最初、私は大和さんが嫌いだった。
響から話を聞いたとき、私は大和さんが響を狙っている悪い男だと思った。
女の子が弱っているところに漬け込み、自分好みに変えようとする悪い男。
現に響は可愛い。だからあり得ると思っていた。
………いやそれ以上に嫉妬してた。私が出来なかった事をやってみせた大和さんに。
私では守れなかった響を守ってみせた。
私では用意出来なかった居場所を響に用意してみせた。
私では救えなかった響を救って幸せそうにしてみせた。
私がしたかたったことを大和さんは全部してみせた。
響を悪い男から取り戻したかったなんて言い訳。自分のことしか考えてなかった。
そんなこと大和さんは見通しだった。
『じゃあ君は何をしてたんだ?響がいじめられている間、君は何をしようとしたんだ』
『やろうと思えばいくらでもある筈だ。証拠を集める為に録音や録画したり、警察にリークしたり、そもそも一緒にいるだけで彼女は大分救われる。なのに何故しなかった?』
『君は怖くなったんだ。響と一緒にいてターゲットにされるのが。君は彼女と自分を天秤にかけて自分を選んだんだ。そんな子に俺をどうこう言われたくないね』
私は何も言い返せなかった。
確かに、やろうと思えばできることはいっぱいあったのに、私は何もしなかった。
そんな私に大和さんを責める権利なんてない。
むしろ大和さんは多少強引なことをしてでも響を守った。
私には出来なかったことをやってみせた。
そうだ、結局私は自分のことしか考えてなかったんだ。
響の為に何も何も選べず、響の為に何かを捨てる事も出来ず、響の事に何もしてやれなかった。
親友なんていっておきながら、結局は自分を選ぶ卑怯な子供。自分可愛さに逃げた子供だった。
そんな私を彼は抱きしめてくれた。
『仕方ない。君はまだ子供で力が無いんだ』
『ごめんね、意地悪をして。君も何かしてやりたかったのに、力が無いだけでその思いを否定してしまった』
『君は悪くない。悪いのは響をいじめている奴らだ。ソイツらが君から響を奪った元凶だ。君は悪くないんだ』
『君にも出来る事はある。力をかしてくれないか。俺は男だから響に寄り添えないとこもある。だから、親友の君が支えてくれないか?』
あの人の囁きが私の深いところまで流れ込んできた。
ああ、これは無理だ。響が堕ちるのも仕方ない。自然と納得出来た。
この人は毒だ。とても甘い毒。私たちみたいな子供にとって、危険な毒のような男だ。
けど、逃げる事は出来ない。一度知ってしまったら、一度かかってしまったら、もう彼無しではいられない。
「うん、一緒に支え合おう」
結局私も、響同様に毒に侵された。
真実を知ってしまった今でも変わらない。
私たちは彼の毒に溺れた愛の奴隷だ。
「響、近くにノイズが出たみたい」
「そっか、じゃあ手の届く範囲ならなんとかしてあげよっか」
「もう、そこは人助けでいいんじゃない?」
「え~、私そういう面倒くさいこと嫌だな~」
響は変わってしまった。
人助けが趣味だと言っていた彼女が、こんなことを言うようになった。
冷たくなったわけじゃない。
困っている人が目の前にいれば、自分のできる範囲でなら助けようとする。
ただ、他人に向いていた異常な優しさが大和さんへの愛に向いてしまった。
けど私はこっちが健全だと思うし、いい変化だと思っている。
人間全てを愛するなんて変だ。
好きな人を優先し、他は出来る範囲で。ソレが普通で健全な人間だ。
「じゃ、出来る範囲で助けてあげよっか」
「うん、じゃあ行くね」
私たちは大和さんから与えられた力、シンフォギアを纏った。
「アウフヴァッヘン波形検知!特定出来ました! この波形は…まさか
「例のアンノウンか!?翼、分かってると思うが…」
「ええ、必ず捕まえてみせるわ!」
響はドゥゼスのせいで若干変わりました。
作中の優しさは健在ですが、原作のあの病的な人助けはやりません。
あの時期の響って人を助ける事に執着しているというか、そうすることで自分に価値を見出そうとしていたように思えるました。
だからこのssでは大和という依存対象を見つけた以上ソレに固執する必要がないということにしてます。
あとは世間への恨み。あんな目に遭ってきたで「こんな奴ばっかなのに宇助ける意味あんのか?」という考えが大和と一緒にいることで移ってしまいました。
まあ、グレヒッキー要素がプラスしてるような感じだと思ってください。
変化したのは未来も同様。むしろ彼女は響よりも世間に対して怒ってるかも。