ブラッド族三男坊の道楽記   作:大枝豆もやし

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遂にドゥゼスが本来のドライバーを使います。


ドゥゼスドライバー

 

 大和が手を拍手のように叩いた。

 パンッと、乾いた音が辺りに響く。

 途端、彼以外の全てが動きを止めた。

 フィーネも、ノイズ共も、二課達も、雲や大気すらも。

 彼以外全てが停止している中、大和は腰のベルトに触れる。

 

『ドゥゼスドライバー!』

 

 瞬間、彼のベルトが変わった。

 黒中心のカラーリングから派手なものへと変化。

 ソレは彼の兄が使用するドライバー、エボルドライバーに酷似していた。

 ちなみに、変化前はエボルトの被害に遭った別の地球で作られた模造品、ビルドドライバーによく似ていた。

 

 ドゥゼスドライバー。

 大和―――ドゥゼス本来のドライバー。

 普段使いのビルドドライバーはコレの模造品。物質変換能力で無理やり揃えた急造品であり、今はドゥゼスドライバーのナーフ状態である。

 

「………ッチ、時止めもこの状態ではこれが限度か」

 

 呟きながら懐から何かを取り出す。

 翼の生えた獅子を象ったボトルと、黒いボトル。

 二つのボトルをドライバーに装填。同時に世界の時間が動き始める。

 

「な…何!?何が起きたの!?」

「あれ?ゼウス…いや、あの青年は何処に!?」

「あそこだ!まさか、シンフォギア無しでも何かあるのか!?」

「………まさか!?」

 

 動き始める役者たち。

 何も知らない者から見れば彼が瞬間移動したと錯覚するだろう。

 だが、一部の者は何かに気づいたらしい。

 

『グリフィス!ライダーシステム!デュゼーシス(神化)!』

『Are you ready?』

 

 ドライバーのレバーを回す。

 途端、荘厳かつ激しい音楽がドライバーから流れた。

 モーツァルトのレクイエム第3曲をロックアレンジしたかのようなメロディ。

 同時、ドライバーからプラモデルのような独特の形をしたフレーム、DZライドビルダーが形成される。

 

「させるかぁ!!!」

「もう遅い!変身!」

 

 変身を妨害しようとノイズをけしかけるフィーネ。

 ドゥゼスの言う通りもう遅い。賽は投げられた。ソレも強制的に。

 

 

『グリフィス!グリフィス!ドゥゼスグリフィス!フハハハハハハ!』

 

 

 ドゥゼスの高笑いのような音声がドライバーから流れる。

 前後のフレームが合わさり、金色のリングがドゥゼスを中心に回転。

 やがて消えてその姿を露わにする。

 

 瞬間、エネルギーの奔流が起きた。

 変身の余波となって周囲のノイズを一掃するエネルギーの荒波。

 二課の者たちは咄嗟に両腕を盾にして踏ん張り、暴風のような余波に眼をきつく瞑る。

 対するフィーネはネシュフタンの鎧によって守られている。だから現状を一番早く把握できた。

 

 派手な色合いの装甲。

 赤と青をベースに金縁が入っている。

 獅子の鬣を連想させる後頭部から伸びる赤と青の長い髪のようなもの。

 牙を剥くライオンを彷彿させるマスクに、向かい合う翼の生えた獅子を連想させる複眼。

 

 仮面ライダードゥゼス・フェーズ1。

 彼は悠然とそこに佇んでいた。

 

「………うそでしょ?」

 

 思わず、そう呟いてしまった。

 やっと見つけた邪魔者の弱点。

 膨大な手間と金を掛けて用意した罠。

 ソレが今、こうも易々と踏み潰された。

 

「!?」

 

 突如、フィーネの前に蹴りの体勢に入るドゥゼスが現れた。

 咄嗟にネシュフタンの鎧の武器である両肩部のブレードを伸ばして迎撃。

 しかし、ドゥゼスはソレをまるで紙でも引き裂くかのように易々と切断。

 その威力は弱まることなくフィーネに叩き込まれ、彼女を蹴り飛ばした。

 

「ああああああああ!!!?」

 

 叩き込まれる未知のエネルギー。

 ネシュフタンの鎧を物理的に破壊するだけに留まらず、鎧の機能そのものにダメージが発生。

 絶唱にも耐え得るほどの防御性能と無限の再生能力を誇る筈が、両方とも一切働く様子を見せなかった。

 ただでさえ露出の激しい痴女装備が破壊され、放送出来ないような恰好になる。

 

「お、なかなか攻めたサービスシーン演出してくれるな。なら、俺もやる気出しちゃおっかな?」

「―――ッグ!?」

 

 軽口を叩きながら、ドゥゼスの左手が虚空を引っ張るような動作をする。

 途端、吹っ飛ばされたフィーネが左手と連動するかのようにドゥゼスの方へと引き寄せられた。

 念動力。ドゥゼスが持つ数多の超能力の一つ。

 コレでフィーネの動きを封じつつ、自身の方に手繰り寄せているのだ。

 

 抵抗しようと藻掻(もが)くフィーネ。

 ネシュフタンの鎧を再び動かそうと、ノイズを呼び出そうと、出来るあらゆる手を試す。

 しかし不発。鎧だけでなく、常時使える筈のノイズ召喚すらも。まるで何者かに封印されているかのように使用できなかった。

 その答えは正しい。彼女の力は今、まさにドュゼスによって封印されているのだから。

 

 ドュゼスがドライバーのレバーを回す。

 途端に流れるモーツアルトの怒りの日(dies irae)ロックアレンジ。

 拘束され引き寄せられるフィーネにとっては、原曲の内容も相まって処刑用に聞こえた。

 

『ドュゼスティックフィニッシュ!アリーベデルチ!』

「ああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!?」

 

 隕石の如き威力の蹴りが叩き込まれる。

 拘束されて身動きの取れないフィーネは何も出来ずに直撃。

 破壊のエネルギーが流し込まれ、彼女の“大事なもの”に深い破壊の亀裂を刻んだ。

 

「う…ぁ、あぁ………」

 

 鎧が解除される。

 金色の光となって霧散し、彼女本来の姿に戻る。

 ドゥゼスの蹴りによって意識を失いながら、ゆっくり前倒れになる。

 彼女のそんな姿を見て、周囲の大人たちは目を見開いた。

 

「そ、そんな………!?」

「まさか…そんなことが………!?」

「………嘘でしょ?こんなこと、あるわけないよね?」

 

 

 

「何で君がドゥゼスの前(そこ)にいる、了子くん!?」

 

 

 ドュゼスの眼前に倒れていたのは、二課のメンバーである筈の櫻井了子だった。

 髪が解け、眼鏡もかけていないがすぐに分かる。

 間違いなく彼らの仲間である了子だ。

 

「やっとこの時が来たぜ。一番邪悪な奴を、全ての元凶を殺す時がな!」

 

 ドゥゼスがフィーネ―――了子に手を向ける。

 向けられた手にはエネルギーが集まり今にも撃ち出されようとしている。

 二課達の驚きなど我知らずといった態度。実際に彼にしては知った事ではないのだが。

 

「ま、待ってくれゼウス!彼女は我らの味方だ!」

「はあ?何言ってる?どう見ても敵だろ?」

 

 呆れたかのような声を出してドゥゼスは弦十郎に振り向いた。

 

「コイツは俺を殺そうとした。ノイズを操っていた。二年前に奪われていたネシュフタンの鎧を使っていた。どう考えてもスリーアウトで処刑が打倒だろ?」

「し、しかし!何かの間違いの可能性だってある!もしかしたら何か事情があるのかもしれない!だからここは俺たちに任せてくれないか!?」

「そうです!まだ彼女に関しては分からないことが多すぎる!だから調査してから処遇を考えるべきです!」

 

 庇い立てる弦十郎と緒川。

 弦十郎の方は指令がソレで良いのかと言いたくなる程かなりフワッとしているが、緒川の方は一理ある。

 ドゥゼスはため息を付いて手を降ろした。

 

「まあいい、目的は達した………すまなかったな、翼」

 

 

―――パンッ

 

 

 手を叩く音が響く。 

 次の瞬間には、ドゥゼスの影も形も綺麗サッパリ無くなっていた。

 

 

 

 

 

「………やはりまだか」

 

 ベルトが嫌な音を立てて火花を散らす。

 連動してドゥゼスのライダースーツが霧散するかのように消えた。

 そう、コレが折角修復したドゥゼスドライバーを普段はビルドドライバーにしている理由。

 まだドゥゼスドライバーは完成してないのだ。

 

 ビルドドライバーを完成させたドゥゼスは、物質変換能力でドゥゼスドライバを創り出そうとした。

 グロンギと呼ばれる蛮族の王、ン・ダグバ・ゼバを打ち倒して得た能力の一つ。

 密接に関係する物を媒介する事で物質変換はより成功率が上がる。

 模造品ではあるが、ビルドドライバーはこれ以上ない媒介だった。

 しかし、それでもドゥゼスドライバーは完成出来なかった。

 理由は単純明快。エネルギー不足だ。

 

 ドゥゼスドライバーは人知を超えた物質で構成されている。

 並大抵のエネルギーでは再現不可能。そこらの塵を金に作り替える“程度”で直せるものではない。

 より多くのエネルギーが必要だ。星一つとは言わなくとも、衛星一つを壊せる程度には。

 

「(これはもう、例のアレが上手くいくことを願うしかないな)」

 

 既に手は打ってある。

 エネルギーを確保するための手段が。

 しかし上手くいくのは相手の出方次第。

 それまでは暇だ。

 

「じゃ、翼たちのとこに行くか」

 




・ドゥゼスフィニッシュインパクト
仮面ライダードゥゼスの必殺技の一つ。早い話がライダーキックドゥゼスver。
破壊のエネルギーを脚部に収束して相手に叩き込み、外部と内部共に相手を破壊する。
ここでいう破壊とは単なる物質的な破壊だけに留まらず、霊体や精神体、更に概念も破壊可能。
対象が分身だったったり予備の身体などがあっても、叩き込んだ対象との繋がりを辿って本体や予備の身体全てを破壊する。
本来は同族であるブラッド族を滅ぼすための技。自分の遺伝子を切り離して自由に動かす面倒な特性に対処する為に開発した。勿論、ドゥゼス自身もこの手段を使える。


・グリフィス
上半身は獅子に、下半身は山羊に、毒蛇の尻尾(竜ともいわれている)に、鷲の翼にソレゾレ似ている部位を持つ地球外生命体。
地球ではグリフィスはグリフォンの王を意味していることからそう名付けられた。
折角宇宙人なんだから幻獣か地球外生命体をモチーフにしたかったのですが、いいのを思いつかなかったのでオリジナルの生物で代用しました。
まあ、要はグリフォンの王様verみたいなモンです。
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