気が付いたら、ウルベルトになっていた。(R15バージョン)   作:コインランドリー

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オリジナルの設定がありますので、ご理解の程宜しくお願い致します。


カルカとデミウルゴス

 

執務室では、夏樹とアインズとアルベドとデミウルゴスが会議をしていた。

 

ナザリックの皆は、ナザリックに帰還する前の記憶が喪失した状態である夏樹には休んで欲しいと思っているのだが、夏樹はやる気満々だった。

 

(父親として、何かカッコいい事をしたい!)

 

夏樹は、記憶喪失の事を忘れるくらい父親になった事に興奮していた。

 

だが、数週間後には、モモンガ聖王国の建国計画が実行される。

 

夏樹が何かをやりたいと言えば、実行の時期がズレる可能性もあった。

 

アインズは、夏樹のやる気が空回りしないか心配をしていた。

 

「ウルベルト様、何か不明な事や質問はございますか?」

 

アルベドは、夏樹が何かを言いたがっている様に見えたので質問をした。

 

「あっ・・・えっと・・・こう言うのは、どうかな?カルカは聖王女なので、苗字がないデミウルゴスと結婚するときに、貴族とかが色々と言うかもしれないから、デミウルゴスが兄でユリが妹だという設定にして、デミウルゴス・アルファと名乗るのはどうかな?」

 

アインズは、夏樹が父親として何か良い所を見せようと焦っているのだと思った。

 

アインズは、何かの理由で苗字を伏せていた事にすれば良いだけで、わざわざ兄妹の設定にする必要はないと思った。

 

アルベドとデミウルゴスは、余程の事がない限り否定的な意見は言わないので、アインズがしっかりと夏樹に伝える必要がある。

 

アインズは、この提案でモモンガ聖王国の建国計画が混乱してしまう可能性を考えた。

 

だが、夏樹の次の言葉を聞いて考え直した。

 

「ごめん・・・アウラが妊娠して・・・まだ産まれてないけど、父親として良い所を見せようと思って提案しただけなんだ。アインズさん、アルベド、デミウルゴス・・・ごめん」

 

「ウルベルトさん!私は、良い提案だと思います!アルベドとデミウルゴスは、何か反対の意見はあるか?」

 

アルベドとデミウルゴスは、笑顔で発言をした。

 

「異論などございません。至高の御方の望みを叶えるお手伝いが出来る事が、私達の喜びでございます!」

 

「ウルベルト様のご提案は、素晴らしいと思います。お世継ぎに良い所が見せられるように、私も日々精進致します」

 

会議は、和やかな雰囲気で進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏樹は、アウラとソリュシャンが居る寝室に帰ってきた。

 

「ウルベルト様。お帰りなさい♪」

 

「アウラ。ただいま!体調は、大丈夫かな?」

 

アウラのお腹は、まだ目立っていなかった。

 

「はい。大丈夫ですよ♪」

 

「お腹を撫でても大丈夫?」

 

「はい♪」

 

夏樹は、アウラのお腹の中に居る自分の子供に話しかけた。

 

「お父さん。頑張るからねぇ〜」

 

寝室は、幸せな雰囲気に包まれた。

 

「ソリュシャン。男の子が生まれたら、婚約者としてよろしく頼むね」

 

ソリュシャンは、笑顔でお辞儀をしてから返事をした。

 

「ウルベルト様。頑張り過ぎないで下さいね♪」

 

アウラは、夏樹の目を見ながら伝えた。

 

夏樹は、肩の力が抜けた気がした。

 

「そうだね。うん、そうするよ」

 

夏樹は、アウラを優しく抱きしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コキュートスは、ナザリックで休憩をしていた。

 

魔神国の国王の役目があるので、ナザリックに帰ってくる機会は減っている。

 

コキュートスには、どうしても休憩を利用してやっておきたい事があった。

 

「コキュートス様。お久しぶりでございます」

 

「ソリュシャンカ、久シブリダナ」

 

コキュートスは、廊下でソリュシャンと出会った。

 

コキュートスはソリュシャンから、アウラの様子に問題が無いことを聞いて安心をした。

 

コキュートスは、世間話をした後に、これからの予定について話した。

 

「コレカラ、子供用ノ武器ヲ造ル予定ダ」

 

「出産祝いのプレゼントでございますね♪」

 

コキュートスは、夏樹とアウラの子供に武術を教えるつもりでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

デミウルゴスとユリは、ナザリックの会議室で夏樹が決めた兄妹の設定についての話し合いをしていた。

 

「私とユリは、母親が違う兄妹とします。父親は、異形種で母親は人間としますね。そうすることで寿命が長くなっても不審には思われないのと、人間達の異形種に対する嫌悪感も少なくなる可能性がある」

 

パンドラとセバスは、異形種と人間のハーフという設定を少しずつ広めているが、今のところ問題は起きていない。

 

「父親が異形種である事を隠していたのは、国民を不安にさせる可能性があったからとしておきます」

 

ユリは、笑顔で返事をした。

 

「兄妹という事を隠していたのは、政治と軍事のトップが兄妹だと疑念を抱かれる可能性があったからにしておきます。公表した理由は、国の形が整って安定してきたので隠す必要がないと判断をしたからとしておきます」

 

夏樹が提案して設定の変更をする前は、コキュートス達が苗字がなくて名前しかない風習の国からやって来た事にして、文化的な違いをわざと出して時間をかけて人間社会に溶け込ませていく事が目的だった。

 

それらをする事で異形種に対する違和感をなくして、至高の御方が魔神国に表れても問題を起きなくして、ペロロンチーノ等の名前のみの至高の御方が表れても偏見をなくす事を目指していた。

 

「私は、聖王国に行く途中に王国に寄って兄妹である事を広めるので、ユリは、帝国に行って上手に広めてから報告書を作成してくれ・・・それと、スレイン法国との関係は更に崩れるだろうから注意してくれ」

 

「畏まりました」

 

デミウルゴスは、異種族を敵視しているスレイン法国の動きを警戒していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソリュシャンは、詐欺事件についてセバスとルプスレギナと一緒に調べている。

 

セバスとルプスレギナは、モモンガ聖王国の子供達の避難計画の準備は終わっている。

 

ソリュシャンは、夏樹に若君が産まれたら婚約者になる予定なので、ワールドアイテム等で安全の対策をしている。

 

「セバス様。魔神国での詐欺の被害届は、先月は6件だとユリ姉が言ってたっす」

 

「魔神国の純粋な人間達を騙すとは・・・早急に主犯格の人間を捕まえないといけませんね」

 

セバスが焦っている様子を見た、ソリュシャンが、ゆっくりと話し始めた。

 

「セバス様。詐欺事件は、商人達をも騙して偽物を掴ませている者達です。冷静に対応しないと、主犯格が年単位で地下に潜って隠れられたら捕まえられなくなります」

 

「えぇ・・・分かっています。これまでの被害の状況を確認しましょう」

 

アルベドとデミウルゴスとパンドラは、モモンガ聖王国の件に集中しているので、ナザリックも全力を出せない状況だった。

 

それと、魔神国の役人の捜査能力の向上の機会でもあった。

 

「けど、魔神国って暴力事件とか窃盗事件は起きないっすね!」

 

「それは、貴族や役人を定期的に調査して不正があれば処罰する制度を設けて、軍人も巡回したりして色々と対策をしているからよ。リ・エスティーゼ王国の先代の国王の時代の貴族と役人は、八本指から賄賂を受け取って事件を起こした人間達をすぐに解放してたでしょ。そんな事を続けていたら、治安が悪くなるわ」

 

セバスは、この話を聞いてツアレを助けた時の事を思い出して、夏樹に改めて感謝をした。

 

 

 

 

 

 

 

ユリは、魔神国の宰相として帝国の皇帝と面会をしていた。

 

帝国は、王国の国王のザナックとレイナース・ロックブルズとの結婚式の準備等もあったりしてバタバタとしている様子だった。

 

「魔神国では、貴族や役人の定期的な不正の調査やデス・ナイトと軍隊の巡回等の効果で、強盗事件等は起きてはいませんが、詐欺事件等の犯罪は発生しております」

 

「帝国も同じです。宝石の偽物や建物の資材を安くて安価な物に無断で変更して、すぐには気が付かないようにしている。数週間後に気が付いて、役人に被害届を出す事例が多い」

 

主犯格の人間が、外国に居るのは確かなのだが組織が複雑な組織体制をしているので実態を掴むのは難しい状態だった。

 

勝手に他国を調査したら、国際問題になる可能性もあったので慎重になっている。

 

しばらくは、ヤルダバオトや詐欺事件等の会話が続いた。

 

「しかし、アルファ宰相と将軍が兄妹とは、少しだけですが驚きました」

 

皇帝は、父親が異形種で母親が人間だという事にも驚いていたが、不快な思いを与える可能性を考えて発言を控えた。

 

「驚かせてしまい、申し訳ありません。魔神国の情勢が安定しない間は、秘密にしておく事に決めたのです」

 

「確かに、宰相と将軍が兄妹だと貴族や軍部の上層部から不満の声が出るかもしれませんね」

 

皇帝は、この事実が広がればスレイン法国と魔神国の関係は、今以上に崩れるだろうと思った。

 

 

 

 

 

 

 

ザナックとレエブン侯が、王国の王城で密談をしていた。

 

「モモン殿は、ヤルダバオトと接触した様子はありません」

 

「ご苦労だった」

 

「それと、ホニョペニョコの片割れの対策は、如何されますか?」

 

ザナックは、紅茶を飲みながら考えた。

 

「ホニョペニョコの片割れが表れた時に、王国としても支援をした方が良いだろう・・・戦士長には、ヤルダバオトの対策会議が終わったら、魔神国のエ・ランテルの警戒任務に就くように命令書を発行してくれ。魔神王には、使者を派遣する」

 

レエブン侯は、返事とお辞儀をしてから部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガゼフは、ワンコ家の夕食に招かれていた。

 

ワンコ家には、セバス・ツアレ・アルシェ・クーデリカ・ウレイリカが居た。

 

セバス達は、ヤルダバオトからアルシェを助けてもらった事のお礼を伝えてから食事を食べた。

 

「アルシェには、いつも美味しい料理を作って頂いて感謝しています」

 

ツアレは、笑顔で話し始めた。

 

「アルシェさんは、いつも楽しそうにお弁当を作っていますよ」

 

クーデリカとウレイリカも笑顔で、アルシェが楽しそうにお弁当を作っている様子を話した。

 

アルシェは、恥ずかしそうにしていた。

 

楽しい雰囲気で夕食を食べた後に、ガゼフとセバスは気が合って2人で酒を飲んだ。

 

「ガゼフ殿は、ヤルダバオトの討伐後は、先代の国王陛下の所に行かれるのですか・・・」

 

セバスは、ガゼフの人柄に親しみを持てたのと、アインズの事を尊敬しているガゼフに対して好感が持てた。

 

だが、それと同じくらい先代の国王の事も尊敬している事が少し気になっていた。

 

ナザリックの者にとって、至高の御方の存在は絶対である。

 

数日後にガゼフは、国王から魔神国でのヤルダバオトの対策会議が終わったら、魔神国の警戒任務に就くように命令書が届いた。

 

その話を聞いたアルシェは、とても喜んでいた。

 

ガゼフは、ホニョペニョコの片割れという強者の事を知って、先代の国王の元に行くのは、かなり先になると思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルシェは、ラキュースと一緒にホテルのバーの個室に来ていた。

 

ラキュースは、ツアレからある事を頼まれていた。

 

「ストロノーフ様とはどうなの?」

 

2人は酒は飲んでいないが、アルシェは、バーの雰囲気に少し酔っていた。

 

「えっ!?あの・・・そのぉ・・・」

 

ラキュースは、純粋な少女のような恥じらった反応をするアルシェを見て、壊してはいけない何かだと思った。

 

ラキュースは、慎重に対応する事にした。

 

ツアレは、アルシェとガゼフが恋人同士なのか気になっていたが、本人に聞くことができなかったのでラキュースに相談をした。

 

アルシェは、恋バナみたいな経験はなかったので戸惑っていた。

 

両親が貴族の地位を剥奪されて、商人からお金を借りてからは、帝国魔法学院を辞めてワーカーになって両親の借金の返済をしていた。

 

ワーカーになってからも、返済に追われて色恋等の話とは無縁だった。

 

フォーサイトのメンバーは、アルシェを温かく見守る事にしたので、色恋の話題に触れないようにしていた。

 

「命を救って頂いた、お礼をしているだけで・・・」

 

「ヤルダバオトから、守ってもらったのよね。私とモモンさんとの出会いと一緒だわ♪」

 

「そうなんですか!?」

 

2人は、目を輝かせていた。

 

「八本指の20人の暗殺部隊に襲撃されたの!」

 

「八本指の暗殺部隊!?」

 

アルシェは、ワーカー時代に八本指の事は聞いていたので、八本指の脅威は知っていた。

 

「それを、モモンさんが全員を数分で返り討ちにしたの!」

 

「えっ!20人を数分で!?」

 

「そして、暗殺部隊を役人に引き渡した後に、六腕が揃って襲撃してきたの・・・」

 

「一人一人が、アダマンタイト級の実力を持つと噂されていた人達ですよね!?」

 

ラキュースは、笑顔で頷いた。

 

「その六腕を1人で、倒したの・・・凄かったわぁ♪」

 

ラキュースは、その時の記憶を思い出して興奮した。

 

「それから、モモンさんと仲良くなって、ハムスケにも乗せてもらったわ」

 

その場は、ラキュースとパンドラのデートの話で盛り上がった。

 

「王国と魔神国の国境付近の森を散歩したり、モモンさんが月の光に照らされて、魔剣キリネイラムを構えている姿・・・素敵だったわ♪」

 

アルシェは、幻想的なデートを想像して興奮した。

 

デートの話は盛り上がったが、アルシェとガゼフの事は聞けなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エルヤー・ウズルスは、魔神国に入国をして、アルシェを探していた。

 

(偽名を、使用している可能性もあるな)

 

エルヤーは、フルト家の事情を調べたりはしていないので、アルシェの事を貴族の娘が家出をしただけだと思っている。

 

エ・ランテルで捜索をしていると、アルシェ・ワンコという冒険者がいることを知った。

 

(アルシェ・ワンコか・・・本人の可能性があるので探してみるか)

 

冒険者組合で、聞いてみたらアルシェは、漆黒の英雄のモモンの兄夫婦の養女だと分かった。

 

(養女か・・・アルシェの可能性が高いな)

 

エルヤーは、冒険者組合の周りでアルシェが表れるのを待つことにした。

 

(モモンの姪か・・・問題が起きたらやっかいだな)

 

エルヤーは、アルシェをどうやって帝国に連れて行こうか考えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アインズは、執務室でペストーニャからの報告を聞いていた。

 

「ワーカーが、フルト家の依頼でアルシェを探しているのか・・・」

 

本来であれば、セバスかルプスレギナが対応するのだが、2人は詐欺事件の調査をしているので、ペストーニャに知らせが届いた。

 

「アルシェは、コイル商会で保護している事になっていたな・・・ソリュシャンとセバスに対応させよ」

 

アルシェには、魔神国の上層部とも繋がりがあるコイル商会が保護した事になっている。

 

「アルシェは、帝国に行ったら邪神を信仰する教団に狙われる可能性が高い。場合によっては、コキュートスにフルト家と交渉をさせて問題を解決させよ。それと、ウルベルトさんには、今回の件を隠しておくように・・・」

 

「畏まりました。配慮をして頂きありがとうございます。わん」

 

「アルシェは、ウルベルトさんが保護した人間だ。それに、ペストーニャにとっては孫でもあるしなぁ」

 

ペストーニャは、感激の涙を流した。

 

 

 

 

 

 

 

 

カルカ・ベサーレスは、ホバンスの王城の執務室で外交を担当する貴族達と政務を行っていた。

 

「明後日は、コキュートス魔神国からヤルダバオトの対策の事についての話し合いをする為に、デミウルゴス・アルファ将軍が来る予定です。魔神国軍の人数は、100人となっています」

 

「デミウルゴス・アルファ将軍は、弱き民を守る事を公言していると聞いています。実力も第五位階魔法のドラゴン・ライトニングを10連射する事が出来て、王国と帝国でも名声が高い方ですので失礼が無いように対応をお願いします」

 

「畏まりました!」

 

聖王国の上位の貴族達は、魔神国の国王が異形種なので、交流をする事に否定的な意見もあったが、ヤルダバオトの脅威があるのは事実なので受け入れる事にした。

 

デミウルゴスは、カルカに気に入られる為に弱き民を守る事を公言としている。

 

「アルファ将軍から、ヤルダバオトの情報が届いています。ヤルダバオトは、王国のラナー王女と従者の誘拐事件を一番最初に起こしています。王都から馬で1時間程かかる場所で監禁されていて、魔神王様とモモン殿とアインドラ殿の3人で救出をしたそうです」

 

貴族が、質問をした。

 

「ヤルダバオトは、ラナー王女と従者を誘拐したのか・・・目的は、分かっているのか?」

 

「目的は不明と、書かれています」

 

カルカは、ラナーと従者が無事で良かったと思ったのと同時に、聖王国は外交に対して力を入れるべきだと思った。

 

政務の途中で、聖騎士団の団長のレメディオス・カストディオが緊急事態を知らせに入室してきた。

 

「カルカ様!城壁に7万の亜人連合軍が、表れたと連絡がありました!」

 

カルカは、上位の貴族を集めるように指示をした。

 

レメディオスと外交を担当する貴族達は、返事をしてから執務室を出た。

 

「民の幸せの為にも、この危機を乗り越えないと!」

 

カルカは、困難に立ち向かう決意をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

1時間後に、対策会議が開かれた。

 

会議室には、カルカとレメディオスと上位の貴族達が居た。

 

会議の進行役の貴族が、城壁の責任者からの報告書を読み上げた。

 

「城壁から離れた位置に、7万の亜人連合軍が表れて、軍の代表である破壊の豪王・バザーから聖王国軍の全軍との戦闘を望む趣旨の発言があった。現在は、戦闘はせずに警戒を続けているとの事です。また、城壁の視察に来ていた神官団も警戒任務にあたっています!」

 

報告を聞いた上位の貴族達は、カルカに意見を言う。

 

「聖王女様!国家総動員令が、必要になる可能性がありますぞ!」

 

「しかし、国家総動員令をすると、食料や武器の準備で国費が全て無くなってしまいます!亜人達を、退けた後の事も考えないと!」

 

「聖王女様!負ければ全てを失ってしまいますぞ!」

 

会議では、激しい議論が交わされた。

 

カルカは、意見を聞きながら自分の考えを発言しようと思った。

 

カルカの考えは、自分自身が現在の戦力を率いて、城壁まで向かって亜人連合軍との全面戦争をする事だった。

 

聖王女が、軍を率いて前線に向かう事で軍の士気が高まって、現在の戦力だけで勝利する確率が上がると思った。

 

弱き民に幸せを、誰も泣かない国という国是を掲げているので、有言実行をする為に必要な決断だとも思った。

 

だが、上位の貴族のある発言で決心が鈍った。

 

「この7万の亜人連合軍が囮で、数万の別部隊が隠れている可能性もありますぞ!軍が集結した場所以外から城壁を一点突破されたら、各都市の国民達は・・・」

 

会議室に居る者たちは、その先の言葉を想像した。

 

聖王国には、徴兵制があるので国民の殆どは武器の扱いに長けているが、現役の軍人のような強さは期待できない。

 

そんな状態で、都市を別部隊の亜人達に攻められたら悲惨な状況になる可能性が高かった。

 

カルカは、その考えを聞いて決断をする事ができなくなってしまった。

 

「亜人連合軍の対応は、明日の朝に決断をします!」

 

カルカは、会議室を出て自室に帰ってから、今回の件について考えた。

 

(破壊の豪王・バザーは、聖王国軍の全軍との戦闘を望んでいるのかぁ・・・確かに、城壁に全軍を集結させてから、手薄になった都市を襲う可能性もあるわ。バザーに参謀のような存在がいる可能性・・・)

 

カルカは、亜人達は力ある者に従う傾向が強いと思っているので、策略だけで破壊の豪王と言われるバザーを操るのは難しいとも考えた。

 

(亜人連合軍を、裏で操る実力者・・・ヤルダバオト!?)

 

カルカは、ヤルダバオトの事が頭に浮かんだ。

 

カルカは、外交を担当する貴族を呼び出して、デミウルゴスから送られたヤルダバオトの情報を確認する。

 

(魔神王の歓迎の宴の襲撃事件・・・王都の襲撃事件・・・そして、ヤルダバオトが強者を倒した後に、国民を生贄にして儀式をするかもしれないという噂が広まって国民が怯えている)

 

情報の中にはアインズが、結界を張るマジックアイテムを作っている情報もあった。

 

(ゴウン殿は、第七位階魔法が使える人物ですって!?)

 

カルカは、人類未到達領域の魔法を使える者がいる事に驚いた。

 

カルカは、15歳で第四位階に到達した天才といわれているので、第七位階魔法の凄さは知っていた。

 

亜人連合軍の件がなければ、アインズと面談をしたいと思った。

 

(ヤルダバオトが、魔神国と王国と帝国を諦めて、聖王国を狙っている可能性はありそうね。仮に亜人連合軍とは無関係だとしても、この混乱を利用して何か事件を起こすかもしれないわ)

 

カルカは、不安な事が多くあったが肌年齢を維持するための美容魔法でのスキンケアを行ってから就寝をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の朝に、上位の貴族とレメディオスがいる会議で、カルカが命令を下した。

 

「亜人連合軍には、聖王国軍の半分を集結させて戦います。残り半分は、各都市の警戒をさせます!私が軍を率いて、向かいます!それと、今回の混乱に乗じてヤルダバオトが表れる可能性も考えられますので、都市の警戒は厳重に行うように!」

 

上位の貴族達は、それぞれ思った事を発言する。

 

「了解いたしました!我が領地の2千の兵士に、城壁に向かう指示を出します!」

 

「私も4千の兵を率いて、城壁に向かいます!」

 

レメディオスは、最後に大声で発言をした。

 

「カルカ様の盾として、命を懸けて戦います!」

 

カルカは、真剣な表情で話し始めた。

 

「頼みます!明日の昼にホバンスの王城から、出発できるように準備を進めて下さい!魔神国のデミウルゴス・アルファ将軍の対応は、外交の担当に任せます。緊急事態だと説明をお願いします!」

 

皆は、出撃の準備をするために部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の昼に、王城から2千の軍勢が出陣をした。

 

準備が間に合わなかったので、2千の軍勢になっているが、数日後には5千人以上の軍勢が出陣する予定になっている。

 

「聖王女様!勝利を!」

 

「亜人を、倒して下さい!」

 

聖王国の国民は、戦争に負けたら亜人連合軍に蹂躙される事になるので、絶対に勝利をして欲しいと思っている。

 

2週間後には、聖王国中から10万以上の軍勢が城壁に集結する予定である。

 

全軍を集めると、食料が不足する可能性があったので、半分を都市の警戒にあてるのは無難な考えでもあった。

 

だが、兵士の半分以上の者達は、亜人連合軍は個々の強さが強力なので、互角に戦うには敵の3倍の兵力が必要だと思っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2千の軍勢は出陣してから30分後に、500体の悪魔達の襲撃を受けた。

 

「団長!空に悪魔達が表れました!」

 

「カルカ様を、お守りせよ!」

 

レメディオスが、部下達に叫んだ。

 

悪魔達の大きさは、人間の大人より少し大きい体格だった。

 

「悪魔達は、強くない!一対一なら確実に勝てる!落ち着いて、対応せよ!」

 

聖騎士団の副団長のグスターボ・モンタニェスも冷静に指揮をとっていた。

 

悪魔達を半分程倒した時に、大型の悪魔達が4体表れた。

 

兵士達は、オーガよりも大きい悪魔達に怯んだ。

 

「うわぁ!?」

 

「でか過ぎる!?」

 

レメディオスは、聖撃で武器へ聖なる力を流し込んでから、聖剣サファルリシアで攻撃をした。

 

この攻撃は、1日に1回しか使用できないが、兵士達の士気が低下してしまったので、士気を上げるには1体でも倒しておかないと大変な事態になると思った。

 

「うりゃー!」

 

大型の悪魔の1体の討伐に成功をして、兵士達の士気が上がったが、残りの3体がカルカとネイアを攫って空を飛んで行った。

 

「待てー!」

 

レメディオスは馬に乗って、30人程の部下を率いて追跡をした。

 

「団長!まだ、悪魔達が残っています!」

 

グスターボは、他の皆に悪魔達を討伐する命令を出して、冷静に対応をした。

 

カルカが行方不明になったら、聖王国軍の混乱は避けられないので、レメディオスの行動は正しい事ではあるのだが、指揮官の不在は残された兵士達の士気を低下させてしまう。

 

グスターボは、30分後に悪魔達の討伐が終わって、ホバンスの王城に伝令を向かわせた。

 

「私は、軍を率いて聖王女様の救出に向かうので、お前達は、城の貴族達に知らせに行ってくれ!」

 

グスターボは、カルカ達が連れ去られた方向に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レメディオスは、部下達を率いて攫われたカルカを追っていた。

 

「ぐっ!?」

 

レメディオスは、馬で移動しながら葛藤していた。

 

(何が!?盾として、命を懸けて戦うだ!?悪魔達の襲撃で、カルカ様を誘拐されるとは!?カルカ様に、もしもの事があったら!?)

 

「団長!聞いてますか?」

 

部下の1人が話し掛けてきた。

 

「何だ?カルカ様が、見つかったのか?」

 

「そろそろ馬を休めないと・・・馬達の体力が持ちません」

 

レメディオスは、部下を睨み付けたが、馬達が動けなくなったら大変なので休憩をする事にした。

 

「あの森に、湖があったな!そこで、30分程休憩をする!」

 

部下達は、レメディオスが冷静な判断をしたので安心をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネイア・バラハは、大型の悪魔達にカルカと一緒に攫われて、森の中に連れてこられた。

 

ネイアは、カルカを聖騎士団の従者として命懸けで守らないといけない使命がある。

 

「聖王女様を、解放し・・・ひっ!?」

 

ネイアは、大型の悪魔達に睨まれた。

 

1体の大型の悪魔が、ネイアを抱えて歩いた。

 

「乱暴をするのを、やめなさい!」

 

カルカは、姿勢を正して毅然とした態度で言った。

 

悪魔は気に留めずに、ネイアを連れて少し離れた位置にある大木の裏側に行った。

 

2体の悪魔が、カルカに話しかけた。

 

「この契約書にサインをしろ!そうすれば、解放をする」

 

悪魔は、契約書とペンをカルカに渡した。

 

「2週間以内に、聖王国の全ての兵士を国外に出す事・・・こんな契約書にサインは、できません!」

 

カルカは、悪魔の契約書なので、サインをしたら強制力のある効果を発揮するのだと思った。

 

また、悪魔達が洗脳等の魔法を使わないので、契約書の効果を発揮するのには何かの条件があるのだと思った。

 

「まぁ、普通は、サインをしないな。聖王女は、誰も泣かない国を目指しているそうだなぁ。それには、あの大木の裏側に居る、従者の女も入るのか?」

 

カルカは、大木の方向を見た。

 

「ぐっ!?」

 

「30分程、考える時間を与える」

 

2体の悪魔は、カルカから少しだけ離れた位置に移動した。

 

(私が、命を絶ったら・・・次の聖王国の王が決まるまでは、悪魔達は何もできなくなる可能性が高い!ヤルダバオトが国民を生贄にして、何かの儀式をするかもしれないという噂があったわ。兵士を国外に出してから・・・何かをするのね)

 

カルカは、ある決断をして深呼吸をした。

 

「ドラゴン・ライトニング」

 

「ぐぁ!あっ!?」

 

突然、龍の様な白い雷撃が、連続で悪魔をめがけて飛んできた。

 

1体の大型の悪魔が、ドラゴン・ライトニングの10連射を受けて倒れた。

 

「えっ!?」

 

カルカは、一瞬の出来事で混乱した。

 

「何者だ!?」

 

「魔神国の将軍のデミウルゴス・アルファと申します。以後、お見知りおきを・・・」

 

デミウルゴスは、木々の間から表れてから自己紹介をした。

 

カルカは、感情が昂ぶって胸の奥がキュンとした。

 

「魔神国の将軍か、相手にとって不足なし!」

 

大型の悪魔は、デミウルゴスに炎の魔法で連続攻撃をした。

 

デミウルゴスは、軽く避けて大型の悪魔の後ろに回った。

 

「ドラゴン・ライトニング」

 

ドラゴン・ライトニングの10連射で、大型の悪魔を倒した。

 

カルカは、第五位階魔法の10連射を遅滞なく扱える事にも驚いた。

 

「お嬢さん。大丈夫ですか?」

 

「ありがとうございます!アルファ将軍・・・あっ!あの大木の裏側にも悪魔が居るのです!?」

 

「大木の裏側に居る悪魔は、副将軍が討伐に向かっていますので安心をして下さい」

 

カルカが大木の方を見ると、ネイアがシズに抱きついてお礼を言っていた。

 

「ありがとうございます!怖かったです!ぐっ!?私は、ネイア・バラハです!」

 

ネイアは、かなり興奮をしていた。

 

「私は...シズ副将軍。このハンカチで...涙を拭く」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

ネイアは、ハンカチで涙を拭いた。

 

「ネイアって...呼んで良い?」

 

「えっと・・・はい!大丈夫です!」

 

カルカは、シズとネイアの様子を見て気が緩んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レメディオスは、森での休憩を終えてカルカの捜索を再開した。

 

「あれは、魔神国の軍隊です」

 

「大型の悪魔を見掛けてないか、確認をしに行くぞ!」

 

レメディオスは、魔神国の軍隊に近付いた。

 

「カルカ様!ご無事で!」

 

レメディオスは、カルカの無事を確認した後に、デミウルゴスとシズにお礼を伝えた。

 

「カルカ様。お守りする事ができずに、申し訳ありませんでした!」

 

レメディオスは、頭を下げて謝罪した。

 

「いえ・・・敵は、ヤルダバオトの部下です。私が、ヤルダバオトの情報をもっと集めていたら防げた事でした。私にも責任があります」

 

「なんと!ヤルダバオト!国の混乱に乗じて暗躍するとは・・・ぐっ!?卑怯者め!」

 

「ヤルダバオトは、用意周到な悪魔です。ですが、亜人連合軍の脅威を先に解決しないといけません。アルファ将軍も、亜人連合軍との戦いに協力をして下さると言ってくれています」

 

「魔神国の軍事支援を、受けるのですか!?恐れながら申し上げます。アルファ将軍は、恩人ではありますが・・・上位の貴族達が反対する可能性があるのではないでしょうか?」

 

レメディオスは、魔神国の国王が異形種なのを気にしている。

 

「説得は、私がします。急ぎ城壁に向かいます!王城には、伝令を向かわせて下さい」

 

「畏まりました!」

 

カルカ達は、グスターボ達と合流をしてから城壁に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アインズは、執務室でアルベドの報告を聞いていた。

 

「アインズ様。カルカが出陣をしたので、道中で襲撃してから誘拐を実施しました。デミウルゴスとシズは、問題なくカルカと接触しました」

 

「分かった。詐欺事件の調査は、どうなっている?」

 

「セバス達や魔神国の役人達が、捜査を進めていますが主犯格の逮捕には至っておりません」

 

「そうか・・・」

 

「集めた情報を照らし合わせたら、主犯格である八本指の残党達が王国と聖王国の国境付近に居る事は簡単に分かるのに・・・」

 

アインズは、主犯格が分かっているなら教えてあげたら良いのにと思った。

 

「アインズ様が、セバス達と魔神国の役人の調査能力の向上の為に、わざと主犯格の人間達を放置しているというのに・・・まだ、逮捕できていないとは・・・申し訳ありません」

 

「そうだな!情報を見れば、主犯格の隠れ家の位置は分かるなぁ!」

 

「はい!」

 

アルベドは、笑顔で話し始めた。

 

「それに、コキュートスとユリが他国と連携をして、調査を進められるかというテストも兼ねているのですね!」

 

「その通りだ!他国との連携は、重要になる!」

 

アインズは、自室に帰ってからベットに倒れ込んで、ため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

レイナースは、ザナックとの結婚式を終えた。

 

レイナースは、ピンク色のネグリジェを着て寝室の豪華なベットの前に立っている。

 

窓からは、月明かりが薄っすらと部屋に差し込んでいる。

 

「国王陛下・・・愛しています」

 

ザナックは、レイナースの言葉を受け取った。

 

ザナックは、帝国との関係の修復の為に結婚をしたが、心の底からレイナースの事が好きになっていた。

 

レイナースの素直に話してくれる対応に、心が洗われるような感覚になった。

 

「レイナース。私も愛している」

 

2人は、抱き合ってからベットに倒れ込んだ。

 




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