気が付いたら、ウルベルトになっていた。(R15バージョン) 作:コインランドリー
夏樹は、玉座の間で会議を開いた。
ナザリックのエントマ以外の主要メンバーが揃っている。
夏樹は、アインズの椅子には座らずに立っている。
夏樹専用の椅子を作る話が出たが、夏樹は断った。
「計画の変更があったので報告をする」
(デミウルゴスが、手伝ってくれて良かった〜問題点を分かりやすく上げてくれるし、どちらにしますかって、優しく聞いてくれるから助かった。原作あんまり読み込んでなかったし・・・流れは変わてるしね)
「王国を乗っ取ってから、コキュートス魔神国を建国します」
「ナント!私シノ名ガ国名二!?」
「コキュートスには、国王になって魔神王コキュートスと名乗ってもらうね」
コキュートスは、やる気満々に返事をしたが、他の者達は驚きの表情だった。
「王国に悪魔王ヤルダバオトが数百体の悪魔達を率いて襲撃してきて、漆黒の英雄モモンと激闘を繰り広げる。漆黒の英雄モモンのピンチに魔神王コキュートスが配下のデス・ナイトを100体率いて助けにくる・・・そして、悪魔王を撃退して、時間をかけて教育した貴族達を従えて、コキュートス魔神国を建国する流れです」
皆は、真剣に話を聞いている。
「次は、具体的な作戦内容を説明していくね。ペストーニャとパンドラは、親子になってもらうね。ペストーニャが母親で、パンドラは息子ね」
ペストーニャとパンドラは、返事をしてからお辞儀をした。
「パンドラは、蒼の薔薇のラキュースに、ペストーニャを母親として紹介してもらうね。コキュートスが国王になる時に、漆黒の英雄の母親が異形種だと発表するので、その時に味方になってもらうからね」
(アインズさん。すいません!漆黒の英雄の設定をいじりました!ごめんなさい!部屋から出てきたら、土下座して謝ろう)
「アウラは、教育した貴族達を動かして、コキュートスが国王になれるように誘導してね」
「はい!了解しました!」
夏樹は、貴族の教育が役に立って良かったと思った。
「セバスとルプスレギナは、王国の子供達の避難計画を頼むね。聖王国の計画は、少し先になるから・・・ごめんね」
「畏まりました!延期でも大丈夫です!」
「問題ないっすよ!計画を立てるは、楽しっすよ!」
(計画立てるのは、けっこう大変だけどな・・・聖王国の避難計画の案は、まだ届いてないよな?パンドラを支援に、派遣するかな)
「次は、悪魔王ヤルダバオトとデス・ナイトを100体と悪魔達数百体の用意をデミウルゴス頼むね」
デミウルゴスは、お辞儀をしてから返事をした。
「シャルティアは、アインズさんとアルベドの居る部屋の警備を頼むね。コキュートスが忙しくなるから、エントマと交代でね。時々、ゲートを繋げてもらうからね」
「はいでありんす!!」
シャルティアの喜びの声は、王座の間中に響き渡った。夏樹は、シャルティアがアインズを強く求めていると思ったので、この任務を任せる事にした。
「他の者は、ナザリックの警備や業務を頼むね」
(後は、ナーベラルの演技指導だな・・・ここで言うと、傷つくかもしれないからなぁ〜後で呼ぶか)
セバスとルプスレギナはナザリックの会議室で、王国の都市に住む子供達の避難の計画を立てていた。
都市の調査は、役所の資料をみたり確認すれば分かるが、都市の地形の確認は現場を回るので少しだけ苦労をした。
移動は、シャルティアのゲートを使った。
「ウルベルト様!最高っすね!こんなに、忙しい仕事を与えてくれるなんて!?」
ルプスレギナは嬉しそうに、地図を見ながら作戦を練っている。
「えぇ!失敗をしてしまった・・・私達に、このような重要な仕事を与えて下さるなんて」
セバスは、ルプスレギナが作成している、王都の東側の避難計画の確認をした。
「ルプスレギナ・・・この東側の作戦は、無理がありまよ」
「マジっすか!?」
「えぇ、最後の部分がおかしいですね。王都から逃げ出すまでは良いですが、逃げ出した先に大勢の人間が乗れる馬車が置いてあるのは不自然ですよ」
セバス達は、子供達の人数の把握や地形の調査は完璧ではあるが、作戦の立案は少し苦手な部分があった。
パンドラが、会議室に入室してきた。
「ウルベルト様より、子供達の避難計画の作成を手伝うように命令を受けました」
「3日間の調査で、子供の人数の把握と地理のデータは集めたのですが、なかなか作戦の立案が上手くできずにいたので助かります」
「助かるっす!」
パンドラは、集められた情報やセバス達が立案した作戦の計画書を確認した。
「そうですね。この王都の東側は、帝国のコイル商会の馬車をメンテナンスするために大量に置いていた事にしましょう。帝国のコイル商会は準備中で家具の調達に動いていた事にすれば、別の作戦でコイル商会が必要になった時に実践として使えます。商会の者達は、帝国のワーカーを運び屋として雇っておきましょう」
「それは、良いですね!」
「おー!作戦が、活きてきたっすね!」
パンドラの提案で、スムーズに作戦が決まっていった。
パンドラは、子供の避難計画の立案が終わったので、作戦の準備はセバス達に任せて、デミウルゴスの居る資料室に向かった。
資料室に入室すると、デミウルゴスとペストーニャが居た。
「報告をします。王国の子供の避難計画の立案が終わりました。ペストーニャ様が、居られるので次の作戦準備ですね!」
デミウルゴスは、笑顔で答える。
「そうだよ。ウルベルト様には、許可は取ってあるよ」
「子供の避難計画の立案を、ありがとうございます・・・わん」
パンドラは、オーバーアクションをしてから答える。
「ウルベルト様の望みを叶える事が、重要ですので!」
「その通りだよ。ペストーニャから、か弱い人間の話を聞いて、ウルベルト様は子供を想像されたのだ。子供が武器を持って、明確な殺意を向けない限り殺すのは無しだな」
ペストーニャは、武器を持つ子供の姿を想像した。
それには、親や兄弟を守る為に戦う子供も入るのだろうかと思ったが何も言えなかった。
「それでは、漆黒の英雄モモンの設定の確認からするよ。モモンは、人間の父親と異形種の母親との間に産まれた子供とします。父親は、行方不明になっている設定として、母親は異形種のペストーニャ・ワンコとなる。モモンは、名前だけを名乗っている感じになるね」
パンドラとペストーニャは、笑顔で返事をする。
「アダマンタイト冒険者の蒼の薔薇と教育した貴族達が、モモンが人間と異形種のハーフだと上手に広める。そして、同時に魔神王コキュートスとモモンが友好関係だと広めて、モモンと悪魔王ヤルダバオトとの激戦に参戦した時に、受け入れられるようにする作戦だ」
パンドラとペストーニャは、返事をしてから準備に取りかかった。
ラキュースは、パンドラから母親に会って欲しいと言われた。
ラキュースは、酔った勢いで繋がったが後悔はなかった。
「すまないな、ラキュース。昨日、急に母上が訪ねてきたのでな」
「モモンさん。私も、ご挨拶をしたかったので大丈夫ですよ」
ラキュースは紫のドレスを着て、手土産に紅茶を持参している。
ラキュースが緊張しながら部屋に入ると、黒いベールで顔を隠した女性が立っていた。
ラキュースは、高級なベールと衣類を纏っているので、パンドラの母親は上流階級の人間なのだろうと思った。
ラキュースは貴族なので、話が合うかもしれないと思った。
「はじめまして、モモンさんのお母様。私は、ラキュース・アルベイン・デイル・アインドラと申します。ラキュースと呼んで頂けたら嬉しいです」
「丁寧な挨拶を、ありがとうございます。モモンの母親のペストーニャ・ワンコです・・・わん!」
ラキュースは、語尾に『わん』と言ったので、外国の方かと思った。
ラキュース達は、楽しい会話をして過ごした。
「ラキュース・・・母上の顔を見たら驚くと思うけど、大丈夫かな?」
「えっ!?」
ペストーニャが、ゆっくりとベールを捲ったら犬の顔が出てきた。
「お母様は、異形種なのですね」
ラキュースは驚いたが、すぐに慣れた。
そして、打ち解けて話をした。
ソリュシャンは、夏樹に呼ばれたので執務室に入った。
執務室には、夏樹とナーベラルが居た。
「ナーベラルの演技指導を、手伝って欲しいんだけど良い?」
「畏まりました」
夏樹が聞くと、ソリュシャンは笑顔で答えた。
ソリュシャンは、特に担当を与えられてなかったので、少し寂しかった。
ナザリックの通常業務も重要な事ではあるが、夏樹に頼まれた方が何倍も嬉しかったからである。
ナーベラルの演技指導が始まってから、20分が経過した。
「ナーベ。10ページの所を、練習するわよ!」
ソリュシャンとナーベラルは、夏樹の前なので真剣そのものだった。
「モモンさーん!ウジムシが!悪魔に攫われています」
「ナーベ!ウジムシじゃなくて、男性か女性のどちらかで言いなさい!貴方は、漆黒の英雄のモモンの相棒なのよ!これから、コキュートス魔神国の重要な地位に付くのよ!」
ナーベラルの演技指導は、2時間以上続いた。
「ナーベラルは、よく頑張った!ウジムシを人間と言えるようになったし、笑顔も引きつった感じが良い味出してる!」
ナーベラルは、真面目な表情で返事をした。
「ありがとうございます!ナメクジ共を救う演技が、もっと上手くなるように努めます」
「ナーベラル・・・嘘でしょ」
ソリュシャンは、夏樹の貴重な時間が無駄になったと思って、肩を落として遠くを見る目になった。
デミウルゴスは、ラナーと接触するために王城に向かった。
デミウルゴスが王城のラナーの部屋に入ると、ラナーは椅子に座っていた。
「私が、誰か分かるね?」
ラナーは、優雅に椅子から立ち上がった。
「はい。この国を乗っ取って、支配する方ですわ」
ラナーは、ゆっくりとお辞儀をした。
「正解だよ・・・実に、素晴らしい頭脳の持ち主だな」
ラナーは、悪意のある貴族達を誰かが調教している事に気が付いていた。
魔法で操られている感じはしなかったので、2日程の期間で調教するだけの頭脳と戦力を持っている組織は人間ではないと思っていた。
「私は、何をすればよろしいでしょうか?」
「何もするな」
ラナーは、驚きの表情をした。
ラナーは、何もしない事が国の乗っ取りに貢献する事になる理由を考えた。
貴族達を調教して、国を乗っ取るのに王女の立場は必要ない、むしろ邪魔な存在なのだと思った。
「畏まりました」
ラナーは、ゆっくりとお辞儀をした。
「望みはあるかな?何もしないという褒美だよ」
ラナーは、笑顔で答えた。
「クライムと2人だけで、暮らせる世界を望みます」
「分かった」
デミウルゴスは、ナザリックに転移した。
夏樹は、デミウルゴスと計画の問題点について話し合っていた。
「王国の第三王女のラナー王女なのですが、私と同じくらいの頭脳の持ち主です」
デミウルゴスは王国の乗っ取りに、ラナーを使うかどうかを相談しにやって来た。
「頭が、良いんだね」
「ですが、頭の良い人間に力を与えると裏切る可能性も増えてきます。ウルベルト様は、現在万全な状態ではありませんので、遠ざけた方が良いと思います」
デミウルゴスは、夏樹が心配だった。
「ラナー王女は、従者の男との2人だけの暮らしを求めていますので、それができるように取り計らえば、コキュートス魔神国の建国の邪魔にはならないでしょう」
(確かに!危なそう!)
「何処か静かに暮らせる場所を、提供してあげてね!」
「畏まりました。その際に、悪魔王ヤルダバオトの名を広げるために、ラナー王女とクライムを誘拐して、山奥にある別荘に2人を住まわせます。食料や衣類はプレアデスに交代で運ばせて、護衛はシャド・ウデーモンを2体配置します」
デミウルゴスは、悪魔王・ヤルダバオトが王国に数百の悪魔を率いて襲う前のデビュー戦にしようと思って行動をした。
リ・エスティーゼ王国の王城では、国王と貴族達が会議をしていた。
「食品と土地の保有者に対する税金を無くしてから、国民の暮らしが良くなったな」
国王のランポッサⅢ世が、笑顔で話していた。
「はい!都市の通行税と所得税だけで、税収は十分です」
「国民の暮らしが第一ですからなぁ〜」
国王は、貴族達が真面目になった事に驚いたが、国民の暮らしが良くなったのが嬉しかった。
国王の後ろに控えるガゼフ・ストロノーフも、貴族達が真剣に国民の事を考えているのが嬉しかった。
「国王陛下!大変です!」
衛兵が、会議室に慌てて入ってきた。
「どうした!?」
「ラナー王女が、悪魔王・ヤルダバオトに攫われました!」
「何!?」
王城は、混乱に陥った。王女誘拐事件は、王都に住む人々にとって悲しい事件だった。
ラキュースは、ラナーの誘拐事件を知って、個人的に捜索をしたが見つからなかった。
国王は、誘拐事件の担当の騎士から報告を聞いている。
「中庭で過ごされていたラナー王女は、突然表れた悪魔王・ヤルダバオトによって、従者クライムと一緒に誘拐されました。今の所は、身代金の要求等はありません。ヤルダバオトの特徴ですが、体格はオーガと同じくらいで、頭に角があり恐ろしい顔だったそうです」
王国の貴族達が国民の事を思い行動して、幸せな気分になっていたのに、ヤルダバオトがラナー王女を攫ったので、国王は肩を落として悲しんだ。
「国王陛下・・・ぐっ」
ガゼフは、国王がゆっくりと杖をついて歩いている姿をみて、何も出来ない自分が悔しかった。
ラナーは、クライムと山奥にある別荘で暮らしていた。
別荘は、広くて三階建てで、中庭も池もある広い屋敷だった。
食料等は毎日届いて、衣類等は注文すれば届けてくれるので、生活には困らないが敷地から出ることは出来なかった。
ラナーとクライムには、魔法が掛かっていて、屋敷を出たら気分が悪くなる仕掛けがしてあった。
「ここから、逃げられないのか・・・」
最初こそ逃げようとしていたが、3日もすると逃げられない事が分かったので諦めた。
別荘は、山奥にあって人が通る事はない。
夏樹は、ナザリックの王座の間に居た。
シャルティアとエントマ以外の者が集まっていた。
(何か、雰囲気が暗いよ・・・もしかして、偽物だってバレた?)
デミウルゴスは、俯いて動かない。
(ヤバいよ!デミウルゴスが、落ち込んでるよ)
夏樹は、デミウルゴスは、常に味方だと信じていた。
「ウルベルト様に、ご報告があります・・・」
デミウルゴスは、涙をこらえて話を始めた。
「シャルティアが・・・アインズ様とアルベドの居る部屋に侵入をしました」
「えっ!?」
(どうしょう・・・)
「そうか・・・アインズさんが恋しかったんだな・・・うん!仕方ないよ!」
(やっぱり・・・本物の方が良いよね)
夏樹の優しさに、その場の者達は泣き崩れた。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます!