転生したらもっふもふの九尾狐だった件   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 回復薬を手渡し、待機していた守護獣とスライム。
 程なくして戻って来たドワーフは、とても明るい顔をしていた。


鍛治職人カイジン

 カイドウおじさんに“完全回復薬(フルポーション)”を手渡し、私とリムルとゴブタは、警備隊の人達がいる隊舎(って言うんだって【大賢者】さんが言ってたのです)の前で待っていた。

 怪我をした人の容体がわからないからなんとも言えないけど、治ると信じて過ごしている。

 そんな中、リムルは暇になったのか、私に抱っこされたまま、糸を操る練習をしていた。

 リムルの身体から糸で作られたタワーが突き出しているのはちょっと笑いそうになったのです・・・・・・。

 ちなみにゴブタはすやりんこ。いつのまにか眠っていた。

 

 ・・・・・・怪我したドワーフさん達、大丈夫かなぁ・・・と考えながら、ぽよぽよなリムルを抱きしめていると、不意に、私の耳が複数の足音を聞き取る。

 すぐに立ち上がり、足音がする方へと視線を向けてみると、カイドウおじさんが3人のドワーフさんを連れて来た。

 

「あ、カイドウおじさん!」

 

 笑顔を見せながら、現れたカイドウおじさんに声をかけると、カイドウおじさんは私達に笑顔を見せる。

 

「助かったぞ嬢ちゃん!ありがとうっ!!」

 

 カイドウおじさんが頭を勢いよく下げた瞬間、カイドウおじさんの後ろにいた3人のドワーフさん達も頭を下げた。

 急なことにびっくりして、耳と尻尾をビンッと強く伸ばしてしまう。でも、すぐにいつも通りのモフに戻し、私はおじさん達に近寄った。

 

「ドワーフのおじさん達、元気になってよかったのです!」

 

「ああ。本当に助かったぞ嬢ちゃん!あの薬じゃなきゃ俺は死んでいた!」

 

「今でも信じられんが、千切れかけてた腕が治ったんだよ。本当にありがとう!」

 

「・・・・・・・・・!」

 

 ドワーフのおじさん達の怪我が治ったことを喜んでいると、それぞれ3人のドワーフのおじさん達はありがとうと言って来た。

 なんだか1人だけお話していないような気もしますが、世の中にはいろんな人がいるって前世でお父さんが言っていたので、きっとそれでいいのです。

 

「いやホント、あんなすごい薬は初めて見たぜ。俺達にできることがあったらどんどん言ってくれ!」

 

 ・・・・・・え〜と・・・・・・お薬を作ったのはリムルで、お狐様はリムルの代わりに薬を渡しただけなのですが、なんだか複雑な気分なのです。

 すごいのは私じゃなくて、薬を作ったリムルなわけで、リムルが作ったそれを渡しただけのお狐様は褒められていいものなのか・・・・・・。

 

「えっと・・・・・・えと・・・・・・こ、仔狐さんは何かお願いしたくてお薬を渡したわけじゃなくてぇ・・・・・・その〜・・・・・・リ、リムル〜・・・・・・!お願いのお話はリムルがするのです!!」

 

 なんて答えたらいいかわからず、私はリムルにカイドウさんへのお願いをまわすことにした。

 私の反応に、少しだけリムルが小さな笑い声を漏らしていましたが、その声はどことなく苦笑い気味だったのです・・・・・・。

 

「コリンって昔っからお願いとか苦手だったよな。」

 

「うう・・・・・・仔狐さんはお願いしたいことがないのです・・・・・・リムル達と一緒にいればなんでも楽しくて嬉しい仔狐さんなので、お礼ってよくわからないのです・・・・・・。

 それに、カイドウおじさんに渡したお薬は、もともとリムルが教えてくれたお薬だったのです。

 だから、カイドウおじさん達はリムルのお願いを聞いて欲しいのです。仔狐さんはお願いがないので・・・・・・」

 

 とりあえず私は、自分にはお願いしたいことがないことをカイドウおじさんに伝えて、リムルのお願いを聞いて欲しいことを伝える。

 カイドウおじさんは、一瞬だけ目を丸くしたけど、すぐに「そうか」と短く言って、私の頭を優しく撫でた。

 そして、リムルの方へと視線を向ける。何かして欲しいことはないかと口にしながら。

 それを聞いたリムルは、すぐにカイドウおじさんに自分達の目的を教える。

 元気になった私のお祝いついでに、ドワーフの技術者の知恵を借りに来たのだと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          ܀ꕤ୭*

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドワーフさん達を回復したその日、私達はカイドウおじさんのご厚意に甘えて、【ドワーフ王国警備隊】で休ませてもらった。

 そして、次の日。ゆっくりと休んだ私とリムル、それとゴブタは朝ごはんを食べたあと、カイドウおじさんに案内されるカタチでドワーフさん達の国の中を歩いていた。

 昨日は突然の急患さんのこともあり、見ることができなかった街の中を、街に詳しいカイドウおじさんから沢山のお店を案内してもらったりもして、退屈しないお散歩だった。

 

「あ、昨日のおじさんなのです!」

 

「お?よう、お嬢ちゃん!今日は、カイドウさんと一緒なんだな?」

 

「はいなのです!昨日、ドワーフさん達が大怪我をしていたので、リムルと一緒に治しに行ってたのですよ〜。」

 

「優しいなお嬢ちゃんは!でも、怪我を治すことができたのか?もしかして治癒魔法が使えたり?」

 

「ちゆまほー・・・・・・?仔狐さんは、お薬を渡しに行っただけなのですがぁ・・・・・・。」

 

「お薬?あ、回復薬か!」

 

「そうなのですよ〜。仔狐さん、身体が弱弱だった時、リムルに教えてもらいながらお薬を作っていたので〜。

 走り回れなかった分、たくさんお勉強したのでした。」

 

「なるほどなぁ。」

 

 昨日あったドワーフさんと笑顔で話をしていると、後ろから「あ」と小さな声が聞こえてきた。

 振り向いてみると、そこにはカイドウおじさんが思い出したような表情をして、目の前にある沢山の剣を指さす。

 

「嬢ちゃん達を案内してるのは、そこにある剣や短剣を打ったヤツのところなんだよ。」

 

「この不思議な力を感じることができる剣ですか?」

 

「ああ。この時間だと、もう仕事をしてる頃だろうな。」

 

「ほあ〜・・・・・・お邪魔しちゃって大丈夫なのかなぁ・・・・・・」

 

 どうやら、私達が向かっているところには、この剣を作っているドワーフさんがいるようです。

 こんな不思議な力を感じる武器を作るドワーフさん・・・・・・どんなドワーフさんなのでしょうか・・・・・・お狐様はちょっとワクワクなのです。

 でも、お仕事のお邪魔をしてもいいとは思わないし・・・・・・むむむ・・・・・・複雑な気持ち〜・・・・・・。

 そんなことを思いながら、武器を売っていたドワーフさんとバイバイして、私はカイドウおじさんについて行った。

 

 

 

 

 ・・・・・・しばらくしてたどり着いた一つの建物。そこにはカンカンとどこかすごく音が響いており、沢山のにおいが混ざったようなにおいが広がっていた。

 ちょっと汗臭さもあるのです。お狐様になってから暑さとか寒さとかあまり感じなくなっているからわかりにくいけど、多分、ここは結構アチアチなのです。

 

「兄貴いるかい?」

 

 そんなことを思っていると、カイドウおじさんが建物の中に足を運びながら声をかけた。

 カイドウおじさんの視線の先では、1人のドワーフさんがカンカンと何かを叩いている。

 だけど、カイドウおじさんの声を聞くなり一旦手を止めて息を吐き、くるりとカイドウおじさんに目を向ける。

 

「なんだカイドウか。悪いが今忙しいんだ。急ぎでないなら日を改めてくれ。」

 

 カンカンしていたドワーフのおじさんが、カイドウおじさんにハッキリとそう言った。

 一部始終を見ていたリムルは、ぼそっと「ザ・職人って感じのドワーフ来た・・・・・・」と呟いている。

 私には職人がなんなのかよくわからないけど、作業を行っているドワーフさんがすごい人だと言うことはなんとなくわかった。

 

「あれ?昨日のおじさん達なのです!」

 

「「「!」」」

 

 そんなことを思っていると、同じ建物の中にいる3人のドワーフさんの姿が視界に入った。

 その3人のドワーフさんは、昨日、リムルの“完全回復薬(フルポーション)”で回復したドワーフさん達で、私の声に気づいた彼らも驚いたように振り返る。

 

「本当だ。お前達、ここで働いていたんだな。」

 

 私の言葉にリムルも反応し、リムルからも声をかけると彼らは私達の方に近寄ってきた。

 

「どうも、リムルの旦那!コリン嬢ちゃん!カイジンさん。このお嬢ちゃんですよ。昨日俺達を助けてくれたのは。」

 

「!」

 

 私達に話しかけてきたドワーフさんの言葉を聞き、カンカンしていたドワーフさん・・・・・・カイジンおじさんは目を丸くする。

 

「そうだったのか。礼を言う。忙しくなけりゃ茶の一杯やお菓子の一つや二つ出せたんだが、ちと今は手が離せなくてな。」

 

「大丈夫なのです!お仕事お疲れ様なのです!」

 

 カイジンおじさんに笑顔で言葉を返せば、カイジンおじさんは驚いたような様子を見せる。

 でも、すぐにどことなくゆるっとした穏やかな笑顔を見せては、お仕事を再開し始めた。

 鍛治ってどんなことをしてるんだろう?ちょっとだけ気になった私は、そろりそろそろとリムルを抱えてカイジンおじさんに近寄り、何をしているのかと好奇心のままに視線を向ける。

 

「ほわ・・・・・・真っ赤っかなものがカンカンされているのです・・・・・・」

 

「あれは熱した鉄を打ってるんだよ。」

 

「ねっした・・・・・・?」

 

「あちあちになっちゃった鉄だな。」

 

「なるほど〜・・・・・・鉄ってこんなに赤くなるんだ・・・・・・。」

 

 リムルから説明を受けながら、鉄を見つめていると、不意に武器屋さんでも感じ取れた魔素の気配を感じ取る。

 視線をそっちに向ければ、そこには一本のホワホワな光を纏う剣があった。

 

「あ。武器屋さんでも見たヤツ。」

 

「だな。確か、持ち主のイメージに添って成長していく剣だったっけ。」

 

「うん。武器屋のおじさんが言っていたのです!魔素をしっかり感じるのです!」

 

 リムルと小声で話しながら、武器屋さんで見た武器だとキャッキャッしていたら、リムルは何かを思い出したような様子を見せる。

 そして、カイドウおじさんの方に行ってほしいと私に言ってきたので、私はカイドウおじさんの元に戻った。

 

「カイドウおじさん!ちょっといいですか?」

 

「ん?どうしたんだ嬢ちゃん。」

 

「いやぁ・・・・・・実はさ。俺達、こっちの方に来る前に過ごしていた場所で、鉱石を沢山採ってたんだ。

 それで、こう言う街に来たら採った鉱石を売れないかなって思って。」

 

 カイドウおじさんに話しかけると、リムルが思い出したことを伝える。

 言われてみれば、確かにヴェルが閉じ込められていた洞窟の中で、リムルは沢山の鉱石を蓄えていたのです。

 もしかしたらお金になるかもしれない・・・・・・そう言ってました。

 

「なるほどな。売ろうと思えば売れるぞ。だが、純度や大きさ、種類によっちゃ、値段にばらつきがでちまうと思うが・・・・・・。」

 

「あー・・・・・・やっぱそんな感じなのか・・・・・・。どれくらいのお金になるかわかればいいんだけど・・・・・・」

 

「だったら、ガルム達に聞いてみたらどうだ?鉱石のことなら、兄貴と同じで詳しいはずだぜ?」

 

「あ、その手があったか。」

 

 カイドウおじさんから返ってきた言葉に納得したような反応を見せるリムルを連れて、ドワーフのおじさん・・・・・・ガルムおじさん達の元に向かう。

 

「おじさんおじさん。忙しいのはわかっているのですが、一つ教えて欲しいことがあるのです。」

 

「教えて欲しいこと?」

 

「ああ。実は、ここに来る前に過ごしていた場所で鉱石を採ったんだけど、どれくらいで売れるか教えてもらいたいんだ。」

 

「それくらいなら構わねーが・・・・・・」

 

「よかった!助かるよ。これなんだけどな・・・・・・」

 

 教えて欲しいことを話し、リムルが身体の中から洞窟で沢山取り込んでいた鉱石を見せる。

 

「そ、それは!!!?」

 

「へ!?な、なんだよ一体・・・・・・まさか売れないとか!?」

 

「違う!!売れるには売れるが、売る前にちょっと待ってくれ!!」

 

 ゴロンと出てきた鉱石を見て、大きな反応を見せたのはカイジンおじさんだった。

 仕事で忙しいと言っていたはずのカイジンおじさんにびっくりしたリムルは、軽く混乱しながらも、スライムボディーの一部にはてなマークを浮かべた。

 

「実はな・・・・・・」

 

 少しだけ落ち着いた様子のカイジンおじさんが静かに口を開く。鉱石を売るのを待って欲しい・・・・・・その言葉の意味を説明するために。

 

 どうやら、カイジンおじさん達鍛治職人さんは、国から各職人にいくつかの仕事を割り当てられていたようだ。

 その中でカイジンおじさんに割り当てられた仕事は、今週末までにロングソードを20本納品すること。

 曰く、カイジンおじさんに依頼されたロングソードは、“魔鋼”を使ったロングソード・・・・・・私とリムルが見たホワホワ光るあの剣のことを言うようで、それを20本作る必要があったらしい。

 でも、カイジンおじさんの職場にあったのは残りわずかな“魔鋼”だけで、作れたのは私達が見たあの一本だけだったようだ。

 

「最初は材料も残り少なかったし、断ろうとしたんだが、ベスターと言う大臣・・・・・・この国のお偉いさんの1人が、“名高いカイジンともあろうお人が、この程度の仕事もできないのか?”って国王の前でバカにしたように笑ってきてな。

 あまりにもムカついたもんだから、できるに決まってるだろって言い返しちまってよ・・・・・・」

 

「「うわぁ・・・・・・そのベスターって人、性格悪い・・・・・・」」

 

 カイジンおじさんの言葉に、思わずリムルと一緒になってベスターと言う人を批判する。

 お狐様はぴよぴよな仔狐さんではありますが、その人の性格がちょっと尖っていることがわかってしまったのでした・・・・・・。

 

「一応、材料を集めてもらおうと自由組合(ギルド)に話を通したりもしているんだが、なかなか思うように集まらなくて壊滅的なんだ。

 だから、頼む!!あんたらが持ってる“魔鉱石”を譲っちゃくれねーか!?金が必要なら言い値で払う!!」

 

 そんなことを考えていると、カイジンおじさんが勢いよく頭を下げてリムルが見せた鉱石・・・・・・“魔鉱石”を譲って欲しいと伝えてきた。

 その言葉に私は何度か瞬きを繰り返す。だけど、すぐに視線をリムルに落とし、首を傾げた。

 どうする?と問いかけるように。

 

 するとリムルは少しだけ考え込んだ後、すぐそこに置いてあったロングソードに近寄る。

 

「そうだなぁ・・・・・・まぁ、言い値でお金を払ってもらえるのも悪くないけど、俺としては少しだけ考えて欲しいことがあるんだ。」

 

「考えて欲しいこと?」

 

 リムルの言葉にカイジンおじさんが困惑しながら反応をする中、リムルは私の腕の中から飛び降りて、ロングソードとそこら辺に沢山積まれていた長い剣を自身の中に取り込み始める。

 突然のことに固まるカイジンおじさん。だけど次々消えていく剣を見ながら、何をしているんだとリムルに慌てて声をかける。

 

「俺から考えて欲しいことは一つ。俺とコリン達が暮らしている村に技術指導者をしに来ることだ。

 まぁ、無理強いはしないさ。国から離れることが嫌なら、さっきの金額を支払うって話で構わない。」

 

 だけど、リムルはそんなカイジンおじさんを気にすることなく武器を全部取り込んだのち、その場で魔素を消費する。

 魔素により強い風がその場に吹き荒れる。そして、その風が落ち着いた瞬間、リムルの前には・・・・・・沢山のロングソードが並べられていた。

 

「でも、少しだけ考えてくれないか?俺達は、優秀な技術者も探していたんだ。」

 

 ずらっと並べられたロングソードに、カイジンおじさん達は一斉に固まって目を見開く。

 彼らの様子を見つめるリムルに重なって、1人の男性の影が不敵に笑っているように見えた。

 

 

 




 コリン=テンペスト
 リムルと一緒に鍛治職人の建物にやって来た守護獣な仔狐。
 人型をしてる間、リムルの移動をずっと手伝うカタチで抱っこしていた。

 リムル=テンペスト
 優秀な技術者から知恵を借りようとしていたが、まさかの交渉材料があったので、技術者として村に指導しにこないかと声をかけた。
 とりあえず、早くコリンをゆっくり休める場所で眠らせてあげたいのでしっかりした建物の用意したい。

 ゴブタ
 ほとんど話してなかったけどちゃんと一緒にいたホブゴブリンの男の子。
 リムル様ってコリン様を中心に考えてるっすよね。

 カイドウ
 コリン達のおかげで大切な仲間達を治すことができてコリン達に感謝したドワーフ王国警備隊隊長。
 目の前で大量のロングソードができたことにびっくりして固まる。

 カイジン
 カイドウが連れて来たスライムが“魔鉱石”を持って来るわ一瞬にしてロングソードを作り上げるわで大混乱した鍛治職人。
 リムルから腕を見込まれ、技術指導者として村に来てみないかと誘われた。


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