ブラッド族三男坊の道楽記   作:大枝豆もやし

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キャロルの四騎士ってトランプに対応してるんですね。
じゃあラウズカードに封印しちゃいましょうね~。


三期終了

 

 ヨーロッパの某小国。

 森の奥に豪華な城が建っていた。

 その天守閣に一陣の雷が降り立つ。

 ゼウスディセンター。彼は城内へと侵入し、謁見の間にあたる場所で変身を解除した。

 

「フン、やっと来たか女誑しの道楽宇宙人め」

 

 王座に座っていた女性がゼウス―――ドゥゼスに近付く。

 金髪の二十代前半程の女性。

 言葉こそ悪いが何処か喜色を含んでいた。

 彼女はキャロル。本来なら三期のラスボスに当たる人物である。

 

「ソレで、こうやって俺に会いに来たということは何か用があるのだろ?」

「何だ、用が無かった会いに来ちゃいけないのか?」

 

 ドゥゼスの言葉にキャロルはジト目で返した。

 

「フン、白々しい。お前が女に会う時などその女を利用するか抱くかの二択だろ」

「失礼な物言いだ。俺は常にお前を必要としているし抱きたいと思ってるが?」

「………バカ」

 

 隠すようにドゥゼスの胸に顔をうずくめる。

 

「いい知らせがある。近々フロンティアを起動させて大規模な研究所を作る。そこなら今まで以上に研究が捗る筈だ」

「フン、そのためにフロンティアの起動を手伝えって事だろ?」

「悪い話じゃないだろ?ここより数段良い研究が出来るんだからな」

「まったく、本当に口が達者な奴だ」

 

 キャロルはドゥゼスに身体を摺り寄せた。

 

「今日はたっぷり付き合ってもらうぞ」

「ああ、分かってる」

 

 

「(しかし、あのキャロルがこうなるとはな。あの時はそのつもりはなかったんだが…)」

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・数年前

 

 

 ヨーロッパの荒地。

 先程までは小さな村があったが突如なくなってしまった。

 原因は突如起きた大爆発。

 ドゥゼスとキャロルたちの戦いの余波のせいである。

 

「どうした?終わりか?」

 

 ドゥゼスが問う。

 姿こそフェーズ1だが性能は大分デチューンされている。

 具体的に言えば、今の彼はエボルトフェーズ3程の性能しか発揮出来ず、タキオン粒子の操作やヘルヘイムの森の力など、一部の能力の使用に制限が掛けられている。

 しかし、ソレを以てしても両者の差は縮まらなかった。

 

「く…クソぉ!」

 

 抵抗するキャロルと終末の四騎士。

 満身創痍でありながら立ち上がり、ドゥゼスに攻撃を仕掛けようとする。

 

 

 レイア・ダラーヒム。

 大量のコインをドゥゼスに投擲。

 コインは空中で爆弾やプレスなど、様々な武器に錬金術によって変換錬成された。

 

 ファラ・スユーフ。

 フラメンコを彷彿とさせる剣戟で斬りかかる。

 風を操る事で機動力を高め、空気の層を操って周囲に姿を溶け込ませながら。

 

 ガリィ・トゥーマーン。

 空気中の水分を凍らせる事で鏡のように幻像を投影して攪乱させる。

 同時、本体は足元の地面を氷結させてスケートのように高速移動。

 一気に懐に入って装備した氷の剣を突き刺す。

 

 ミカ・ジャウカーン。

 ロール髪に搭載されるバーニアで急接近。

 想い出の焼却効率を限界まで引き上げ、四分間だけ戦闘能力を増大させるバーニングハート・メカニクスを発動。

 放出される熱エネルギーを身に纏い、カーボンロッドで殴り掛かる。

 

 連携の取れたフォーメーション。

 レイアが牽制、ガリィが攪乱、ファラが切り込み、ミカが特攻。

 どれか一つでも十二分に脅威となり、四人が揃う事で相乗関係となる。

 コーラスのように互いが互いを引き立て合う戦い方。パーフェクトハーモニー…。

 

 

「うざい」

 

 ドゥゼスはソレをあっさりと否定した。

 

 

 レイアには大量の爆弾やミサイルで対処。

 ドゥゼスは物質変換能力で彼女以上の数と質の武器を一瞬で作り出した。

 レイアも咄嗟にコインから盾になるようなものを作るが無駄。爆発によって粉々にされた。

 

 ファラを一刀両断。

 鮮やかな抜刀でファラを捉えた。

 いつの間にか持った日本刀で彼女の得物―――哲学兵器「剣殺し」ごと両断。

 空気の壁を、バリアを、大剣を、彼女自身を。絶技によってあっさりと切断した。

 

 ガリィにはカウンターの吹雪。

 創り出された氷の鏡ごと吹き飛ばし、凍らせる。

 咄嗟に氷の壁を創り出し防御するも、呆気なく粉砕。

 常時発動されているバリアも突破し、彼女を氷漬けに変えた。

 

 ミカには炎を纏った拳で対処。

 彼女の放出する熱エネルギー以上の業火。

 圧倒的な熱量の差で無理やり突破し、彼女を大破させた。

 

 

「う、ウソだろ…」

 

 震えた声キャロルでが呟く。

 ここまでの時間、僅か数秒程。

 自身の傑作たちがこうもあっさりと攻略されたのだ。

 そして何よりも彼女たちを攻略した技は…。

 

「貴様…当てつけのつもりか!?」

「そうだ、得意でやってやったんだ。なかなかいいだろ?」

 

 相手の属性や武器に合わせた。

 ファラには剣で、レイアには物質変換で、ガリィには氷で、ミカには炎で。

 どれも彼女たちが各々得意としている分野であり、彼女たちの土俵で上回る力を見せつけた。

 いや、ソレだけではない…。

 

「その力…あいつらと全く同じ!?」

正解(Exactly)!よく真似出来ているだろ?」

 

 ドゥゼスの攻撃は、彼女たちが司る錬金術と全く同じ原理であった。

 解析コピー能力と再現能力。

 ありとあらゆる現象や能力を解析分析し見抜く写輪眼のような目、解析分析した力を再現し掛け合わせる事で更なる能力に昇華させる一方通行のような能力。

 これによってドゥゼスは四騎士たちの攻撃や行動パターンを見抜いて攻略。彼女達の技を再現して迎え撃ったのだ。

 

「(なんだその研究者泣かせな能力は!?そんなものがあるなら世の錬金術師や科学者が挙って求めるぞ!俺も欲しい!)」

 

 戦闘中、しかも自身が圧倒的に不利だというのに、彼女はそんな余計な事を考えた。

 しかし無理はない。事実彼の能力は研究者なら誰もが求めてやまない能力であろう。

 なにせ万能の観測機と実験機を併せ持っているようなものなのだから。

 もし、あの力があれば。思い出など消費しなくても…。

 

「フン、想い出などただの記憶。データだろ。いくらでも取れるだろうに選り好みしなくてはならないのか。不便だな」

「黙れ!」

 

 言われるまでもない。

 想い出を消費する以上、彼女たちの継戦能力は低い。

 だから、ここで決める必要がある。

 

「はぁぁぁぁあああああああ!!!」

 

 キャロルが叫びながら想い出を燃やし、力に変換させる。

 コイツ相手に出し惜しみは出来ない。

 文字通り全てを以て潰す!

 

「フン、叫べばパワーアップすると思ってるのか?」

 

 ドュゼスがドライバーのレバーを回す。

 怒りの日(dies irae)ロックアレンジが流れ出した。

 

『ドュゼスティックフィニッシュ!アリーベデルチ!』

 

 繰り出される互いの必殺技。

 ソレが命中したと同時、大爆発が起きる。

 

「ぐわああああああああああああ!!?」

 

 勝利したのはドゥゼス。

 キャロルの術を粉砕し、彼女のファウストローブを粉砕した。

 

「そ、そんな…」

 

 圧倒的な力の前に倒れ伏すキャロル。

 如何に弱体化しようとも、かつては宇宙を支配した覇者。

 万分の一程の力でも彼女たちを相手するには十分すぎる。

 

「こ、こんなとこで死んでたまるか!俺は…この世界に…お父さんの夢を……!」

 

 

 

「はあ?お前父親に捨てられたってまだ気づいてないのか?」

 

 

 

「………………は?」

 

 ドゥゼスの発言にキャロルは頭が真っ白になった。

 ソレに構わずドゥゼスはぺらを回す。

 

「アダムから聞いたぞ、お前の父親は優れた錬金術師だと。なのに魔女狩りで碌に抵抗もせずにお前を残して出頭したと。つまり捨てたって事だな」

「ふざけるな!お父さんはそんなことしてない!分かったような口を利くな!」

 

 倒れ伏した状態で怒鳴るキャロル。

 しかしそんなものはどこ吹く風。

 ドゥゼスは更にまくし立てる。

 

「じゃあ何故抵抗しなかった?普通なら赤の他人より娘を選ぶはずだ。なのに娘を一人残したのだぞ?ありえないだろ」

「そ、それは…」

 

 確かにおかしい。

 父親であるイザーク・マールス・ディーンハイムは温厚でお人良しだが、優秀な錬金術師だ。

 その気になれば逃げられる筈。なのに何故そうしなかった?

 

 根は生真面目で勤勉なキャロルはドゥゼスの言葉に耳を傾け、受け答えしようとしてしまった。

 ソレがドゥゼスの思惑であると知らずに。

 

「つまりソイツは娘よりも自身の正義を優先したんだよ。自身の理想とお前を天秤にかけた結果、お前は軽かったってことだ」

「違う!お父さんは俺に…私に託してくれた!この世界に復讐を!」

「じゃあなんて言った?よぉく思い出せ」

 

 ドゥゼスは洗脳波を出して無理やりキャロルに父親の言葉を『正確に』思い出させた。

 

「あ、あぁ………」

 

 言ってない。

 彼は最後まで恨まなかった。

 世界に裏切られ、拒絶され、最後には処刑されたというのに。

 最後まで自分と一緒に生きるのではなく、愚かな大衆の願いを優先した。

 

「そういう事だ。その男はお前の父であることより自身の正義を優先した。そして、その正義をお前にも押し付けた。ソレが全てだ」

 

 

「あああああああああああああああああああああ!!!?」

 

 何故一緒に生きてくれなかった!

 愚かな大衆を皆殺しにしろとまでは言わない。

 一緒に逃げて二人きりで暮らしていけばよかったのに!

 なのに何であの場で逃げず、世界を見てこいなんて言ったの!?

 

「何で…何で一人にしたのよぉ………!?」

 

 泣き崩れるキャロル。

 そんな彼女にドゥゼスは変身を解除しながらゆっくり近づく。

 

「!!? そ、そんな馬鹿な………!!?」

 

 ドゥゼスの姿を見た途端、キャロルは一瞬フリーズした。

 一瞬、ほんの一瞬だけだったが、彼から父親の面影を感じた。

 外見も声もまるで違う。だというのに、何故か父と同じ雰囲気を感じ取ってしまった。

 

 ブラッド星人の擬態能力の応用。

 姿を一瞬だけ真似て相手を騙すなど楽勝である。

 ここで重要なのはほんの一瞬だけということ。

 あえて認識させないことで脳をバグらせ、面影を感じたという錯覚を刻み込む。

 そうやって後々やり易くするのだ。

 

「………すまん、言い過ぎた」

 

 フリーズしているキャロルをそっと抱き寄せ、耳元で呟く。

 彼女の父親の声を彼女自身脳内でほんの少しだけ再現させながら。

 

 

 

「喧嘩腰だったからついこっちも熱くなり過ぎた。よく考えたら、そんな立派な親父さんが娘を捨てるわけないモンな」

 

「おそらく何かしらの意図があったんだろう。どうしようもなかった事情とか。なら、良かったらソレを探してみないか?」

 

「一人で閉じこもっていたから今まで親父さんの言葉に気づけなかったかもしれない。なら、親父さんの言う通り世界を見てみようか。……俺も、お前の力が必要だから」

 

 

 お前の力が必要。

 その部分を強調して囁いた。

 

「お…私は………」

 

 

 

 

 

 

「で、悪い男にこうして俺は騙されたと」

 

 キャロルはジト目でドゥゼスを睨みつけた。

 

 あれ以来、ドゥゼスの率いるF.I.S.は力を付けた。

 アメリカの援助に頼る必要が無くなり、スムーズに独立して亡命する事が出来た。

 キャロルの錬金術の知識と技術、そしてドゥゼスが提供した外宇宙の知識と技術によって。

 

「そういうお前も俺の力を存分に利用しただろ。俺の物質変換で必要なもの用意させたり、ブラッド星人の技術を提供したりして」

「ああ、おかげ様でここ数年で俺の錬金術は大分進んだ。そこは感謝してるぜ、ドゥゼス様♡」

 

 キャロルはわざと媚びた声を出しながら体を密着させた。

 

「じゃ、今日は仕事の分以上に構ってもらわねえとな! …お前らもな」

 

 何処からかカードを取り出し放り投げる。

 途端、彼女が作り出した自動人形―――四騎士が現れた。

 

 ラウズカード。

 不死の戦士たちを封印し、その力を使用する為のアイテム。

 とある星を滅ぼしたことで手にした力。

 彼女達はこの中が気に入ったらしく、普段は部屋代わりに使っている。

 

「お前ら、話は聞いただろ。たっぷり搾るぞ」

「「「は~い!」」」

 

 




キャロルの父親について私は引っ掛かりを覚えました。本当にキャロルが大事なら連れて逃げろや!と。
善良設定なのはいいんですけど人間味が無いと本当にソイツは善良な人間なのかって思ってしまいます。
少なくとも自分たちの平穏を脅かすような大衆より娘を優先するのが善良な父だと私は思います。
なのに抵抗も逃げる事もせず、ただ世界を見て回れと言い残した。そのせいで私は自分の正義を貫くために父であることを捨て、娘にも自分の考えを押し付ける男に見えました。
皆さんはどう思います?
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