気が付いたら、ウルベルトになっていた。(R15バージョン) 作:コインランドリー
夏樹は執務室で、デミウルゴス・コキュートス・ユリと、ある事について話し合っていた。
「コキュートス魔神国の人事を、少し早いけど発表するね。前にも言ったけど、コキュートス魔神国の国王はコキュートスね」
「御意!」
コキュートスは、頭を下げた。
「ユリは、宰相ね!魔神国の貴族達のまとめ役ね」
「畏まりました。光栄に存じます!」
夏樹がユリを選んだ理由は、真面目だと思ったからである。
「デミウルゴスは、魔神国軍の将軍ね。デミウルゴス将軍として、軍事の全てを頼むね」
「素晴らしい!地位を与えて下さり!ありがとうございます!」
魔神国では、デス・ナイトの軍隊を中心に人間達も組み込むつもりなので、デミウルゴスが最高司令官の方が良いと思った。
この人事は、デミウルゴスから宰相と将軍を決めて欲しいと言われたので、夏樹が考えて決めた。
魔神国は、政治面と軍事面と分けているように他国に思わせるためである。
ユリは、王国の貴族達の担当をしているアウラの所に行った。
「ユリは、魔神国の宰相になるのか、宰相って貴族達をまとめて国を動かす役目だよね?」
「はい!そのような役目です。表向きは、魔神王コキュートス様を補佐して、貴族達を動かします」
ユリは、貴族の教育に最初から参加していたので、貴族達の顔と名前は知っていたが、教育が終わってからの事は知らなかった。
アウラは、コキュートス魔神国が建国したら、貴族達の担当の仕事が無くなると思って少し悲しい気持ちになったが、第6階層とシャルティアの代理とトブの大森林のログハウスの管理もあるので、真剣に仕事に臨もうと気合を入れた。
ユリは、ツアレが八本指にボロボロにされるきっかけとなった貴族が、白髪の男性を見かける度に、何処か遠くを見るような目になる等の報告を受けた。
教育の内容は、夏樹には秘密になっている。
コキュートスは、武人の精神を持っていて、真面目な守護者だったので、魔神王という立場について真剣に考えていた。
コキュートスは、アインズから今後のモデルケースにするため、恐怖に頼らない統治を命じられて、リザードマンの統治をしているが、部族と国ではスケールが違うと考えた。
コキュートスは、デミウルゴスとユリを会議室に呼んで相談をする事にした。
「魔神国ノ事二ツイテ、話ヲシタイ」
デミウルゴスは、リザードマンの時は事前準備の不足があったので、その時の反省を活かしていると気が付いて嬉しかった。
魔神国の建国計画は、半分以上終わっているので、問題が起きなければ、真剣に考えるのには良い時期だった。
「コキュートス様。魔神国の方針についてでしょうか?」
コキュートスは、頷いてから話し始めた。
「国民ノ中デ戦ウ意思ノ有ル者達ハ、剣術ヤ武術ヲ学ベル国二シタイ」
デミウルゴスとユリは、武人として戦士に対しては敬意を払っている姿勢のコキュートスらしい方針だと思った。
ユリがデミウルゴスの方を見ると、微笑んでいたので問題はないと思って返事をした。
「畏まりました。建国後は貴族達をまとめてから、誰でも試験を受けて軍人になれる法案を作ります」
「魔神国軍の訓練が出来る、施設や厰舎も用意しないとね。楽しくなりそうだね。友よ」
「二人共、頼ム」
コキュートスは、夏樹に魔神国の方針について報告をした。
「良いね!コキュートスらしいや!」
夏樹が、コキュートスを王に選んだ理由は、リザードマンの統治をしているので、国の統治も出来るのではと思ったのと、強そうな者が王だと他国に対する牽制になると思ったからである。
ユリ・ルプスレギナ・ソリュシャン・シズは、休憩時間を利用して御茶会を開いていた。
ナーベラルとエントマは、任務中で参加出来なかった。
「いやー!ウルベルト様は、優しいっすね!忙しい仕事を与えてくれて!嬉しいっす!」
ルプスレギナは、子供の避難計画に必要な物の購入等で、忙しく働いた話をした。
「私は、コイル商会の令嬢として、セバス様とワーカーを雇う交渉に行ったわ」
ソリュシャンは、子供の避難計画で馬車を使う予定なので、日程を交渉するために帝国に行った話をした。
「コキュートス魔神国の宰相になる予定なので、貴族の現状をアウラ様と確認をしに色々と行っていたわ」
ユリは、貴族の現状を話た。
「教育を受けた、半分くらいの貴族が赤い髪の女性を恐れているみたいよ」
ルプスレギナは、その話を聞いてから笑顔で話し始めた。
「あんなに、優しくしてあげたのに・・・今度!説教しに行くっす!」
「やめなさい!もしも、貴族達が倒れてたりして動けなくなったら、コキュートス様が王国を乗っ取る時に民衆を誘導できなくなるわ!」
ユリは、ルプスレギナを貴族達に会わせるのは危険だと思った。
20分程経った時に、シズがある事を疑問に思った。
「私は、外での任務が...与えられていない」
シズは、ナザリックのギミックとその解除法の全てを熟知しているが、情報漏洩を危惧したアインズが記憶操作の対策をしている。
「これから、ウルベルト様の所に行っくっすよ!きっと外の任務を、与えてくれると思うっすよ!」
他の者は、不敬な考えだと言ったが、ルプスレギナが少し強引に皆を連れ出してから夏樹に相談をしに行った。
エントマは、アインズの部屋の前の警備を1人で任されていて、皆に羨ましがられていた。
エントマは、休憩の1時間以外は、アインズの部屋の前の警備をしている。夏樹は心配をしているが、本人が喜んでいるので、休憩の交代要員だけ派遣している。
ユリ達が夏樹に事情を伝えると、魔神国軍の副将軍の地位に就く事になった。
「シズ副将軍、かっこいい...頑張ります」
「おめでとう!シズ!」
「シズ副将軍!良いっすね!」
「しっかりと、デミウルゴス様を支えるのよ」
ユリ達は、エントマに伝えに行ってからナーベラルにメッセージで伝えた。
夏樹がデミウルゴスに相談をしたら、シズの武器は魔神国のが開発した特別な武器にする事にした。
ナザリックの者達は、作戦がミスをすることなく成功すると思っていた。
細かな情報の確認をしているし、変更点は報告書に書いて送っていた。
国王は、ガゼフに魔神王が来る数日前に、ある事を相談した。
「ガゼフよ。魔神王コキュートス殿が来られる日に、余興を披露出来ないだろうか?」
「余興ですか・・・私は、そういった事が苦手なので、部下に相談してみます」
「頼むな。異形種の方だと聞いているが、ラナーとクライムの命の恩人だ。楽しんで、もらいたい。ヤルダバオトの討伐依頼は、一番最後にするぞ」
ラナーに変身しているドッペルゲンガーから、国王が討伐を依頼する予定だと報告を受けていたので、その依頼を受けてから5日後に王都で、コキュートスとヤルダバオトが激闘を繰り広げて、漆黒の英雄のモモンが助太刀をしてからヤルダバオトを王都から追い出す予定になっていた。
同時に、ヤルダバオトと戦う為に、デス・ナイトを10体程王都に入れる許可をもらう予定だった。
国王の許可があるだけで、デス・ナイトに対する国民の印象は変わってくるからである。
コキュートスは、王城で歓迎を受けていた。
パンドラとラキュースが側にいる事で、教育をしていない貴族と使用人達は、安心する事ができた。
「リ・エスティーゼ王国の国王・ランポッサⅢ世です。魔神王コキュートス殿!ラナーとクライムを救って頂きありがとうございました!」
国王は、笑顔で頭を下げた。コキュートスの大きさには驚いていたが、愛する者を救ってもらった恩人に対して恐怖はなかった。
「丁寧ナ挨拶ヲ、アリガトウゴザイマス!私ハ、魔神王コキュートスト、申シマス」
コキュートスは、普段の武人としての振る舞いをした。
歓迎の宴が始まってから1時間が経過した。
「モモンさん。コキュートス殿は、すっかり皆様と打ち解けていますね」
「コキュートス殿の人柄が、良いからだよ」
貴族達も普通に挨拶をしたり、冗談を言ったりして和やかな雰囲気だった。
コキュートスは、ヤルダバオトに封印された事があると話して、ヤルダバオトと敵対している事を印象付けた。
ガゼフが、会場全体に呼び掛けた。
「10分程したら余興がありますので、お楽しみください」
会場に居る者達は、余興の話を聞いて、粋な計らいだと思った。
この余興を知っているのは、国王とガゼフとガゼフの部下の8人だけでだった。
10分が経過をして、ガゼフが会場全体に呼び掛けた。
「これより、我が部隊の隊員による余興を開始します。5分程でを終わりますので、楽しんで下さい」
ガゼフは、お辞儀をした。
部屋の入口から派手な衣装を着た8人組の男が入ってきて、派手なダンスを踊り始めた。
とても楽しい余興なのだが、衣装に問題があった。
ダンスを踊っている者達が、赤い髪のカツラを付けていたので、教育を受けた貴族達の内、ルプスレギナが担当した者達は、その場に震えながら踞ってしまった。
30人以上が、震えながら踞っているので、会場は騒然とした。
パンドラは、機転を利かせてから、ある事を叫んだ。
「ヤルダバオトの精神攻撃の可能性が高い!会場の近くに居るはずだ!」
パンドラは、ヤルダバオトが会場の近くにいる事にした。
「ヤルダバオトメ!コノ会場二、居ルノカ!」
コキュートスも流れに乗った。
3分程すると、突然会場のベランダにヤルダバオトが表れた。
「はっはっ!コキュートスよ。久しぶりだな!封印を破ったのか!」
「ヤルダバオトヨ!覚悟!」
コキュートスは、ベランダに移動するが、ヤルダバオトは転移して消えた。
歓迎の宴は、中止になった。
国王は2日後に、コキュートスとの会談を行う事にした。
2日後に、コキュートスは国王からヤルダバオトの討伐依頼を受けてから、デス・ナイト10体を王都に入る許可を得た。
デミウルゴスとアウラは、執務室で夏樹と面会をした。
作戦のミスの報告をしてから、任務に就いて使命の自覚をする以外の罰を望んだ。
「余興の件の確認を、事前にできずに申し訳ありませんでした。罰を受けさせて、頂けたらと思います!」
「貴族達が、赤い髪を怖がっていた事を知っていたのに、ケアをしていませんでした。申し訳ありません。私にも罰を与えて下さい」
(皆、真面目だな!罰か・・・偽物の俺が、罰を決めるの?)
「コキュートスとパンドラとヤルダバオトの激戦が出来る準備が整ったし・・・気にしなくて良いよ?」
2人は、強く罰を望んだ。何故なら、もしも国王が、コキュートスに依頼するのをもう少し遅らせていたら、馬車のレンタルの期間やワーカーの依頼の変更等で、作戦の開始がかなり遅れる危険性があったからである。
そして、第2王子のザナックと六大貴族のレエブン侯が、貴族達が倒れた件でコキュートスとパンドラに対して疑いの目を向けているという情報も入ったのだ。
夏樹は、心の中で気合を入れてから話を始めた。
「よし!デミウルゴスは、聖王国の北部を乗っ取る計画で、聖王女カルカと仲良くなるのを頼みたい!パンドラは、ラキュースの事を気に入ってるみたいだから・・・カルカと仲良くなったら、ラキュースが嫉妬するかもしれないしね」
(任務を、与えてるみたいな感じになってるけど・・・良いかな?女の子と仲良くなるのが罰ってどうなのかな?)
デミウルゴスは、真剣な表情で返事をした。
(良かった。納得してくれた・・・)
アウラに罰を与えるのは、外見が10歳から12歳くらいに見えるので、夏樹の心が痛む気がした。
「ナザリックの者達に、アウラが美味しいと思うジュースを配ってあげて!」
「ジュースですか!?」
「そうそう!皆、頑張ってるからね!罰というか・・・まぁ、労い的な感じでね」
アウラは、気を使わせてしまったと思い、お辞儀をしてから返事をした。
夏樹がアウラの頭を優しく撫でたら、アウラの顔が真っ赤になった。
アウラは、頭を撫でられた時に、夏樹に対して忠義とは別の感情が生まれた気がした。
「ラナーとクライムに変身をしているドッペルゲンガー達にも、気にしなくて良いからねと伝えてね」
アウラは、召喚されたばっかりのドッペルゲンガー達に対してもきめ細やかな優しい対応をする夏樹を見て、心臓の鼓動が激しくなった。
デミウルゴス・セバス・コキュートス・パンドラは、作戦の打ち合わせを会議室でしていた。
「後は、コキュートスとパンドラとヤルダバオトの激戦だ。デス・ナイトは、王都に馴染んでいるかな?」
「ウム!問題ハ無イ」
デス・ナイトは、国王の許可があったので、国民は手を振っりして受け入れている。
パンドラと蒼の薔薇が、一緒に移動してアピールをしているのも大きい。
「セバスは、子供避難計画の準備は大丈夫かな?」
「はい!問題は、ございません」
コイル商会を使ったり、架空の商会を使って逃げ出しやすい環境を整えた。
「コキュートスとパンドラは、激戦の場所の地理の確認はしたな?」
コキュートスとパンドラは、お辞儀をしてから返事をした。
「知っていると思うが、王城では国王と数人の部下しか知らなった余興を見逃してしまい、ウルベルト様からの罰を受けた」
デミウルゴスは、俯いた。
「私にはウルベルト様が罰を与える事で、苦しんでいるように見えた・・・」
デミウルゴスは、正面を見ながら話を続けた。
デミウルゴスは、夏樹が記憶を混乱させる魔法攻撃の影響で弱っている可能性が高いという状況で、罰を求める事は不敬な考えだと思っていたが、今回のミスは作戦の遅れたけではなく、変更により王国の上層部の者達が違和感を感じる可能性もあったので、罰を求めてしまった。
「ミスは、許されない!」
デミウルゴスは、拳を握りしめた。
「それと、第2王子のザナックと六大貴族のレエブン侯には、注意が必要だよ。ウルベルト様は『国を乗っ取る計画たがら、感の良い人間が疑うのは仕方ないよ。疑っている人間が突然消えたら別の人が疑うから、教育等はしないほうが良いと思う』と言われている」
それから、細かな部分の確認をしていった。
アウラは、第六階層の果樹園で収穫したオレンジを、バーで副料理長のクラヴゥに頼んでジュースにしてもらった。
「美味しいけど・・・何か足りない気がする!」
アウラは『アウラが美味しいと思うジュースを配って』という言葉を真剣に考えてから、クラヴゥと試行錯誤しながら作っていった。
「良し!完成した!ありがとね〜クラヴゥ」
「お役に立てて嬉しいです」
アウラは、ジュースを第六階層に運んでから、ソリュシャンを呼び出した。
「配るのを手伝って、欲しいんだよね〜」
「畏まりました」
アウラ達は、ナザリックの中で活動している者達にジュースを配った。
「はい。ルプスレギナ、労いのジュースだよ」
「ウルベルト様からの、労いのジュースっすか!味合わうっすよ!」
ルプスレギナは、味わって飲んだ。
「元気100倍っす!ウルベルト様は、優しいっすよね!」
アウラ達は、ナザリックの中で活動している者達に配り終わってから休憩をした。
「ウルベルト様は、優しいよね!とんでもない失態をしてしまった私に対して、こんな素晴らしい罰を与えてくれるなんて!」
ソリュシャンは、アウラの目が輝いているように見えた。
同時に、アウラが夏樹に抱いている感情は、忠義とは別の感情だと思った。
ソリュシャンは、ウルベルトがリアルからこちらに来た日に、失態をした事を後悔していた。
アウラは第六階層の守護者で、シャルティアの代理とトブの大森林のログハウスの管理や魔神国の建国までの間の貴族達の管理といった重要な任務を任せられている。
ソリュシャンは、夏樹にとってアウラは、重要な存在であると同時に、好まれている可能性が高いと思った。
ソリュシャンは、アウラが夏樹の事を好いていたら応援をしようと心の中で思った。
夏樹は、魔神国の建国準備の報告書を確認していた。
(えっ?新型のランプを20個借りて料金を払うよりも、5年前の旧型のランプが、バーゲンセールで安く売られていて、旧型を20個購入したほうが料金がお得だったので購入しましたか・・・)
避難作戦に使う物の購入を担当している、ルプスレギナからの報告書だった。
(ルプスレギナは、即断即決してからの事後報告が多いな〜)
夏樹は、ルプスレギナが貴族の教育での対応ミスがあったので、大きな失敗をするのではないかと心配をした。
リ・エスティーゼ王国の第2王子のザナックとレエブン侯は、国王と会談を行った。
「国王陛下!コキュートス殿とモモン殿の人気は、凄まじいです!」
「そうだろう。魔神王コキュートス殿は、武人の振る舞いをされている人物だ。モモン殿も英雄の風格が素晴らしい」
国王は、王族派閥と貴族派閥に分かれて争て、そのせいで八本指の拡大を止められなかった。
その悩みが無くなって、心に余裕ができた時に出会ったので、コキュートスの事を良き友人だと思っている。
「父上!私は、ある事を提案させて頂きます!」
「何かな?」
「王家の直轄領のエ・ランテルを独立国として、コキュートス殿に王になってもらう事です!」
ザナックとレエブン侯は、コキュートスが王都に入れたデス・ナイトは伝説級の強さを持っている事を知ったので、コキュートスが王国と戦ったら王国は敗れると思った。
それに、コキュートスとヤルダバオトがグルで、王国を乗っ取る計画を遂行している可能性も考えて、国の領土の一部を先に譲れば、王国は守れると考えた。
「良い考えだ・・・だが、エ・ランテルは、法国が近いので、揉め事が起きたら・・・」
本来であれば、王が領土を譲る事は、よほどの事態でないとしないが、国王は、王族派閥と貴族派閥の争いで疲れていたので、その悩みが消えて喜んでいた事が大きかった。
「国王陛下!エ・ランテルは、モモン殿がアダマンタイトの冒険者になった都市です!モモン殿が側に入れば、コキュートス殿は問題なく受け入れられると思います!法国の件は、コキュートス殿なら何とかできると思います!」
3人は、色々と議論をしてから、コキュートスがヤルダバオトを撃退してから、この話をする事にした。
ラナーに変身したドッペルゲンガーは、デミウルゴスに文章で知らせた。
デミウルゴスは、コキュートスとパンドラが、ヤルダバオトと激戦を繰り広げる前日に、夏樹のいる執務室で会議をしていた。
執務室には、夏樹とデミウルゴスとコキュートスとユリがいる。
「エ・ランテルの領土をくれるのか・・・良いね!」
夏樹は、笑顔で答える。
デミウルゴスは、余興の件での失態で、ザナックとレエブン侯に先手を打たれたと感じていたが、夏樹が喜んでいるので受け入れた。
デミウルゴスは、犠牲を少なくする作戦をとっていたので、作戦を進めるのに時間が掛かっていた。
本来であれば、王国を乗っ取るのには、数ヶ月掛かる予定だった。国民の人気を維持して、教育をした貴族達を使って、王家の人間が何か失態をやらかした時に、王家の信頼をなくてから辺境に移動させてコキュートスが魔神王として魔神国を建国する手筈だった。
「予定よりも領土が狭くなりますが、位置的には3カ国に囲まれて交通の要所になっていますので、良い土地だと思います」
「コキュートスとユリは、大丈夫かな?」
「問題ハ、アリマセン!」
「はい!問題は、ございません」
デミウルゴス達は、夏樹が上機嫌なのが嬉しかった。
「あっ!」
デミウルゴス達は、夏樹が何か心配事があるのかと思い身構えた。
「パンドラとラキュースは、国が違う者同士になってしまうね!大丈夫かな?それとツアレは、魔神国に引っ越しをした方が安全かな?」
「セバスとパンドラに、確認をします」
セバスとパンドラは、問題はないと報告をしに執務室を訪れた。
夏樹は、アウラと一緒に魔獣に乗ってから、第六階層のジャングルを駆け回っていた。
「楽しいな〜アウラ」
「ウルベルト様に、喜んで頂けて嬉しいです!」
アウラは、ナザリックの外に出られない夏樹の事を心配していた。
ナザリックは最高の場所であるが、移動を制限される事に対する精神面の心配である。
夏樹は、アウラの後ろに座っているので、アウラの身体に抱きついている状態である。
指の爪が長いのは、マジックアイテムでカバーをしたので、傷つける心配はない。
「あっ・・・うっ」
アウラは、夏樹に抱きしめられて、夏樹の体温を感じて興奮をした。
アウラは、アインズとシャルティアの件があってから、精神的に落ち込んでいた。
そんな中で、夏樹がマーレに長い休憩をあげて、アウラの所に行くようにしてくれたり、罰として労いのジュースを配るように命じてくれたりと、気遣ってくれていた夏樹の優しさに惹かれていた。
「ウルベルト様!もっと早く走りますよ!」
「うん!頼むよ!」
夏樹は、強くアウラの体につかまった。
アウラは、顔を真っ赤にした。
魔獣が高くジャンプすると、夏樹は更に強くアウラを抱きしめた。
「はっはっ!良いジャンプだ!」
「はっ・・・はい!」
アウラは、夏樹が気になって、それどころではなかった。
夏樹もアウラの様子に気が付いた。
1時間程して、魔獣から降りたら、2人とも気まずくなってなかなか会話ができないでいた。
その様子を見ていたマーレが、おどおどしながら声を掛けた。
「ウルベルト様?あの・・・何か、ありましたか?」
2人とも、オーバーアクションで、何もないと答えた。
夏樹が、アウラの事を異性として意識をした瞬間だった。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます!