人力TASみたいな動きをする術師 作:苦労見てくれてる虎
術式効果は分からないが、先程脇腹が抉られた時の感覚から、呪力で構築した弾丸…サイズ的に砲弾の様な物が飛んできているようなものだろう。
…少し試してみるか。
御三家に伝わる対領域の術、昔五条に教わったもののあまり使っていなかったこれだが、この状況ならば簡易領域よりこちらの方が良いだろう。
「秘伝・落花の情」
自身を呪力の膜で覆い、必中の術式が発動した瞬間に自動で呪力を解放することで領域から身を守る。
こいつらの動きは見える。必中効果はオート、呪霊自体が殴りかかってきた場合はマニュアルで落花の情の効果を発動。これで呪霊の対処に両手を使わないで済む。とはいえ特級相当の呪霊に呪力のみで対処するとなると消費が大き過ぎる。寧ろ制限時間は縮んだと言って良いが…
落ちていた適当な石を握る。
領域外への脱出か、術者である特級呪霊の討伐か…
「第三の選択肢だ」
落花の情で呪霊を対処しつつ、モーションに入る。
「実はね、15の時に五条たちに野球教えてもらったんだよ」
その時はあまりにも五条達が強すぎて硝子と一緒にブーイングしてたけど。
「投げるのだけは得意だったんだ」
思い切り、でも『行き過ぎない』様に…
投げる!
投げられた石は呪霊の一体に命中し次の瞬間…
石が当たった部分に大穴が空く。
どう考えても投石で空く穴ではないが…
単純な話だ。呪霊に必中効果が発動しないのは呪力が同じだから。ならば僕の呪力を込めた石を体内にぶち込めば領域の必中効果が体内の石目掛けて発動する。術式対象までの間に障害物があれば、それを突破した上で対象に攻撃するだろう。
「どうする?君が領域を解くまで僕は投げ続けるけど?」
呪霊達の動きが止まる。僕のやったことを理解したのだろう。
呪霊達がいつでも横に飛べる体制でこちらを伺う。
…そう、それがベスト。僕の投石を避け続け、僕の呪力切れを狙う。それをされると今度こそ僕は打つ手が無くなる。
…と、思っているんだろう?
特級呪霊に向かって駆け出す。僕が投石をしないと分かった呪霊達がそれを守るために一斉に殴りかかってくる。
僕が『領域を解かせる』から『術者を祓う』に方針を変えたと認識したんだろう。
確かに僕が今だせる大技は無い。
…だけど、火力不足は別のモノで補えば良い。
僕を囲んできた呪霊達の頭部を回転する様にして切りにかかる。この機動では呪霊達の頭を完全に切断することはできず、表面部のみにしかダメージは通らないだろう。それを理解した呪霊達は、頭部へのダメージを受け入れて殴りかかってくる。頭部を切ると言っても表面だけ、殆どダメージは無い。
領域が解ける。
そこには頭部に大穴が空き、段々と消えていく呪霊達が転がっていた。