ラスボスにはラスボスをぶつけんだよォ   作:ヒャッハァー!

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おかしい…。フェイスレスの活躍を描きたいと思ってこの作品を始めたはずなのに登場人物が多すぎてなかなか活躍させられない…。何とか次話になれば行ける…ハズ…?


第七幕 道化師と愚かな人形

「アルベド様、聞こえていますか?」

 

「えぇ、問題なく聞こえているわ。アインズ様の様子はお変わりないかしら?」

 

「はい。全て恙なく。」

 

「そう…。でも気を緩めてはだめよ、ナーベラル。アインズ様に万が一があってはいけないわ。徹底的にあのお方に付き従い、もしものことがあれば、その身を肉壁として捧げなさい。」

 

「はっ、もちろんでございます。至高の御方に作られたときから、私のすべては至高の御方に尽くすためのもの。ゆえに、死ねと言われれば死に、殺せと言われれば殺します。それが私たちの誇りですから。」

 

「ふふ、アインズ様の傍に使えるものとして、最低限の心構えはできている、ということね。その言葉、気に入ったわ。でも、アインズ様の命令は忘れないでね。不必要な殺戮は控えめにするように。」

 

「...承知しております。ですが、下等生物(ゴミムシ)どもがアインズ様に無礼な態度を取った場合は?」

 

「その時は…相応の対応をすればいいでしょう。アインズ様の役に立たないなら、あれらに生きる価値などないわ。最低限の分すらわきまえない役立たずのゴミは、至高の御方の気をそれ以上煩わせる前に処理するのが一番よ。」

 

「さすがアルベドさま、的確な指示、感謝いたします。」

 

「あぁ、そうだ。そういえば…。アインズ様は、私について何か言っていた?」

 

「…、そうですね。一度、私が誤ってアルベド様の名前を出してしまったことがあったのですが、その時にはアルベド様のことを「自身の婚約者」と仰っていました。」

 

「くふっ!ここ、婚約者!アインズ様が、私を、婚約者!これはもう相思相愛、いえ、もはや結婚済みといえるでしょう!あぁ、アインズ様、抱きしめて、壊れるまで愛してっ!んぁあ、くっふぅ!」

 

「…。そういえば、アルベド様。先ほど言われて思い出しましたが、アインズ様が、アルベド様に頼みたいことがある、と。」

 

「…ふう。えぇ、何かしら!?」

 

「それが、王国の下等生物(シラミ)の一人の…ナ、ナル、ナリだか何だか、そんな名前だったはずなのですが、その男について調査しろ、と。そして可能なら何らかの形で接触を図れ、と。」

 

「…。そう。…いい?ナーベラル・ガンマ。おそらく、アインズ様があなたを通じて私に伝えるようにおっしゃられた名前というのは、「ナイアー」、ナイアー・ルラトホテップよ。」

 

「は、そうでした。確かにそんな名前だったかと思われます。」

 

「…分かったわ。一応言っておくわね。その名前はかつて私の創造主──────タブラ・スマラグティナ様から伝えられたことがあったわ。かのお方が作成した世界で、御方同士で度々戯れをするときに使っていた名前だそうよ。」

 

「なっ、そうなのですか!?ならば、まさか…!」

 

「早合点しないで。その名を騙る不敬者や、偶然の一致という可能性も十分にあるわ。ただ、アインズ様がもし知れば、何としてでも会いに行くでしょう。そして、仮に外れであった場合、アインズ様の悲しみはいかほどになるか───。計り知れないわ。

 

それに、あまり考えたくはないけれど、至高の御方たちは皆、かつてこの地を離れているわ。そして、本来至高の御方の知啓をもってすれば、接触したいなら我々が転移した時点してくるはず───。それをしない、ということは、避けられている、という可能性も視野に入れて行動しなければならないわ。」

 

「た、確かに───。」

 

「故に、この一件に関しては私が綿密に確認をしたうえで再度アインズ様に伝えるわ。あなたも、あまりこの件について口に出さないように。また、もし接触があった場合、タブラ様でないとわかったなら、いったん拘束しなさい。どちらにせよ、情報源になる可能性が高いわ。また、もしタブラ様だとわかったとしても、いったんアインズ様より先に、私に報告を入れなさい。

 

分かりましたね、ナーベラル・ガンマ。」

 

「は、はい!この身に余る大役でございます!必ずや!必ずや御方との謁見を果たし、アインズ様にお喜び頂きます!」

 

 

⚙⚙⚙

 

 

閉じられた遠隔通話用の魔道具。全員を真っ白な衣装で覆った黒髪に黒翼の美女は、ぽつり、とつぶやく。

 

「ナイアー・ルラトホテプ、ね。あの男だとしたら…、新しい玩具は見つからなかったのかしら。仮に仲間に見つけてほしくてそんな名前を使っているとしたら、ずいぶんと滑稽ね。飽きたって私たちを捨てた癖をして。」

 

その声には憎悪、愛情、怨嗟、思いつく限りの負の感情が詰まっていた。どろりとした、彼女自身説明しきれないであろう感情。ぐしぐし、と髪を乱暴にかきむしり、そして苛立ちに任せてしばらく続けて、やめた。

 

ふ、と顔を上げる。そこには何の感情も宿っていなかった。いや、もしくは、閾値を超えた感情がゆえに、それを表す表情が存在しないかのように見えた。そして、女は一見冷静そうに聞こえる平坦な声で、言った。

 

「…いいわ。どんな意図があろうと、関係ない。仮に、ここに戻られたところで、不和の種となるだけよ。なら。モモンガ様のために、排除する。何があろうと。あのお方は、私の、私たちの支配者(モノ)だ。お前らなんかに渡してたまるか。」

 

 

⚙⚙⚙

 

そして、翌々日。エ・ランテルにて。

 

森の賢王のすさまじい速さにより、想定外の速さで依頼を終えて、ンフィーレアとオルドナンス、そしてその一行は帰還していた。アインズとナーベは森の賢王(ハムスケ)の登録をギルドにしに行き、他の漆黒の剣のメンバーたちはンフィーレアとオルドナンスの手伝いをすべく、同行していた。

 

日は落ちかけており、斜陽の中、店の前で薬草の分別を彼らは行っていた。

 

「いやぁ、すごかったですね、モモンさん。町中の視線を集めてましたよ。」

 

「いやー、そうだな。…はぁ、俺あれに勝てんのかなぁ…?」

 

妙に落ち込んでいるルクルットに対して、ニニャは不思議そうに問いかける。

 

「ルクルット、モモンさんには恋人がいるのでしょう?なら勝ったりする必要はないのではないですか?」

 

「あんなぁニニャ。別に恋人がいるからと言って、好きにならないとは限らないんだぜ?それにあれだけ熱のこもった視線を向けてるナーベちゃんが、モモンさんに全く特別な感情を持ってないってんならその方が嘘だろ。…ハァ…。言っててなんかつらくなってきたわ。お詫びに後でいっぱいおごれよ、ニニャ。」

 

「いやですよ、飲んだとしてあなた、やけ酒して私が介抱する羽目になるでしょうが。というかそもそもあなた、あんな美人さんに選ばれると思ってたんですか?可能性がほとんどないと思っていたからこそ、あれだけ嫌われても強くアタックし続けたのでは?」

 

「そうだけどよぅ…。だからと言って、可能性がほぼゼロから完全にゼロに変わるのは、直視し難いものがあるんだぜ…?」

 

そんな落ち込んだ様子の丸まったルクルットの背中を、ダインはばしりと音を立てて強くたたいた。

 

「いった、何すんだよダイン!?」

 

「何、少しばかりらしくない様子だったのでな。少し喝を入れてやっただけである。どれだけ落ち込もうが日は昇るし、明日はやってくるのである。諦めるなら、それを経験にして進めばいい。それでも挑みたいと思うなら、必死に自分の優れたところを探して、伸ばしていけばいいだけなのであるよ、ルクルット。

 

どちらにせよ、おぬしがモモン殿に勝るところなど、その前向きさと、索敵能力くらいなのだからな。それを捨ててどうするというのだ?」

 

「…説教かよ?」

 

「これでも年上で、司祭である故な。」

 

そういわれて、ルクルットは一度下を向き、顔に手を当て、息をゆっくり吸うと、叫んだ。

 

「あー!ったくよぉ。…そうだな。前向きさが俺の長所だ!うじうじしてても仕方ねぇ!俺は次の出会いを求めていく!」

 

「あ、そうなるんだ」

 

その様子を見て、在庫を持ちながら、少し笑いつつ、眉にしわを寄せてペテルが言う。

 

「こら。遊んでないで手を動かせ、お前ら。すみません、ンフィーレアさん、オルドナンスさん。雑談ばっかで。」

 

「いえ、そんな、全然全然!僕からすると、そういう話はすごい興味があるし…。それに、そうやってすぐに前を向ける、ルクルットさんの生き方は、素直にすごいと思います。僕だったら…たぶん無理ですし。」

 

「そうだねェ。それはなかなかできることじゃぁない。僕はできなかったから、多少うらやましくすら思うよ。」

 

ルクルットは、多少照れたような雰囲気で頭を搔いた。

 

「そうかぁ?いやぁ、そこまで言われると照れちまうな。ま、それほどでもあるけど。」

 

「はぁ…、全くすぐ調子に乗るんですから。そんな風だとまた振られますよ?」

 

「なんだとぉ!?振られてはねーし!」

 

じゃれ合いを始めるニニャとルクルット。そんな二人を見守りながら、ペテルはあきれながらもどこかほほえましい様子で、ダインは落ち着いた笑顔で見守っていた。

 

「まったく…。仕事中だってのに…。しょうがない奴らだ。」

 

「ふふ、まぁいいではないか。こういう時間も、たまには必要であるよ。…しかし、モモン氏とナーベ女史。あの二人とともに旅ができたことは、我々の中で得難いものであった。」

 

「あぁ、そうですね。本当に、ああいうのが「英雄」と呼ばれる人なのでしょう。同じ剣士としては、憧れも、妬ましさも感じてしまいますよ。」

 

「その気持ちがあるなら、まだまだ成長できるはずであるよ、ペテル。」

 

「…そうですね。そうであれば、いいと願っています。」

 

そういいながら、彼らは手を動かしていく。だんだんと薬草が積まれた箱がなくなっていき、そして最後のものを残して空になった。

 

「お疲れさまでした。これで分別は終わりです。おかげさまで助かりました。」

 

「そうだねェ。まぁ、この後酒場程度ならつきあってもいいよーん。どうせだし、僕のおごりでいいからネ。」

 

「おっ、太っ腹!できれば依頼料から抜かないでくれると助かるぜ!」

 

「ハハ、もちろんさ。依頼料はきっちりと払うとも。」

 

「ありがとうございます。それでは、ありがたくごちそうになります。」

 

ペテルは礼儀正しくいって、そして、店を出ようとした。そして扉を開けたところに、一人の女が立っていた。

 

艶めかしい体に、最低限の武装。全身を覆う黒赤色のローブ。

 

髪は切りそろえられており、顔だちも可憐だが、それを目に宿る狂気が台無しにしている。そんな女。

 

「…。どうも、こんにちは。お客様でしょうか?本日はもう店じまいなので、また後日来ていただけるとありがたいです。」

 

警戒心をみせないようにしつつ、剣がいつでもとれるように手を近づけるペテル。そんな彼を見て、女は、嗤った。

 

「えー?いやぁ、それは残念、残念、残念無念だねー。とっても欲しいモノがあったのに。とっても待っていたのになー。」

 

商品をただ買いに来ただけ、と思ったペテルは、少しだけ用心を和らげる。

 

「そうですか。それなら、取り置いておきますよ。いったい何の商品ですか?薬ですか?それとも魔物除けなどのアイテムですか?」

 

「んー?違う違う、どちらも違うよぉ?」

 

「というと?」

 

「ソレの名前は確か…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

瞬間、目を見開いたペテルの手が、剣の柄に触れる…。その2秒にも満たない間に。

 

女の体が弾けるようにして跳び、そして彼の腹部を突き刺した。

 

「がふっ!!」

 

そのまま、思い切り店の中まで突き飛ばされるペテル。そしてその勢いのまま、女は扉の中に入ると、ガチャリ、と後ろ手に扉を閉めた。

 

警戒をあらわにし、戦闘準備をする漆黒の剣の面々。

 

オルドナンスは腹を抑えてうずくまるペテルに駆け寄り、その腹に腕を突っ込んだ。

 

「ぐ、ぁあぁああ!」

 

「落ち着きなさい。内臓の傷を軽く縫合し、内側に魔法薬をばらまいた。激痛は走るだろうが、死にはしない。癒着によって長期的に多少の影響はあるが、今だけなら動けるはずだ。気合で抑えて立ち上がりたまえ。」

 

その様子を見て女が言う。

 

「へー、結構すごいじゃん。突然襲撃にあって、そこまで冷静に行動できるやつ、初めて見たよ。それにさ、致命傷を与えても直せるなんてかなり面倒だよねー。」

 

「そうかい。なら引いてくれるかい?」

 

「冗談。まぁ、アンタの相手は───ソイツに任せることにするよ。」

 

ぬるり、と。白い触腕のような何かが、オルドナンスの体をつかんで巻き取った。

 

「なっ─────────。」

 

「ニニャ!」

 

「ッ!」

 

反射的に、一番近くにいた彼女が、その腕をつかみ、そのまま奥の倉庫まで引きずり込まれる。

 

ルクルットは、下に目をやる。ペテルはなんとか剣を杖として立ち上がろうとしているが、痛みでまともに動けていない。ならば、と彼は女に向き合う。

 

「あーらら。あの子も味わいたかったんだけどなー。ま、仕方ないかー。」

 

「…お前らの目的は何だ?」

 

「いやぁ、実はねー?使用条件が厳しいアイテムがあってねー。それを使えないと、ここら一帯滅ぼせないのー。だから、ちょっとそこの坊やが必要ってわけ。」

 

「…そこまで話したってことは、当然俺ら全員生かして帰す気もない、ってことだよな。」

 

「当然、時間稼ぎに付き合うつもりもねー?」

 

チッとルクルットは舌打ちをする。そして、ぎょっとした様子で隣を見た。なぜなら、ンフィーレアが彼を通り過ぎて、前に歩み出ていたからであった。

 

「なっ…。待て、ンフィーレア!」

 

「へぇ、たしかに賢いじゃん、ンフィーレア君。こいつらはどうせ殺すけど、あんたは必ず生きて持って帰る。なら抵抗しない方が傷もつかずに安全にいけるってねー。」

 

「…えぇ、そうですね。確かに、今、ここにいるのは支援職二人と、傷を負ってまともに戦えない戦闘職一人。なら、あなたみたいな見るからに別格の相手に勝ち目はないでしょう。」

 

「ンフィーレア…?」

 

からから、と女は哄笑する。

 

「いい判断してんじゃん、そういう身の程をわきまえてる奴は嫌いじゃないよー。」

 

「えぇ、そうですね。…僕は、エンリにまだ告白もしてないんだ。ここで死ぬなんて、そんなのは絶対に…。いやだ。」

 

「ンフィーレア…。」

 

そして、ンフィーレアが女を通り過ぎた。

 

「だから…。()()()()()()()()。」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「は?」

 

そして、思い切りクレマンティーヌは顎をけられて吹き飛んだ。

 

 

 




やべぇ…。ノリノリで書いたけどわき道にそれまくってないか…?大丈夫か…?まぁ、漆黒の剣のメンバーは原作通りだと悲惨すぎるしな…。



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