遊戯王GX 宝玉獣に選ばれし少女   作:アロイ

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#8 みまちがえるな?カエルの王子さま

 

 秋も深まる頃。女子寮の一室で、絵本を音読するお姫さまがいた。

 

「王女はベッドの上の、その醜いカエルを掴み、叩きつけてしまいました。するとどうでしょう? カエルは美しい王子さまとなったのです。王子は魔法をかけられて、カエルの姿となっていたのでした。そして、王女さまと王子は幸せな結婚を……」

 

 そこで本を閉じて、窓から空を見上げた。その横顔は憂いを帯びていた。

 

 

 

 カノンが女子寮を歩いていると、見知らぬ女子生徒に声をかけられた。

 

「もし? そこのあなた」

「えっ? 私のこと?」

「えぇ、そうよ。わたしはローズ。ごきげんよう、一色カノン」

 

 青いドレスで着飾った少女がスカートの裾を軽く持ち上げた、カーテシーで挨拶する。まさに、お姫さまのようだった。

 

「あなたには、デュエルモンスターズの精霊が見えると、御学友たちから聞いているわ。それは本当かしら?」

「ああ、そうだよ」

 

 隠すようなことではないし、精霊に関する目撃情報や困り事があるなら、相談してもらいたい。

 

「実は…わたしにも精霊が見えるの」

「えっ!? キミも精霊が!?」

 

 茂木に続き、2人目だ。カノンが仲間を見つけたようなキラキラとした目で食いつく。

 

「えぇ、わたしを守ってくださるプリンスたちがね」

「プリンス…?」

「そう、王子さまよ」

 

 照れくさそうに、《デスガエル》のカードを見せてくる。

 

「あなただったら見えるでしょう? わたしの王子さまが!」

「王子さま…? カエルだけど?」

 

 見せるカードを間違えたのかと思ったが、その一言でローズが憤慨する。

 

「まぁ!? わたしの王子さまを、醜いカエルと見間違えるなんて!」

「いや、そんなつもりじゃ…。だって、そのカードはどう見ても…」

 

 前言を撤回しないカノンに対して、ローズが激怒して詰め寄った。

 

「いいわ。だったらデュエルよ! 王子さまがいるってこと、あなたに証明してあげる!」

「えぇ〜…」

 

 彼女の話を妄言と取るか悩む。カエルと王子さまというと、童話にあった、王女さまがカエルになった王子さまと結婚する話が浮かぶ。

 彼女に見えているのは精霊ではなく、思い込みが生み出した、イマジナリーフレンドのような存在かもしれない。

 

 だが、精霊が誰にでも見えるわけではないように、彼女の王子さまもまた、カノンに見えていないだけの可能性はある。

 

「…分かった。やろう」

 

 自分にしか見えない精霊、そんな存在がいてもおかしくはない。彼女とのデュエルを通じて、精霊に一歩でも近づくことができるなら、 喜んで受けて立とう。

 

 

 

 デュエルを承諾したカノンは、以前にも使用したブルー専用のデュエル場に来ていた。観客の中には、明日香たちも紛れている。

 

 カノンとローズが、デュエルリングの上に立つ。

 

「デュエルは美しく…が、私のモットー。美しいデュエルをしましょう?」

「私の場合は宝玉獣のためだ。お互い、精霊の期待に応えられるデュエルをしよう」

 

 お互いに自分のデッキをセットすると、デュエルディスクが変形した。

 

「「──決闘(デュエル)!!」」

 

カノン LP4000 VS LP4000 ローズ

 

「先行はこのわたし! ドロー!」

 

 デッキから1枚引いたローズが、手札のカードを横向きにしてディスクに置いた。

 

「わたしは《悪魂邪苦止(おたまじゃくし)》を、守備表示で召喚」

 

 不思議な模様をしたオタマジャクシが、ギョ、と小さく鳴いた。

 

 悪魂邪苦止 守備力0

 

「「美しくな〜い!!」」

「美しくない…?」

 

 観客席からジュンコとももえの声を拾ったローズが、ピクリと眉を動かす。

 

「うっ、急に悪寒が…」

「守備力0のモンスター…攻撃してくれと言っているようなものね」

 

 ケチをつけた二人に悪寒が走る。真ん中に座っている明日香が、真面目にモンスターの分析をする。

 

 

「私のターン、ドロー!」

 

 カノンがデッキのカードを引く。

 

「私は、《宝玉獣 アンバーマンモス》を攻撃表示で召喚」

 

 アンバーの宝玉が砕け、六本の牙を持つマンモスが現れる。額に埋め込まれた琥珀には、トンボのような昆虫の影が浮かんでいる。

 

 アンバーマンモス 攻撃力1700

 

「バトルだ! アンバーマンモスで、悪魂邪苦止を攻撃! アンバー・スタンプ!!」

 

 アンバーが地響きを立てながら迫り、悪魂邪苦止を爆散させる。ローズがその爆風から身を守りながらも食い下がる。

 

「っ…! 《悪魂邪苦止》の効果発動! 戦闘によって墓地へ送られた時、デッキから《悪魂邪苦止》を手札に加えることができます」

 

 デッキから加えたカードを指の間に挟んで、カノンに見せる。

 

「へぇ…面白そうなデッキだな」

『油断するなよ、カノン』

 

 同名モンスターが重要になるデッキ。使いこなすのは難しそうだ。

 

「私はカードを1枚伏せて、ターンエンド」

 

 カノンが警戒しながら、ローズにターンを渡した。

 

 

「わたしのターン、ドロー!」

 

 カードを引いたローズが、さっそく動き出す。

 

「魔法カード《イキカエル》を発動。手札の水属性モンスター、《悪魂邪苦止》を墓地へ送り、墓地の水属性モンスターを特殊召喚します」

 

 カードが墓地スロットに吸い込まれると、その奥が光り出す。

 

「わたしは、《悪魂邪苦止》を召喚」

 

 同名モンスターを捨ててまで特殊召喚したのは、生贄召喚のためだろう。

 

「悪魂邪苦止を生贄に、《デスガエル》を攻撃表示で召喚!」

「そのカードは…!」

 

 王子さまの精霊のカード。だが、フィールドに現れたのは、まさしくカエルと呼ぶに相応しい姿だった。

 

「これで終わりではありません。わたしの墓地には、2体の悪魂邪苦止がいます。悪魂邪苦止たちよ、たくましく成長した、その姿を見せて」

 

 デュエルリングを泳ぐ悪魂邪苦止に、手足が生える。水しぶきを上げながら跳ねて、フィールドに2体のデスガエルが着地した。

 

 デスガエル×3 攻撃力1900

 

「召喚した《デスガエル》の効果により、自分の墓地にいる“悪魂邪苦止”の数だけ、手札かデッキから、デスガエルを呼ぶことができるのです」

 

 頬を薔薇色に染めたローズが、デスガエルを見つめる。

 

「へぇ。やるな、お姫さま」

「改めて見てどう? わたしの王子さまたちは!」

 

 デスガエルたちが、ゲーロ、ゲーロと鳴き声を上げた。

 

「いや、それはどう見てもカエルにしか…」

「王子さまよッ!!」

 

 やはりカエルとは認められないようで、ローズが癇癪を起こす。

 

「わたしには見える。今は醜いカエルに身をやつしているけれど、いつでもこの私を守ってくれる、麗しの王子さまが…!」

 

 ローズにはそれぞれ別の姿をした王子さまに見えている。

 

「ほら、ここにいるじゃない?」

「王子さま…?」

「カエルにしか見えませんわ」

 

 観客席のジュンコとももえが、淡々と思ったことを呟いた。

 周囲の困惑にも負けず、ローズが必死に訴えかける。

 

「わたしには王子さまが見えるの!」

「う〜ん…」

 

 何と答えればいいのか唸る。よく目を凝らして見ても、ソリッドビジョンのデスガエルにしか見えない。

 

 そんなカノンに、ローズがしびれを切らす。

 

「デュエルを再開します! わたしは手札から魔法カード《死の合唱(デスコーラス)》を発動!」

 

 ローズが手札のカードをかざして、デュエルを決めにかかる。

 

「わたしのフィールドに、デスガエルが3体揃ったとき、相手フィールド上に存在する、すべてのカードを破壊します」

「なに!?」

 

 デスガエル専用の、まさに必殺カード。キラキラとした粒子がデスガエルの周りを舞う。

 

「これが決まれば、カノンの場に攻撃を防ぐ手段はなくなる…!」

「3回攻撃で、ライフゼロォ!?」

 

 観戦している明日香たちも、冷や汗をかいて心配する。

 

「デスガエルたち、わたしのために歌って!」

 

 大口を開けたデスガエルたちから、ゲロゲロゲロゲロと大きな鳴き声が響き、カノンが片手で耳を塞ぐ。もう片方の腕をバッと払って、伏せカードを開いた。

 

「くっ…罠発動!《宝玉の牙城》! このターン、アンバーマンモスは攻撃表示なら攻撃力を、守備表示なら守備力を400下げることで、あらゆる破壊から守られる!」

 

 デスガエルたちのデスコーラスによって、カノンが発動した罠カードと、アンバーマンモスの大きな牙が1本破壊される。

 

 アンバーマンモス 攻撃力1700→1300

 

『ぐおぅ…!』

「耐えてくれ、アンバーマンモス!」

 

 合唱を終えたデスガエルたちに、ニコニコとした笑顔のローズが、「ブラボー!」と拍手をする。

 

「3体のデスガエルで、アンバーマンモスを攻撃!」

『ぐおおおーッ!?』

 

 戦闘破壊を無効にする毎に、攻撃力が400ずつ下がるので、合計1200のダウン。アンバーの大きな牙が3本折れて、小さな牙が2本だけ残った。

 

 アンバーマンモス 攻撃力1300→100

 

「うわあああッ!!!」

 

 アンバーマンモスは破壊されないが、戦闘ダメージは受ける。600、1000、1400の合計3000ダメージの衝撃が、カノンを襲った。

 

 カノン LP4000(-3000)→1000

 

「カノンのライフが一気に1000ポイントに!」

 

 明日香が悲鳴のような声を上げる。ジュンコとももえの表情が沈んでいった。

 

「わたしのターンはまだ終わってません。3体のデスガエルを《融合》! いでよ、《ガエル・サンデス》!」

 

 融合素材となったデスガエル3体の空間が歪み、渦巻いて混ざり合う。フィールドに現れたのは、細長い口ヒゲを生やした巨大な醜いカエルだ。

 

 ガエルサンデス 攻撃力2500

 

「へぇ…強そうなモンスターだ」

「でしょでしょ!? さらにイケメンの王子さま!」

 

 ローズがガエルサンデスを見上げて頬を染める。その珍妙な光景に、褒めていたはずのカノンが引き気味になる。

 

「素敵でしょ? ターンを終了します」

 

 カエルたちとデュエルできるのが、心底楽しく仕方ないといった様子だ。

 

「カエルの王子さまの精霊か…」

 

 カノンがぼそりと呟く。実在しているかは不明だが、ローズとカエルたちの絆は確かにそこにある。でなければ、これほどまでにカードが応えてくれるはずがない。

 

 

「私のターン、ドロー!」

 

 カノンの場には攻撃力が大幅ダウンしたアンバーマンモスのみ。ならばと、反撃のカードをかざす。

 

「手札から、速攻魔法《宝玉の充填》を発動! アンバーマンモスの攻撃力か守備力を元に戻し、その数値分だけアップさせる!」

『うおおおーーッ!!』

 

 レインボーライフのようなカード。欠けていた大きな牙が充填され、力を取り戻したアンバーが鼻を高らかに上げる。

 

 アンバーマンモス 攻撃力100→3300

 

「宝玉の牙城とのコンボで、一気にパワーアップよ!」

「相手のモンスターの攻撃力を上回ったわ!」

 

 ローズが強ばった顔になる。カノンがすかさず攻撃を仕掛けた。

 

「やれ、アンバーマンモス! アンバー・スタンプ!!」

「きゃあっ!?」

 

 アンバーが地響きを立てながら駆け出し、自分より巨大な敵に突進して、ガエルサンデスを爆散させる。

 

 ローズ LP4000(-800)→3200

 

「なんてひどい方なの! わたしの王子さまを倒しちゃうなんて!」

「そんなこと言われてもなぁ…」

 

 無茶苦茶な言いがかりをつけられて、カノンが困った顔になる。

 

「私はカードを2枚伏せる」

 

 ディスクの空きスロットにカードを差し込む。

 

「このエンドフェイズに、アンバーマンモスは元々の攻撃力になる」

 

 《宝玉の充填》の上昇分は消えたが、欠けていた牙も攻撃力も元通りになる。

 

 アンバーマンモス 攻撃力3300→1700

 

 

「わたしのターン」

 

 がら空きの盤面でドローしたのは、ローズを救うカードだった。

 

「わたしのピンチに、王子さまは死の淵からも蘇る。魔法カード《死者蘇生》を発動して、墓地の《ガエル・サンデス》を特殊召喚します!」

「──!?」

 

 デュエルリングから、水しぶきを上げながら跳ねて、フィールドにガエルサンデスが着地する。

 

 ガエルサンデス 攻撃力2500

 

「ガエルサンデス、アンバーマンモスを飲み込んでしまいなさい!」

『くっ!?』

 

 大口を開けたガエルサンデスが、紫色の舌を伸ばして、アンバーマンモスを丸呑みにする。

 

 カノン LP1000(-800)→200

 

「アンバーマンモス!」

 

 捕まったことに焦るカノンだが、顔色の悪いガエルサンデスが何度も嘔吐いた。中からアンバーの宝玉が吐き出されて、カノンの場に戻ってくる。

 

「くっ…! だけど、もう攻撃モンスターは残っていない!」

「残念ね。こんな手もあるのよ? 速攻魔法《融合解除》! 融合モンスターをデッキに戻し、墓地から融合素材となったモンスターを特殊召喚する!」

「まずいわ!」

 

 カノンの場にモンスターはいない。1度でも攻撃を食らえば、それだけでライフは0。

 

「お帰りなさい、デスガエルたち」

 

 融合解除したデスガエルたちが着地して、ゲロゲロと鳴き出した。

 

 デスガエル×3 攻撃力1900

 

「王子様、悪い魔法使いをやっつけて!」

「悪い魔法使い…?」

 

 ただ童話の登場人物に重ねているだけなのか。それとも、カノンの姿そのものが魔法使いに見えているのか。

 

「デスガエルでダイレクトアタック! デス・リサイタル!!」

 

 デスガエルの鳴き声攻撃が、カノンを襲う。

 

「リバースカードオープン!《宝玉の双璧》!!」

 

 カードからサファイアとトパーズの幻影が飛び出し、デスガエルの鳴き声を無力化する。

 

「宝玉獣が戦闘で破壊されている場合、デッキから新たな宝玉を呼び出し、このターンに自分が受ける戦闘ダメージを0にする!」

 

 アンバーの宝玉に並んで、ルビーの宝玉が増える。間一髪のところで、相手の攻撃を防ぐことができた。

 

「まあ! なんていやらしい魔法使い!」

「だから、魔法使いじゃないってば!」

 

 ローズワールドに巻き込むのは勘弁してほしい。

 

「(こうなったら、すべてのカエルを…!)」

 

 ローズが手札のカードに目をやり、奥の手を繰り出す。

 

「わたしはデスガエル3体を生贄に、《両生類天使 -ミ・ガエル》を特殊召喚!」

 

 ずんぐりむっくりとしたオレンジ色のカエル。その背中には、天使のような翼が生えている。

 

 ミガエル 攻撃力1400

 

「攻撃力1400…?」

 

 3体を生贄にして召喚した割には、あまりにも低い攻撃力なため、何を考えているのかと警戒が強まる。

 

「ミガエルの特殊効果は、生贄にしたモンスターの数で決まる。3体を生贄にした場合、フィールド上の魔法・罠カードをすべて破壊する」

「それじゃあ、カノンの宝玉獣たちが!」

 

 溜めた宝玉を破壊されるのは、カノンにとって致命的だ。

 

「させない! 罠発動《ダイヤモンド・マテリアル》! すべての宝玉はダイヤモンドとなり、相手の効果で破壊されない!」

「っ!?」

 

 ルビーとアンバーの宝玉が、ダイヤモンドの宝玉に変化する。ミガエルの破壊効果をものともしない。

 

「まだよ! わたしがプレイしたガエルと名のつくモンスターを、可能な限り召喚できる効果を使います」

 

 デュエルリングから、デスガエル3体とガエルサンデスが水しぶきを上げて飛び跳ねる。

 

 デスガエル×3 攻撃力1900

 ガエルサンデス 攻撃力2500

 

「もうひとつ。相手のプレイヤーは、ミガエルを攻撃できない。これで、ターンを終了するわ」

 

 これまで活躍したカエルたちが、フィールドに勢揃いした。ローズと闘っている姿が、妙にしっくりきてしまう。

 

 対峙するカノンは、カエルにこだわるローズを不思議に思う。その根源に興味が湧いた。

 

「ローズ。どうしてキミは、このカエルたちを選んだんだ?」

 

 デッキにはデュエリストのポリシーが宿る。選ぶカード1つ1つに、その性格が色濃く反映されるのだ。

 

 カノンの問いに、ローズが真剣に答える。

 

「子供のときに、カエルの王子さまのお話を読んで、カエルはずっとわたしの王子さまで友達だったのよ。いつも一人ぼっちだったわたしを、ずぅーと守っていてくれた。そして、このカエルデッキと出会ったとき、わたしには見えたのよ、王子さまが!」

 

 その必死さに、カノンは己の過去と重ねていた。両親も誰も精霊を信じてくれず、悲しい思いをした記憶だ。そんなとき、孤独を紛らわしてくれたのは、精霊だけだった。

 

 ローズと目を合わせて語りかける。

 

「精霊はそれを信じる心に宿るんだ。その形が何であろうと、独りじゃないと励ましてくれる者こそ、精霊なんだ。あなたが信じてるなら、私も信じる」

 

 そう言った後、カノンが不敵な笑みを浮かべた。

 

「悪い魔法使いが、キミの大事な王子さまを、全部倒してやる!」

 

 カノンが『カエルの王子さま』の精霊を信じると、ローズが嬉しそうにはにかんだ。

 

「一色カノン…!」

 

 ルビーが姿を見せて、『ルビィ』と嬉しそうに鳴いた。

 

 

 カノンにターンが回り、デッキに指を添える。

 

「ドロー! ルビーカーバンクル効果発動!」

 

 カノンが腕をバッと払って、ルビーの宝玉を指し示す。

 

「ルビー・ハピネス!!」

『ルビィー!』

 

 ルビーの尻尾の宝石が赤く眩い光を放つ。そのエネルギーを注がれたアンバーの宝玉が砕け、中からアンバーマンモスが現れる。

 

 ルビーカーバンクル 攻撃力300

 アンバーマンモス 攻撃力1700

 

「さらに、《宝玉獣 アメジストキャット》を召喚!」

 

 アメジストの宝玉が砕け、中からしなやかな猫が鳴き声を上げる。これで、3体の宝玉獣が並んだ。

 

 アメジストキャット 攻撃力1200

 

「そして、速攻魔法《宝玉の結束》! 自分フィールドに宝玉獣と名のつくモンスターが2体以上存在する場合、その内のモンスター1体の攻撃力を、私の場にいる宝玉獣1種類につき500ポイントアップさせる! 頼んだぞ、アンバーマンモス!!」

『私に任せろ!!』

 

 アンバー、ルビー、アメジスト。3体の宝玉獣の力が結束し、合計1500ポイントのパワーアップを遂げた。

 

 アンバーマンモス 攻撃力1700→3200

 

「ですが、わたしのライフを削り切ることはできません」

「もうひとつ! 魔法カード《クリスタル・エナジー》を発動!アンバーマンモスは、私の場にいる宝玉獣の数だけ、攻撃することができる!」

「そんなっ!?」

 

 突破口をこじ開けられて、ローズが目を見開く。

 

「行け、アンバーマンモス! デスガエルを攻撃! アンバー・スタンプ!!」

「きゃあ!」

 

 アンバーが駆け寄り、1体目のデスガエルが長い鼻で吹き飛ばされる。

 

 ローズ LP3200(-1300)→1900

 

「そんな!」

 

 2体目のデスガエルが、長い鼻を叩きつけられて爆散する。ローズのライフがみるみる減っていく。

 

 ローズ LP1900(-1300)→600

 

「これで終わりだ!」

「きゃあああっ!?」

 

 3体目のデスガエルを踏み潰す。宣言通り、王子さまを倒して、ローズのライフが底をついた。

 

 ローズ LP600(-1300)→0

 

 デュエル終了の電子音が鳴り、ソリッドビジョンのモンスターが消える。

 

「って…やりすぎちゃったかな」

 

 カノンが心配していると、ローズが憎まれ口を叩く。

 

「そんな宝玉獣より、王子さまの方がカッコイイんだから! べー!」

 

 デュエルリングから立ち去っていくローズに、カノンとルビーが苦笑する。その背中を見送っていると、妙な現象が起きた。

 

『ルビ?』

「え…?」

 

 なんと、ローズのデッキから、緑の泡がぷかぷかと浮かんできたのだ。

 

『ケロ! ケロ!』

 

 その中にいるカエルの王子さまの精霊が、礼を告げるように何度もお辞儀をする。

 

「ローズ、キミは…!」

『ルビィ!』

 

 ローズの話は虚言ではなく、本当のことだったのだ。ルビーが嬉しそうに鳴いて姿を消した。

 

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