ブラッド族三男坊の道楽記   作:大枝豆もやし

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原作ではアダムって響に人でなしって言われたけど、ソレって錬金術師全般に言える事ですよね。
だってパヴァリア光明結社の残党ってかなりえげつない人体実験してたじゃないですか。次期のノーブルレッドが証拠であり、ソレも一部でしかない。
クリスの両親が内紛に巻き込まれたのも奴らの暗躍のせいですし、何より原作の設定で欧州が暗黒大陸なのも奴らのせいだってありますからね。
よっぽど酷いことしてるんだろうな。じゃあ、幹部でありながらソレを止めなかったサンジェルマンも同じく人でなしじゃね?
アダムに裏切られるのも納得だわ。散々利用したのはお互い様だろ。
なのに何であいつらだけ死後は主人公の味方して、アダムだけ人でなし認定されたんだ?




四期終了

 

 パヴァリア光明結社。

 異端技術「錬金術」の使い手であり、古い時代から存在し、歴史の陰で暗躍してきた秘密結社。

 本部となる城の待合室。そこで頭領であるアダム・ヴァイスハウプトは友人を出迎えていた。

 友人の名は御門大和。またの名をドゥゼス。現在唯一生き残っているブラッド星人の王族である。

 

「やあデュゼス。話は聞いたよ。遂に来たんだね。我らが表舞台に立つ時代が」

「ああそうだ。ライダーシステムを堂々と研究出来る」

 

 そう、彼らこそ他の限られた協力者の正体。

 ドゥゼスはアダムを通してパヴァリア光明結社を操り、ライダーシステムやフルボトルの研究と製造を行わせていた。

 まあ、錬金術師たちも積極的に協力していたので操っていたかは微妙だが。

 

「まさか、あれからこんな風になるなんてね」

 

 ふと、アダムはドゥゼスとの出会いを思い出した。

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・数年前

 

 

「まさか、こうして現れるとは。僕の目の前に。思ってもいなかった…いや、疑っていたよ。存在自体を」

 

 ヨーロッパの小国にある古びた城。

 王座らしき椅子に座っているアダムは恐怖を感じていた。

 

 眼前の少年。

 人の姿をしているが本能的に理解してしまった。

 人間ではない。人体を借りているが、中身は全くの別物だと。

 

 創造主によってデザインされた完璧な存在。

 人類のプロトタイプであり、人類より完璧な最高傑作。

 そんな彼でも目の前の存在を恐れずにはいられなかった。

 

「星狩りの一族の王、デュゼス。まさか実在していたとは、本当に」

 

 デュゼス、またはドゥゼス。

 アダムの創造主であるアヌンナキが畏れた存在。

 アヌンナキの星に降り立ち、甚大な被害を齎したとされる星狩りの獣を倒したという存在。

 当時の恐怖は彼の遺伝子にデータとして刻まれていた。

 

「ほう、俺のことを知っているのか」

 

 なんてことはなさそうな態度。

 事実そうなのだ、この男にとってアヌンナキの恐怖など。

 

「で、その王が何の用だ?この僕に」

「いや。ただどんなのか気になっただけだ。家畜化(ネオテニー)した猿のプロトタイプがな」

「………」

 

 一瞬、アダムは意味が分からなかったが、段々と腹が立ってきた。

 家畜化した猿。言うまでもない、人類の事だ。

 何故そんな分かりにくい表現をしたのかは謎だが、なんとなくバカにされているのは理解した。

 

「………あ、そうか。この世界の人間はアヌンナキが造ったものだからこの説は当てはまらないな」

「どういう意味だい?」

「ああ、実は…」

 

 それから、ドゥゼスはアダムと話をした。

 アダムにとって、ドゥゼスとの会話は新鮮なものだった。

 彼にとって恐怖を感じる存在など存在しない筈だったが、ここにこうして現れた。

 恐怖を感じる、つまり同格或いは格上の存在。アダムの中で忌避感よりも興味の方が勝った。

 だから、彼は長年の疑問の答えを聞いた。人間ではない彼なら、創造主より上位の彼なら答えられると、僅かな願望をかけて。

 

「何故神が完璧である完成品の君より不完全で未熟な人間を可愛がるかって?決まってる、可愛くないからだ」

 

「完璧なものはソレ以上進化しない。完璧なものは他者を必要としない。そりゃあ作り手にとってはつまらないだろ」

 

「アヌンナキが君を作れたってことは、そのアヌンナキも完璧或いはソレを再現できるってことだろ?なら道具としてはわざわざ君に固執する必要はないってことだ」

 

「対する人間は不完全だからこそ非合理的に動いたり、非条理な事をしでかす。その結果に“未知”が開かれる。おそらく上位存在はそういったものが見たいんだろ」

 

 

「(可愛くない、か…)」

 

 心当たりはあった。

 確かに、神は完成品よりも未知を求めていた節がある。

 なら、自分は最初から捨てられる前提で作られたという事になる。

 

「ありがとう。おかげで付いた、吹っ切りが」

 

 事実は変わらない。

 何か理由があっても完成品である自分より、不完全で不合理極まりない人間を選んだという事実には。

 だが、これで何故自分が選ばれなかったのかという理由には納得がいった。おかげで何かしらの区切りが彼の中で出来た。

 

「復讐したいか?」

「勿論だ。その為に僕は動いている」

「そうか。ならお前に武器をやろう」

 

 ドゥゼスはエボルドライバーをアダムに渡した。

 

「これは?」

「エボルドライバー。俺の兄が使っていた物の模造品。だが本物と性能は差異が無い筈だ」

 

 エボルドライバー。

 兄であるエボルトが使用していたドライバー。

 ドゥゼスドライバーを復活させる一環として片手間に作ったものだが、ソレでも強力であることに変わりはない。

 なにせ、ブラッド星人の王族が使うドライバーなのだから。

 欠点と言えば人間には反動が強すぎて使えない事。即死級の反動を喰らうことになる。

 

「くれるのか?僕に」

「ああ、先ずはお近づきの印だ。今後この星で活動する為にな」

 

 アダムは理解した。

 星狩りの王のターゲットはこの星、もっと言うならアヌンナキだと。

 なら、そのご相伴にあずかろうか。あの星狩りの一族の王と。

 

「では、 僕は何を提供すればいい?」

「俺にこの組織のトップとしての座を寄越せ。強い者が率いるのが自然なら、俺がやるのが当然だろ? だが形式上のトップはお前だ。そっちの方が動きやすいからな」

「成程、道理だ」

 

 あっさりとアダムは頭領としての権限を譲った。

 彼にとってパヴァリア光明結社は神に届く力を手にする為の手段に過ぎない。

 神をも超える存在から力を渡された以上、固執する必要はないのだ。

 

「それと、ソイツを使いにはハザードレベルを上げる必要がある。ネビュラガス自体には耐えられる筈だが、今のままではレベルが上がらない」

「ならどうすればいい?」

「人間の感情を学び、己の力にしろ。その先にアヌンナキが見たかった未知も見つかる筈だ」

 

 そう言われたら、是が非でもやりたくなる。

 どうやら目の前の存在は相手のやる気を上げるのが上手いようだ。

 

「じゃ、交渉成立だな。今後ともよろしく」

「ああ、よろしく」

 

 こうして、ドゥゼスはパヴァリア光明結社を乗っ取り、改革を始めた。

 中でも一番変化したのはアダム自身。

 ドゥゼスの影響で彼は大分変わった。

 

 当時のアダムの人望は一割も無かった。

 実質的な取り仕切りをしているのはサンジェルマンであり、彼女にトップを張ってもらいたいものが多数を占めている。‬

 錬金術の腕もそうだが、人柄というのも錬金術師の中で比較的に真っ当。故に当然の結果であった。

 しかし、今は違う…。

 

 

『お前組織の人間にナメられてるぞ。強くても力を振るわないって確信したら増長するに決まってるだろ。見せしめに何人か邪魔な駒ぶっ殺せ』

 

『偶には顔見せてシメろ。けどあくまで穏やかにな。鞭はチラ見せで留めるのが一番だ。振る事なく、しかし振れないと思わせない。この塩梅を見極めろ』

 

『暴力と恐怖のみで人間を支配出来ると思うな。何時か爆発するし、覚悟決めた奴は何も恐れない。歴史上ではそうやって被支配者層が支配者を打ち倒し這い上がったケースがいくらでもある』

 

『国や組織が倒れる理由は主に三つ。外敵からの侵略、飢餓や物資不足、そして内部の腐敗だ。特に厄介なのが最後。他二つを助長し、滅びを加速させる。だから常に目を光らせておけ。いつでも破滅の芽を摘めるようにな。放っておくとすぐ湧いてくる』

 

 

 アダムは子どものようなものだ。

 元から強いから学ぶ必要のなかった子供。

 組織の長としての器が皆無なのもそのせいだ。

 しかしだからと言って学べないというわけでは決してない。

 むしろその逆。真っ新な状態だからこそ、スポンジの如く吸収して己の力に変えていった。

 独特のセンスが必要なものは時間がいるが、ソレでも出来ないわけではない。むしろ、人類と比べて遥かに高い学習能力がある彼なら、僅かな時間で習得できる。

 

 今までソレが出来なかったのは本人が学ぶ必要を感じなかったから。或いは彼に影響を与えるに足る存在がいなかったから。

 しかしドゥゼスは違う。創造主より上位の生物。アダムにとって未知であると同時に唯一の存在であり、様々なことを教わった。

 

「もしかして…うちの部下は猿よりも野蛮なのでは?」

 

 アダムは急激に成長していった。

 流石は完成品の人類。すぐさま学んで自身の力に変えた。

 進んで学び、取り入れ昇華することで更に力を付けて来た。

 組織の長に、人類より優れている種族に、ドゥゼスにとって都合のいい存在に。

 そんな訳で、大きく成長したアダムは現状というものをしっかりと把握。改革に自らのりだした。

 

 錬金術師共が好き勝手する欧州。それよりはマシといえ、非道な研究や実験、そして犯罪行為はパヴァリア光明結社にも吐いて捨てる程ある。

 なにせ、実験台確保の為に平然と誘拐拉致を繰り返すような奴らなのだから。

 そんな中、自らの組織をアダムは一人でも把握を成し遂げる。

 

「反吐が出る…。これが、憤怒というものか!」

『エボルドライバー!』

 

 今までの頭無残アダムではない。‬

 超人的能力をフルに活用する、文字通り最高傑作のアダムだ。‬

 

 こうして、パヴァリア光明結社はマトモになった。

 外道な人体実験などを禁止し、今では真っ当な研究をしている。

 暗躍して国や政情をかき乱すことなく、一個体の研究機関として独立している。

 本拠地となっていたヨーロッパ大陸は暗黒大陸から脱却し、今では大人しくなっている。

 

 まあ、そうなる為に幾つか小国を滅ぼしたりしたがいいだろう。

 

「こうなったのは君の協力もある。感謝するよ。ありがとう、デュゼス」

「別にいい。俺は俺の為にやっているのだからな」

 

 

「で、最近はティキとどうなんだ?ヤる事やったか?そういう機能開発されたの知ってるからな俺は」

「げ、下品だね君は。僕には分からない。君がそこまで女体に拘るのか」

 

 アダムは少し照れながら答えた。

 

「あ、そうだ。うちの幹部が待っていたよ、君を。まったく、一度に三人抱くのはいいけど、よく抱けるね。元男だぞ、あの二人は」

 

 無論、この男のことなのでネームドにはキッチリ手を出していた。

 





ソシャゲのIF世界でイザークと友になってるアダムはトラブルメーカーではあるが、けっこういい人になってます。
結果、パヴァリア光明結社は錬金術師連盟とかそんな感じになって、暗黒大陸なんてなかったことになってます。
やっぱ環境が大事なんでしょうね。なにせアダムがいたのは錬金術師なんていう人でなしの集まりだったんですから。
やっぱ四期の原因は錬金術師共じゃん!それかアダムを捨てたアヌンナキ共!
特に、作っておいて碌に管理も教育もせず、かといって始末もせず放置したアヌンナキ共には諸々の責任を問いたいですね。
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