気が付いたら、ウルベルトになっていた。(R15バージョン) 作:コインランドリー
魔神国が、建国されてから半年が経過した。
魔神国は、王国と同盟国となり地盤を安定させた。
帝国とは、魔神王コキュートスと皇帝が文書でやり取りをして、良好な関係を築いている。
法国は、魔神王コキュートスが異形種の者なので、距離を置いている状態である。
デミウルゴスは、コキュートス魔神国の魔神国軍の将軍として、魔神国の王都にある軍司令部で仕事をしていた。
デミウルゴスの服装は、ストライプが入った赤色のスーツ姿で業務に当たっている。
魔神国軍の軍服は、王国軍の軍服に似ているデザインになっているが、将軍と副将軍の服装は自由にできると規則に定めている。
「王城に行ってきますので、書類の整理を頼みますね」
「了解しました!デミウルゴス将軍!」
デミウルゴスは、部下に書類を渡すと、魔神国の王城に向かう。
デミウルゴスは、軍内部の掌握を完璧にしていて、信頼が厚い人物だと評判が良かった。
軍隊には、シズ副将軍に会いたいくて入隊試験を受けた者も多くいたが、訓練をしていく段階で、武人のような精神が身に付くように、訓練を実施している。
デス・ナイトとの訓練もあるので、真剣な気持ちで訓練をしないと危険だという緊張感もある。
訓練の内容は、身体を鍛える事と、自分自身を見つめる精神統一がメインだった。
夏樹は、モモンガ聖王国の建国の計画書の作成をしていた。
側には、マーレが護衛についている。
(半年経っても完成しないな〜)
リ・エスティーゼ王国・バハルス帝国・ローブル聖王国の情報が、多くある事が原因だった。
デミウルゴスは、魔神国軍の管理を中心にやってもらっているので、相談をするのを少しためらっている。
(ん?帝国の邪神を信仰する教団の報告書か・・・)
夏樹の目に留まった報告書は、帝国を調査していたシャドウ・デーモンからだった。
帝国には、フールーダ・パラダインが居るので、感知されないように警戒しながら、帝都の市街地を中心に情報を集めていた。
貴族の地位に復帰する事を条件に、双子の女の子を3年間の奉公に出すと騙して連れて行ってから、悪魔を召喚する儀式の生贄にする予定だと書いてあった。
3年後には、双子が奉公先で亡くなった事にする事になっていた。
夏樹は、双子が犠牲になると聞いて、アウラとマーレを連想した。
「マーレ!デミウルゴスとセバスを呼んでくれ!」
マーレは、すぐに2人を呼んだ。
「デミウルゴス、御身の前に」
「セバス・チャン、御身の前に」
2人共、きれないお辞儀をする。
夏樹は、2人が来てくれた事の感謝を述べた後に、帝国の邪神を信仰する教団の事を話した。
「教団の人間に説教をしてから、双子の女の子を保護して欲しい。保護する場所は、ツアレの家とか大丈夫かな?ツアレは、魔神国のエ・ランテルに引っ越したんだったよね?」
「畏まりました!教団の件はお任せ下さい!」
「双子の保護は、お任せ下さい。ツアレには、ソリュシャンが保護したと伝えておきます」
コイル商会の令嬢のソリュシャンが、ツアレを保護したことになっている。
セバスは、資料を見てから夏樹に話し掛けた。
「ウルベルト様。ヤルダバオトが王都で戦闘した際に、コイル商会が雇ったワーカーに、アルシェ・イーブ・リイル・フルトという少女がおります。双子の女の子と苗字が一緒ですので、親族の可能性があります」
「ワーカーの少女か・・・どんな子?」
「詳しくは、話しませんでしたが、両親が商人から大金を借りて、それを返す為にワーカーになったそうです」
ワーカーは、身の上話をする事は少ないが、セバスの人柄を気に入って、少しだけ話したようだった。
「そうなんだ・・・双子をどうするかは、アルシェに確認してね」
セバスは、頭を下げて返事をした。
デミウルゴスは、ナザリックの資料室で会議を始めた。
会議には、デミウルゴス・セバス・ソリュシャン・ヤルダバオトが参加していた。
「2日後の教団の儀式で、ヤルダバオトを出現させる。ヤルダバオトは、教団の人間達を精神的に追い詰てくれ」
ヤルダバオトは、頭を下げてから返事をした。
「ソリュシャンは、双子の女の子の保護を頼んだよ。シャドウ・デーモンからの報告で、儀式のある部屋で軟禁状態になっている」
デミウルゴスは、作戦を伝えて細かなタイミングを伝えた。
「セバスは、アルシェという娘に確認を頼む。あくまでも、コイル商会の人間だという設定を忘れないようにね」
「畏まりました!」
「この半年の間で、ヤルダバオトが傷を癒して復活したと印象付けを行うよ!」
更に調査をすると、教団はヤルダバオトが暴れた事件で、触発されて大胆な儀式を行う事を決めたと分かった。
アルシェは、帝国の帝都の市街地で途方に暮れていた。
ワーカーのフォーサイトの仕事を終えて、両親が1ヶ月前に商人から借りた金貨を返して家に帰ったら、双子の妹達が3年間の奉公に出たと聞いたからである。
奉公先は不明で、3年間は探さないようにと契約書に書いてあった。
両親は、明日になったら貴族に復帰できると喜んでいたが、ワーカーとして数年活動をしたアルシェには裏の事情が分かった。
5歳の女の子を奉公に出すのが問題な事と、3年間連絡をしない事の理由は、上流貴族のいかがわしい集会や何かの儀式の生贄等が考えられた。
「クーデリカ・・・ウレイリカ・・・ぐっ」
アルシェは、フォーサイトの皆に相談するか迷って歩いていると、コイル商会のセバスと出会った。
「半年振りでございますね。フルト様」
セバスの優しい声が聞こえてきた。
「コイル商会の・・・セバスさんでしたよね?」
セバスは、アルシェに双子の妹がいるのかの確認をした。
アルシェはセバスが、クーデリカとウレイリカの事を知っているのだと思って居場所を尋ねた。
セバスは、アルシェが必死に訴えている姿を見てから、ある考えが浮かんだ。
セバスは、アルシェに少し待つように伝えてから、少しだけ離れてデミウルゴスにメッセージを送った。
『デミウルゴス様。お伝えしたい事がございます』
『何だね?セバス』
セバスは、アルシェの現状を伝えてから、アルシェも魔神国に連れて行きたいと伝えた。
『なるほどな。双子を助けた後は、帝国の貴族が証拠隠滅を謀る可能性もあるので、魔神国に居た方が安全ということか・・・』
『はい』
デミウルゴスは、少し悩んだ後に許可をだした。
セバスは、デミウルゴスにお礼を言ってから、アルシェの所に行ってから事情を話した。
「えっ!!生贄に・・・」
アルシェは、絶望の感情が溢れだした。
「1つだけ、助かる方法があります。それは、魔神国に行ってからツアレという名の女性と、双子の妹さんと一緒に暮らすことです。帝国には、帰ってこれませんよ」
アルシェは、即断即決をしてからフォーサイトのメンバーに事情を話した。
それから、7日後に夏樹の所に報告書が届いた。
「アルシェと双子の妹さん達は、無事に魔神国でツアレと仲良く暮らしているのか・・・」
帝国の帝都では、ヤルダバオトが暴れて怪我人が30人程出た事件が有名になった。
夏樹は、シャドウ・デーモンの護衛と一緒に、アウラの居る第三階層に向かった。
「ウルベルト様!お散歩ですか!」
アウラの元気な声が、響き渡った。アウラは、シャルティアの代理の業務を行っていた。
「アウラに、会いたくてね」
「呼んで下されば、行きましたのに!」
夏樹は、アウラと少し散歩をしながら話をした。
「えっ!双子が、生贄になる話を聞いて・・・私とマーレを連想したのですか!だから、助けたのですか!?」
「うん」
アウラは嬉しいような、そうでないような複雑な表情になったが、自分と弟を大切に思ってくれていると感じとって、嬉しそうに笑った。
2人は、バーに行ってから労いのジュースで乾杯をした。
クラヴゥは、2人の姿を見て嬉しい気持ちになった。
デミウルゴスとパンドラは、ナザリックの会議室で、ある事を話し合っていた。
「この半年の調査で、魔神国・王国・帝国・聖王国の領土を調べたが、大規模な戦闘が行われていた形跡のある場所は無かった」
デミウルゴスとパンドラは、魔神国を建国したことで、業務は増えたが、情報の収集が増えたので、広範囲の調査が可能になった。
デミウルゴスは、夏樹がリアルからこちらに来た時に、襲撃されたと考えていたので、襲撃された場所では激しい戦いが起きていたと思っている。
「ウルベルト様は、最強クラスのマジックキャスターですので、敵が、卑怯な手段を用いた可能性もあります!針のような小さな魔法攻撃等が考えられます!」
デミウルゴスとパンドラは、密かに正体不明の敵の調査をしていた。
2人だけで調査している理由は、夏樹に負担を掛けないように配慮しているからであった。
記憶が混乱する魔法攻撃を受けている場合は、質問をしただけで夏樹が苦しむ可能性があると思っているからである。
「まだまだ、念入りに調査が必要だね」
「はい!」
デミウルゴスは、眼鏡に手を当ててから、もうひとつの議題について話をした。
「次は、ウルベルト様がリアルから、こちらの世界に来られた手段についてだな」
「3つの可能性が、現時点で考えられます」
「そうだよね・・・」
1つ目は、この世界の人間が持つタレントの発動である。タレントには、色々な種類があると分かっているので、能力によってはリアルからプレイヤーを呼べる可能性も、少しはあるのではないかと考えた。
2つ目は、シャルティアの洗脳を解除するために、アインズが使用した超位魔法が、失敗した事による魔力と、シャルティアが復活した事による相乗効果である。
3つ目は、こちらの世界とリアルの世界で同時に何かをすることにより、リアルからこちらの世界にくる可能性を考えた。
デミウルゴスとパンドラは、様々な事を考えて用意することで、至高の御方の役に立ちたいと思っている。
2人は休憩をする為に、バーに入ったらクラヴゥから、夏樹とアウラの話を聞いた。
夏樹の護衛をマーレが休憩している1時間だけ、シャドウ・デーモンに交代をしたのは、デミウルゴスである。
夏樹は、休憩の時にアウラに会いに行く事が多いので、見た目だけでも2人で過ごせるように配慮した。
「ウルベルト様とアウラは、労いのジュースで乾杯していたのか・・・」
デミウルゴスは、笑顔で話をした。
「ウルベルト様とアウラ様の、ご結婚の日も近いかもしれませんね!」
3人は笑顔で、夏樹の後継について語り合った。
アルシェは、魔神国のエ・ランテルに妹達と引っ越して、ツアレとセバスとの関係も良好だった。
クーデリカとウレイリカは、軟禁されていたが、食事も寝具も与えられていたので、恐怖はあまりなく過ごしていたので、トラウマ等の後遺症は無かった。
アルシェは、生活が落ち着いてからツアレに相談をした。
「ツアレさん・・・私は、魔神国の冒険者になろうと思っているんです!」
「アルシェさん・・・」
ツアレは、アルシェ達には危険な仕事をして欲しくは無かった。
自宅で、作った手拭いをセバスの主が定価より高く購入してくれるので、生活を維持する事は可能だった。
アルシェは、ワーカーの経験と第三位階魔法が使えて、タレントも持っているので、強く反対する理由が無かった。
ツアレが悩んでいると、家の玄関に客が来た。
応対したアルシェは、驚きの声を上げた。
「ヘッケランにロバーデイク!それに、イミーナまで!」
フォーサイトのメンバーは、話し合って魔神国への移住を決めた。
ツアレは、良い仲間がいるのだと思い、冒険者になるのを認めた。
フォーサイトは4人で、魔神国の冒険者組合に登録をした。
セバスがツアレの家に行くと、アルシェとクーデリカとウレイリカが出迎えてくれた。
「セバス様〜おかえりなさい♪」
「ただいま帰りました」
セバスは、家庭を持ったような気持ちになって嬉しかった。
クーデリカとウレイリカは、手縫いを作るのを手伝った話をした。
ツアレは、娘ができたような感覚になって嬉しそうに笑った。
アルシェは、冒険者としての初任務の話をしてから、漆黒の英雄のモモンから話しかけられたと、照れながら話した。
夕食を食べ終わって、皆で食器洗いをしてから眠りについた。
セバスとツアレは、寝室のベッドの上て語り合った。
「お嬢様が、エ・ランテルの付近の業務に移動する配慮をしてくれましたので、夕食の時間は帰ってこれます。帰ってこれない場合は、部下に伝言をさせます」
夏樹が、週に1日だけ帰るだけでは、ツアレやアルシェ達が寂しい思いをするだろうと思って配慮した。
セバスは、不敬な事ではないかと考えたが、夏樹の好意を受け取る事にした。
「ソリュシャン様には、感謝しかありません」
ツアレは、手を組んでから祈った。
セバスは、夏樹の事をツアレ達に教えられないのが気がかりだった。
セバスは、夜明け前にツアレ達を起こさないように、静かに家を出た。
王国の王都では、蒼の薔薇のメンバーが集まって、ヤルダバオトの事を話していた。
「ヤルダバオトが、帝国に現れたわ!」
ラキュースの表情は、真剣そのものだった。
王都での決戦の際に、モモンがヤルダバオトを逃がしたのではないかと、王都以外の人間達が噂していた事が気になっていたからである。
「半年で、復活か!」
「今の王国には、ヤルダバオトと対等に戦える奴は居ないぜ!魔神王さんとモモンの旦那は魔神国だし、朱の雫は外国で任務中だしなぁ」
蒼の薔薇の実力は、イビルアイの戦力が大きいので、そのイビルアイが魔神王と連携を組んで5時間以上の戦いを繰り広げたが勝てなかった。
「ラナーに相談を、したいけど・・・まだ、声が出ないみたいなの」
ラキュースは、暗い表情になる。
ラキュースは、ラナーに会いに月に2回程、王城に行っているが、筆談をしながらゆっくりと意思疎通をしている。
クライムは、声が出ないがラナーの護衛を担当できるように国王が配慮をした。
ヤルダバオトの戦力があまりにも強大なので、対策は国家レベルの対応が必要だと思い、冒険者組合に相談に行く事で結論をだした。
エンリは、カルネ村の村長から、来週から村長になって欲しいと打診をされた。
「私が、村長か・・・」
エンリが、真剣に村長になるかどうかを考えながら歩いていると、後ろから声をかけられた。
「わぁ!」
「きゃー!?えっ!ルプスレギナさん・・・びっくりさせないで下さいよ〜」
「良い反応ですね♪エンちゃん〜」
コキュートス魔神国の領地になってから、魔神国軍が2日に一度は巡回に来て、カルネ村や周辺の村の安全は確かなものになっていった。
エンリのゴブリンは、魔神王の名で保護されているので、カルネ村から出る時は腕章を腕につける事で分かりやすくしている。
少しだけ世間話をした後に、エンリはルプスレギナに相談をした。
「カルネ村の村長になって欲しいと頼まれて・・・悩んでいたんです」
「エンリが!村長っすか!?ゴブリン達を従えて、村長という権力まで手に入れるとは!くーっ!やるっすね!」
エンリは、ルプスレギナの態度を見て、少しだけ気が楽になった気がした。
ルプスレギナは途中から、真剣な表情で話しを始めた。
「はっきり言ってしまえば、村長は誰がやろうと失敗をするわ!冷静に考えたら、ゴブリンを従えていて、知名度がるエンリがなった方が村人は安心をするわ」
「ルプスレギナさん・・・ありがとうございます。私は、村長の話しを受けます!」
「よし!善は急げっすよ!今から、村長の所に行くっすよ」
「えっ!?」
エンリは、次の日に村長に就任をした。
夏樹が、執務室でナーベラルから王国と魔神国の冒険者組合の現状の報告を受けていた。
(フォーサイトの皆は、短期間でプラチナ級の冒険者になったのか・・・凄い実力を持ってたんだな〜)
ナーベラルの報告の途中だったがルプスレギナ入室の許可を求めていたので、夏樹は許可を出した。
(ルプスレギナが、真剣な表情だ・・・もしかして!俺の正体がバレたとか?)
「ウルベルト様に、ある作戦を提案致します!」
ルプスレギナは、綺麗なお辞儀をしてから話し始めた。
ナーベラルは、ルプスレギナの表情から、凄く重要な作戦なのかもしれないと思った。
(作戦か・・・良かった。けど、何の作戦だろ?)
「エンリとンフィーレアのドキドキラブラブ大作戦っす!」
夏樹とナーベラルは、驚きの表情になる。
「内容は、エンリとンフィーレアを、ベッドのある個室に閉じ込めて2人だけにするっす!そこにっ・・・ナーちゃん?」
ナーベラルは怒りの表情で、ルプスレギナを部屋の外に連れ出した。
10分後に、落ち込んだルプスレギナと不機嫌の表情のナーベラルが、入室の許可を得てから入ってきた。
「あの・・・エンリとンフィーレアは、暖かく見守る事にしよう」
「了解っす!」
ルプスレギナは、満面の笑みで返事をした。
ナーベラルは、なんとも言えない表情になっていた。
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