ブラッド族三男坊の道楽記   作:大枝豆もやし

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今回は違う原作のクロスが示唆されますが、その世界のストーリーやキャラがこのssに絡むことはありません。
最初はやりたかったのですが、私の力量不足で断念しました。


完全復活

 フロンティアの奥深く。

 ドゥゼスしか入れない特殊な部屋。

 殺風景で何もなく、ひたすら広い。

 そんな中、ドゥゼスは一人ギャラクホルンを動かしていた。

 

「今思えばギャラクホルン使う必要なかったが折角だ。じゃ、“戻る”とするか」

 

 空間が繋がれる。

 ヘルヘイムの森から奪った空間接続能力と連動させて。

 ジッパーのような空間の割れ目、クラックが開かれる。

 その中から影が二つ勢いよく飛び出してきた。

 

 一つは灰色の影。

 灰色っぽい銀髪。

 灰色の丈の長いジャケット。

 全身を灰色でコーディネイトしており、金のラインと金縁が描かれている。

 その手には灰色の刀が握られており、虹色の宝玉が嵌められ、刃の部分は金色であった。

 

 もう一つは黒と白の影。

 黒と白のメッシュの髪。

 黒いローブを身に纏い、白い学ラン或いは制服のような恰好。

 その手には長い杖が握られており、柄の部分には天使の翼と悪魔の翼のような装飾がされていた。

 

 そして何よりも驚くべきなのは二つの影の顔。

 二人ともドゥゼスと同じ顔で同じ声だった。

 

「よう、俺。どうだ、バリアジャケット姿の俺は?」

「久しぶりだな、俺。こっちは魔法少年だ。なかなかいけるだろ?」

 

 並行世界のドゥゼス…ではない。

 彼らは全宇宙に飛び散ったドゥゼスの肉片が復活した姿だ。

 

 キルバスとの戦いで彼の肉体はほぼ消滅。

 僅かに残った遺伝子とエネルギーで延命し、受精卵に取り憑くことで新たな肉体を得た。

 しかしソレが成功したのは本体だけではない。飛び散った遺伝子たちも試みたのだ。

 

 肉体のバックアップ。

 皆さんは13話の後書きで予備の肉体や分身の話を覚えているだろうか。

 ドゥゼスもそういったものを使える。劇中でキルバスが使った分身スマッシュと似たようなものだ。

 

「会えてうれしいよ、俺。しかし全員同じ顔か…。俺は偶然取り憑いた王族の妊婦から生まれたのだが」

「遺伝子が相互干渉してそうなったのだろう。ちなみに俺は試験会ベイビーだ。聖王や覇王などの遺伝子をぶち込んで作られたらしい」

「俺は普通の家庭からだな。お前らと違って何一つ特殊な生まれではないのが悔しいな」

 

 同じ顔が向き合って話している光景は何処がシュールだった。

 

「じゃあ成果を見せてもらおうか。ちなみに俺はドライバーを完全復活させた」

 

 シンフォギア世界のドゥゼスがドライバーを見せる。

 

「そうか、俺はパンドラボックスを復活させた。ロストギアを使ってな」

 

 ジャケット姿―――なのは世界のドゥゼスがパンドラボックスを掲げる。

 

「俺はフルボトルだ。魔法少女たちと魔女の因子で作ったんだ」

 

 ローブ姿―――マギカ世界のドゥゼスがフルボトルの入ったケースを開けた。

 

「「「じゃあ、戻ろうか」」」

 

 三人が赤黒く金色の光を放つスライムとなり、一つに合体。

 少しすると人間状態に戻った。

 

「エネルギー総量は…似たようなものか。だが情報量はなのは世界が一番多いな。しかしハザードレベルはマギカ世界が高い。やはり“食べ残し”がいたせいだな」

 

 情報のすり合わせを行う。

 ただの情報ではない。自分の記憶として、経験として、人生として。

 どれが本物で偽物かなどではない。どれもドゥゼス本人であり、彼の歩んだ道だ。

 

「決めた、この世界を片づけたらあの食べ残しを潰すか。その次は時空管理局をゆっくり乗っ取っていこう」

 

 方針は決まった。

 次の獲物が、その次の遊び場が。

 なら、今のステージをさっさとクリアするか。

 

 ドゥゼスが手を叩く。

 途端、ドゥゼスの周囲が一瞬で変化した。

 否、彼が瞬間移動したのだ。

 移動先は月面。

 空気が無いというのに、ドゥゼスはその場で深呼吸する。

 

「じゃ、やるか」

 

 念動力でパンドラボックスをパネルに分解しつつ、ケースから取り出したフルボトルをパネルに装填。

 全て装填してボックスに組み立てた途端、パンドラボックスが赤く発光しながら凄まじいエネルギーを発した。

 

 パンドラボックスを中心に凄まじい現象が起こる。

 大気が極めて少ない筈の月で、巨大な砂嵐が巻き起こる。

 地殻活動がない筈の月で、大地が隆起して巨大なプレートとなる。

 赤いエネルギー…否、ネビュラガスが吹き荒れ、月の大気と大地を汚染していく。

 変化はこれだけでは収まらない。プレートの一部が重なり合い巨大な塔を建設していった。

 

 パンドラタワー。

 その上空にはブラックホールのようなものが発生。

 月そのものを呑み込まんと更に巨大化していく。

 

「フハハハハハハッ!遂に…遂に戻ったぞ!やはり本物は違うな!」

 

 高笑いしながら変身。

 手を高く掲げると、その手の中にスイッチのようなものが光と共に握られていた。

 一見すれば石造り。しかしそれは仮の姿であり、未完成の証でもある。

 復活の為に更なる特殊な大量のエネルギーが必要である。

 

「…完璧だ、フィーネたち」

 

 瞬間、極太のビームがパンドラタワー目掛けて飛んできた。

 パンドラタワーのブラックホールに匹敵する程の光線。

 本来大気の無い筈の宇宙に、震動が拡がる。

 カ・ディンギルの塔による超巨大ビーム。

 ソレは真っすぐ月面に向かって行った。

 

 ブラックホールと虹色の超巨大光線。

 パンドラタワーとカ・ディンギルの塔。

 二つの巨頭によるエネルギーに挟まるドゥゼス。

 しかし本人はどこ吹く風。むしろ逆に高笑いしていた。

 

「さて、駄賃も追加だ!」

 

 今度はクラックが発生。

 虚空に複数のジッパーが現れ、開いて空間が繋がれる。

 中から飛んできたのはミサイル。何十何百発ものソレが一斉に大爆発した。

 

 アメリカからの反応兵器。

 カ・ディンギルの起動を感知して放たれたのだ。

 しかしドゥゼスはこれを利用。空間を繋いでエネルギーに転用した。

 

 パンドラタワー、カ・ディンギルの塔、あと序でに核ミサイル。

 これでやっと準備が揃った。

 

「さあ、復活の時だ!」

 

 スイッチを押す。

 途端、凄まじいエネルギーの奔流が起きた。

 黄金と漆黒の稲妻が、黄金と紅蓮の焔光が溢れる。

 連動して月に浮かぶブラックホールが勢いを増していく。

 月を食らい、ビームを呑み込み、核エネルギーを吸収して巨大化。

 バラルの呪詛が、古の神を封じる重しが。その為のエネルギーが質量ごと奪われていく。

 

『アルティメットリガー』

 

 空気の無い筈の宇宙で音声が鳴る。

 連動して急速に爆縮するブラックホール。

 その中から一つの影が、ドゥゼスが姿を顕した。

 

 

『アルティメット!アルティメット!テオーシス!』

 

 遂に全貌が顕わになる。

 基本的なデザインに変化はない。

 少し色が変化したり、装飾が増えた程度。

 しかし、その僅かな変化が存在感を格段に上げている。

 

 王冠のような金縁が施された、太陽のように赤く輝く複眼。

 漆黒を基調とした装甲とインナー、そして黄金の豪華な装飾。

 獅子の鬣にもトレッドヘアーにも見える漆黒の装飾の先には黄金に輝く刃。

 孔雀の翼にもマントにも見える黒と金縁が施された、二枚の揺らめくプレート。

 

 仮面ライダードゥゼス・フェーズ2。

 その姿は何処かアルティメットクウガやオーマジオウ、ハイパー無敵を彷彿させる。

 恐るべき宇宙の支配者が、暴力的なまでの存在感と共に膨大な余波をまき散らした。

 

「ったく、やっとここまで来たか。この食いしん坊め」

 

 ベルトを撫でる。

 ドライバーもトリガーもエネルギーを多く食う上に直しにくく整備もし辛い。

 そのせいで本当に苦労した。

 だがソレもここまでだ。

 

「さて、じゃあ破壊するか。ブラッド族らしく!」

 

 ドゥゼスが瞬間移動する。

 目的は月に封印されていた神、シェム・ハ。

 背後を一瞬で取った彼は、まだ何も知らない彼女に強烈な拳を叩き込む。

 肉体を失った精神体だろうが何だろうが関係ない。

 ドゥゼスは肉体を持たない精神生命体や実体が存在しない電波生命体など、様々な生態の侵略者や悪性宇宙人と戦ってきた。精神体だろうが問題なく殴れる。

 

 

「ぐわあああああああああああ!!?」

 

 モーニングコール代わりに放った一撃。

 同時に叩き込まれる封印のエネルギー。

 ソレは神である彼女でも耐えられるものではなかった。

 月の残骸を巻き込みながら、彼方へと吹っ飛んでいく。

 刻まれた封印の文字が彼女の精神を蝕み、思考を封じる。

 一発目が決まった時点で彼女の命運は定まってしまった。

 

「おっと、俺だけで終わらせるのは契約違反だな」

 

 パンと、手を叩く。

 瞬間、急に彼の左右から目の青い仮面ライダーエボルと、女性的かつグラマラスな肉感のブラッドスタークが現れた。

 アダムとフィーネ。アダムは仮面ライダーエボルに、フィーネはブラッドスタークに変身している。

 並行世界のソレとは若干違う外見。ソレが本来の変身者と違う事を示していた。

 

「じゃ、後はお前らでやってくれ。危なそうになったら俺が出る」

「その必要はないわ。…この女は私が殺してやる。あの人を奪った報いを受けさせてやるわ!」

「私も神に捨てられた復讐をしたいのだが…譲った方が良さそうだ。彼女に」

 

 

 

「ぶっ殺してやるシェムハ!あの人を奪ったお前を!五千年の愛で練り潰してやる!」

 

 

 フィーネは仮面の下で鬼の形相をしながら向かって行った。

 




・ドゥゼス分裂体
文字通りドゥゼスが分裂して誕生した存在。
本来なら意思を統合する為に何かしらの形で繋がっているのだが、キルバスとの戦いでソレもすらも難しくなり独立。各々が復活の為に活動した。
今作の主役のドゥゼス、つまりシンフォギア世界の彼もその一つ。
ある程度回復したら繋がりも戻り、其々が役割分担。シンフォギア世界の彼はドライバーの復活を担当した。
便宜上そう呼んでいるが、どちらもドゥゼス本人である為、どちらが本体か等は無い。
よって主人格なども存在せず、どれもドゥゼス自身の人格なので、主導権争いなども存在せず、融合する際も問題なく統一化される。

本当はシンフォギアやリリカルなのは等、魔法少女や変身ヒロインの世界をドゥゼスが行き渡ってハーレムを作りつつ復活を目指すというディケイド風にしようとしたのですが、話がややこしくなるので止めました。
けど、他の世界のハーレムも妄想したいということでこの設定を取り入れました。
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