直線検事カルストンライトオ 事件解決も最速です   作:じゅぺっと

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やはり猫。猫は全てを幸せに解決する

「カルストンライトオ、動画投稿も最速です。チームミラクルずの合唱動画を投稿したのでお菓子下さい」

「ライトオさん、要求が即物的すぎるわよ! こほん。騎士として、この学園に更なる繁栄が有らんことを。そのための協力は惜しみません」

 

 直線最高速ウマ娘、カルストンライトオと騎士ウマ娘デュランダルはトレセンサブチャンネル登録1億人を目指す企画のために合唱動画を投稿することにした。

 ケイエスミラクル、ヒシミラクル、ダンツフレームとの5人の合唱が入ったUSBメモリを運営のウマ娘、ラブズオンリーユーに渡す。

 

「みんなのラブが溢れた歌ね! トレセンサブチャンネルへの協力ありがとう、控え室にお菓子が沢山おいてあるから好きなのもってってください」

 

 動画投稿に協力したウマ娘にはお礼のお菓子が渡されることになっている。

 運営のために用意された部屋の隅では、高そうなお菓子が山積みになっていた。

 

「たくさんあるわね……どれを持っていけばみんな喜んでくれるかしら」

「どれでもいいだろう。ケイちゃんもクーちゃんもフレちゃんもなんでも幸せそうに食べるからな」

 

 ここに来たのはライトオとデュランダルの2人だが、数日後にカフェテリアでケイエスミラクルとヒシミラクルとダンツフレームと集まってお菓子を食べる約束をしている。

 数年前の合唱コンクール以来秋が近づくとちょこちょこ集まるようになった組み合わせだ。

 お菓子選びに悩むデュランダルに、とあるウマ娘が声をかけた。

 

「したから苫小牧!」

「うわぁ!? タルマエさん!?」

「下からと言いつつ横から来たぞ、汚いなさすが忍者きたない!」

 

 ライトオたちに元気に声をかけたのは、北海道苫小牧のロコドルウマ娘、ホッコータルマエだ。

 現役で大活躍中であり、ダート路線ではあるが存在感と活躍度合いでいえば同期のジェンティルドンナにも匹敵する。

 

「誰が忍者ですか! 私は苫小牧のロコドルの頭だべ!?」

「あの……」

「苫小牧? どこだそこは? 外国? 歌?」

「北海道よ! どう聞いても日本語でしょう!」

「よいとまけ……」

「ぐぬぬ……苫小牧を知らしめるためにはまだまだ活躍しないと……!」

「タルマエさん、よいとまけを宣伝しましょう……!」

 

 3人の会話に割って入ったのはトリプルティアラウマ娘のスティルインラブ。

 実はずっと、ライトオがラヴズに動画のUSBを渡したときからいたのだが驚異的な影の薄さで気付かなかったのだ。

 

「いつからいたんだスティル。まさかお前の方が忍者だったのか?」

「ずっといました……」

「ご、ごめんなさい気付かなくて……それより、よいとまけって何かしら?」

「ありがとうスティルちゃん! よいとまけは、苫小牧が誇るハスカップを使った銘菓だべ!」

 

 タルマエは自信満々にロールケーキのようなお菓子、よいとまけをライトオたちに差し出す。

 デュランダルは丁寧に一礼してよいとまけを一切れ手にとって口に運んだ。

 

「んっ……美味しい! これならみらくるズの皆さんも喜んでくれるはず!」

「そうでしょう、ハスカップの酸味とロールケーキの甘味が両方合わさり最強のお菓子ですから!」

 

 満足して舌鼓を打つデュランダル。ライトオはその手をじっと見つめた。

 

「デュランダル、手が真っ赤に汚れているぞ」

「うそ!? 私の騎士道は既に血濡れていたというの……?」

「ハスカップのジャムですね……よいとまけはロールケーキの表面にジャムを塗るので、どうしても手に付きやすく……」

「なるほどな。焦って食べるからこうなる。まったく、外国かぶれのあさましい騎士だ」

 

 ライトオはよいとまけの側面を最速でつかみ、ひょいっと口に放り込んだ。

 

「ふぃふぁふぁふゅふぁんふぁる」

「見たかデュランダル、とか言ってるのでしょうけどあなたの手もがっつり汚れてるわよ!?」

「ごっくん。何故だ!?」

「ロールケーキの中にもたくさんジャムを練り込んであるので……側面を強くつかむとやはりジャムまみれに……」

「で、でも! 私とスティルちゃんの手作りよいとまけ、美味しいですよね!?」

 

 力強い気迫でじっと見つめてくるタルマエ。よほどよいとまけを、苫小牧を知らしめたいのだろう。

 そばに控えるスティルも、タルマエを応援しているらしい。

 

「手は汚れたが実際美味しい。せっかくだからもらおう。そしてみらくるズの全員の手を真っ赤にしてやる」

「巻き添えにしようとしない! でもありがとう2人とも、美味しいよいとまけ、喜んでいただくわ」

「ありがとうございます! 苫小牧をよろしくね!」

 

 よいとまけの入った箱を1つもらう。タルマエが元気良くお礼を言い、スティルが控えめにお辞儀をして別れた。

 そして数日後、ライトオとデュランダルはよいとまけを持ってカフェテリアに向かった。

 

「なるほど~じゃあよいとまけはフォークで刺して食べればいいのかな? ケイちゃん」

「そうだねクーちゃん。おれ、全員のフォーク持ってくるよ」

「ミラクル先輩、私が持ってきます!」

「しまった、その手があったか!」

「先に全部話したらそりゃそうなるわよ!?」

 

 というわけで、よいとまけはチームみらくるズの手を汚すことなく美味しく頂かれることになった。

 話題になるのは、先日のやりとりのこと。

 

「スティルちゃん、運営頑張ってるよね~おやつの動画とかも上げてるし……」

「トレーナーを同じくするタルマエさんとも上手くやれているようで何よりだわ」

「そうだね。……あの時、一緒に学園に帰ってこられてよかった」

 

 ケイエスミラクルが、しんみりと気持ちを込めて口にすると、みんな目を伏せて黙った。

 ライトオにはその理由が思い当たらず、首をかしげる。

 

「どうした、スティルと何かあったのか?」

「ライトオちゃん、忘れちゃった……? ほら、温泉旅館でスティルちゃんとそのトレーナーさんが……」

 

 ダンツが声を潜めて言う。それを聞いてライトオは思い出した。

 

「ああ、スティルとトレーナーの脱走事件か。思えばあの場に居合わせたのはまさにミラクルとしか言いようがなかったな。おかげで最速で解決できたが。

 忘れもしません、あれは私がVRウマレータで猫になった翌日のこと」

「今さっきまで忘れてたじゃないの!!」

 

 その場の全員は回想する。

 あれはチームミラクルずが一泊2日の温泉旅行に出掛けた夜だった。

 

 

 

「ねこっねこっねこっ! にゃーにゃーにゃー。ねこっねこっねこっ! にゃーにゃーにゃー!」

「ライトオさん、静かになさいっ! もう寝ている人もいる時間なのよ!」

「すまん。VRウマレーターで本物の猫になったことを思い出してつい」

「ライトオちゃんは寝る前でも元気だね~お布団もしいたしわたしもう眠くて……」

 

 ご飯を食べて、たくさんお喋りして。日付けも変わりそうな深夜。

 いよいよ電気を消してあとは静かに寝るだけとなったからか。

 ウマ娘特有の聴覚が、かすかに聞き覚えのある声を捉えたのだ。

 

『幸せです。本当に……━━幸せ……』

「……なんか今、スティルちゃんの声しなかった?」

 

 一番最初に反応したのはスティル本人と親交のあるヒシミラクルだった。続けてデュランダルも辺りを見回す。

 

「スティルさんも旅行に来ているのかしら……? いやでも、我が君によれば彼女のトレーナーは絶対安静の入院中で、スティルさんも大変心を痛めていたとスイープさんが言っていたけれど……」

「そういえばカフェちゃんも……あの2人を心配してたね」

 

 ダンツフレームも不審に思って布団から体を起こした。

 ケイエスミラクルも、不思議な声に耳を澄ませていたのだが……突然、大きく目を見開いて立ち上がった。

 

「どうしたの、ケイちゃん?」

「……病人の吐息がする。かなり良くない状態の。おれ、探してみるよ。みんなは寝てて」

「みんなは寝てて? まだ12時になっていないのに何を寝ぼけたことを言っているケイちゃん。全員で探した方が速いに決まっているだろう。既に寝巻きから浴衣に着替え済みだ」

 

 ライトオは、周りがざわつき始めたとき既に着替えていた。

 この旅館でスティルの幸せそうな声がすることが異常事態。そう判断し、全員で部屋を出て耳を澄ませながら歩く。

 不思議なことに、温泉旅館であり各部屋の鍵やセキュリティがあるはずなのにあっさりスティルの部屋にたどり着いて襖を開けることができた。

 

「……!?」

 

 スティルは心底驚いてチームミラクルずを見た。こんなことはあり得ない、そう赤い瞳が言っている。

 問題なのは、彼女の膝で目を閉じているトレーナーは明らかに生気がなく、やつれていて。素人目には生死の区別すらつかない状態であることだった。

 

「やっぱり、スティルちゃん……トレーナーさんどうしたの? 怪我したの?」

「たいへんだ、すぐ病院に運ばないと……! スティル、救急車は呼んでる!?」

 

 ケイエスミラクルは元々体が弱く病院暮らし故に、病人の対処に慣れている。理学療法士としての勉強もしている彼女がここまで真剣になることからトレーナーの状態が伺えた。

 慌てるミラクル達を見て、スティルは……どこか安心したように微笑んだ。

 

「ああ、でもよかった……これでトレーナーさんは助かる。それだけが、心残りでしたから……」

 

 その微笑みは、見るものをまったく安心させない。自分の膝元のトレーナーに別れを告げるように、離れていく。

 まるで、幽霊のように。ウマ娘としての足を使うこともなく。するりと。

 

「スティルちゃん、どうしたの……!? スティルちゃんの大好きなトレーナーさんが危ないんだよ、スティルちゃんが側にいなくてどうするの!?」

「……私はもう。トレーナーさんのお側にいることが出来ません。私は……向こうに帰らなくては。トレーナーさんは、本当に死んでしまう」

「なに言ってるの? 意味わかんないよ! スティルちゃんが帰るのはトレセン学園でしょ!?」

 

 ヒシミラクルが痛切に訴える。スティルとトレーナーの間に何があったのかヒシミラクルにはまったくわからない。説明されたところでスティルの狂気とトレーナーの意識の混濁など理解不能だろう。

 まるで亡霊のように、スティルの体が薄れていく異常な光景にダンツもデュランダルも顔面蒼白で立ち尽くしている。

 ただケイエスミラクルだけは、スティルの狂気の行動を理解した。

 

「……スティル。君はいなくなるつもりなんだね。トレーナーや周りのために。もうとっくに覚悟は決めていたんだろう」

「……よかった。ケイエスミラクルさんなら、わかってくれるような気がしました。私のトレーナーさんを……助けてくれますよね?」

「もちろん。何があっても助けてみせる。安心して」

 

 大切な人のためなら自分の命を犠牲にする覚悟。それがこの2人にはある。

 ただ違うのは、ケイエスミラクルは既に思い止まったこと。

 

「でもねスティル。それはよくないよ。なにもよくないんだ。ひとつも、全然。……そうだろう、ライトオ」

 

 ケイエスミラクルはスティルのトレーナーにせめてもの回復体位と応急処置をしながら、声だけをライトオに向けた。

 ライトオはいつも通り真顔で頷いて言った。

 

「なるほど、これは重傷だな。トレーナーだけでなくスティルもだ。お前達に必要なのはカロリー爆弾のフルコースではなく病院の栄養食だ」

「ライトオさん! さすがに空気を読みなさいっ!!」

「お前こそ何を突っ立っているデュランダル。さっさとデュラトレに連絡しろ。スティルトレが病院で絶対安静にも関わらずこんなところにいるなら今頃大騒ぎになっているはずだ」

「はっ!? そ、そういえば今夜は我が君からのお褒めの言葉が届いていない……まさか!」

 

 デュランダルが己のスマホを取り出してデュラトレに急いで連絡する。深夜だというのに即繋がってスティルトレが病院から失踪したことを告げられた。

 

「ライトオちゃん、私にできることってあるかな!?」

「ダンツはカフェに連絡してくれ。カフェとスティルは珈琲仲間のはずだし今のスティルはどう見てもオカルト案件だ」

「わかった、カフェちゃん、夜分遅くにごめんね……!」

 

 ダンツもカフェに連絡を取り始めた。

 その様子をスティルは見ているが、どんどん体が紅く、その輪郭が歪んでいく。

 

「……お願いします。ワタシのような、罪深い存在は……もう、トレセン学園にいてはいけないんです」

「罪? スティルトレをお前が誘拐したのか? まぁ今はどうでも良い。罪を犯したもののやるべきことは然るべき場所で判決を受けることだ。無断でこの世から消え去ることではない。検事の娘として断言してやる」

 

 ライトオは目の前の尋常でない様子のスティル相手だろうと堂々と言いきった。

 

「わかんないけど、スティルちゃんと二度と会えないなんて嫌だよ……! お願い、わたしたちと帰ろう……!」

 

 ヒシミラクルが泣きながら、スティルの腕をつかもうとする。しかしその手は、もはやこの世に存在しないかのようにすり抜けた。

 

「さようなら、皆さん……どうか私のことは忘れて……幸せに、生きてください」

「待った! スティル、どうせこの世から消え去るつもりなら最後になぜこんなことをしたのかくらい言え。辞世のハイクだ。私がカイシャクをしてやる」

 

 その言葉に、全員がライトオを見た。スティルの死を認めるような発言だが、ライトオの目には一切の揺らぎも諦めもない。

 スティルもその赤い瞳でトレーナーを見て、今生の別れを告げるために証言をした。

 

「……トレーナーさんがこうなったのは全てワタシのせいなんです。

 スティルインラブというウマ娘がこの世に存在する限り、トレーナーさんの体は治らない。

 だから……トレーナーさんの人生を幸せにするには、私がこの世から消え去るしかな」

「異議あり!!」

 

 ライトオが、旅館中に響き渡りそうな声で異議を唱えた。

 まっすぐ、相手が半ば亡霊と化したウマ娘だろうとも。ライトオは、最速で直線的に真実を追求するのを止めない。

 

「スティルインラブというウマ娘が存在する限り、スティルトレーナーは人として幸せになれない。

 そこはいったん認めても良いだろう。これだけ騒いでいるのにこの旅館には私たちしか存在しないかのように静まり返っていることがこの場の異常さを裏付けている」

「でしたら、何故……」

 

 ライトオは、自信満々に。絶対の確信をもってこの事件を解決する方法を告げた。

 

「ならばウマ娘から猫になればいいではないか。1人で抱え込むとドンドン視野が狭くなる。猫の視野の広さを見習うべきそうすべき」

「……………………は? 猫?」

 

 スティルが完全に呆気に取られた顔をする。ライトオのあまりに荒唐無稽な発言に混乱していた。

 

「そうだ、この際お前のトレーナーも猫にしてしまえばいい。2人が共にいられないのはトレーナーが人間だからだ。体が弱いからだ」

「なに言ってるの……? 頭、大丈夫ですか……?」

「ああっ、スティルちゃんが混乱して宇宙猫になった!!」

 

 混乱のせいか、ひとまずスティルの体が消え去るのは止められた。

 ヒシミラクルも混乱していたが、ケイエスミラクルにはライトオの主旨がわかったようだった。

 

「そうか、VRウマレーター……ライトオはそこで身も心も猫になったんだったね」

「さすがケイちゃんの理解速度は格が違った。猫になればお前はウマ娘ではなくなる。重傷のトレーナーも人の身ではなくなる。お前達の幸せを阻むものはなにもない。よってお前達は猫になれ」

「そんな、めちゃくちゃなこと……納得、できるわけが……」

 

 スティルの体は相変わらず消えかけたままだ。だが完全に消滅はしていない。

 

「スティル。トレーナーさんには感謝してるだろう? その感謝は……何年かけてでも手渡しで返さなきゃいけない」

「私も……できることなら、それが一番……!」

「なら、一番よいことをしよう。トレーナーさんを治す方法は、おれも全力で考える。だからトレセンに帰ろう。トレーナーさんが治るまで猫の姿でいればいいさ」

 

 ケイエスミラクルはスティルの気持ちに寄り添って話している。

 さらにデュランダルと己のスマホをスティルに向けてスピーカーをオンにした。

 

『ちょっとスティル!! アンタとんでもない悪さをしでかしてくれたわね!! アタシと使い魔がどんだけ心配したと思ってるのよ!? 直接文句をいわないと気が済まないから、早く帰ってきなさい!! 絶対よ!?』

 

 魔女の怒号が聞こえてくる。スティルの大切な友人の声だ。

 続けてダンツも、そっとスマホをスティルに向けた。

 

『マンハッタンカフェです……スティルさん、あなたの中の魔物は、あなたの大事なもの……付き合い方なら、私からお伝えできることもあるでしょう……。

 私としても……珈琲の深い話ができる友人を、喪いたくはありません……』

 

 静かだが、切なる願いを込めたスティルの友人の声だ。

 この世を去ろうとしていたスティルの体が、どんどん実体を取り戻していく。

 トレーナーへの想いや友人の声でこの世を去る決意が揺らいだのだろう。

 

「口では嫌がっていても体は正直ですね。デュランダル、ダンツ、ケイちゃんクーちゃん。数の暴力大作戦でスティルを取り押さえましょう。トリプルティアラだろうと1対5で勝てるわけがない」

「そんな騎士道に反する行為はお断りよ! ……と言いたいところだけど、我が君からもなんとしてでも2人を助けてくれと令呪をもって命じられたわ」

 

 ライトオとデュランダルが、スティルの体をがっちりとホールドする。

 

「スティルちゃん……またお菓子一緒に食べよう? 食べすぎて、2人でトレーナーさんに注意されるの……楽しかったよね? スティルちゃん、幸せだったよね?」

「はい、もちろん……ええ、本当に、幸せでした……!!」

 

 ヒシミラクルも、べそべそに泣きながらスティルの体をもう消えないように抱き締めた。

 スティルのトレーナーが病院へ搬送され、一命を取り留めたのを確認したあとチームミラクルずはスティルと共に学園に戻った。

 

『まぁ……このウマ娘を当分猫ちゃんに? わかったわ。他ならぬライトオちゃんの頼みだもの。特別よ?』

 

 三女神AIの一角、ゴドルフィンバルブにライトオが頭を下げ、スティルインラブを猫にした。

 猫になるとウマ娘や人間の言葉はさっぱりわからなくなり、走りも上手く認識できなくなるためスティルの獰猛な獣が目覚めることもなかった。

 そしてスイープやカフェが魔法とオカルトでスティルトレをなんやかんやして、今でもスティルとそのトレーナーはトレセン学園に在籍している。

 これが、チームミラクルずが遭遇したスティルとトレーナー失踪事件の全貌だ。

 

「やはり猫。猫は全てを最速で解決する。だいたい、私たちの世界観で自殺なんて許されるわけがないんだ」

「そうだね……おれも、今でもこうして皆と話せることがとても幸せだよ」

 

 ライトオとケイエスミラクルが、それぞれの感想を言う。ヒシミラクルとダンツは思い出し泣きをしていた。

 

「さて皆さん! しんみりするのもいいけどそろそろサブチャンネル1億人突破記念MV が発表される時間よ」

 

 デュランダルが、騎士としてみんなを現実に引き戻した。

 ちょうど動画では、スティルインラブとラヴズオンリーユー、フサイチパンドラ、カレンチャンが1億人突破のコメント返しを終えたところだった。

 

『さぁみんなで~めにしゅき♡ラッシュしゅ!!』

 

 ティアラウマ娘4人がハートマークを作り、その中央にアストンマーチャンが堂々と辻写りをして、新曲MVが公開された。

 愛らしく踊るスティルインラブを見て、ヒシミラクルはポツリと呟く。

 

「なんかさ。こうして幸せそうなスティルちゃんを見てるとあの日のことは全部わたしたちの見た夢だったんじゃないかって気がするんだよね」

「そうかもしれない。私もいまいち前後のことが思い出せないが、この際どうでもいいだろう」

「どうでもいい……のかな?」

 

 首をかしげるダンツフレームに、ライトオはいつも通り真顔で自信満々に言った。

 

「スティルとスティルトレは死にかけにも関わらず温泉旅館に行った。だがなんやかんやトレセン学園に戻ってきたし今も元気にやっている。それが真実だ。私たちがあの日見たものが夢幻だったとして、それだけは変わらないのだから」




ウマ娘4.5周年を迎えましたね。
スティル実装の強烈なシナリオに始まりめにしゅきラッシュしゅの可愛さに満足してたら急にミラクルずとライトオのイベントが始まってしまいもう感情のジェット機状態でした。

ライトオのSSRサポカではライトオがVRウマレーターで猫になる展開が披露され、人間もウマ娘の言葉もまったく通じなくなっていたのでいっそスティルもこうしてしまえば平和になるのでは?と思って話を組みました。

『ことば、こころ、ひびけ』においてもライトオはケイエスミラクルの自己犠牲を全否定していたのでもしなにかの奇跡でスティルの温泉旅行に出くわせばあの結末を全否定するだろうな……と。

私の脳内ではスティル&タルマエトレーナーも相当キャラの濃いトレーナーになっているのでまた何かの事件でご登場願いたいし、ステイゴールドやアドマイヤグルーヴにも出てきてほしいなと思っています。

あとがきが長くなりましたが、これからのウマ娘も楽しみですね。今回のライトオの供給でまだまだこの作品もやっていけそうです。
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