思わず小悪魔を殴ってしまったユウスケは、その場で立ち尽くしていると、図書館の奥から落ち着いた声が聞こえてきた。
パチュリー「こあー、何か音がしたけど、本棚でも倒れたんですか?」
現れたのは紫色の服をまとった魔法使い、パチュリー・ノーレッジだった。彼女は倒れている小悪魔を見やり、次にユウスケに視線を向けた。
ユウスケ「あの、すみません。ズボンの中を覗かれてしまったので、つい本で殴ってしまいました。」
パチュリーは軽く顎を引きながら、「あなたがレミリアが話していたユウスケさんかしら?」と問いかけた。
ユウスケは少し気まずそうに頷いた。
パチュリー「少しお待ちを、始めからをやり直させて。」
そう言うと、彼女は本棚の後ろに一瞬隠れてから、再び軽やかに飛び出してきた。左手で顔を隠しながら、右手を優雅に前に差し出し、「大丈夫だったかしら、ハニー?」と言い出した。
ユウスケは一瞬動揺したものの、少し間を置いて「え~と、大丈夫だよ。ダーリン?」と返した。
パチュリーは一瞬黙り込み、顔をほんのり赤くして言った。「これ以降の台詞は小説には載ってなかったわね。勉強不足だわ。」そう言いながら、小悪魔に回復魔法をかけて続けた。
パチュリー「さて、ユウスケ。確かあなたの能力について、だったわね?」
ユウスケ「はい。」
パチュリー「そこにある椅子に座りなさい。今から魔法をかけるけど、これはセクハラではないから安心してね。」
ユウスケは苦笑しながら「そんなことでセクハラとは思いませんよ。」と答え、指定された椅子に腰を下ろした。
パチュリーは軽やかに魔法をかけ始め、ユウスケの能力を調べ始める。5分後、魔法陣が静かに閉じた。
パチュリー「終わったわ。あなたの能力は『命令する程度の能力』みたいね。」
ユウスケ「『命令する程度の能力』?」
パチュリー「ええ、魔法でそう出たわ。でも名前から察することができるけど実際の効果が見た方がわかりやすいかも。そこに倒れている小悪魔に起きろと命令してみなさい。」
ユウスケ「起きろ。」
ユウスケが命令すると、気を失っていた小悪魔は驚いたように目を開け、起き上がった。
ユウスケ「おお、本当に起きた。」
パチュリー「ひとつ気をつけてもらいたいのは、決して気軽に『死ね』などと言わないことよ。もしもそんなことを軽々しく口にしたら、ここで私が貴方を止めるわ。」
ユウスケは真剣な顔で「気をつけます」と応じた。
パチュリー「命令形でなければ作用しないみたいだから、なるべく丁寧さを心がけて話しなさいね。」
ユウスケは理解を示しつ、「分かりました。(そういえば、美鈴が襲ってきた時に彼女の体が突然止まったのは、能力が発動したせいだったのか)」と内心で考えた。
大図書館から出たユウスケは、待っていたかのように現れた咲夜に再び案内され、レミリアの元に戻った。
レミリア「お疲れ様、能力はどうだった?」
ユウスケ「命令する程度の能力みたいです。」
レミリアは興味を持った様子で、「なによそれ。誰にでも効くの?試しに私に何かやってみてよ」と尋ねた。
ユウスケ「レミリア、腕を上げろ。」
彼の言葉に応じて、レミリアの腕は彼女の意思とは関係なく上に上がった。レミリアは驚きつも面白がって微笑んだ。「これは本物のようね。私も抵抗できないわ。」
咲夜も興味深そうに、「人以外に使うとどうなるんですか?」と質問した。
ユウスケは近くにあったティーカップに「壊れろ」と命令した。すると、ティーカップはパキッと音を立て二つに割れた。
レミリアは少し残念そうに「私のダージリンが...」とため息をつく。
ユウスケ「直れ。」
彼がそう言うと、ティーカップは何事もなかったかのように元の形に戻った。
咲夜がカップを手に取り、よく見る。「これ、完全に戻ってますね。」
レミリアはカップをじっと見つめ、「中身のダージリン以外はね!」と少し拗ねたようにユウスケを睨む。
ユウスケは笑顔で謝り、「ごめん、ごめん。ダージリンよ、コップにいた時のように元通りに戻れ」と命じた。すると、液体が自らティーカップに戻っていった。
レミリアは嬉しそうに元に戻ったカップを手に取り、ダージリンを嗜んだ。「怖ろしいくらいに元通りね。」と感嘆の声を漏らした。
ユウスケ「パチュリーさんにも、言葉遣いには気をつけるようにって言われましたよ。」
レミリアはにっこりと微笑み、「分かってるなら大丈夫よ。」と言って、安心した様子で微笑みかけた。
ユウスケは少し考えてから、「能力がわかったので、明日にでも博麗神社に戻ったほうがいいですかね?」と提案した。しかし、レミリアはにやりと笑って、「何言ってるの?せっかくなんだから、巫女が取り返しに来るまでここにいなさい。」と断った。
咲夜も静かに同意し、「その能力を考えると、無闇に外にいるよりかは紅魔館の中にいた方が安心でしょうね。」と付け加えた。
ユウスケは、己の能力が他者に与える可能性に不安を覚え、「こんな、みんなを傷つけるような能力を持っている僕がいてもいいんですか?」と不安げに尋ねた。
レミリアはその問いに親しみを込めて答えた。「ユウスケが本当に危険な存在だったら、隙を見て始末したかもしれないけど、あなたは優しい心を持っているから心配いらないわ。それに、目の保養にもなるし。」とくすっと笑った。
ユウスケはその言葉に少し驚きつも、レミリアたちの厚意をありがたく受け入れることにした。