「頭のアンテナで風向きをチェック!!
そのネコ口は可愛さをアピール!!
美術部のミラクルガール!!
その名を栗原渚! なーんて呼ばれたりもしたっけ」
私、栗原渚は前世を憶えて産まれた人間…俗に言う転生者である。
前世から生物全般(ただしスズメバチとヒル、テメーらは駄目だ)が大好きで虫取りをしたり魚を釣ったり生き物を飼育したりしているうちに将来「図鑑の知識止まりではなく本気で生き物の勉強をしたい」と思うようになり高校卒業後は一流大学に入ってビオトープ管理士の資格を取った。
そして高校で美術部に入っていた頃からの夢「この国を人の暮らしと自然の調和のとれた環境にする」という夢を叶えようと思っていたのに外来種セアカゴケグモに噛まれて倒れて打ちどころが悪くて死んだ…と死後、転生女神様という存在から聞いた。
自分が死んだとまず宣告された時に真っ先に気になったのが「自分の飼育、担当している生き物の心配」だったからなんか善人判定されてもう1度生き直せる資格が与えられたらしい…飼育していた生き物も一緒に転生させてくれたそうだ。
そのついでというか転生者や世界を行き来出来たり神さまだったりする者達が集まる互助団体、通称SRW連盟に所属することになった。まぁたまに生き物に関する知識を求められたり前世の美術部での活動(並行世界ではマンガになってアニメ化もしてるらしい!)を聞かれたりしている。
生まれ変わった私はさくらニュータウンという前世には無かった街で育ち小学生になった。女神様が気を利かせてくれたのか生き物の飼育にも理解がある裕福な親の元に産まれ叔父さんは同じ町内でジャングルハンターというアクアリウム&テラリウムショップをやってるなど今世の環境に恵まれて暮らしている。
◇◆◇
最近、SRW連盟ではにわかに「虚億被害者」について話題になっているのでクラスメートの夏油スグル君に「見たことの無いものを見てしまう」と聞かれた時はまさかと思った。
なんでも世界と世界がぶつかり合ったり混じり合ったりすると衝撃で「本来の世界に起きる出来事」のヴィジョンを見てしまう人間が出るらしくスグル君はその事で悩んでいるらしい、とりあえずぼかした説明をして「力になれなくてゴメンね、でも研究している知り合い(SRW連盟有識者)に連絡して症状が良くならないか聞いてみるよ」と答えたらホッとした顔で「ありがとう」と言われた。
(スグル君を安心させられたようで何よりだよ、でも確か虚億って「何かのイレギュラーのあった世界」で起きる危機を知らせるものだってSRW連盟有識者は言ってたんだったな…この世界にも何かの危機が迫っているという事なのかな…とにかくスグル君を治療出来れば良いんだけど)
とりあえず世界の危機については後で有識者に聞こうと思うのだった。
◇◆◇
「ノンノン!ワタクシはお化けでは無くよ・う・か・い!妖怪でウィス!そちらの本日ウルトララッキーなお坊ちゃん!出してくれたお礼に今日からワンダフルに有能なワタクシが貴方の執事になって差し上げましょう!」
「えぇ…いらない」
「か〜ら〜の?」
「いや、本当にいらないんだってば!」
目の前では「事実は小説よりも奇なり」を地で行く出来事が起きている。
「とりあえず自己紹介したら?執事になりたいって事は雇用契約するかしないかだしお互いの名前を知ってからでも遅くはないでしょ、私は栗原渚だよ」
「ワタクシとしたら恩人に名乗らないとはとんだご無礼を!ワタクシの名前はウィスパー!しがない妖怪執事でウィス」
「夏油傑だ…言っとくけどよろしくするつもりは無いからな」
とムスッとした表情のスグル君、まぁいきなり変なのにひっつかれたらそうもなるかぁ。
スグル君の方を見ると手の中にまだ残りのコインが握られている事に気づいたので話かける。
「スグル君、私も次にガシャ回したいからコインちょうだい」
と訊ねると塩顔を驚愕に染めて「正気かい!?」と叫ばれた。ナイスリアクション。
私も考え無しにやってる訳じゃないとスグル君に耳打ちをする。
「(1度回せばウィスパーが出て来たならもう1度回せばまた封印出来るかもしれないでしょ)」
「(それもそうか…?でも君って本当に度胸あるというか別の妖怪が出て来たらどうするんだい)」
「ワタクシを置いてコソコソ話でウィスかぁ〜?最近の子はませてますねぇ〜」
とりあえず訝しげなスグル君からコインを受け取って投入口に入れる、スグル君にはああ言ったが実はさっきからガシャを回したくてしょうがないというかガシャに呼ばれているというか…とにかく運命と出会える予感!
ガシャン!とマシンが音を立てると今度は石の玉が2ついっぺんに出て来て両手で持ち上げるとさっきのように煙が上がって円陣が弾け飛んだ。
しかし今度現れた影は人型…成人男性くらいの影が飛び出して来て煙が晴れたら2人のイケメンと美丈夫が立っていたのだ。
「俺は大やもりだ、まだ引きこもってても良かったんだが渚に呼ばれたら出るしかねぇだろ!」
とまずは文字通り尻尾を思わせる長いポニーテールに黒い肌、和装のイケメンが名乗った。
「あらやだ先越されちゃったわ、私は女郎蜘蛛よ前世も今世もよろしくねぇ」
と次に蜘蛛を思わせる髪型をした歌舞伎役者のような姿の美丈夫が名乗った。
「エエエエエSランク古典妖怪ィィィィィ!!??」と耳元で騒ぐウィスパーに対して「ウィスパーうるさい」と虫取り網で押しのけるスグル君、なんか良いコンビなのではと側からは見える。
「スグル君!アータねぇ!妖怪はEからSまでのランク分けをされていてSランク妖怪と言ったらいわば凄い妖力を持った大妖怪なんでウィスよ!しかも御二方は歴史に名を残すような古典妖怪!イマドキ妖怪とは格が違う妖怪界のスーパースターなんでウィス!」
「いや、僕が妖怪に会ったの君が最初でついさっきだし、上とか下とか分かる訳無いだろ。君よりすごいのは分かるけど」
「そんなに言われると照れるわぁ」
「イマドキ妖怪の癖に分かってるじゃねぇか」
と何やら盛り上がっている1人と3体、でも聞き捨てならない台詞を言われたね。
「あのーお二人さん、私まだ名乗って無いよ…?あと前世って…」
そこまで言うとスタスタと側までやって来て大やもりと女郎蜘蛛は耳打ちして来た。
「(それは後で話すから今は話を合わせておいてくれ)」
「(積もる話も聞かれたく無い話もあるのよ)」
「(う、うん、わかったよ)」
幸いにもスグル君とウィスパーがやいのやいのしていたので気が付かれなかったようだ、それにしてもあたりはもう夕方で木の影から見える夕陽が茜色をしている、そろそろアキアカネが飛ぶなぁと思いつつ「仲良くなったのは良いけどそろそろ帰るよー」と声をかければ「仲良く無い!」と返された。
カブトムシ(忘れられた…)
妖怪ウォッチ(忘れられた…)
次回、初めての呪霊との遭遇と戦闘まで書きたいですね(書き溜めZERO)
なお現代ガシャからは大やもりも女郎蜘蛛も出ないだろ!というツッコミは勘弁してください
某乙女座のフラッグファイターが劇場版で普通に生存してた事に比べれば大したことないです