気が付いたら、ウルベルトになっていた。(R15バージョン)   作:コインランドリー

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オリジナルの設定がありますので、ご理解の程宜しくお願い致します。


カルカとデミウルゴス ②

 

アインズは、アルベドとシャルティアとナーベラルと一緒に、ザナックとレイナースの結婚式に参加していた。

 

ナザリックで教育された貴族達は、アインズに失礼な態度をとらないようにと命令されている。

 

「国王陛下。レイナース殿。ご結婚おめでとうございます」

 

「ゴウン殿。ありがとうございます!」

 

「ゴウン様!全ては、ゴウン様のおかげでございます!」

 

アインズは、ザナックとレイナースにお祝いの言葉を伝えた。

 

アルベドとシャルティアとナーベラルは、アインズの後ろに居る。

 

アルベドは、モモンガ聖王国が建国をしたら王国は隣国になるので、結婚式の参加者のチェックをしている。

 

ナーベラルは、アインズにザナックとレイナースが配慮している姿を見て当然の対応だと思っている。だが、ナザリックに教育されていない貴族達の子供達の態度が悪い様子を見て不機嫌な表情になっている。

 

シャルティアは、大人しい娘を演じようと努力している。

 

結婚式ではアインズが、祝辞を述べたりして盛り上がった。

 

ラナーとクライムに変身をしたドッペルゲンガーは、普段は城ではなく先代の国王と離れた場所で暮らしているので、教育をしていない貴族達の子供までは、調べられていなかったのでかなり焦っていた。

 

教育された貴族達は、若い貴族達に注意をする事を考えたが、間違えて余計な事までしてしまったら、後が怖いので様子を見ている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

王座の間には、アインズとアルベドとユリが居た。

 

アルベドは、貴族達の子供世代の態度が悪いとユリに伝えた。

 

「アインズ様が、お祝いの言葉を述べた時に、下を向いていた者が15人いたと、シャド・ウデーモンから報告がありました!私は、アインズ様の素晴らしい祝辞を聞いていたので、気が付きませんでしたが!」

 

「アインズ様!申し訳ございません」

 

アルベドは、他にも結婚式での横着な態度が目立っていたと話した。

 

ユリは、頭を下げた。

 

「ユリが担当しているのは、教育を受けた貴族達だけだ、気にする事はない!それに、魔神国の宰相の仕事もあるしな!」

 

「慈悲深いお言葉を、ありがとうございます!ですが、教育を受けていない貴族達の事も気に掛けるべきでした」

 

アインズ達は、次の世代の貴族達をどうするのかを話し合った。

 

「教育を受けていない貴族の子供達は、領地で何か悪事を行っているのか?」

 

「貴族達の報告は領地の中だけですので、他の領地の調査は行っておりません。ですが、王国の貴族達が公の場で暴れたり民を苦しめた等の噂は聞いておりません」

 

「態度が悪いだけで、ナザリックの教育をするのは可哀想だな。悪事を働いた貴族やその家族を、教育していくぞ!ルプスレギナには、教育をやり過ぎないように伝えておけ」

 

アインズは、前回の教育の失敗を繰り返さないように注意をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザナックは、王城で貴族を集めて会議を開いていた。

 

ザナックは、過去に八本指から賄賂を受け取った役人達を解雇する法案を発案した。

 

「国王陛下・・・その法案を通しますと・・・国民生活に多大な影響が出る可能性があります」

 

「恐らくですが・・・相当数の役人を、解雇する事になりますぞ!役人の数が減ると、ヤルダバオトや詐欺事件の対応が難しくなります」

 

貴族達は、ザナックの発案した法案に驚いた。

 

「後回しにしては駄目だ。解雇された役人達には、退職金を払うので野盗になったりしないように対策をする」

 

「賄賂を受け取った役人が、退職金を受け取るのですか・・・国民が納得しますかな?」

 

貴族達は、5日間の議論を通して、ザナックの法案に賛成した。

 

ザナックとレエブン侯は、執務室で極秘の会議を開いていた。

 

「貴族達を、上手に説得してくれてありがとう」

 

「いえ。国を一新する為には、大規模な改革が必要ですので・・・ですが、過去に八本指から賄賂を受け取った貴族を例外にするのは苦労をしました」

 

「貴族達は、自らの判断で心を入れ替えて、賄賂を断るようになった事を強調したが・・・かなり強引だったなぁ」

 

八本指から賄賂を受け取っていた貴族達が例外になったのは、帝国との戦争で家族を失った者達に、貴族達が、財産の半分以上を使って、支援金を多くだした事が要因だった。

 

ザナックは、紅茶を飲んだ。

 

「貴族達が代替わりしてしまうと、まとまらない可能性があるからなぁ・・・」

 

ザナックは、世代交代に慎重な考えだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ティアとティナは、王国の王都に居た。

 

ティアとティナは、都市の警戒の依頼がない時は王国での情報収集をしている。

 

「王都は、変わったな」

 

「八本指が、暗躍していた時代と比べると平和になった」

 

王国は、国王とレイナースとの結婚で、帝国との貿易が盛んになって経済的に安定していた。

 

ティアとティナは、露店の様子を観察していた。

 

「旦那!この商品に目を付けるとは、お目が高い!」

 

露店の前に居る、高齢の男性が話し始めた。

 

「良い物だな」

 

露店の店主は、大声で話し始めた。

 

「これは、帝国で大人気のネックレスです!」

 

「娘に、プレゼントをしようと思ったが・・・しかし、高いなぁ」

 

高齢の男性は、腕を組んで悩み始めた。

 

「旦那!ヤルダバオトのせいで、物資を移動する警備の費用が上がってるんですよ!?」

 

高齢の男性は、10分程悩んでから購入する事を決めた。

 

「お買い上げ!ありがとうございます!旦那!娘さんの喜ぶ顔が見れますねぇ!」

 

ティアとティナは、平和になった事を嬉しいと思ったが、ヤルダバオトを討伐しないと警備費用が大変な負担になるのと思った。

 

ティアとティナは、露店から役人の詰所に移動をした。

 

「大通りの宝石店で、偽物の宝石を売りつけられた!」

 

若い男性が、役人に被害届をだしていた。

 

「落ち着いて下さい。別の方の話を聞いてますので、順番で・・・」

 

王国では、八本指から賄賂を受け取っていた役人達が解雇された事により、人手不足になって事件の対応ができていない現状だった。

 

ティアとティナは、王国の現状を報告書にまとめてからラキュース達に送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラキュースとガガーランとイビルアイは、バーの個室で情報交換をしていた。

 

「ティア達から、報告がきたぞ!王国は、輸送の警備代が上がったのと詐欺事件が増えているらしい」

 

「魔神国と、似た感じだな」

 

「ゴウン様が造られたマジックアイテムで、都市内でのヤルダバオトの不安は消えているから、別の事件が目立ってきたのね」

 

ラキュースは、パンドラの影響でアインズの事を神のような存在だと思っている。

 

「マジックアイテムを造って下さった、ゴウン様に感謝をしないとな!」

 

イビルアイは、コキュートスと一緒に居る時間が長く、その影響でアインズの事を素晴らしい人物だと思っている。

 

「それと、八本指から賄賂を受け取ってた役人達が解雇されて、人手不足になっているそうだ」

 

「それは、複雑な話ね」

 

「王国は、悪い役人が多すぎたのだ!」

 

しばらくは、真面目な話が続いたが、途中から話が本筋を外れた。

 

「イビルアイは、魔神王とはどうなんだ?」

 

イビルアイは、両手をもじもじさせながら話し始めた。

 

「毎日、戦闘訓練を2人でしている・・・それと、魔神国軍の訓練の様子を見に行っている」

 

「それだけか?もっと、進展とか?」

 

「進展だと!?失敗したら・・・終わりなのだぞぉ!?」

 

ラキュースとガガーランは、イビルアイの恋愛相談を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セバスとソリュシャンは、アルシェの事を探しているエルヤー・ウズルスと話し合いをしていた。

 

「なるほど、フルト家の長女の捜査をやめろと・・・フルト家には、魔神王から連絡がいくのですね。分かりました」

 

エルヤーは、魔神国の国王の名を出されたら引くしかなかった。

 

「帰りの交通費を、お支払いします」

 

セバスが、交通費としてエ・ランテルの通行料と帝国までの食料が購入できるだけの金銭を出した。

 

「交通費は、受け取りません。エ・ランテルには、個人的な理由でもう1日滞在します。アルシェ・ワンコ殿には、近づきませんので安心をして下さい」

 

セバスとソリュシャンは、アルシェの前に表れないと言っているので、関わると問題になる可能性があると思って帰った。

 

セバスとソリュシャンは、エルヤーの個人的な理由が気になった。

 

「ソリュシャン。エルヤーから気勢を感じたので、エ・ランテルを出るまでシャドウ・デーモンをつけます」

 

「畏まりました」

 

エルヤーは、帝国で有名な実力者なので警戒をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルシェは、ガゼフの宿泊先の民家で夕食を作っていた。

 

(美味しいシチューができた♪早く帰ってこないかなぁ♪)

 

アルシェは、ガゼフの帰りを待っていた。

 

(いつもより、帰りが遅いなぁ・・・)

 

ガゼフの帰りが遅いので、少し心配になった。

 

アルシェは、プラチナ級の冒険者チーム・フォーサイトとして活動をしている。

 

フォーサイトは、魔神国の冒険者組合の事務職の人間達が、各国の組合や軍との会議で出払っているので、ヤルダバオトの対策会議の補助の依頼が終わっても書類整理の支援をしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガゼフは、ヤルダバオトの対策会議の期間が終わって、魔神国の警戒任務に就いていた。

 

「ストロノーフ様が、警戒任務に就いてくれて、皆は安心をしています!」

 

「ストロノーフ様!握手をして下さい!」

 

ガゼフは、その人柄からエ・ランテルで人気者になっていた。

 

ガゼフは、警戒任務が終わって帰宅途中に、エルヤーに話しかけられた。

 

「私の名前は、エルヤー・ウズルスと申します。ガゼフ・ストロノーフ殿と、お見受けいたします」

 

ガゼフは、エルヤー・ウズルスの事を帝国の実力者だと聞いていた。

 

「ガゼフ・ストロノーフだが、何か用かな?」

 

「剣士として私の実力を試したいので、近隣諸国最強と謳われるストロノーフ殿に勝負を挑みたい」

 

ガゼフは、すぐに返事をした。

 

「断る!今は、ヤルダバオトの脅威がある。ウズルス殿もヤルダバオトが表れた時の為に備えて欲しい!」

 

両者は、睨み合った。

 

「勝負!」

 

エルヤーは、縮地改を使って足を動かさずスライドする様に移動した。

 

「はっ!」

 

ガゼフは、流水加速を使って神経を加速させて、攻撃速度を上昇させた。

 

両者の激しい戦いは、数分間続いた。ガゼフは、左腕にかすり傷を負って出血をした。

 

エルヤーは、ガゼフが防御のみに徹しているのを確認してから話し始めた。

 

「本気で戦っては、もらえないのですね」

 

エルヤーは、剣を鞘に納めた。

 

「ヤルダバオトの脅威に、国民が脅えている!強者には、脅えている国民を守る行動をして欲しい!」

 

エルヤーは、少し考えてから話し始めた。

 

「興が醒めました。失礼します」

 

エルヤーは、去っていった。

 

ガゼフは、警戒を担当している施設で、傷の手当てをしてから帰宅をした。

 

「アルシェ。いつも美味しい料理をありがとう」

 

アルシェは、ガゼフの目を見つめながら質問をした。

 

「ガゼフさん・・・何かありましたか?」

 

アルシェは、普段と違うガゼフの様子に違和感を感じたので質問をした。

 

「あっ・・・アルシェには、隠し事ができないな」

 

ガゼフは、エルヤーとのいざこざの話をした。

 

「えっ!?襲われて、怪我をしたんですか!?」

 

「怪我は、かすり傷なので問題はない」

 

「役人に知らせましょう!それに、ラキュースお姉様に、傷を診てもらいましょう!」

 

「傷は、大丈夫だ。それと、ウズルス殿は・・・問題は起こさないだろう」

 

ガゼフは、エルヤーが国民を守る行動をする可能性があるような気がしたので、問題を大きくはしたくなかった。

 

セバスは、シャドウ・デーモンからエルヤーの事を聞いて報告書を書いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エルヤーは、帝国に帰ってからフルト家を訪ねた。

 

アルシェの父親は、アルシェを探すのを諦めていた。

 

「ウズルス殿・・・すまないが、依頼は中止だ。旅費と依頼の取消料を払うよ」

 

「分かりました」

 

アルシェの父親は、かなり高額な金額を渡した。

 

「これには、口止め料も入っている。今回の依頼の事は、他言無用で頼む」

 

エルヤーは、ワーカーとして受けた仕事の内容を他人に話すつもりはなかったが、了承してからフルト家を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルシェの父親は、魔神王と皇帝の使者からアルシェとクーデリカとウレイリカの安全は魔神王の名で保証するので心配をしないようにと言われた。

 

コキュートスは、国同士の揉め事にならないように、皇帝にも話を通した。

 

クーデリカとウレイリカの事まで言われたので驚いたが、魔神王と皇帝の名を出されたら、アルシェの父親は逆らえない。

 

アルシェの父親は、自分が貴族の地位を取り戻す為に動いた理由は、自分達の子供に跡目を継がす為だった。

 

クーデリカとウレイリカを、3年間は探さない契約で奉公に出したが、3年後には全てが元通りになると思っていた。

 

「元通りには、戻らないのかぁ・・・」

 

アルシェの父親が、窓を開けてから空を眺めていたら、アルシェの母親が部屋に入ってきた。

 

「何かあったのか?」

 

アルシェの母親は、笑顔だった。

 

「あなた・・・」

 

アルシェの母親が、妊娠をした事を報告すると、アルシェの父親は喜んだ。

 

高齢出産になるので、神殿の優秀なマジックキャスターに依頼して出産に備えた。

 

アルシェの父親は、家族の為に生きる事を心の中で誓った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユリは、王城の執務室で事務仕事をしていた。

 

「ユリ姉!?」

 

ユリは、透明化していたルプスレギナが突然表れたので驚いた。

 

「驚いた表情!良かったっすよ♪」

 

「もう」

 

ユリは、ルプスレギナの性格を知っていたので、怒る気にはなれなかった。

 

「何かあったの?」

 

「お茶会の迎えにきたっすよ♪」

 

「後20分程したら出発しようと思ってたけど・・・」

 

ユリは、ルプスレギナの笑顔を見て少し早いけど、出発する事にした。

 

「秘書に、執務室を離れると伝えてくるわ」

 

ユリとルプスレギナは、ナザリックに転移した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナザリックのお茶会には、ペストーニャ・ユリ・ルプスレギナ・ナーベラルが参加していた。

 

モモンガ聖王国の建国計画の作戦中ではあるが、全戦力を傾けるタイミングは少ないので、比較的緩やかな雰囲気だった。

 

お茶会では、主に任務関係の事がメインで話される。

 

「私は、アインズ様とアルベド様とシャルティア様と一緒に、王国のナメクジ共の結婚式に参加したわ。アインズ様の祝辞の時に、下を向いて聞いていないナメクジやアルベド様とシャルティア様をいやらしい目で見ていたナメクジに腹が立ったわ!」

 

ナーベラルは、王国の国王とレイナースの結婚式に出た事を話した。

 

ユリは、アルベドから言われた事を思い出して、暗い表情になった。

 

それぞれが、今月行った事を話し終わった後に、ルプスレギナが笑顔で話し始めた。

 

「そうそう!ウルベルト様が、お戻りになられる前に計画されていた聖王国の殺戮作戦の事を知ってるっすか?」

 

ペストーニャとユリは、殺戮作戦と聞いて驚いた。

 

ナーベラルは、人間の事は嫌いだが、理由もなく人間を殺す考えはなかった。

 

「どんな計画だったのですか?わん」

 

「聖王国で、ヤルダバオトが暴れて、200万人以上の人間を殺戮してから魔王になって、アインズ様のもう一つのお姿である漆黒の英雄によって討伐される計画っす!漆黒の英雄は、周辺諸国に名声を広める事になるっす!」

 

ナーベラルは、笑顔になった。

 

「アインズ様の名声を、周辺諸国のナメクジ共が知るのね!」

 

ルプスレギナは、興奮してから話しを続けた。

 

「私とユリ姉もヤルダバオトの部下として、参加する予定だったっすよ!」

 

ユリは、アインズの為になる作戦だと思ったが、素直に受け入れる事はできなかった。

 

「その作戦の事を、いつ知ったのですか?わん」

 

「かなり前に、作戦計画書を金庫に封印するのを手伝った時に聞いたっす!その時に、デミウルゴス様が、ウルベルト様が、完全な状態に戻られた時に必要になるだろう!って言ったっす!」

 

ペストーニャとユリは、複雑な表情になった。

 

「ルプスレギナ!この話しをする事は禁止よ!」

 

ルプスレギナは、元気な声で返事をした。

 

それから、夏樹とアウラの赤ちゃんの状態の話になった。

 

「もうすぐ、若君か姫君か、分かるんっすか!?」

 

「次の診察で、分かる予定です。わん」

 

「若君だったら、ソリュシャンの婚約者っすね!」

 

ナザリックの者達は、お世継ぎに忠誠を尽くせる事を楽しみにしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソリュシャンは、ナザリックの居室の一室をお世継ぎの部屋にする為に作業をしていた。

 

作業は、一般メイドのシクススも手伝っている。

 

「ソリュシャン様。ベビーベットが完成したので、持ってきました」

 

「ありがとう。この位置に、置いてね」

 

転倒しても大丈夫なように、柔らかいシートを床に敷いたりと、安全対策をした。

 

「この剣の形をしたクッションは、コキュートス様ね」

 

コキュートスが、赤ちゃんの時から武器と触れ合えるよう、武器の形をしたクッションをアルベドに教えてもらいながら作った。

 

「お世継ぎに、武術を教えると張り切っておられました」

 

2人が楽しそうに会話をしていると、マーレが訪ねてきた。

 

「この絵本も置いて欲しいんですけど・・・良いですか?」

 

「もちろんでございます。マーレ様」

 

マーレも作業に加わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏樹とアウラは、ペストーニャの居る部屋に来ていた。

 

「お世継ぎの性別が、分かりました。わん」

 

夏樹は、アウラの方を見る。

 

「男の子か女の子か、聞いてみる?」

 

「はい♪」

 

夏樹とアウラは、楽しそうに会話をした。

 

1時間後に王座の間で、作戦中のデミウルゴスとシズ以外の者達が集められた。

 

「ウルベルト様とアウラ様のお世継ぎが、若君だと分かりました。わん」

 

発表を聞いた、コキュートスとソリュシャンの喜びが凄く目立っていた。

 

ソリュシャンは、姫君が産まれても、未来の義姉として誠心誠意仕えるつもりでいた。

 

アインズは、夏樹とアウラにお祝いの言葉を述べた。

 

夏樹は、部屋に帰ってからアウラに話しかけた。

 

「産まれるまで、無理をしないでね」

 

「はい♪」

 

アウラは、笑顔で答えた。

 

デミウルゴスとシズは、メッセージで報告を受けて、宿営用のテントの中で喜びの涙を流した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カルカは、レメディオスとデミウルゴスと一緒にテントの中で会談をしていた。

 

「カルカ様。明日の朝に出発すれば、4時間程で城壁に到着します」

 

「分かりました」

 

カルカは、デミウルゴスの姿を見ると、緊張して心臓の鼓動が早くなった。

 

レメディオスは、カルカがデミウルゴスに恋心を抱いているのを気付いていない。

 

「アルファ将軍。ヤルダバオトの対策のマジックアイテムを、無償提供して頂きありがとうございます。聖王国の皆を代表して、お礼を申し上げます」

 

デミウルゴスは、アインズの名を広める為に、結界を張るマジックアイテムを聖王国の都市の数だけ無償提供した。

 

「各都市に迅速に届ける為には、無償提供が一番効率的です。ですが、1回使用すると10日で結界は消えます。追加の場合は、購入をして頂きます」

 

レメディオスは、質問をした。

 

「その結界は、悪魔にしか効かないのですよね?」

 

「はい。悪魔にしか効果はありません」

 

「そうですか・・・亜人達にも効果があればと思ったのですが・・・」

 

デミウルゴスは、少しだけ考えた後に話し始めた。

 

「亜人にもですか、少し複雑な心境ですね。私は、異形種の父と人間の母親の間に産まれた者ですので・・・」

 

「そうなのですか!?」

 

カルカは、異形種であろうと人間と敵対しない限り友好的に接したいと思っているが、好意を寄せる相手が異形種と人間のハーフだと知って驚いた。

 

「魔神国の宰相のユリとは、母親が違う兄妹です」

 

カルカは、デミウルゴスの妹の事も気になった。

 

「兄妹で政治と軍事をまとめるとは、人望が厚いのですね♪」

 

「人望など・・・自分が、出来る事を精一杯しているだけですよ。私よりも、聖王女様の国をまとめる政治力の方が凄いと思います。聖王国は、カルカ・ベサーレス様が聖王女になられてから失策はなかったと聞いております」

 

レメディオスが、興奮して答える。

 

「カルカ様に、失策などあり得ない!常に国民の事を考えて行動されている御方です!」

 

カルカは、デミウルゴスに褒められた事で嬉しい気持ちになった。

 

「その通りです。国民に理解されない政策を反感を買いながら続けるより、国民が安心して暮らせる政策を続けていく事が重要です!それを維持する苦労は、計り知れません」

 

カルカは、表には出せない心労に気付いてくれるデミウルゴスの言葉に感動した。

 

「そんな事は・・・レメディオスやケラルトの支えがあったので、国民の為の政策を続ける事が出来ました」

 

レメディオスは、カルカの言葉を聞いて感動の涙を流した。

 

デミウルゴスは、楽しい会話が続いたが就寝の時間になったのでテントを出た。

 

カルカは、親友でもあるレメディオスにある事を相談した。

 

「レメディオスに、相談したい事があるの・・・良いかしら?」

 

レメディオスは、亜人連合軍かヤルダバオト関係の事だと思って真剣な表情で返事をした。

 

「この話は、個人的な事なのぉ・・・」

 

カルカは、頬を染めながら小さい声で話をした。

 

「レメディオスは・・・アルファ将軍の事をどう思う?」

 

「アルファ将軍ですか・・・軍人としてとても優秀な方だと思います!」

 

「そうよね・・・私は、大型の悪魔達を倒した時の姿を思い出すと、うっとりしてしまうわ♪」

 

レメディオスは、カルカが恋をする乙女の姿に見えた。

 

「カルカ様。もしかして、相談と言うのは・・・恋愛が絡む事でしょうか?」

 

カルカは、恥ずかしくなって、赤面して顔を手で隠した。

 

「そうなのですか・・・」

 

カルカは、小さな声で返事をした。

 

「ですが、カルカ様は、聖王女という立場がありますので・・・お相手が、異形種と人間のハーフの男性というのは、貴族や国民が納得するとは思えませんし・・・アルファ将軍は、独身で恋人はいないと先ほど言われていましたが・・・」

 

レメディオスは、カルカの目から生気が消えた気がした。

 

「私は、カルカ様のお力になります!」

 

レメディオスは、力にならないと取り返しのつかない事態になるのではないかと思った。

 

「ありがとう!」

 

カルカは、味方になってくれると聞いて安心をした。

 

「私は、家族以外の男性とプライベートでの関わりがなくて・・・」

 

「ご安心を!先月結婚をした団員の娘が、結婚の秘訣を言っているのを聞きました!」

 

「結婚された方の意見は重要ね。その娘さんは、どんな方なの?」

 

「はい!その娘の年齢は25歳で、結婚式では涙を流して喜んでいました!」

 

カルカは、自分と同年齢の女性の意見だと知って、真剣な表情になった。

 

「結婚の秘訣は2つあって、1つ目は相手と同じ趣味を持つ事で、2つ目は相手の家族と仲良くなる事だそうです!」

 

「なるほど!共通の話題ね!アルファ将軍は、小説を読むのが好きだと言ってましたね♪」

 

「妹のユリ・アルファ宰相とも、国同士の交流で仲良くなれるかもしれませんね!」

 

カルカとレメディオスは、デミウルゴスと仲良くなる方法を話し合った。

 

亜人連合軍とヤルダバオトの脅威はあったが、カルカには結婚についても真剣に考えないといけない時期でもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖王国の城壁には、5万人以上の聖王国軍が集結していた。

 

1週間後には、10万人以上の軍勢が集まる予定である。

 

オルランド・カンパーノが、城壁で亜人連合軍の監視をしていた。

 

「バザーが、聖王国軍の全軍と戦いたいと言っていたが・・・何か引っかかるなぁ」

 

そんな事を考えていると、パベル・バラハが監視の交代に表れた。

 

「交代の時間だ」

 

「もうそんな時間ですか・・・亜人連合軍に動きは、ありません」

 

パベルは、オルランドの報告の態度が少し気になったので注意をした。

 

「こいつは失敬、兵士長殿」

 

パベルは、これ以上言っても意味がないと思って、ため息をついた。

 

「娘さんが聖王女様と一緒に、悪魔達に攫われたそうですね」

 

「そうだ!あの子は、イモムシが怖いと泣くような優しい子だ!そんな子を、誘拐するとは!絶対に、許せない!」

 

パベルは、怒りの表情をした。

 

「あの子は、聖王女様を守る事ができなかったと泣いていた!悪魔共め!根絶やしにしてやる!」

 

オルランドは、話が止まらなくなって困惑した。

 

「魔神国のアルファ将軍とシズ副将軍が、助けてくれたから良かったが・・・」

 

オルランドは仕事の話をして、パベルの話を止めてから交代をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

ネイアは、副団長のグスターボに呼び出しを受けた。

 

「数日以内に行われる、上層部の会議に参加してもらう」

 

「聖王女様を、お守りできなかった事に対する罰が下されるのでしょうか?」

 

グスターボは、難しい表情をしてから話をした。

 

「今は、緊急事態なので具体的な罰はないが、聖王女様が誘拐されたのだ。誰も責任を取らないというのは、聖騎士団や聖王国軍としても示しがつかないからな」

 

「私は、聖王女様をお守りする事ができませんでした・・・悔しくて・・・情けなくて」

 

グスターボは、ネイアの悔しい表情を見て話し始めた。

 

「その悔しさを忘れずに、精進をするんだ!」

 

ネイアは、悔し涙を流しながら返事をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シズは、聖王国の城壁の近くのテントの中から、デミウルゴスの転移でナザリックに帰還してアインズに報告をしていた。

 

「聖王国の作戦はどうだ?」

 

「問題は...ありません」

 

アインズは、シズの様子がいつもとは違う気がした。

 

「作戦とは別で、何か気になる事でもあるのか?」

 

シズは、少しだけ考えた後に話し始めた。

 

「あります...ネイアが、強くなりたいと努力してるけど...剣術の才能がなくて悩んでいます。弓の才能はあるけど、弓より剣術の修練をしろと言われてる...みたいです」

 

「シズは、命令とは別で、ネイアの事が気に入ったのか?」

 

「はい...お気に入りです」

 

アインズは、空間から弓を出した。

 

「この弓を、シズからの贈り物だと言ってネイアに渡すのだ。他国の副将軍からの贈り物だ。ネイアが、弓を使っていても文句は言われないだろう」

 

シズは、お礼を言って弓を受け取った。

 

アインズの言葉に、深い意味はなかった。

 

アインズが渡した弓は、冒険者として活動している時に、現地調査の一環で購入した弓なので、かなり高額だが購入する事は可能な弓だった。

 

デミウルゴスは、テントの中でシズから事情を聞いてから、すぐにシズと一緒にネイアの所に向かった。

 

 

 

 

 

 

ネイアは、城壁から少し離れた所にある訓練場で剣の修練をしていた。

 

レメディオスとグスターボが、200人以上の聖騎士団を指導をしている。

 

「悪魔を追い払うマジックアイテムは、亜人達は追い払う事はできない!いつ攻めてきても対応できるように、気合を入れて訓練をしろ」

 

「はい!」

 

聖騎士団の訓練は、とても厳しかった。

 

ネイアは、剣術の才能には恵まれていなかったが、頑張って課題をこなしていた。

 

「バラハは、もう少し力を抜け」

 

「はい!」

 

グスターボは、ネイアを気にかけていた。

 

レメディオスは、訓練場にデミウルゴスとシズが表れたので近付いた。

 

「アルファ将軍とシズ副将軍、何か用事でしょうか?」

 

「カストディオ団長。訓練中に、申し訳ありません。シズ副将軍が、ネイア・バラハに渡したい物があると言うのできました」

 

「ネイアに...この弓を渡したい」

 

レメディオスは、聖騎士団と魔神国軍が交流すれば、カルカとデミウルゴスが出会える機会が増えると思った。

 

「暫くお待ちを!」

 

レメディオスは、訓練を中止して騎士団を整列させた。

 

「これより、魔神国軍のシズ副将軍が、従者ネイア・バラハに武器を贈呈する!」

 

ネイア・バラハは、驚いた表情をしていた。

 

「魔神国のデミウルゴス・アルファ将軍が、立ち会って渡される武器である!グスターボは、この意味が分かるな?」

 

グスターボは、返事をしてから話し始めた。

 

「魔神国の軍部の最高責任者が立ち会って、副将軍が武器を贈呈するのです!従者ネイア・バラハには将来性があり、期待をしているという意味になります!」

 

「そうだ!従者ネイア・バラハは、この事を心に刻んでおけ!そして、期待を裏切らないように励め!」

 

「はっ!?はい!?」

 

「従者ネイア・バラハ!シズ副将軍の元に行け!」

 

シズは、ネイアに弓を渡した。

 

「ネイア...この弓を大切に扱うように...絶対になくしたらだめ」

 

「はい!絶対になくしません!」

 

これ以降、ネイアが弓の修練をしても周りには何も言われなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カルカは、城壁にある作戦室で会議を開いていた。

 

会議の参加者は、上位の貴族とレメディオスとケラルトとネイアである。

 

「ヤルダバオトの部下に襲撃されて、聖王女様を攫われるとは何事か!?」

 

「聖王女様に、もしもの事があったら聖王国軍は混乱していたぞ!」

 

「しかも、魔神国の将軍に助けられるとは・・・魔神国の国王は、異形種なのだぞ!」

 

上位の貴族達は、レメディオスとネイアを責めた。

 

上位の貴族達は、異形種に対して否定的な貴族や国民が多いので、その者達を刺激したくはなかった。

 

「申し訳ありません」

 

「申し訳ございません。すいません」

 

2人は、謝罪をした。

 

上位の貴族達も緊急事態なので、問題を大きくしたくない。

 

「まぁ、これ以上問題を大きくしても得なことは何もないな」

 

「亜人連合軍の対応について、議論をせねばならん」

 

「聖王女様。2人の処分は、緊急事態が発生している現状等の理由で、口頭での厳重注意だと記録に残します。本来であればもっと厳しい罰が必要でしょうが・・・体裁は整うでしょう。よろしいですね?」

 

カルカは、暗い表情で返事をした。

 

「従者バラハ。アルファ将軍とシズ副将軍を作戦室に呼んでくれ」

 

ネイアは、返事をしてから作戦室を出た。

 

カルカは、ヤルダバオトの情報収集をしなかった自分に責任があると思ったが、聖王女の失態が知れ渡ると体面を失って聖王国が混乱する可能性があったので発言ができなかった。

 

カルカは自分の意見が言えずに、2人に責任を押し付けてしまった事を心の中で謝罪をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルベドとシャルティアは、第六階層で寛いでいた。

 

2人は、アインズとの結婚が決まってから、休憩の1時間を合わせて過ごす事が多くなった。

 

「アインズ様は、どうしてネイアという娘に弓を贈ったのでありんすか?」

 

「アインズ様が、ローブル聖王国を乗っ取って、モモンガ聖王国を建国する時に、貴族や聖王国軍や聖騎士団をまとめる事になるわ」

 

シャルティアは、その話を聞いて続きを自分で考えた。

 

「あっ!続きが分かったような気がするでありんす!」

 

シャルティアが、アインズに直接言いたいと言ったので、アルベドと一緒にアインズの所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルベドとシャルティアが、アインズの居る執務室に入室をした。

 

アインズは、ちょうど執務が終わった所だった。

 

「アインズ様が、ネイアに弓を贈られた理由が分かったでありんす♪」

 

シャルティアは、満面の笑顔だった。

 

アインズは、ネイアの聖騎士団での待遇を改善する為に贈っただけで深い意味はなかった。

 

アインズは、深い意味があると勘違いをされたと思った。

 

「おぉ!分かったか・・・では、聞かせてもらおうか」

 

シャルティアは、お辞儀をしてから話始めた。

 

「モモンガ聖王国を建国した際に、聖騎士団は、アインズ様の護衛を担当する事になるでありんす!その時に、シズがネイアと親密になっていれば、聖騎士団の中に不穏な動きをする者がいないかをチェックしやすくなるでありんす♪」

 

アインズは、シャルティアの意見に関心した。

 

シズが聖騎士団と親しくなっていれば、怪しまれずに内部を調査しやすいと思った。

 

アインズは、シャルティアの成長が嬉しかったので褒める事にした。

 

「さすがだ!シャルティア!」

 

アインズは、シャルティアの頭を撫でた。

 

「もっと精進して、アインズ様のお考えが、素早く理解できるように頑張るでありんす♪」

 

アルベドは、その光景を見ながら話し始めた。

 

「凄いわ!シャルティア。アインズ様のお考えの内の1つを理解する事が出来たわね♪」

 

「えっ!?1つだけでありんすか!?」

 

アインズは、シャルティア以上に驚いていた。

 

「ネイアの父親のパベル・バラハは、兵士長という地位で、凶眼の射手の異名を持つ人物よ。軍部とも間接的に繋がりが持てる可能性が高いわ」

 

アルベドは、笑顔で話を続けた。

 

「そして、魔神国は異形種が王なので、聖王国の貴族達は警戒をしているわ。デミウルゴスが、異形種と人間のハーフだと知った時の貴族達の反応を見るのよ」

 

「反応でありんすか?」

 

「そうよ。デミウルゴスが、聖王国軍や聖騎士団の者達と友好的に接していたら、貴族達が何かしらの行動を起こす可能性があるわ・・・もしも、暗殺のような行動を起こすなら、ナザリックで密かに教育して考えを改めてもらうのよ」

 

アルベドとシャルティアは、一瞬だけ殺気が漏れた。

 

「アインズ様は、異形種の魔神王が敬意を払っていて魔神国の要人よ。ハーフのデミウルゴスに敵対するような考えだとしたら・・・恐れ多い事だけどアインズ様に何かする可能性もあるわ!」

 

アルベドは、殺気を消してから、アインズの方を笑顔で見た。

 

アインズは、答え合わせを求めていると思った。

 

「そうだな。ウルベルトさんは、争いを嫌い平和を望んでいるので、貴族や軍や聖騎士団の調査はかなり重要だ!まぁ、私は、シズが気に入ったネイアを助けてあげたいと純粋に思っただけだぁ!ハッハッハ!」

 

アルベドとシャルティアは、ナザリックの者達の為に動いてくれたアインズに感謝をした。

 




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