転生したらもっふもふの九尾狐だった件 作:時長凜祢@二次創作主力垢
命が惜しければ荷物を置いていなくなれと言ってくる人間2人に、守護獣の仔狐は・・・・・・
ドワーフさん達の国のすぐ近くまできた私とリムルとゴブタの3匹。
長ーい列に並んで、順番を守って過ごしていただけなのに、いや〜な感じがする人間さん2人に絡まれた。
周りの人がざわつく中、ピリピリした気配をリムル達に向けている2人の人間さん。
この2人は私のことをリムル達の仲間としてみていないのか、リムル達から離れておけと言って、リムル達をニヤニヤしながら見つめている。
「・・・・・・ゴブタ君・・・前に俺が言ったルールの3つ目、覚えているかね?」
「はいっす!“人間を襲わない”!」
「よし。じゃあ、少しだけ目を瞑り、耳を塞いでおくんだ。」
「?よくわかんないっすが了解っす!」
やな感じ〜・・・・・・と2人の人間さんを見つめていると、リムルがゴブタに先日話したルールを覚えているかを確認して、それを正しく答えたゴブタに目を閉じているように伝える。
リムルの言葉を聞いたゴブタは、一度だけ不思議そうな様子を見せたが、すぐにそれに従った。
私の名前を呼ばなかったのは、2人の人間さんが私をリムル達の仲間として認識せずに引き離そうとしたからだろうか?
『解。個体名:リムル=テンペストは、現状を悪化させないように、個体名:コリン=テンペストの名前をあえて呼ばずにいたと推測できます。』
そんなことを思っていると、【大賢者】さんがリムルが私を呼ばなかった理由を教えてきた。
どうやら私の考えは正解だったようで、リムルはあえて私を呼ばなかったらしい。
「おい!雑魚い魔物のくせにこっち無視してんじゃねーよ!!」
話しかけてきた【大賢者】さんに意識を向けていると、人間さんの1人がリムルを怒鳴りつけた。
リムルは確かにスライムですが、強強のすごいスライムなので、何も知らない人間さん達の様子に嫌な気分になる。
状況の悪化・・・・・・私のことを巻き込まないようにするために、私のことを呼ばなかったのだから、それに言い返したくても言い返せなくて、思わずムスッとしてしまう。
「雑魚?それは俺のことか?」
そんな中、リムルが人間さんの雑魚という言葉に反応を返す。
リムルを弱いヤツだと言っていた人間さんは、話すスライムは珍しいと言いながらも、スライムと言う種族は雑魚でしかないと吐き捨てるように言い返した。
人間さんからそう言われたリムルは、少しの間無言になる。
「ほう?俺がスライムに見えるのか?」
でも、リムルはすぐに挑発するように言葉を紡ぎ、一切怯まない様子を見せる。
それが気に入らなかったのか、人間さん達は持ち歩いていたらしい武器に手をかけ始めた。
流石にこれ以上はまずい・・・知識の少ないぴよぴよな私でも、すぐにわかってしまう状況だった。
だけど、どうしたら?だって私にできることは・・・・・・少しだけ考え込んだ私は、ふとその場で辺りを見渡す。
リムルと向き合っている2人の人間さん。でも、この場所には他にも沢山の人間さんがいた。
ここにいる人間さん達は、リムル達に絡んだのが2人の嫌な感じがする人間さんからだと知っている。
だったら、この場にいる2人の人間さん以外を自分の味方にしてしまえばいいのではないか・・・・・・そこまで考えた私は、自分が今、幼い子供の姿をしていることを思い出す。
『【大賢者】さん。今回のこれ、リムルもちょっと悪いけど、先に突っついて来たのは目の前の人間さん達だよね?』
『解。この度の過失を考えると、個体名:リムル=テンペストには挑発したと言う非がありますが、主な過失はカツアゲとも取れる行動を起こした2人の冒険者の方にあります。』
『2人の冒険者さん達と私達。周りの人はどっちの味方をしてくれると思う?』
『解。こちら側を擁護する声が大きくなると推測できます。』
【大賢者】さんの話を聞き、私は自分がやれそうなことを思いつく。
魔素を吸収して自然を操ることができる私ならできること・・・・・・だったら・・・・・・
『・・・・・・【大賢者】さん。小さなお狐様が泣いたら、味方してくれる人って沢山いる?』
『この場にいる者達のほとんどが味方としてついてくれる者ばかりです。』
【大賢者】さんの言葉を聞いた私は、すかさず魔素を吸収し、目元に水をしっかり溜める。
そうなのです・・・・・・リムル達をいじめる人達なんて・・・・・・
「うぅ・・・・・・ふぇ・・・・・・っ」
「「「「「!!!!?」」」」」」
子供を泣かせちゃう悪悪な大人になっちゃえばいいのです────っ!!!!
「うああああああっ!!!!ひどいのですひどいのですひどすぎるのです─────!!!!」
「コリン!!?」
「コリン様!!?」
ピリピリした空気に怖がるように!!周りの人にもしっかり聞こえるように!!思いっきり泣いてやるのです───!!!!
「おじさん達ひどいのです!!!仔狐さんをいじめるのです!!!2人は身体が弱かった仔狐さんとずっと一緒にいてくれた友達なのに!!仔狐さんとずっと一緒にいてくれた家族なのに!!
仔狐さんが元気になったからお祝いにお出かけに連れ出してくれただけなのに!!
魔物だからって理由で殺そうとするなんてひどいのです!!魔物だからって理由で仔狐さんから離そうとするなんてひどいのです!!!おーぼーなのです!!
仔狐さん達はなんにも悪いことしてないのにいじめてくるなんてひどいのです─────っ!!」
思い切り大きな声を出し、【大賢者】さんにも調節を手伝ってもらって【自然操作】を使い、2人の人間さんからひどいことをされて泣いているように見せかける。
そう、仔狐さんは実際は泣いていないのです。目の前の人間さんも本当は怖くないのです。
でも、わざと怖がるように、嫌がるように、周りにいる人間さん達にはっきりと聞こえるように訴えれば、2人の人間さん達以外の人がザワザワと騒がしくなった。
「お前ら魔物がいたから倒すとか言ってたくせに子供を泣かせたのか!?」
「はぁ!?俺達は確かに魔物を倒しに来たんだ!!そこにスライムとゴブリンがいるだろうが!?」
そんな中、離れた位置から他の人間さんが走って来た。
目の前にいる2人の人間さんに話しかけている様子から、多分仲間なのだろう。
遠くにいたから現状がよくわかってないのか、子供を泣かせたのかと2人の人間さんに詰め寄る。
こうなったらこの人達も巻き込んでやるのです!!
「ひぐ・・・っ・・・うゔ・・・っ・・・・・・おじさん達も仔狐さんをいじめるのですか・・・?この子達を魔物だって言って仔狐さんから取っていくのですか・・・?ひどいのですひどいのですひどいのです・・・・・・!!
この子達は仔狐さんの友達なのに・・・!!仔狐さんの家族なのに・・・!!仔狐さんが一人ぼっちにならないように側にいてくれていただけなのに!!うわああああああああんっ!!!!」
集まった人間さん達も巻き込むように大きな声で泣いて見せれば、集まってきた人間さん達が私達を庇うようにして2人の人間さんに視線を向ける。
「見損なったぞお前ら!!」
「こんな小さな女の子の家族を魔物だからって理由で殺そうとしたのか!!」
「ごめんなぁ、お嬢ちゃん。こいつら、こんな感じで弱そうなヤツを狙って脅し回っててよ。
その子らはお嬢ちゃんの家族なんだよな?お母さん達とも仲が良かったのか?」
「ひぐ・・・っ・・・仔狐さんはお母さん達を知らないのです・・・っ・・・いつのまにかその子達と暮らしていて・・・っ・・・・・・」
「な!!?お前ら・・・!!このお嬢ちゃんの唯一の家族を殺そうとしていたのかよ!!?」
私の言葉を聞いて、2人の人間さんの仲間と思わしき3人の人間さんが2人の人間さんを怒鳴りつける。
一部始終を見ていた他の人間さん達のザワザワも大きくなり、ひどいヤツらだとか、最低なヤツらだとか、沢山の言葉も聞こえて来た。
2人の人間さんは自分達が完全に悪者になってることに気がついたのか、表情に焦りを浮かべ始める。
「ま、待ってくれ!!この案を最初に提案したのはこいつなんだよ!!」
「はぁ!?お前何言ってやがるんだ!?」
「弱いヤツから荷物をカツアゲして金にしようって言い出したのはこいつからだったんだ!!俺は渋々こいつに合わせて・・・・・・!!」
「嘘なのです嘘なのです嘘なのです!!おじさんだってこの子達をいじめようとしていたのです!!仔狐さんの家族をいじめようとしてたのです!!
外にいる魔物だからここで殺してもいいんじゃないかって言っていたのはおじさんだったのです!!
仔狐さんは見ていたのです!!この子達に刃物を向けようとしていたのを見ていたのです!!並んでるみんなが見ていたのです!!
元気になったから遠くにお出かけしようってこの子達が言ってくれたから楽しみにしていたのに!!
おじさん達がいじめてくるのです!!うわああああああんっ!!」
見ていたことや聞いていたことをそのまま話しながら2人の人間さんを怒っていると、周りの人間さん達が次々と2人の人間さんに責めるような目を向け始める。
私達を庇ってくれた人間さん達も、絡んできていた側の2人の人間さんを睨みつけ、2人の人間さんはさらに焦り始めた。
「お前達!!何を騒いでいるんだ!!?」
「「「「「!!?」」」」」
そんな中、怒鳴り声をあげながらこっちに走ってくる人がいた。
すぐに声の方へと視線を向けてみると、そこには武器を持った沢山の人がいた。
ほとんど反射的に【看破者】を使用すると、ドワーフと言う文字や、王国警備隊所属という文字、カイドウと言う文字が情報として目に見えた。
「うゔ・・・・・・っ・・・・・・おじさ〜ん!!このおじさん達がひどいのです!!仔狐さんの大切な友達を・・・っ・・・大切な家族をいじめるのです!!」
「「なっ!!?」」
「みんな見ていたのです!!聞いていたのです!!このおじさん達この子達を弱いヤツだっていじめて荷物を奪って追い払おうとしていたのです!!
この子達は仔狐さんをお出かけに連れて来てくれただけなのに!!ただドワーフさん達の国に連れて来てくれただけなのに!!ただドワーフさん達の国に入るための列に並んでお話していただけなのに!!
魔物ってだけでこの子達に武器を向けてきたのです!!ひどいのです!!ひどすぎるのです!!
魔物ってだけで国に入ったらダメなのですか・・・?仔狐さんが1人にならないように一緒に来てくれたのにダメなのですか・・・?仔狐さんもこの子達も何も悪いことしてないのにぃ・・・っ」
ポロポロと涙(に見せかけた水)を流しながら、やって来たドワーフのおじさん達に現状を訴えれば、ドワーフのおじさんは2人の人間さんに視線を向けた。
「どう言うことか話を聞かせてもらおうか?」
ドワーフのおじさんに睨まれて、2人の人間さんは顔を真っ青にする。
すかさず周りや、自分達の仲間だった3人の人間さんに視線を向けるが、誰1人として2人の人間さんを庇う人はいなかった。
「連れて行け!!」
誰1人として異議を口にすることがなかったせいか、2人の人間さんはトラブルの原因と言うことでドワーフのおじさん達に連れて行かれる。
3人の人間さん達に最後まで何か言っていたような気がするけど、3人の人間さん達は2人の人間さんの仲間だと思われたくないのか、2人の人間さんを無視していた。
「嬢ちゃん。大丈夫だったか?」
「ひぐ・・・っ・・・うゔ・・・怖かったのです・・・・・・っ」
「だろうな。たまにいるんだ。ああいう迷惑な連中がな。貿易・・・って言っても難しいか・・・・・・。
食べ物や道具なんかを交換したり、売ったり買ったりする国だから、色んなものがここに持ち込まれて、中にはかなりの金になる物が見つかることもあるから、ああやって盗ろうとするヤツが待ち構えてやがる。
スライムとゴブリン・・・・・・が家族な獣人ってのも珍しいが、お前らも災難だったな。」
「あーいや、気にしないでくれ旦那。今回は俺達にもちょっと非があった。あまりにもめんどくさい絡まれ方をしたから、挑発し返すような真似もしちゃって、大事にしてしまった。すまない。」
「おいおい・・・・・・こんなちっこい嬢ちゃんまで危なくなるかもしれねーってのにそりゃダメだろ。
まぁ、今回の騒ぎは向こう側から吹っかけて来たようだし、厳重注意ってことにしとくが、あまり嬢ちゃんを怖がらせて泣かすんじゃねーぞ。」
「そうだな。そこは反省してる。」
2人の人間さんが連れて行かれたのを確認したドワーフのおじさん・・・・・・カイドウおじさんは、リムルと話しながら私の頭を優しく撫でる。
頭の上に乗っかる大きな手の温もりを感じながら、私はその場で俯いた。
魔力を使用したことにより流した偽物の涙だとバレないように、ようやく落ちつき始めた子供のように。
「念の為、ここに並んでいたアンタらにも話を聞かせてもらう。この嬢ちゃん達の話と矛盾がないか調べとかないといけないんでね。
あと、嬢ちゃん達を庇っていたそこの3人組。さっきの2人と知り合いのようだったからな。一応話を聞かせてくれ。
今回のこと以外にも何かしらの問題を起こしていないか教えてもらいたい。」
カイドウおじさんの言葉を聞き、私達を庇ってくれた3人の人間さんは、一度顔を見合わせて、カイドウおじさんの言葉に頷く。
3人の人間さんが頷いたのを見て、カイドウおじさんも静かに頷き、この場にいる他のドワーフのおじさん達に声をかけ始めた。
彼らの話を聞きながら、私はこっそりと俯いたままベッと舌を出す。ザマァみろなのです!!
『ユニークスキル【
・・・・・・何かスキルも増えました・・・。
コリン=テンペスト
リムルが問題を起こしそうだと判断し、その前に絡んできた冒険者側へと問題の元凶を押し付けた守護獣の仔狐。
これが原因になったのか、新たなユニークスキルを習得してしまった。
【
コリン=テンペストへの一定数値の同情、もしくは一定数値の好意を持つ者を対象に自身の味方に引き込むことができるが、条件を満たしていなければ効果を発揮しない。
リムル=テンペスト
敵意を向けられたため敵意を返したスライム。
本格的な衝突に発展しそうになったところ、コリンが大声で泣き始めたためかなりびっくりしたが、衝突前にコリンが周りの人間すらも巻き込んで絡んできた連中に悪役を押し付けたため注意だけにとどめてもらえた。
ゴブタ
守護獣様が思い切り泣き始めて驚いてしまった男の子。
絡んできた人間が連れて行かれたあと、俯いてしまったコリンが舌を出して悪い顔をしていたのを唯一見ていたが、スッキリしたので黙っていた。
警備隊隊長カイドウ
入国審査を行う門の前で問題が発生したと聞き、急いで様子を見にきたドワーフ。
ギャン泣きしてるコリンからの訴えを聞いて、問題を起こした原因の2人組を連れて行った。