個人的にぬ〜べ〜で好きな話なのでオマージュしてみたかった
「スグ、ちょっとお母さん買い物に行って来るからお風呂を掃除しといてちょうだい!」
「分かったよ母さん」
「流石スグル君!お手伝いとは偉いでウィスねぇ〜!」
町の結界の修復から数日、その日もいつも通りの日常で終わるはずだった。
母さんに言われた通りにお風呂掃除をしようとお風呂場に向かうと急に妖怪センサーが鳴り出した!
「うわっここ家の中だぞ!?」
「どうやらお風呂場の方からでウィス!」
走ってお風呂場に向かい戸を開けるとお風呂場にはゴミがぶち撒けられていた、これも妖怪の仕業か!
ウィスパーに言われる前にサーチライトを当てると2体の妖怪が現れた。
「ちらかし!ちらかし!さっさとちらかし!」
「ポンコツにな〜れ」
「ウィスパー、アイツらは?」
「えーとえーと!そう!アイツらは妖怪ちらかし家来と妖怪ポン骨!部屋をちらかし放題にしてしまう妖怪と取り憑いたものをダメにしてしまう妖怪でウィス!おそらくアイツらがお風呂場にゴミをぶち撒けてお風呂の給湯器を壊してしまったんでしょう」
「マジでふざけんなよ…」
とりあえず人の仕事を増やしやがって…!とものすごくイラッと来たので問答無用でバトルでわからせる。
呪力を纏った拳と蹴りでボコボコにして土下座させる、幸いにもそう強くなかった。
やはり暴力…暴力こそが全てを解決する…!(師匠の影響)
「で?なんでウチでやりたい放題してたんだ?」
「拙者たちはこの近所の風呂場を汚したり給湯器を壊したりするように言われてやったんだ…」
「妖怪オシラセッターに書き込みがあったんだよ」
見せられた妖怪Padには匿名で「ちらかしor故障させるのやってくれる妖怪募集!」と表示されている、この記事によると結構な数のちらかし家来やポン骨、その他イタズラ好きの妖怪が参加しているらしい。
「スグル君もクエストを解決したから分かったと思いますが妖怪の世界ではオナヤミやクエストを解決すると積んだ幸徳がお金やアイテムや食べ物に変化したりゲームでいうところの経験値になります、経験値を積むと姿の変わる妖怪もいるので基本的に妖怪はみんなクエストは進んでやりますね」
「今回はクエストというよりも悪いことやらせてるんだから闇バイトじゃないか?」
なるほど…積んだ幸徳=お金とアイテムや食べ物、経験値か、通りで最近お財布が小銭で重いと思った。
「人間にとっての善と妖怪にとっての本能ってちょっと相容れないところありますし、まぁ難しい話は置いといてまずはお風呂場を掃除しないとでウィスよ」
「そうだな、君たちもやった以上手伝え」
「ちらかすことが生き甲斐の拙者に片付けろと申すか!」
「自分は何やってもポンコツなんで…」
「手伝え」
「「アッハイ」」
ウィスパーも参加させて(ちょっとは執事らしいことしろ)なんとかお風呂場をそこそこキレイに出来た僕たちだった、しかし給湯器は壊れたままだった。
ちらかし家来とポン骨は掃除が終わり次第、妖怪メダルを置いて帰った、一応友達ということでいいのかな。
悩んでいるとやがて母さんが帰って来た。
「ただいま〜、さっきご近所さんと話題になったんだけどこの辺で給湯器を壊してお風呂場を汚す空き巣が多発しているらしいのよ」
「おかえり〜、ごめん母さん。ウチもやられた」
「!?スグは空き巣に襲われたりしてないわよね!?」
「僕が目を離した隙だから会ってはいないよ」
「良かった…スグルが無事で…!」
母さんを出迎えると母さんは慌てて僕が怪我をしていないか確かめて来た、そして「良い事、スグル。犯罪に巻き込まれたり危ない人に会ったらまず逃げて周囲に相談してあとはお巡りさんに通報しなさい。給湯器は修理すれば直るけれどスグルはこの世でたった1人の母さんにとっても父さんにとっても大切な子なんだからね」と念押しされた。
「フツーの母親は我が子が犯罪者とニアミスするところだったら心配一択でウィス、スグルきゅんは良いお母さまを持ちましたねぇ」
「ああ、本当にそうだよ」
そうこうしていると父さんも帰って来て同じやりとりをした、ここまで心配されるとちょっと恥ずかしいぞ。
そして夕食を食べている時に父さんはこう切り出した。
「よし!今日は銭湯に行こうか」
「銭湯って団々坂にある古いところだよね?」
「あら、あそこは近いうちにリニューアルオープンするためにしばらく休業するらしいから丁度良いわね!」
夕食のあと腹ごなしに歩いて銭湯に向かうと銭湯は人でごった返していた。
これもさっきの匿名のオナヤミのせいだろう、さっきから「ウチも給湯器をやられて〜」「ウチは汚されて〜」「ええっお宅も?」みたいな会話がひっきりなしに聞こえてくる。
「よぉ!スグルじゃねぇか!」
「スグルじゃん、君のウチも空き巣にやられたの?」
脱衣所に入ると腰にタオルを巻いたクマとカンチが話しかけて来た、どうやら2人ともこれから入るところだったみたいだ。
お互いの父さんたちは挨拶を交わしている。
「ああ、ウチのお風呂場が汚されて給湯器がやられてね。君たちの家もそうかい」
「オレん家もだ、でもウチって一階が父ちゃんたちの仕事場だろ?だから空き巣とか入れないと思うんだけどな」
「ウチは監視カメラついてるのにやられたよ、今回の空き巣はそれこそ何かトリックを使ってるね」
そうだね、トリック(妖怪)使ってるね。ミステリーでやったらノックスさんもブチ切れ案件だよ。
それにしても妖怪の力を悪用するとこういう事も出来るのか…僕の呪霊操術でも同じこと出来そうだけどミイラ取りがミイラにならないように気をつけないとな。
僕は弱者を守るっていう正しいことにこの力を使うって決めたんだから!
そう心を引き締めているといきなり「よう、夏油」と後ろから声をかけられた、この完全な気配の消し方と声は…。
「甚爾お師匠ですね、普通に話しかけてくださいよ」
「普通に話かけただろ、昔俺が会ったガキに比べればまだまだだな」
振り返ると普通に師匠が立っていた、しかし父さんが僕の前に立つと「ウチの息子とはどのような関係で?」と剣呑なムードになってしまった。
まぁお師匠カタギには見えないし実際呪術ヤクザの家の出身だしな…。
「父さん、この人は最近僕らに護身術を教えてくれてる格闘家の人だよ」
「オタクの息子が俺の嫁さんを助けてくれてな…礼をしたいって言ったら体術を教えてくれって言われたんだよ」
「…なるほどそうでしたか、息子がいつもお世話になっております」
よしなんとかセーフ、恵子さんを助けたこととか最近ボランティアの人に護身術を習ってるとか話しといて良かった…!
とりあえず張り詰めた空気も緩んだしこれでようやくお風呂に入れるぞ。
この時の僕はまさか銭湯であんなことが起きるとは夢にも思っていなかったのだった。
次回、VS銭湯のヌシ(無断居座り)〜とんこつ風味〜