大変お待たせしました。
◇◇◇ side 夏油 傑 ◇◇◇
蛇炎の手によってドラえもんがタイムマシンで通る時のような空間を再び生身で飛び越えた僕たち、何十回も何百回もレイシフトしている藤丸立香って凄かったんだな…僕はとても慣れる気がしない。
吐き気や眩暈を堪えながら頭を上げるとそこはちょうどさくら小学校の屋上だった…集まった妖怪達の視線がこっちに向いているのが分かる、どうやら元の時間軸に戻れたようだ。
視界の隅で栗原さんが極オロチの手を借りて立ち上がったのが見える、無事で良かった。
甚爾師匠はピンピンしている…流石です師匠、正直師匠を猿呼ばわりした禪院家の連中はアホ過ぎて滅んで当然だと思う。
ただフィジカルギフテッドを猿呼ばわりは未来の僕もやってたんだよなぁ………ああはなりたくない!
大庭さんとT-USAピョンとロボニャンも側にいる、僕等を殺したい理由は痛いくらい理解出来たけれど「はい、そうですか」と殺されるわけにはいかないんだ!
「未来を見てきた感想はどうだった?」
「最悪だったよ…でも、自分のやるべきことが見えた」
「とにかく今は空くん…いや、皆のためにもイカカモネを何とかしなくちゃ!」
「俺としてもあんなドブカスみてぇな未来はゴメンだぜ」
僕たちは感想を尋ねて来た鬼KINGにそう答える、あんな未来が来ると分かっていたら妖怪たちだって僕と甚爾師匠と友達になろうという気は湧かないだろう。
しかし、今の僕に出来ることは言葉と誠意を尽くすことだけだ!
「みんな…聞いてくれ!」と僕は声を上げる、妖怪達の視線が僕に集中した。
「僕は絶対イカカモネと羂索を倒さなければならない!!」
「僕は全部を守る!!」
「弱い人も、強い人も、この町も、みんなも!!」
「だから頼む!!みんなの力を貸してくれないか!!!」
「僕のともだちになってくれ!!!」
僕は力の限り声を張り上げて「みんな」に呼びかけた。
そうだ…弱い人にも悪い奴はいて強い奴にも良い人はいる。
良い人だって悪いことをするかもしれないし悪い奴も良いことをするかもしれない。
良い人だった人が悪の道に堕ちるかもしれないし悪い奴だった人が改心するかもしれない。
妖怪だって同じだ、困ったことをやらかす事もあるけど良い事をやる事もある。
人間も妖怪も複雑だけど良い方にも悪い方にも変われる生き物なんだ!!
それを害するのが呪いなんだ…僕に出来ることはみんな…いや、大切な人と妖怪達のために呪いを祓って呪霊操術で操ること!!
だから僕は何が何でも羂索を倒さなければならない、アイツは僕らを不幸にする元凶だ!!!
そう言い終えて肩で息をしていると急に空気がひんやりして側に百鬼姫、ふぶき姫、椿姫が浮かんでいた…すると彼女達は自分のメダルを差し出して来たではないか。
「ちゃんと言えマシタネー!合格デース!!」
「正直、ヒヤヒヤしとったけどこれなら大丈夫そうばい!!」
「ハイ、これが私達のメダルよ。今日から友達ね!」
彼女たちがそう言ったと思うと僕の周りに妖怪達が集まって僕と栗原さんを揉みくちゃにしながら次々とメダルを差し出して来るではないか!
認められたって事で良いんだよな、僕たちはお礼を返しながらメダルを受け取っていった。
「まぁ、及第点かな。ボクも生徒が心配だからね」キュウビ先生はそう言いながらメダルをくれた、まだ及第点なのか…?
ウィスパーは「流石スグル君!ナイスな演説でしたよ!!」と何故か涙を流している、ジバニャンは「オレっちも最後まで付き合うニャン!!」と気合いを入れているようだ。
甚爾師匠も「俺も嫁さんと子供…あとコマさんとコマじろうとコマみ、弟子2人は大事だ。それを守るためにも頼む!」と言って頭を下げた、すると妖怪達は甚爾師匠にもメダルを渡していたのだった。
そんな僕らを見ていた大庭さんとT-USAピョンとロボニャンも「これなら大丈夫そうじゃない?」「いや、正直わからないダニ。わからないうちは見逃してやるダニ」「私はメダルを渡すがな!」と言ってロボニャンはメダルをくれた、僕らがやったことを考えたら見逃してくれるだけで充分だよ。
◇◇◇
一通りメダルを受け取った僕たち、すると鬼KINGが「このままイカカモネの元に攻め込むぞ!兵は神速を貴ぶだ!!」と号令をかける。
キュウビ先生の話だと僕たちがウィスパーと大やもりと女郎蜘蛛と出会ったおおもり山の御神木が日本妖魔界へのゲートだというのだ、最初に出会った場所がラスダンになるのなんかRPGみたいだな(メメタァ!)
「イカカモネがふんぞり返っている日本妖魔界の玉座への最短ルートでもあるんだ」
「あー王族が有事の際に脱出する隠し通路的な感じかぁ」
「流石は渚!話が早いな!!」
「鍵は私が持っているぞ、父様の形見だ!」
そう言いながら蛇炎は何処からか鍵を取り出す、後はおおもり山に向かうだけだな!…となったところで大庭さんが待ったをかけた、何だよもう。
「私がイカカモネだったら自分が囮になっている隙にこの町の結界を破るように別働隊を動かすわ、結界さえ破れてしまえば妖気で復活出来るもの」
「一理あるな…では鬼の中でも腕利きを結界モニュメントの前に待機させておくぞ」
「流石大庭くん、相変わらず地味だけど優秀だ…」
「話は終わったか!?私は早く父様と母様の仇をドツキ回しに行きたいのだ!!」
蛇炎は腕をブンブン回して今にも飛び去りそうな勢いだ、そんな僕たちを纏めるようにウィスパーが「では、昔は軍師やってた私が号令をかけましょうかね」とかなんか言ってたので無視してさっさとマンタ呪霊を呼び出してジバニャンと甚爾師匠を乗せておおもり山に向かって飛び立つ(真面目系クズの片鱗)
栗原さんは魔女のように魔法の杖に乗って飛ぶ大庭さんの後ろに乗せてもらうようだ、あの飛び方はロマンあって良いなぁ。
果たして妖魔界とはどのような場所なのか………こんな時に不謹慎かもしれないけれどワクワクが止まらない!
ついさっきまで絶望で吐いたとは思えない心持ちになってしまう、だって男子小学生だもの!
なお、残されたウィスパーは「スグルきゅんの鬼!悪魔!!無駄に長い耳たぶ!!!」と騒いでいた。
久しぶりに書いたので物凄く難産でした。
蛇炎ちゃんが何で姫は継げない筈の閻魔族の力を持って生まれたかって?母親(カイラ空)の命をリリースしたからです。
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