人力TASみたいな動きをする術師   作:苦労見てくれてる虎

14 / 14
2

12月24日、新宿。

 

それが僕ら高専側戦力と宿儺との決戦の地だ。

日付と場所だけ見ればどう考えてもデートである。五条はどういうつもりでこの日を指定したのだろうか。

まぁ、大事なのは僕が復活してから一週間後、それが宿儺との決戦の日だということで…

 

それが今これからだということだ。

 

五条の背中は叩かなかった。僕のそれは皆に先んじて済ませておいたから。

冥さんの烏の通信越しに、五条の姿を…背中を見る。

今あの背中には、色々なものが乗っている。

最強という称号と、それによる重圧。

世界の命運という大きな期待と不安。

…生徒を守る教師という枷。

きっとあの頃よりも大きくなっている背中は、あの頃二人で背負っていたものを、たった一人で背負っている。

そう思うとあの背中が、心なしか小さく見えた。

寂しいような、悲しいような、そんな感情を孕んだ背中は、それでもその重荷を決しておろさず、戦おうとしている。

 

僕がそんなことを考えている内に始まっていた戦闘は、凄まじい速さで進んでいた。領域の展開、外郭の破壊、簡易領域の展開、脳の再構築による強制的な術式の回復。

五条も全力で戦っていることが分かる。簡易領域に関しては僕の使ってるし。

未熟だったとはいえ、僕が縛りで成立させたものを技術で成立させるところを見ると、六眼の凄さを実感する。

 

〚嵌合獣-顎吐〛とかいうやつと、〚摩虎羅〛とかいうやつが出てきて、領域合戦が終わる。脳の再構築による負荷で、双方領域を使えなくなっているのだ。

五条の完全詠唱の〚蒼〛と〚赫〛をぶつけて、指向性を持たせない縛りを結んだ〚紫〛が放たれ…

 

 

 

五条は死んだ。

 

 

 

鹿紫雲が飛び出すのを横目にそう思う。

五条が聞けば怒るかもしれないが、五条は負ける気がしていた。

現代最強の称号は、飽くまで現代最強だった。そんな気はしていた。

 

……そんなこと分かっていた。

 

五条が最強であっても、無敵ではないことくらい。

分かっていたのに、それでも…

 

「悔しいなぁ…」

 

小さく呟いた。

五条はきっと、悔いなく死んだ。

それでも僕は悔しいと思った。

あの頃最強だった五条は、たった今死んだ。

 

「五条が死んだら僕が頑張らないとなのに、面倒なんだよね」

 

独り言ちりつつ、戦闘の準備をする。鹿紫雲が勝てないことはまず間違いない。次に死にに行く役は僕なのだ。

 

「愛鈴先生!」

「どうしたの?」

 

虎杖君から声をかけられる。

相変わらず僕は年下より背が低い。

 

「愛鈴先生、ホントに一人で行くんですか」

「うん。皆より先に行ってくるよ」

 

釘崎さんまで会話に入ってくる。

僕は案外ちゃんと教師ができていたのだろうか、生徒達が心配そうな目を向けてくる。

 

「僕のことあんまり舐めないでほしいんだけど?」

「愛鈴先生そんなに力無いし、

それに、愛鈴先生の呪力じゃ……」

「虎杖君に比べれば誰でも非力だよ。それに呪力は大丈夫。説明するタイミング無かったけど、そこが駄目なら五条が止めてるさ」

 

適当に突っ込みながら質問に答える。確かに僕は対人戦向いてない様に見えるだろう。

だがまぁ結局、そんなもの工夫次第でどうとでもなるのだ。

予備の武器を太腿に差しながら、皆に声を掛ける。

 

「できる限り削ってくる。無理だと思うけど、もし殺しちゃったらその時はごめんね」

 

それだけ言って僕も決戦の地へ降り立つ。出る直前の映像では、宿儺の拡張術式と思われる世界斬で鹿紫雲が殺されていた。

結局こうなるか。五条も鹿紫雲も死んで、宿儺の方は領域は展開できないものの、他のダメージは全回復、まだまだ呪力切れの気配は無い。

 

「ほう、次はオマエか。

…確か、草薙だったか?たいそうな名前を持って生まれたものだ」

 

目の前にはただ一人勝者として宿儺だけが立っていた。

 

「五条はさ、僕の兄貴分だったんだ。だから宿儺、僕は君に復讐することにするよ」

「五条悟が死ぬことは分かっていて送り出したのだろう?何故そこまで怒っている?」

 

怒っている、か。

まぁ、そうだろう。僕の中の大切な人は少ない。今生きているのは硝子と健人の二人だけ、まともに動けるのは硝子だけだ。

つい先程まではもう一人いたのに、そのバカは死んだ。いや、目の前の相手に殺された。

だが、宿儺の言う通り、それを分かっていて送り出したのも事実だ。

なら、僕の怒りは……

 

「八つ当たり、かな。僕がもっともっと強ければ救えたのにって怒ってるんだよ」

「ふむ。弱い者の考えは分からんな」

「それでいいよ。それでこそ宿儺って感じだ」

 

そう言って僕は宿儺に刃を向ける。長話が過ぎたな、見てる皆が退屈しているだろう。

 

「ふむ、まぁ良い。俺は今機嫌が良いからな、多少弱くても許してやる。せいぜい頑張れ」

「五条程ではないかもしれないけど、精々頑張るよ」

 

話はそこで切り上げられ、僕と宿儺の戦いが始まった。




何か宿儺の口調が違和感しかないです。特に
「ふぬ、まぁ良い。俺は今機嫌が良いからな、多少弱くても許してやる。せいぜい頑張れ」
の部分なんですけど。この宿儺気持ち悪すぎる。誰だコイツ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。