特撮に興味ないオタクだったんです。
キルバス兄さんとの決着は付かなかった。
結果は相討ち。
互いのトリガーとドライバーを破壊し、死にかけの状態で時空間の波に流された。
弱体化もかなり激しい。兄さんと戦った時と比べると0.001%ぐらいまで力を失った。
トリガーもドライバーも共に破壊され、肉体も辛うじて生きているだけという有様。
流石にこの状態だと自然回復すら出来ない。ということで俺は適当な生命体に憑依した。
出来れば知的生命体の妊婦。中の胎児と一体化出来れば回復するのに都合がいいからな。
狙い通り俺は妊婦に憑依出来た。
小さな国の王妃。つまり俺は王子として生まれた。
本来俺は王族だ。憑依対象もソレぐらいでなくては。
しかしアレだな、人間の身体というのは不便なものだな。
ちょっとしたことで体調を崩し、どうでもいいことで感情を揺さぶられる。
ブラッド族が如何に生物として優れているかは前世と比べて知ってはいたが、こうしてみると改めて理解させられる。
で、最初は普通の子供のフリをしていたのだが、戦争で我が国は滅ぼされた。
王は処刑され女子供は売られるという戦火モノでありがちなパターン。
とはいっても我が国は某北の国みたいに好き勝手しまくったから仕方ないし、子供も俺だけだから特に問題はないのだが。
俺が売り飛ばされたは研究所。
なんでも俺には男でありながらシンフォギアを動かせる才能が検査でわかったらしい。
シンフォギア。ソレを聞いてこの宇宙が俺の知ってるアニメの世界だと気づいた。
戦姫絶唱シンフォギア。
前世の俺がはまっていたアニメ。
美少女たちが友情努力勝利で困難を乗り越える熱いバトルをやる燃えアニメだ。
その事に気づいた時はそりゃ興奮した。
ブラッド族の王子だった頃にはなかった感情。
人間の脳ミソになって久々に思い出した。
シンフォギアの世界でオリ主になりたいと。
前世の俺は魔法少女モノのアニメが好きだった。
けど特に好きなのはオリ主がチーレム無双する二次創作だ。
女の子たちが必死になって戦ているところ、いきなり乱入して全て掻っ攫う。
そして女の子たちが雑に惚れて、ソレを繰り返すことでハーレムを作っていく。
いわゆるチーレム無双だ。
俺もこうなりたいと思った。
鈍くさくて、頭も顔も悪くて、周囲にバカにされて。
何もいいところがないどころか全てから逃げだした屑男だった自分。
そんな自分を否定して、現実から目を背ける為に俺は自己投影しまくった。
けど所詮は逃避。どれだけ逃げても現実は変わらず、結局死ぬまで俺は俺だった。
だが、今は違う。
今の俺はドゥゼス。
ブラッド星人の王族であり、最強のブラッド星人。
誰よりも強く、誰よりも強い敵に勝利し、喰らって強くなってきた。
鍛えてきた。学んできた。勝利してきた。前世と違って多くを積み重ねてきた。
今の俺には力がある。
物語にあるような超常の力を数多く揃えている。
見てくれも悪くない。俺が取り憑いた影響か、両親は不細工だったのに俺だけルルーシュ似に生まれてしまった。
今の俺なら成れるんじゃないか?かつて憧れていた存在に。ソレぐらいの遊び心ぐらいあってもいいだろ?
どうせ力を取り戻すのに時間が掛かるんだ。ソレなら面白おかしく遊びながら力を蓄えよう。そっちの方が有意義だ。
『おい十三番、さっさと来い』
おっと、その前にコイツらをなんとかしないとな。
折角ルルーシュに似てるんだ。どうせならそれっぽことをしてやりたい。
確か、洗脳の能力があったな。ちゃんと効力も試したから問題ない筈だ。
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる。貴様らは俺に従え」
『『『ハッ』』』
ギアス風に洗脳光線で従える。
これで第一段階はクリアした。
次の段階に移る。
「これがシンフォギアか」
俺に与えられたシンフォギア、
しかしシンフォギアスーツか。美少女が着るのはいいが男の俺があのぴっちりスーツを着るのは…なんかイヤ。
「よし、変えるか」
物質変換能力の応用でシンフォギアに力を注ぎ込む。
聖遺物の成分をボトルに変え、シンフォギアそのものをトランスチームガンに変換させた。
よし、これであのぴっちりスーツを着なくてもいいな。
『緊急警報!緊急警報!ネフィリムが暴走!総員直ちに鎮圧せよ!』
突如、アラームが鳴り響く。
ネフィリムってアレか。確か、第二期のノイズみたいな感じの奴だったよな。
ちょうどいい。性能テストの相手をしてもらおう。
『ゼウスゥ!』
ボトルを振ってトランスチームガンに装填。
途端、重々しい音楽が流れた。
「蒸血!」
引き金を引く。
銃口から黒い煙のようなものが噴き出て俺を覆う。
いや、どちらかと言えば雷雲だな。
ビリビリと赤黒い稲妻を帯電させている。
『クラウドマッチ!ゼゼゼゼウス!…ゼウス!スパーク…!』
煙が晴れて視界がクリアになる。
黒いインナーに獅子を模した赤いクリアゴーグルの仮面。
ゼウスディセンターといったところか。
全盛期と比べたらカスみたいなエネルギーだが、この工場を破壊し尽くすだけならお釣りが返って来るレベルだ。
「じゃ、実験開始だ」
肉体を雷に変えて瞬間移動。
これも物質変換能力の応用だ。
突然の来訪者に、セレナ・カデンツァヴナ・イヴは動揺した。
おそらくシンフォギア奏者なのであろう。
しかし、その在り方は従来のシンフォギア奏者とは異端であった。
獅子をモチーフにした赤いクリアゴーグルに覆われた仮面。
明らかに通常のシンフォギアの装備ではない。
そして何より、ノイズのような現れ方。
「さて、実験開始だ!」
黒い獅子が腰を溜め、両手に電流を流す。
金色に輝く電光は両掌へと圧縮され、バチバチと音を立てる一つの光球と化す。
「グウウウ!」
光に反応したネフィリムが口を開ける。
口内に圧縮される光の粒子。
人一人など簡単に飲み込むレーザーが黒い獅子に向かった。
「危ない、逃げて!」
私の制止も空しく獅子は光の奔流へと立ち向かう。
圧縮した光弾をネフィリムへと放つ。
バスケットボール程の大きさの弾丸。
そんなものがあんな量のレーザーに適うわけが……。
「…………え?」
予想に反して、放たれた雷の弾丸はレーザーを突破し、ネフィリムへ命中。
大きな口を貫き、その背後で圧縮から解放され、派手な音を立てて辺りに散らばった。
「ん? 圧縮しすぎたか。加減が難しいな」
弾丸を放った本人は軽い感じで言う。
ネフィリムを圧倒するような攻撃をそんな感覚で出したっていうの!?
「ガアアアア!!」
「おっと」
ネフィリムが右腕を横薙ぎに振るう。
黒い獅子はしゃがんでソレをよけ、次いでと言わんばかりにネフィリムの小指にしがみ付き、へし折った。
べきべきっと派手な音をしたのを見る限り、おそらくネフィリムの腕を振るう力も利用したのだろう。
けど、それにしても凄すぎない!?
「ぐ、ぐううう!?」
「なんだ、常識を超えた超再生も痛みへの耐性もないか。ならもう少し攻めても問題なさそうだ」
指を押さえて下がるネフィリムに対し、冷静な口ぶりの黒い獅子。
「グルゥア!」
続けて反対の腕で襲い掛かるネフィリム。
黒い獅子はその腕を右手で受け流しながら下に潜り込み、そのまま投げ飛ばした。
「……え? ええ!?」
その光景に私は目が飛びでそうになった。
数倍もの体格差がある敵を、しかもあのネフィリムをこんなあっさりと投げ飛ばすなんて!?
なんて腕力をしているのあの人は!?
「いえ違うわ……これは腕力じゃなくてもっと別のもの……!」
似たようなものを最近見た気がする。
そう、あれは映画で日本の武術家が使う技。
確か名前は……。
「………アイキド―!」
そうだ、アイキドーだ。
小柄な和服姿の老人が、自分より大きな敵を投げ倒すという凄い技。
確か合気っていう特別な力を使う技よね!?
そんなことを考えていると、黒い獅子が投げ飛ばしたネフィリム目掛けて走る。
すごいスピードで距離を詰めたかと思ったら、今度は走る勢いを利用して、倒れているネフィリムを殴り飛ばした。
「この程度の威力しか出ないのか。我ながら本当に弱ってる。なら今度は……」
「~~~~!?」
何やらブツブツいいながら考え事をする黒い獅子。
何してるのよ!? そんなことする暇ないでしょ!? ほら、折角ダメージを与えて倒れているネフィリムが立ち上がって……。
「今取り込み中だ!」
「~~~~!?」
立ち上がったとほぼ同時に、黒い獅子はネフィリムに飛び掛かった。
ジャンプしながらネフィリムのあごにアッパーする。
その衝撃でまたネフィリムは仰向けに倒れた。
そこからは一方的なものだった。
周囲を走り、飛び上がり、天井を跳ね、ネフィリムに打撃を入れる。
突き、蹴り、手刀、頭突き、等々。
中には空中回転蹴りなんて無茶な技もやってのけた。
「す、すごい……」
圧倒的。
その一言で表せる戦闘能力。
あの悪魔のような兵器を、まるでゲーム感覚で追い詰めている。
その強さに思わず感嘆の声が漏れた。
「~~~~!?」
縦に一回転した踵落とし。
まるで車輪のように見えるソレがネフィリムの首……ここからは見えないけど、おそらくうなじに入った。
ガァンと地面に叩きつけられながらネフィリムは倒れる。
「頸椎を破壊しても生きてるのか。けどこれで終わりだ」
『クラウドブレイク!』
機械音と共に、何時の間にか持っている銃に電流が迸る。
派手にバチバチと音を立てる銃をネフィリムに突き付け、引き金を引いた。
瞬間、強烈な光と衝撃音が発生。
雷が落ちたかのような電流が迸り、ネフィリムの肉体を欠片も残らず焼き滅ぼした。
「実験終了」
「ま、待ってください!」
そう声をかけた瞬間だった。
天井から落石が私に振ってきたのは。
「!?」
ソレを見た瞬間、私はダメだと思った。
もう私には防ぐ力も逃げるための体力もない。
全部あのネフィリムを止めるために使い切ってしまった。
ああ、もう無理だ
諦めるように目を閉じる。
その時だった……。
「悲鳴ぐらいあげろよ。守り甲斐ねえな」
バァンと、黒い獅子が落石を破壊した。
「………」
その光景に私は目を奪われた。
もう何度目かわからない。今日はこの人に驚かされたばかりだ。
すごい。
本当にこの人は凄い。
出来るなら……この人のことが知りたい。
「あの……お名前は?」
勇気を出して私は黒い獅子―――命の恩人に聞いた。
何故だろう、たったこれだけなのにとても緊張する。
心臓が苦しい程脈立ち、身体が熱くなった。
本来ならこんなことないはずなのに……なんでだろう?
「悪いが本名は名乗れない。このスーツ名だけ勘弁してくれ」
何処か幼いながらも、男を感じさせてくれる声……。
「ゼウス。そう呼んでくれ」
その言葉をのこして彼―――ゼウス様は消えてしまった。
・ドゥゼス
CV:福山潤
外見:ルルーシュ
前世:引きこもりニート
性格:好戦的かつ残酷
趣味:自己鍛錬と技の開発
概要:ブラッド族の王族の三男坊であり、このssの主人公。
人間だった頃の記憶と感情はあるが、ブラッド族の破壊衝動は健在。むしろ感情と破壊衝動が合わさる事で闘争本能が強くなった。
また、人間の頃の感情は部分的に機能を停止しており、特に恐怖が皆無。他のブラッド族よりも薄い。そのせいで戦闘や痛みに臆することなく戦えた。
悪性宇宙人や凶悪な怪獣がいるような、他のブラッド族なら避けそうな邪悪かつ強い星を狩る事を好む。逆にカモになりそうな星は一切手を出さず、むしろ他のブラッド族や侵略者から守る事もある。勿論倒した敵のエネルギーは頂いていく。本人曰く釣り餌に出来るから弱い星を活かしているとのこと。
鍛えて、戦って、勝利して、喰らって。加速的に強くなった結果、最強であり王であるキルバスに並び立つまで強くなった。
エネルギーと王座を巡って王と戦ったが結果は相打ち。ベルトもトリガーも粉砕され、肉体もエネルギーも大部分が消失。しかし憶えて来た能力は普通に使える。
シンフォギアの世界に流れ着いて復活と娯楽を目論むようになった。