転生したらもっふもふの九尾狐だった件   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 ゴブリン達のためも新たな知識を学ぶ機会を得た守護獣とスライムは、ドワーフの国を目指して疾走する。
 どんな出会いが待ち構えていて、どんな世界が広がっているのか、それを楽しみにしながら。



いざ、ドワーフの王国へ!

 ドワーフさんに会いに行く話になり、リグルドおじさんに色々と準備してもらった私とリムルは、リグルお兄さんを含めた数人のホブゴブリンのお兄さんとゴブリナのお姉さん、それと、その人数分の嵐牙狼族(テンペストウルフ)のお兄さん達を連れて、ゴブリンの村を飛び出した。

 嵐牙狼族(テンペストウルフ)お兄さん達の脚はとても速いけど、聖獣形態のお狐様は普通にそんな彼らの脚に追いつくことができて、リムルが乗っているランガお兄さんの隣に並んで走ることができるのです。

 

「わっほ─────い!!こんな風に走るの初めて─────!!」

 

「コリンが楽しそうなのは何よりだけど怪我にだけは気をつけろよ!?て言うか、度々【自然操作】で足場とか作って走ってるように見えんの俺だけ!?」

 

『我が主。我々から見てもコリン殿は時折足場を作って走り抜けるための道を作り上げているようにしか見えておりませんので、気のせいではありませんよ。』

 

「だよな!?大丈夫なの!?コリンは【疾走者】と【魔力駆動】の両方を組み合わせることで体力お化けになってるけど、魔素を消費しまくって大丈夫なの!?」

 

「ん〜?【大賢者】さんが大丈夫だって言ってたよ〜?」

 

『是。個体名:コリン=テンペストの魔素の消費量を演算しながらスキルによる行動を維持しているため問題はありません。

 個体名:コリン=テンペストが怪我をしないようにするための最善はすでに複数算出されています。』

 

「いや【大賢者】のせいかよ今のコリンの足場事情!!コリンが怪我しないならいいけど!!」

 

 時には魔素を大地の属性に変換することで、崖を駆け降りることができるような段差を作り、高いところから飛び降りた時は、魔素を風の属性に変換することで着地をする時のクッションにする。

 【大賢者】さんが丁寧に教えてくれる方法を使って行けば、怪我をすることが全くなかった。

 水辺がある時は、そのまま通過していいと教えてくれるし、小さな凸凹が沢山ある場所は、風を使ってデコボコを削ることを教えてくれるので、今のところ疲れは全く感じていなかった。

 

「【大賢者】さんがね〜。疲れないように走るなら、こうしたらいいよ〜ってすぐに教えてくれるの。

 だから、こうやってリムルやランガお兄さんと走り回れるの!すっごく楽しい!!」

 

「・・・・・・まぁ、コリンが楽しいと思ってくれるなら、俺も嬉しいよ。昔は沢山走れなかったもんな。やっと走れるようになったもんな。」

 

「うん!昔は身体が弱々だったから、今がすっごく楽しい!!」

 

 感じることができる気持ちいい風を全身で浴びながら、私は笑顔でリムルに今が楽しいことを伝える。

 すると、リムルは【粘糸】を私の方に一度伸ばし、そのままぴょこんと背中に飛び乗ってきた。

 リムルの【粘糸】がリムルを落ちないように止めたかと思えば、私の背中に移動したリムルは、私の頭をよしよしと撫でる。

 くふくふとその手に笑っていると、ランガお兄さんが私に視線を向けてきた。

 

『コリン殿は、昔は身体が弱かったのか?』

 

 ランガお兄さんが聞いてきたのは、昔は身体が弱かったと言う私に対する質問だった。

 私はすぐにランガお兄さんに視線を向けて、小さく頷く。

 

「そうだよ〜。昔は少し走るだけで目の前がぐるぐる回って、胸辺りが直ぐ痛くなって、呼吸も難しくなってたの。

 でも、お狐様になってから、それが全部無くなったの!だから走り回れるの楽しい!遠くに行けるの嬉しい!!」

 

 人間だった時は身体が弱かった。生まれ変わってお狐様になったら沢山沢山走れるようになった。

 それがすごく嬉しいんだとランガお兄さんに伝えると、ランガお兄さんは少しだけ無言になる。

 

『・・・・・・そうか。今度、我が気に入っている日向ぼっこができる場所まで連れて行こう。きっと、コリン殿ものびのびと過ごすことができるはずだ。』

 

「本当!?」

 

『ああ。なんなら、我が時折歩き回っていた場所にも共に行こう。折角走り回れるようになったのだ。これまで行けなかったところへ沢山周り、元気な身体で楽しむ方が良い。

 我が主はリムル様だが、コリン殿は我が主の大切な存在であるのは明白だ。

 ならば、我が主だけでなく、コリン殿も我が守る対象であると言っても過言ではないからな。

 コリン殿は確かに強いが、我も護衛をしながら自然の中を案内してやろう。』

 

「やったー!ランガお兄さんとお散歩だ〜!!」

 

 ランガお兄さんからのお散歩のお誘いに喜んでいると、ランガお兄さんは小さく笑い、隣を走る私の頭に、ランガお兄さん自身の頭を優しく擦り付けてくる。

 ちょっとだけゴワゴワしてるけど、私とは違うモフが触れ、最初はびっくりしたけど、私はすぐに自分の頭を擦り付けてそれに応える。

 なんとなくこうしたら良いと思いやったことだけど、ランガお兄さんは一瞬驚いたような様子を見せたあと、小さく笑うように口角を上げて隣で走り始めた。

 

「なんか、動物特有のコミュニケーションを見た気がする。」

 

「?」

 

「こっちの話だ。気にしなくていいぞ。」

 

 リムルの言葉に首を傾げそうになりながらも、私は前を向いて目的地へと向かうために走り続ける。

 すると、私の背中に移動したリムルが後ろを気にしているような様子を見せた。

 

『告。【自然操作】と【魔力感知】を同時に使用することにより、風を通して広範囲を確認することが可能になります。一時的に同期を使用し、広範囲の確認を行いますか?』

 

 そんな中、【大賢者】さんが広い範囲を見ることができる方法があると教えてくれたため、私はすぐに頷いた。

 私が頷いたことを確認した【大賢者】さんは、すぐに二つのスキルを一時的に組み合わせ、風を通して後ろの様子が見えるようにしてくれた。

 風を通して見えたのは、リグルお兄さん達の様子を度々気にしているリムルの姿だった。

 

「リムル。リグルお兄さん達が気になるの?」

 

「へ!?あ、ああ・・・・・・よくわかったな、コリン。」

 

「【大賢者】さんが風を通して色んな範囲を確認できるようにしてくれたんだよ〜。みんなを気にしてるみたいだけど、どうしたの?」

 

「うん。いくら嵐牙狼族(テンペストウルフ)の背中に乗っているとはいえ、長時間の移動は結構疲れてくるんだ。

 サトルとして生活していた時、家族旅行に何回か行ったことあるけど、車で長時間高速道路を移動したりするタイプの旅行だと、運転してる父さんも、座ってるだけの俺と母さんもかなり疲れたからな。」

 

「なるほど〜・・・・・・」

 

 リムルにリグルお兄さん達を気にしている理由を聞いてみれば、どうやらみんなが疲れていないか気にしていたみたいだ。

 残念ながら私は、遠くにお出かけすることなんてできなかったわけですが、元気いっぱいなサトルくんが家族旅行に度々行っていたことは知っているので、長時間の移動は段々疲れてくるという言葉は事実なのだろうと納得する。

 

「だったら、みんなに疲れてないか聞いてみたら?」

 

「聞いてみたらって・・・・・・確かに聞けるなら聞きたいけど、このスピードで移動してるんだぞ?話しかけるのはかなり難しいと思うな。」

 

 それならみんなに聞いてみたらと伝えるけど、距離とスピードから無理だという。

 むむむ・・・・・・こんな時は〜・・・・・・助けて【大賢者】さ〜ん!

 

『解。個体名:リムル=テンペストは、牙狼族より獲得したスキル【思念伝達】を獲得しています。使用しますか?』

 

『リムル、連絡手段あるじゃん。』

 

『・・・・・・確かにあったな。よし、【思念伝達】を使用するか。』

 

 【大賢者】さんから使えるスキルがあることを教えてもらったリムルは少しだけ無言になったあと、【思念伝達】を使うことを選ぶ。

 その瞬間、リムルから魔素が含まれた糸のようなものが伸び、ここにいるみんなに次々と繋がっていく気配を感じ取る。

 あ、これ、【思念伝達】用の回路だ・・・・・・魔素を強く感じ取ることができるからか、すぐにその答えを見つけることができた。

 

『おーい!お前達、大丈夫か?』

 

『リムル様?ご心配には及びません!進化のお陰か、我々もそれ程疲れなくなっております!

 コリン様は大丈夫ですか?かなりの速さで移動しておりますが、お疲れでしたらいつでもおやすみください!』

 

『お狐様もだいじょーぶなのです!お狐様は体力たっぷりなので〜』

 

 リムルが【思念伝達】を使い、リグルお兄さん達に疲れてないか問いかける。

 リグルお兄さん達は、すぐに進化の影響もあってあまり疲れていないことをリムルに伝えた。

 流れるようにリグルお兄さんから疲れてないか私も聞かれたけど、スキルのお陰で問題なく走れることを伝えては、そのまま走り続けた。

 

『便利だなこれ。』

 

『そだね〜。【念話】とはまた違った感じなのです。』

 

『だな。【念話】は広範囲ではなく近距離向きで、【思念伝達】は遠距離広範囲向きってところかな。

 向こうからも言葉を返せる分、こっちが読み取るせいで何もかも筒抜けって感じじゃないし、助かる。』

 

 一時的に【思念伝達】から【念話】に切り替えて、私とリムルだけでコッソリと話す。

 みんなに話す時は【思念伝達】で、コッソリ内緒話なら【念話】って感じに使い分けることできそうだね〜。

 

『進化と言えば、確か、リグルの兄貴も誰かに名前をつけてもらったんだろ?進化はしていたのか?』

 

 そんなことを思っていると、リムルが再び【思念伝達】を使ってリグルお兄さんに話しかけ始めた。

 名前を与えられたら進化する不思議な生き物、魔物・・・・・・村を守るために力を振るい、そのまま眠ってしまったリグルお兄さんのお兄さんも名前を与えられていたのであれば、進化していたのではないかと思ったようだ。

 リグルお兄さんからの答えははい。でも、リグルお兄さんだ程の大きな変化はなかったらしい。

 

『ん〜・・・・・・魔物に名前を与えると、名前を与えられた子に魔素が分けられるって話だし、リムルはまだまだ魔素使い初心者さんだったので、与える魔素の量が多かったのかなぁ?』

 

『それはあり得そうだな。リグルの兄貴は誰から名前をつけてもらったんだ?』

 

『兄は、その昔、村に立ち寄った魔王軍の幹部、ゲルミュッド様に命名されたのです。いずれは部下に欲しいと。』

 

『魔王軍?』

 

『そうだったんだな。』

 

「・・・・・・。」

 

 ・・・・・・何やらリムルがドワーフさん達のお話を聞いた時と同じくらいワクワクし始めたのです。

 魔王軍・・・・・・名前的にちょっとおっかないような気もしますが、リムルにとってはおっかないって感じじゃないのかな?

 あれかな?前世でお父さんが言っていたみたいな、男のロマンと言う奴なのでしょうか・・・・・・?

 たまにリムルの考えがわからなくなりながらも、走り続ける。私達の移動は、暗くなるまで続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          ܀ꕤ୭*

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 辺りが暗くなり、今日はここで一休みをしようと言う話になった頃。

 リグルドおじさんが作ってくれた荷物の中に入っていた干し肉や、そこら辺でリグルお兄さん達が狩ってきた動物さんのお肉を焼いたものを夕飯に食べ、ゆっくりしていた頃。

 ころころと地面を転がっていた私は、いつのまにか側にいたランガお兄さんに捕まり、身体をものすごく舐められている。

 どうやらランガお兄さんは、私の身体をグルーミングしているそうです。川の中で身体を洗うこともできるのですが、夜の大河は危険だからと怒られました。

 あ、でも、ランガお兄さんからのグルーミング、すごく気持ちいいかも。ちょっと獣のにおいが強くなりますが。

 

「そう言えばゴブタ。お前はドワーフ王国に物々交換に行ったことがあるんだよな?」

 

「ははいいぃ!!」

 

 ランガお兄さんにグルーミングされ、ぺしょーんとその場で伏せていると、誰かから話を聞いていたのか、リムルがゴブタに話しかけた。

 急に話しかけられたからか、ゴブタはびっくりしたように身体を震わせてリムルへと目を向けた。

 慌てる様子のゴブタだけど、リムルはそんなゴブタを気にしていないのか、ドワーフさんの国はどんな場所だったのか問いかけた。

 

「え、ええっとっすね。ドワーフ王国は正式名【武装国家ドワルゴン】って言う名前っす。天然の大洞窟を改造した美しい都っすよ。

 ドワーフだけでなく、エルフとか人間もいっぱいいるっす!」

 

「(エルフ!!)それは、是非とも会ってみたいな。でも、魔物の俺達が入っても大丈夫なもんなのか?」

 

『・・・・・・【大賢者】さ〜ん・・・。リムルの会いたいの対象が特定の存在が目的の存在から別の存在に切り替わっている気がするのですが、気のせいですか〜?』

 

『・・・・・・解。間違いないかと思います。』

 

『ですよね〜・・・・・・』

 

 エルフと言う言葉を聞いて、ソワソワし始めたリムルに呆れながら【大賢者】さんに話しかけてみると、【大賢者】さんも私の考えを否定しなかった。

 ドワーフさんの国にはドワーフさんに会いに行こうとしてるところなのに・・・・・・エルフさん達には目的を達成したあとで会いに行って欲しいものです。

 

「ドワルゴンは中立の自由貿易都市。王国内での争いは、王の名において禁じられておりますので、我々のような魔物でも、入国することが可能ですよ。」

 

「ほう・・・・・・(エルフ・・・)」

 

 ・・・・・・エルフショックは治っていないのか、やっぱりリムルはエルフのことを考えているっぽいのです。

 大丈夫かなぁ、このスライムさん。目的を忘れてそっちに行かないといいのですがぁ・・・・・・。

 

「それと、これは噂として聞いている話ではありますが、この千年、ドワーフ王率いる軍は不敗を誇っているそうですよ。」

 

「エル・・・・・・って千年!?な、なるほどな・・・・・・。ドワーフ王の不興を買おうとするアホは少ないってことか・・・・・・。

 それなら、こっちからちょっかいを出さなければ問題はなさそうだ・・・・・・な・・・・・・」

 

 一瞬、エルフさんのことを口にしようとしていたリムルに無言の目を向けていると、リムルはダラダラと冷や汗を流しながら恐る恐る私の方に視線を向けてきた。

 

『告。好色な存在を示す言葉にスケベと言う言葉があります。』

 

「リムルはエルフなお姉さん達のお話を聞いたらしばらく意識をそっちに向けちゃうようなスケベさんだったんだね〜。」

 

「ぎゃあああ!?それ絶対【大賢者】に言われた言葉だろ!?俺の方には言ってきてないけど!!

 【大賢者】ぁ!!コリンにそう言う言葉を教えるんじゃなーい!!」

 

 【大賢者】さんが教えてくれた『スケベ』と言う新しい言葉を口にしながら、リムルを呆れて見つめていると、リムルはわたわたと慌て始める。

 

「ちが、違うって!!確かにエルフには興味あったけどそれはファンタジーとしての代表的な種族の一つだからであって、別にその、変な気持ちがあったわけじゃなくて!!」

 

『告。個体名:リムル=テンペストは、先程まで思考にエルフ族の女性で埋めておりました。』

 

「・・・・・・お狐様はしばらくリムルから離れるのです。」

 

「違うってコリン─────!!」

 

 【大賢者】さんに言われて私はリムルからのそのそと少しだけ離れる。

 リグルお兄さん達が苦笑いをこぼしていたような気がするけど、私はそれを無視したまま、結晶で作り上げた寝床に身体を横たわらせて眠るのだった。

 

 

 




 コリン=テンペスト
 リムルの考えは【大賢者】のせいで筒抜けになってしまう守護獣な仔狐。
 なお、本気でリムルを避けるつもりはないのだが、ちょっとだけムカっとしたので、【大賢者】と一緒になってリムルを軽くいじることにした。

 リムル=テンペスト
 エルフの話を聞いて意識をそっちに向けていたら、幼馴染みの仔狐様が自分が保有しているユニークスキルと共謀して離れたので本気で慌てまくったスライム。
 【大賢者】!!コリンにそう言う知識は与えないでくれぇ!!

 【大賢者】さん
 コリンと共謀してリムルをいじることにしたユニークスキルさん。
 コリンに協力した理由は、コリンのちょっとしたムカつきを感じ取ったためである。
 現在の優先度ちょっとだけコリン優勢。

 ランガ
 身体が弱かったけど元気に走り回れる今はいろんなところに出かけられる!と喜ぶコリンに純粋に色んなところへと連れて行ってあげたいと思った嵐牙狼族(テンペストウルフ)
 どんなところに彼女を連れて行こうか?知っている場所をピックアップし始めた。


狐主ちゃんの擬人化はどれを思い描きますか?(狐耳と尻尾はデフォルトです)

  • もちろんゆるふわ幼女!
  • 10代半ば少女(つるぺた)
  • 10代半ば少女(つるぺたじゃない)
  • 普通にお姉さん
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