つよつよ幼女ヴァンパイア様、おっぱいを揉む。 作:ピンクの熊
「あ、その……な、何か用でしょうか…………?」
あ、コイツ陰キャだな。我輩はそう思った。
* * *
我輩は誇り高きヴァンパイアである。名前はつよつよヴァンパイア様。ヴァンパイアの世界には名前などという文化は無いが、勤勉な我輩はニンゲンの文化も完璧に理解して取り入れているのである。ちなみに見ての通りメスである。
名前からも分かる通り、我輩はニンゲンよりも遥かにつよつよな存在である。
銃弾をも弾く強靭な肉体!(う゛ぁんぱいあぼでぃー)
膨大な魔力と叡智の結晶である魔術!!(う゛ぁんぱいあまじっく)
そして、老いることも死ぬこともない不老不死の命!!!(えたーなるう゛ぁんぱいあ)
つまり最強! 我輩こそ最強なのだ! ニンゲンは今すぐ我輩にひれ伏すことをお勧めする。ヴァンパイアハンターの家系がほとんど絶えてしまったこの現代に、貴様らニンゲンを守るものなど存在しないのだ。ぐわっはっはっは。
さて、そんな最強の我輩であるが、現在はとある事情でニンゲン界にいる。いつもならヴァンパイア界で我輩の旧友であるすごすごヴァンパイアちゃん(我輩命名)と遊んでいるところであるが、今日の我輩はニンゲンたちを恐怖のどん底に陥れる最恐の作戦を実行しに来たのだ。
その作戦こそ、『ニンゲンの血液を吸いつくして我輩のつよつよなところをわからせる最恐の作戦(我輩命名)』である!
そう、ニンゲンの血液を吸血する……実は我輩たちヴァンパイアは不死身ではあるものの、定期的に血液を摂取しなければ力を十全に発揮することができなくなってしまう。というか体に力が入らなくなって何もできなくなる。以前一度だけ、貧血ヴァンパイアになったことがあるが、指一本たりとも動かせなくなって大変だったことを憶えている。本当に危なかった。
ここで愚かなニンゲン共は「じゃあただ食事しにきただけじゃないか」と思っているところだろうが……我輩にはもっと崇高な真の目的があるのだ。
そもそも、五百年前に起きたヴァンパイアハンター共との大戦以降、我輩たちヴァンパイアは他生物を用いない血液の養殖に成功し、ニンゲン界に姿を見せることなく生きてきたのだ。つまり完全な自給自足。他の生物が存在しなければ生きていけないニンゲンとは格が違うといったところだ。
要するに、現代のヴァンパイアがわざわざニンゲン界で吸血する必要は、本来ない。ならばなぜこんな作戦を立てたのか。その答えこそが我輩の真の目的!
今一度ニンゲン共に被食者としての恐怖を思い出させ、五百年前の栄華を取り戻すのだ!!
クックック。ニンゲン共が恐怖に震え、我輩に媚びへつらう姿が目に浮かぶぞ。大戦で敗れ、散っていった同胞たちの無念を晴らす……我輩がニンゲン界を支配するのだ!
そう、それこそが真の目的。け、決してニンゲンの天然血液を飲んでみたかったからとかではない。最近読んだ古書に『処女の生き血はマジうまい。いやマジで』とか書いてたことなんて全く関係ないのだ。ないったらないのだ。
……ないのだ!
* * *
さて、現在時刻は深夜の二時。さっそく我輩の生贄となるターゲットを探していこうと思うわけだが。
我輩がこの世界に誕生してから二百年と少し、どうせなら初めての天然血液は最高のモノにしたい。今まで味わったことのないような極上の血液を楽しみたいものだ。
とはいえ、我輩を含め現存するヴァンパイアは皆、ニンゲンのことをあまりにも知らないのだ。ほとんどのヴァンパイアはニンゲンへの興味を失い、美味い血液を持つニンゲンの見分け方などといったノウハウも、その多くがすでに闇の中である。もはや美味い血液を探すなど遠い夢の話になってしまっていたのだ。
そのことに気づいたとき、我輩は深く絶望した。具体的には五年ほど寝込んだし、その間はB型の養殖血液しか喉を通らないほどだった。あの時はすごすごヴァンパイアちゃんにも心配をかけたものだ。
しかし、天才ヴァンパイアである我輩はついに見つけ出すことに成功した。失われしノウハウを記した伝説の古書、『知って得するおいしい血液! ~これであなたも一流のヴァンパイアになろう~』を!
まさかただのおとぎ話だと考えられていた伝説の書が実在しているとは、思いもしなかった。千年前、数々のヴァンパイアたちがこの書を用いて最高の生き血を啜り、果てはヴァンパイアバイブルとして祭り上げられたという伝説は今も語り継がれているのだ。そんな書を読み、さらにパワーアップした超一流ヴァンパイアである我輩は今、世界で最も至高の天然血液に近いヴァンパイアといっても過言ではない。
美味い血液を持つニンゲンの見分け方において、重要なポイントは3つ。
その① 処女であること。
なぜだかよくわからないが、処女の血液は純粋で美味いらしい。ちなみに処女というのはセイコウイ(?)を経験していない女を指す言葉らしい。どうやらニンゲンはセイコウイという儀式によって子孫を増やすらしい。つまり子を成していない女というわけだな。
その② 肉付きが良いこと。
健康な肉体であるほど豊かな味わいの血液を持つらしい。瘦せているニンゲンの血液は水っぽく、逆に太りすぎているニンゲンの血液はドロドロしてまずいらしい。ちょうどよく太ったニンゲンが良いということだ。
その③ 良い匂いがすること。
美味い血液を持つニンゲンは美味そうな体臭を放つらしい。ヴァンパイアは自分の好みの味の人間を嗅ぎ分けることができるようになっているようだ。ちなみに、処女の匂いも嗅ぎ分けることができるらしい。ターゲット探しは嗅覚を使うことが肝になってくるだろう。
そうして、脳内で重要ポイントを反芻している間に、我輩は出会ってしまったのだ。後に我輩の運命のニンゲンとなるであろう、とてつもなくそそる匂いを発する、異常に肉付きの良い処女に。
* * *
ニンゲンにばれないように空を飛び、今まで嗅いだことのないような美味そうな匂いに誘われて辿り着いた場所には、長身の女がいた。何やら袋を持っているのを見るに、買い物でもしていたのか。こんな闇夜に一人で歩いているなんて、ヴァンパイアに襲ってくださいと言っているようなものである。襲いやすそうなのは非常にありがたい。が、今重要なのはそこではない。
空から見下ろしているだけでも、あの女の異常性がよくわかるのだ。
ここに来るまで何人かのニンゲンとすれ違ったが、それらとは比べ物にならないほど美味そうな匂いをしている。正直今すぐにでもしゃぶりつきたい。匂いによれば処女でもあるらしい。なぜ判別できたのか自分でもわからないが、おそらく本能によるものだろう。気にしないことにした。
そして何よりあの女、すごく肉付きが良い。猫背で分かりにくいものの、背もかなり高い。種族平均身長が140㎝のヴァンパイアと比べ、ニンゲンの身長が大きいことは知っていたが……。200㎝近くあるんじゃないか?
それになぜか胸部に脂肪が多い。ニンゲンとヴァンパイアは非常に似通った容姿をしているが、あんなに胸部にだけ脂肪が集中しているヴァンパイアは見たことがないぞ。あの脂肪の付き方は正常なのか? いったい何のために?? いや、確かニンゲンの女は胸部に脂肪を蓄えることがあると、本で読んだことがあるぞ。確か名前は…………。
ふむ。謎なところもあるが、ひとまずは良いだろう。何はどうあれ、我輩の本能はあの女を選んでいるのだ。ここでためらう理由はない。我輩は勢いよく女の目の前に着地して、声をかけた。
「ニンゲン! 我輩は誇り高きヴァンパイア。その名もつよつよヴァンパイア様である!」
「うぇっ⁉ な、ななな何っ? 誰ぇ」
「今宵は貴様らニンゲンを支配するため、この地に降り立った!」
「よ、幼女? なんで幼女? つば、翼ついてる……え、ヴァンパイア? ドッキリ?」
「まずは貴様の生き血をすべて吸い取ってくれるわ!」
「つ、つよつよヴァン……つよつよ?」
「……」
「……」
「……」
「あ、その……な、何か用でしょうか…………?」
あ、コイツ陰キャだな。我輩はそう思った。
「なぜなのだ! 普通もっと怖がるとか逃げるとか、その、いろいろあるだろう⁉ なんで地味に冷静なのだ⁉ というかちゃんと話聞いておるのか⁉ 会話が成り立っていないぞ!」
「あっいえ、その、これでも驚いているといいますか」
「貴様あれだろ、陰キャとかいうやつであろう! 昔読んだことがあるぞ。貴様のように暗くてコミュニケーションができてないやつのことを言うんだろう!」
「い、いや、今のちょっとの会話だけでコ、コミュ障認定はちょっと……あっなんでもないです。ハイ」
「そうだ、そうに違いないのだ。我輩のような上位者が目の前に現れたら矮小なニンゲンなんて、普通はすぐさま泣いて跪くものであろうが! そうだ、貴様が陰キャだからおかしいのだ!」
「い、陰キャにも人間にも失礼な事言ってる……」
「ふう。思っていた反応とは違ったが、まあいい。と、とにかく、我輩はこれから貴様の血を吸いとるのだ。死ぬまでな! どうだ怖かろう」
「あっ、やっぱりドッキリですか」
「ドッキリではない! 我輩は本物のヴァンパイアである」
「え、えぇ……な、なんで幼女……」
くっ、明らかに信じていないな。それにこの女、さっきから全く目が合わん上にずっとおどおどしているぞ。会話もレスポンスが弱いうえに声が小さい。典型的な陰キャというやつだ。やはり陰キャだから我輩を恐れないのか? 我輩はこんなにも恐ろしい見た目をしておるというのに。というかいつまで幼女気にしておるんだ貴様。
ふう、やはりここは実力行使でいくしかないか。我輩の絶対的な魔術を使って、この女の血を搾り取ってくれるわっ。
「くらえっ、《う゛ぁんぱいあまじっく・ふりーず》! どがーん!!」
「うぇ、か、体が……」
「動かないだろう? これこそ我輩の最も得意とする魔術、《う゛ぁんぱいあまじっく・ふりーず》だ。貴様はもう、指一本たりとも動かせない!」
「ま、魔法? 嘘、ほんとに……」
「魔法ではなく魔術である。だが、まあいいだろう。ようやく焦りを見せたな? いいか、今度こそよく聞けよ? ……これから我輩が、貴様の血液を死ぬまで吸い取るのだ!」
「……!」
決まった……。かっこよく決まったのではないか、これ。これだ、これこそ我輩が思い描いていた支配者の姿。これぞ超一流ヴァンパイアだ。
クックック。それでは血を頂くとするかな。超一流ヴァンパイアとして、ここは昔に倣って首筋から吸血するとしよう。
我輩はその無駄に大きい体の首に嚙みつくため、ふわりと飛び上がった。
「ヒッ、す、吸わないで、ください」
「クックック。今更命乞いをしてももう遅いわ。貴様はもう逃げられない」
「くっ」
「だが、安心するがよい。我輩はこの通り鋭く恐ろしい牙を持っているが、我輩たちヴァンパイアは麻酔作用を持つ唾液を分泌することで、ニンゲンに痛みを感じさせることはない。代わりにちょっと痒くなるかもしれんがな」
「そんな蚊みたいな……」
「とにかくこれでおしまいだ! 貴様の血を頂く!」
「ヒ、ヒィィッ」
――ポヨン
????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????????
ポヨン……? な、なんだこれは……? と、届かないぞ。首筋に、牙が届かない……。な、なんなのだこの、我輩の体に当たっている柔らかい何かは……⁉
「貴様ァ! 何をした!」
「何もしてないですぅ⁉」
この反応……我輩の超直感(う゛ぁんぱいあしっくす☆せんす)が嘘ではないと告げている。この女、本当に何もしていないというのか? いや、ならばこれは一体…………ハッ! そうか、わかったぞ!(う゛ぁんぱいあしっくす☆せんす)
この我輩を包み込むように押しのけるものの正体はッ!
「【おっぱい】だ!!!(う゛ぁんぱいあくりてぃかる♡あんさー)」
「なななな何言ってるんですか⁉」
ちなみに、つよつよヴァンパイア様は性知識が皆無らしいです。