚約者!?馴れ初めは!?」

 

「ってことはナーベちゃんは今フリー!?それともほかに恋人いるとか!?」

 

明らかに目の色を変えて矢継ぎ早に質問を投げかける二人相手に、アインズは多少たじろいだ。ナーベラルはやらかしたことに気づいて、瞬間的に顔を真っ青にしていた。それ以外のメンバーは生暖かい目で二人を見守っている。

 

「あ、いや、その。えぇと、ナーベは私の何人かいる従者のうちの一人でな。それ以上でもそれ以下でもないんだ。あと、アルベドとは、一応婚約関係だが、それほどまだ深い仲であるわけではないんだ。ご期待に沿えず、申し訳ない。」

 

ルクルットの問いかけはとりあえず無視して、とりあえず質問に答える。普通にアルベドとの婚約関係とかは噓八百だが、仕方がない。

 

「え、何人かって…。もしかしてその従者の方々はみんなナーベさんと同じくらいの強さなんですか!?」

 

焦ってミスした。そう思ったアインズは、ペテルからの質問を聞いて、慌てて修正をする。

 

「あぁ、いや、たしかに他もある程度の強さはある。だが、もちろん一番強いのはナーベだ。」

 

実際これはある程度事実ではある。プレアデス6姉妹の中ではナーベラルが最もレベルが高く、単純な戦闘能力だけならば最も強い。また、他も強いなんて無駄な情報言ってしまったのは、単純に慌てていたためと、ナーベラルも聞いている中で、流石に姉妹メイドたちをけなすのはためらわれたためだった。

 

ンフィーレアがそんなアインズに問いかけた

 

「でも、モモンさんが強いと認めるほどの実力ではあるんですよね?…モモンさんの故郷では、誰もがそんなにお強いんですか?」

 

「いや、そんなことはない。今は離れてしまった仲間の中には、戦闘がからっきしのものだっていた。私も昔は弱くて、仲間たち…友人たちには何度も助けられた。」

 

「仲間───ですか。」

 

そう、仲間だ。かけがえのない、特別な仲間たち。アインズの伽藍洞の胸の中で今でも輝かしくきらめく黄金の記憶。

 

「あぁ。今はみんな遠いところに行ってしまったが…。それでも今でも私の中で…一番大切な人たちだよ。」

 

しん、とその場の空気が静まり返る。静謐。その雰囲気をどうにかしようと、ニニャがしゃべりだす。

 

「えぇっと…。そう、ですか…。きっと、大丈夫ですよ。その人たちもきっと、モモンさんの幸せを願ってますし…、いつかまた、その人たちに匹敵するような仲間ができますよ!」

 

「ちょ、おい」

 

いった瞬間に、隣で聞いていたルクルットがニニャの口を止めようとする。しかし静止するには一拍ほど遅かった。そしてアインズは静かに、言った。

 

「…。そんな日は来ないさ。」

 

あっ、とニニャも声を漏らし、黙り込む。沈黙。重苦しい空気が場を支配する。漆黒の剣のほかのメンバーたちは、下を向いて黙りこくり、関係ないンフィーレアも気まずそうな顔をして座っている。楽しかったはずの野営は、もはや拷問か何かの様相を呈していた。この場の人間に殺意を抱いていたナーベラルを除く全員が、もう早く終わってくれ、とそう思っていたときに、それは起こった。

 

パン、と大きな音が響いた。

 

びくり、とその場の全員が音のした方向を見る。そこには勢いよく両手を合わせて音を出したオルドナンスの姿があった。彼は全員に向けてにこり、と笑った。

 

「いやぁ、実にいい反応だネ。こういうのは、張り詰めた空気でやると、よりよく音が響いてくれるんだよ。ビックリしたかい?」

 

「「「「「「「・・・・・・・・・。」」」」」」」

 

ナーベラルさえも含めた、この場の全員が感情を共有できていた。すなわちオルドナンスへの敵意である。誰もが黙って、オルドナンスに白い目を向けていた。

 

「おやァ、反応が芳しくないネ。なんでだい?」

 

「…流石にあの空気の中で、人を驚かせるようなことをするのは、非常識だと思うよ…。」

 

「…そうだな。私もそう思う。」

 

ニニャとアインズがそろって、オルドナンスに抗議した。

 

「おやおや、ずいぶんと仲がいいじゃないか。いやぁ、そんな熱い目で戦闘のプロ二人に見つめられたら、貧弱な僕ぁおびえて心臓が止まってしまうぜ。まったく、怖い怖い。僕は殺されてしまう前に、テントの中にでも退散するとするよーん。」

 

そんなセリフを吐きながら、オルドナンスは立ち上がってテントの中に入っていった。

 

残されたメンバーも、ゆっくりと立ち上がっていく。

 

「…それじゃ、私はすこし寝るとします。ルクルット、今日の寝ずの番の担当は私と君だ。しばらくしたら起こしてくれ。」

 

「あいよ、了解だ。」

 

「あぁ、すまない。私も寝ずの番を担当しよう。そういうのは得意でね。手伝わせてほしい。」

 

アインズが口をはさむ。ルクルットとペテルは少し驚いた顔をした後に、すぐにほほ笑んだ。

 

「あぁ、じゃぁありがたく手を借りさせてもらいます。ルクルット、とりあえず一回周囲を一回確認するぞ。」

 

「へいへいわかりましたよー、っと。じゃ、モモンさんはここで火を消えないように見ててくれ。」

 

そういって二人はその場を後にした。

 

「あの、モモンさん。すみませんでした。私、あまりに無神経でした…。」

 

「…いや、いい。私も大人げなかった。いくら仲間のことを言われたとはいえ、あれはやるべきではなかった。…すまない。」

 

「…ありがとうございます。」

 

そんな声を遠くに聞きつつ、ルクルットとペテルは、互いに微笑んだ。

 

⚙⚙⚙

 

エ・ランテル巨大墓地内部───。

 

闇の中で、二つの影が動いていた。

 

「いやー、しかし準備しようにもまっさか偶然「生まれながらの才能(タレント)」もちの坊っちゃんが、町の外に出かけてるとはねー。こんなタイミング悪いことあんだねぇ。びっくりしちゃったよー。とりあえずさ、あのババアでも人質にとっとくー?」

 

「ハァ、愚かだなクレマンティーヌ。どのみちそんなことをせずとも、お主がいけば簡単に彼奴(きゃつ)を誘せるだろう。人質などいらん危険でしかない。それとも貴様は無意味な危殆を犯したがる、無能で無価値な働き者か?」

 

「へいへーい。いやー、評価が手厳しくて悲しいねー。同じ裏切者なんだしさー、もうちょっと仲良くしようよー。そうじゃないと、カジっちゃんのことも、いざって時に裏切っちゃうよ?」

 

「たとえ仲がよかろうと、いざ自分の命がかかれば見捨てるのが貴様だろう?」

 

「ありゃ。わかっちゃってたかー、残念無念。」

 

やせぎすに禿頭の男と、切りそろえた金髪にきわどい鱗鎧のようなものを纏う女がそんな軽口をたたき合う。

 

「でさぁ、とりあえず暇なんだけど、なんかやることあるー?破壊工作とかー、死体集めとか!新鮮なの持ってきてあげるよー?そこらの浮浪者に絞れば、足もつかないでしょー」

 

「いらん。そもそも死体は今の時点で十分足りておる。これ以上は必要ない。そもそも、破壊工作をするつもりならあやつ───()()()()()()()()。」

 

その時、まるで狙っていたかのように、階段の奥から足音が響いた。

 

「…あ、あのぅ…。す、すみません…。私、呼ばれましたか…?」

 

「いやー?特に呼んではいないよー?自意識過剰なんじゃなーい?」

 

そこに立っていたのは太った男だった。でっぷりとした体にまるで作曲家のような巻き髪、そして纏うのは赤い燕尾服。顔には道化のようなペイントがされ、露出している白い肌はやけに脂ぎっている。

 

そしてその大きい図体の割に、嫌に卑屈な男だった。

 

「タルタリア。…貴様に見つかった時は慌てたが、まさか協力してくれるとはな。確かにおぬしの協力があれば目撃者も簡単に()()()。おぬしのおかげでより計画は進めやすくなる…、が、なぜ儂らと手を組んだ?」

 

「そーだよねー、あんたはこの国で割とそこそこ甘い汁を吸い続けられる立場にいるはずでしょー?なんでわざわざ私たちに協力するわけー?あった時は、この町に入る前に、追手から逃げるのを助けてもらったから、とりあえず信用してここまでついてきたけどさー。」

 

2人の疑問は最もである。タルタリアはこれでもこの国に潜む夜の蜘蛛(あらくね)の幹部の一人。こんなことをせずとも、十分に生きていけるし、リスクを冒す必要などない。

 

「そ、それはもちろん…、『成長』と『愛』のため、ですよ…。」

 

「はぁー?」

 

と、馬鹿にしようと、タルタリアの表情を見たクレマンティーヌの顔がひきつった。

 

その顔はぐにゃり、と人間ではありえないほどに歪んでいた。口は目より上まで弧を描き、目は限界まで細められた狂笑。そして目からはポタリ、ぽたりと涙があふれ、それが落ちるたび、地面が煙を出して溶解する。

 

「かつて「神」は私にこういいました…「お前には期待している、面白い劇を見せてくれ」、と…。

 

故に…神の期待を超え、神の予想を裏切るために…、わ、私は、神を乗り越えなければならぬのです…。

 

そのために、私は全力で私を鍛え…学び…成長しなければならない。そうして初めて神の「愛」に答え…。私を「愛」することができるのです…。ゆ、故に…私はあなたたちに協力した、そ、それだけのことなのです…!」

 

少し引きながら、クレマンティーヌは答えた。

 

「あいっかわらず、あったまおかしいよねー、アンタ。神を信じて、その上でその神を超えようとしてるなんてさー。人間でも───法国でもそうそういないよー、アンタみたいなバカはさ。」

 

「…まぁ、狂人の理屈など理解する必要はない。おぬしの様な信教の本質すら理解できん愚か者でも、儂らの目的に十分に利用できるなら、それでいい。」

 

「え、ええ…。そうでしょうとも…。それでいい…。それでいいのです…。」

 

悪も策謀も狂気も、星はただただ静かに見守っていた。

 

夜はまだ、明けない。

 




仮面の冒険者 「今は悪人ではないのだろう。だが、あまりにも本質がどす黒すぎる。本当に戦いたくない相手だ。最初あった時色々実験されたこと、忘れてないからな」

ちなみに、「さすがにいくら何でもフェイスレスがズーラーノーンみたいなごりごり悪行をやらかす秘密結社と、勝に叩き直された後に仲良くなるはずがなくない?」と思った方、安心してください。理由があります。

後タルタリアは最後の4人、最古の4人と同様、モデルはコメディ・デラルテです。

感想、高評価よろしくお願いします。
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