というかドゥゼスがこの地球で最初に乗っ取った組織です。
要はビルドのファウストみたいなものです。
だから武装集団フィーネなんてやらないし、パヴァリア光明結社の援助も必要ありません。
フィーネの起こした月破壊計画、通称ルナアタック事件から数日後、日本だけでなく世界中が大騒ぎすることになった。
シンフォギアや異端科学技、そしてライダーシステムの露呈。これらは世界に大きな影響を与えた。
だがそんなことはドゥゼス達には関係ない。
後処理は国や政治家に任せ、彼は次に備えて動いていた。
「「「かんぱーい!」」」
とある宴会場。
二課たちとF.I.S.のメンバーたちは親睦会を兼ねて祝杯をあげていた。
中には未成年もいるのでそういった者はジュース等で代用している。
「今日で俺たち二課は解散。これからはS.O.N.G.と名を変えた上でF.I.S.と合併か」
F.I.S.。
原作では、フィーネが影から操っていた筈だった。
しかし、この世界にはドゥゼスというイレギュラーがいる。
フィーネが暗躍する中、ドゥゼスも水面下でF.I.S.を掌握。
あくまで間接的に暗躍したフィーネと、現場で持てる力全てを使って直接組織を乗っ取ったドゥゼス。
どちらが影響力が強いかは一目瞭然。スムーズに行動出来た。
ちなみに、ドゥゼスがF.I.S.に潜り込んだのは偶然である。
革命によって宿主の母国が滅び、引き取られた先が偶然F.I.S.だった。これはドゥゼスも意図していなかった。
だが、結果的にうまくいった。なにせこのおかげでスムーズにF.I.S.に潜り込み、乗っ取れたのだから。
F.I.S.を掌握したドゥゼスは風鳴訃堂に接触。
日本への亡命の手筈や今後のポストなどと引き換えに、フィーネやアメリカの情報などを提供。
特に、レセプターチルドレンやフロンティア計画に関する情報はあの国にとっての痛い泣き所。訃堂の爺さんなら有効に活用するであろう。
「そういうことです。これからはよろしくお願いしますよ、弦十郎さん」
「あ…ああ。こちらこそ」
弦十郎は微妙な表情で大和と握手した。
御門大和。彼こそゼウスの正体。
素顔で会うのは今日が初めてだ。
「(彼がゼウス。なかなか…いや、かなりの美青年ではないか。俺はこんな子と殴り合っていたのか………)」
正直微妙な気分だ。
ノイズ殲滅を目的としながら、何度も敵対してきた。
そんな彼が今、敵意どころか友好的な雰囲気でいる。
「ゼウス…いや、大和くん。これからはその力を日本の為に使ってくれるという事でいいのか?」
「いや、ちょっと違いますね。俺は俺の為に動いています。ソレは以前と変わりません」
「そうか…。ではなぜ日本に肩入れしてくれるんだ?君の力なら何処でも歓迎してくれる筈だ。何故よりによって…」
何故、あの父親と組んだのか。
そう言おうとしたところで口ごもる弦十郎。
ソレに対してドゥゼスもまたバツが悪そうな顔で答えた。
「訃堂さんの目的は国を守る事です。ただこれだけの為に全てを犠牲に出来る人だ。だから信用出来るんですよ」
「むぅ…親父が信用できると俺は思えないのだが…」
「ええ、あの人がやってきた事を考えると弁明は無理ですね」
弦十郎たちが唸る。
訃堂の凶行を知っている彼らとしては、ドゥゼスの言葉には賛同できなかった。
「おそらく焦っていたせいですよ。日本は良く攻められているのに、国防の力はカスカスですから。以前、俺が防衛省大臣守ってなかったら本当に暗殺されてましたよ?」
シンフォギア世界の外国はマジで地獄だ。
欧州は暗黒大陸、米国は畜生共の掃き溜め、中露は論外という地獄みたいな世界観。
そんな中、風鳴訃堂は他の国に日本が侵されないよう文字通り身を削って守ってきた。
風鳴訃堂はただ日本を守りたいだけである。
だというのにどいつもこいつも日本に攻めてくる。で、五期でついにキレたというのが大体の流れ。
大体、二期の元凶は逃げようとしたアメリカの奴等だ。レセプターチルドレンにフロンティア計画。防衛大臣選任に介入したり、日本の海域に侵入したり、部隊派遣したりと。好き勝手するにも程がある。
あの爺さんがまだ良心的なのがシンフォギア世界。一周回って訃堂が正義の味方に見えてしまう。
まあ、外道なのは変わりないが。
「だが安心しろ。この俺がいる限り敵は皆殺しにしてやる。まあ、出来る限り生け捕りにするがな。後始末もちゃんとしてやるぞ」
人殺しを任せろとあっさり言うドゥゼスに二課の面々は少し怖気づいてしまった。
「な、成程…。まあ、取り合えず今日からはあのゼウスが味方になったということだな!」
「本当にめでたい!貴方の力に我らは存分に縋らせてもらいます!」
こうして親睦会は進み、何事もなくお開き。
全員帰ろうとしたとこで大和だけ元F.I.S.のシンフォギア奏者たちに呼び止められた。
「さあ大和…いや、ドゥゼス。私たちに何か言うことあるでしょ?」
「しばらく会えなくて寂しかったんですから」
「なのにドゥゼスだけ色んな子達とあそんで」
「私たちもご褒美欲しいデース」
蠱惑的な表情でドゥゼスに身体を密着させる四人。
彼女達もドゥゼスの愛の奴隷と化した犠牲者たちである。
原作でもマトモな男がおらず、同年代と言えばウェルぐらい。
男の耐性が無いのだ。少し優しくするだけでコロッといった。
そもそも、この男が原作の美少女キャラが近くにいるのに手を出さないとかありえない。
同じ研究所にいることをいいことに、たっぷりと躾けて自分色に染め上げている。
「そうだな、じゃあ今日はお前たちのリクエストに応えてやろう」
「やった!私は触手が良いデース!」
「じゃあ私は分身五人で」
「わ、私は…オークに無理やりが……」
各々の好きなリクエストをドゥゼスは擬態能力で叶えてやった。
「(はぁ~、やはりあの男に協力して正解でしたね)」
とある研究所、ウェルはモニターでドゥゼスとフィーネの戦闘…否、蹂躙劇を視聴していた。
フィーネは決して弱くない。
むしろ世界を滅ぼすに足る驚異の筈。
だというのにこの男は片手間でソレを潰してみせた。
圧倒的な力。
かつて繁栄した先史文明の神すら超える。
「(やはりあの話は本当のようですね)」
先史文明に力と知恵を与えた神々の国に甚大な被害を与えた存在、星狩りの一族とその眷属たち。
そのことについて書かれた石板を一度だけウェルは読んだことがある。
『え、アイツから逃げたのか。確かに地球で言う公爵級だったからな。逃げられただけまだマシか。………あ、もういないぞ。俺が殺したからな。けっこう楽しめた』
本人に聞いてみた結果、こんな答えが返って来た。
なんてことはない、まるでゲームの感想を話すかのように。
ウェルは認識した。
この世界は英雄なんて求めていないと。
世界どころか宇宙を支配する覇者がいるのだから、そんなものは必要ないのだと。
世界を支配する?
宇宙の覇者を差し置いて?
無理に決まっている。瞬殺されるのがオチだ。
否、彼にとっては殺すという感覚すら不要であろう。
「(まあ、そんな彼のおかげで僕は英雄に近付けたのですが)」
手にした力―――バットフルボトルを握る。
ドゥゼスから渡された力。
英雄になる為に授かった力。
これで自分も戦える。
「そもそも、女子供を戦わせる時点で英雄失格ですからね」
思えば、あの頃の自分は英雄に相応しくなかった。
女子供を薬漬けにして無理やり適合率を上げてシンフォギアを使わせる。
で、戦いを女子供に任せて自分は安全圏からソレを眺める。
何処からどう見てもゲスである。
英雄を名乗るなら自身の手で戦うべきだ。
今まではソレが出来ず、現実から目を背けようとしていた。
だが今は違う。今の自分には力がある。
「では、行くとしますか。我が王の指令を達成せねば」
先ほどまで目を通していたモニターに別の画像が映る。
ドゥゼスがウェルに下した次の指令。
ソレを遂行するために彼はナイトローグに変身。
翼を広げて目的地へと夜空に羽ばたいた。
「(ああ、思っていた形ではないが、今の僕はちゃんと英雄している)」
闇夜を飛びながら、ウェルは仮面の下で満足げに笑った。
ウェル博士の考える英雄って仮面ライダーみたいなヒーローではなく歴史的な英雄だと思います。
だから英雄=支配者或いは権力者という思考になったかと。
シンフォギアが仮面ライダーっぽいとこがあるから英雄と聞いてライダー達を連想しますが、彼らも所詮は想像上の存在ですからね。
the boys程ではないですが、実際の英雄はあんな聖人君主ではないでしょう。
所詮は自分の野望の為に何人も犠牲にしてきた人殺しですから。
ただ、コイツも真っ当な側についてりゃ英雄(ガチ)に成れたと思うんですよね。
二期の元凶は逃げようとしたアメリカの奴等です。アイツらと同じ空気吸ってダメな方に行ったような気がする。
最初から二課についてた方がスマートに物事が進んだんじゃない?
なんていうか、シンフォギアの敵キャラって腹割って話せばなんとかなりそうな事が多い気がする。