何かしらのはずみで祠をぶっ壊してしまった貴方。
そこに守り人らしきおじさんが現れて──?

流行りが半分廃れてきたこのタイミングで閃いた作品です。閃いたネタをそのまま腐らせておくのもちょっともったいないので投稿しました。

この作品は、(一応)Pixiv様にも投稿させていただいています。わざわざ別サイトに上げる意味も特にありませんが。

1 / 1
守り人のおじさん

え? あの祠壊しちゃったぁ!?

 

うわぁ、やっちまったねえキミ。

 

あの祠はね、わるーい神様のわるーい力が封じ込められたものなのよ。

 

だからおじさんはアレを守ってたんだけど…。

 

まっさか居眠りしただけでこんなことになるとは思わなかったなぁ、失敗失敗。わっはっは。

 

え、何焦ってんの?

 

あー、あの祠ぶっ壊しちゃって不利益とかでないのかって?

 

んー…不安にさせないようにしてたけど、それ聞いてくるってことはある程度の覚悟はしてるってことでいいよね?

 

ふぅ、あのねぇ…。不利益あるけど黙ってたに決まってるでしょ、そんなもん。

 

まず一つ目、おじさんは守り人から解任されて無職に逆戻りだよ。キミが祠ぶっ壊しちゃったから、守り人として不適格であることが証明されちったんだもん。これおじさんの怒りポイントプラス1ね。

 

そんで、二つ目。最初にこの祠はわるーい神様のわるーい力が封じられてるっつったでしょ?それが解放されて、わるーい神様はホントの力を取り戻しちゃうのよ。コレ、どういうことかわかる?

 

…そう、正解。わるーい神様はものすんごいわるーい神様だから、辺り一帯は滅びることになるね。この封印を解いちゃったキミも、付近の村も、全部パーなんだよ。オーケー?

 

なんとかできねぇのって? いや、無理でしょ。なんとかできてたのをキミがぶっ壊しちゃったし、なんとかできる人材もこの時代にゃもういねぇんだから。

 

そんな、って…。いや、そんなにしょぼくれねぇでくれよ…。おじさんが泣かせたみたいになっちゃうじゃん…。

 

…やりづれぇな、ったく。あー、その…なんだ。一応礼儀として言っとくな。ご愁傷さまでした。後で村人の皆サンにもそう伝えておいてくれや。

 

…え、おじさんはどうするのかって? ったく…他人に気ぃ使えるならもうちょっと周囲にも気ぃ使ってくれればこんなことにゃ…。…え、聞こえてた!? あぁ、もう泣くなって、今のはおじさんが悪かったから! ごめんって!

 

んー…そうだな。おじさんは自由気ままに、殺されるまで生きてようかね。やることもねぇしな。

 

なんでそんなに余裕なんだって? んー…まぁ、いいか。最後だしな。

 

最初にわるーい神様の話、したろ?

 

アレ、実はオレのことなのよ。びっくりしたろ?

 

へへ、今時の人間社会だとこういうのをドッキリ大成功っつーんだろ? 結構あぁいうの好きだよ、オレ。

 

…えぇ、何その顔。おじさんが嘘ついてるって? 嘘なんかついてねぇよ、ったく。失礼なヤツだねコノヤロウ。

 

そうよ? おじさんガチのマジで神様なの。暴れん坊でわるーい神様なのよ。…いやまぁ暴れたくて暴れてるわけじゃねぇんだけどね?

 

いやぁ、恥ずかしながらおじさんは力の制御とかどうも上手くできなくてね。常にフルパワーで活動しちゃうのよ。台風とか地震とか、あの手のヤツと一緒でただそこにあるだけで被害が起きる。そういうタイプのおじさんがオレ。

 

そんなおじさんから大昔に陰陽師だか占い師だかが頑張ってくれて力の大半を切り離して作ったのが、キミがぶっ壊してくれちゃった祠なの。まぁ正確に言うとあの…見える? お地蔵さんが抱えてる、あの割れた石。アレがおじさんの切り離された力封じてた石ね。アレを陰陽師だかが作ったの。

 

んで、力の大半が封じられたおじさんは人間社会に大きな被害を出したことを申し訳なく思って、人間達と協力させてもらってアレが悪用されるのを防いてたってわけ。

 

最初は悪用しようとする不届モンがそこそこいたんだけど、時間が経つにつれてどんどん平和になってってね。最近は昼間っから寝てたりしててもまったく問題なくなってたんだけど…それがまっさかこんなことになるたぁね。神生(じんせい)ってのはわからねぇもんだ。

 

…あ、やべ。長話してたら始まっちまった。ほれほれ、逃げろ逃げろ。今よりはもっとマシな死に方できるから、とっとと遠くまで行けよー。おじさんもすぐそっちいくからよー。

 

え? 来んなって? やだなぁ、おじさんとキミの仲じゃないの。これから死ぬ程怒られようじゃないのよ、二人でさ。

 

……ふぅ、行ったか。いやぁ、久々に人と話ができてつい長話しちまった。歳をとるってやだねぇ。

 

はぁーっ…この力も久々だ。やだやだ、相変わらずすんげぇ力なこって。…今なら案外楽に制御できたりしねぇかな。

 

ふんっ…! くっ…! お、おぉぉぉぉぉぉっ! 力が、力が抑えきれ…! 抑え…おさ、え…………。

 

……。

 

………。

 

……………。

 

……………嘘だろ、制御できちゃったよ。すげぇなオレ、神サマなのに成長できるんだ。こういう成長は神サマより下の生き物だけの特権だと思ってたわ。

 

…………どうしよ。カッコつけて最後だしな、とか言っちゃったしな。

 

………………よし、祠ぶっ壊しヒューマンに会いに行くか!

待ってろ人間クン! いまから神サマがそっちに向かうゼ!


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。