人力TASみたいな動きをする術師 作:苦労見てくれてる虎
健人を背負って渋谷の駅構内を走る。
少しずつ治してはいるものの、かなり不味い状態だ。健人には借りがある、死なせない。
そうして地上に出ると、近くで戦闘音がした。
駅の入口と硝子の間…
考えられる可能性は二つ。
硝子に治してもらった術師が地下5階に向かう途中に接敵したか、硝子の位置を特定され、襲撃を受けているか。
後者ならかなり学長がいるから相当な強者でもない限り問題ないが…
戦闘音の発生地点が見える。
そこでは、釘崎ちゃんとツギハギ顔の呪霊が交戦していた。
「釘崎ちゃん!」
「愛鈴先生!?」
何故コイツが此処に居る?つい先程いたのは…いや、さっきのヤツより圧が弱い。釘崎ちゃんには申し訳ないけど、釘崎ちゃん一人で掌を躱し続けるのは無理だろう。ならば…
健人の治療を一気に加速させる。これなら5分は持ってくれるだろう。
「釘崎ちゃん!健人のこと…家入先生のところに運んで!コイツは私が潰す!」
「…ハイ!」
「行かせるかよ!」
腕を肥大化させての裏拳が健人を抱えて体制を崩している釘崎ちゃんに迫るが…
抜いた双剣で切り刻む。
「家入先生のところについたら、そこを護衛。少なくともコイツには位置がバレてる前提で動いて!」
「愛鈴先生も気をつけて!」
釘崎ちゃんが駆け出す。良い子だ、まだこの渋谷で戦えるレベルじゃないが、まだ幾らでも伸び代はある。身体能力と近接格闘を磨けば冥さんのように戦えるようになるだろう。
さて…
「君は分身で、術式は自分以外に使えない。今虎杖君と戦っているのが本体で、そっちを潰せばゲームセット。ここまで合ってる?」
「……」
「前会った時はまんまと逃げられたからね、今日は逃さないよ」
…だんまりか、会話にリソースを割く余裕がないのか?どちらにせよ、コイツを祓って虎杖君と合流する。幸い僕の攻撃はちゃんと効いているようだし、コイツは弱くはないが強くはない。いけるだろう。
「君、苦手なんだよね〜。俺術式で魂の形を保ってるから大抵の攻撃は効かないんだけど…君さぁ、反転した呪力を刀に纏わせてるだろ。よくやるよ、空気中の呪力と触れて対消滅するだろうに、どうやってかそれで攻撃した上で、斬った部分にソレを残留させて再生を防ぐ。これなら確かに呪霊である以上、俺にも攻撃は通る」
「さっきみたいに両腕を斬り落とされたら斬られた部分の少し前から自切してその部分を捨てなきゃ再生が遅れる。魂の残量を確実に減らされ───
「もういいよ。時間稼ぎは」
準備を済ませてから、一気にツギハギに接近する。
「それは舐め過ぎじゃない!?」
身体中から棘を出し、僕を貫かんとする。
「は?」
その棘は僕に届く前に全てかき消され、その隙をついて頭部を細かく斬り刻まれ、消滅する。
「ちょっと予想以上にかかったな」
ツギハギの分身を祓い終え、全力で虎杖君の所へ走る。