転生したらもっふもふの九尾狐だった件   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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 暴風竜としばしの別れを告げた九尾の狐と1匹のスライムは、外へ出るために足を進める。
 そんな中、スライムになってしまった青年は、ある一つの質問を九尾の狐にするのだった。


幼馴染み達の再会

 リムルを背中に乗せながら、てくてくと洞窟を歩いていく。すると、目の前に地底湖が現れた。

 

「あ、水。」

 

『地底湖だな。ちょっと試したいことがあるから少し降りるよ。』

 

「試したいこと?」

 

『うん。』

 

 地底湖を確認したリムルは、ぴょいっと水に浸かる。試したいことってなんだろう?首を傾げながら様子を見ていると、リムルは近場にあった岩に視線を向けては、勢いよく身体から何かを出した。

 よく見るとそれは水でできた何かで、リムルが見つめていた岩が真っ二つに切れる。

 

「お〜・・・!すごいすご〜い!」

 

『フフン、そうだろそうだろ〜!ドラゴンとかスライムとかいるなら、いつ魔物が出てきてもおかしくないからな!

 使える武器は沢山持っていた方が何倍もいいに決まってるんだ!ヴェルドラとも約束したし、俺がコリンを守らないといけないからな!』

 

「え〜・・・・・・?私も結構強いんだけどなぁ・・・・・・。」

 

 どうやらリムルは私を守るために技を会得しようとしたようだ。別にそんなことしなくてもいいのに・・・・・・。

 少しだけ拗ねたような気持ちを抱きながら、私は地底湖に足を踏み出す。

 

『ちょ!?待った待った待ったぁ!!この地底湖結構深いから!!綺麗な毛が濡れちゃうだろ!?スライムだから体はある程度変化させることできると思うし、すぐに身体大きくする方法を【大賢者】に聞くから・・・!』

 

 その瞬間、リムルがストップをかけてくる。あまりにも過保護な反応に、私はムスッとしてしまった。

 私は水に身体が浸かっても問題ないもん。泳げるし。こっちの身体になったから身体能力もかなり上がってるんだけど〜・・・。

 

「必要ないよ〜。」

 

 まぁ、だからと言って泳いで見せるのは面白くないから、私は必要ないと口にしたあと、地底湖の水面に足を触れさせる。

 その瞬間、私の足が触れた水面は一瞬にして凍てついた氷の道へと変化する。

 私くらいならば通れる程度の道だ。

 

『え゛!?』

 

「私は魔素を使えば自然にまつわる現象を引き起こすことができるのです。」

 

 ドヤッと笑いながら、私は氷でできた道を歩いて行く。リムルは私が引き起こした自然現象にビックリしたのか、少しの間固まっていた。

 

「魔素を放出する時に、頭の中で引き起こしたい事象を思い描く。そうすれば、その事象と全く同じ事象を引き起こすことができるって、ヴェルに教えてもらったんだ〜。

 だから、魔素を放出する時に、こんな風にしたいな〜って考えれば、魔素を消費すると同時に、自然現象や自然が混ざった攻撃を引き起こせるの。

 つまり、魔素を放出しながら、岩をボコボコ出して突き飛ばしたいとか、そんな風に考えればドカンッてできるんだよね〜。」

 

『ええ・・・・・・?じ、じゃあ魔素を使って洪水を起こそうとしたり、地割れを起こそうとしたらできるってことか?』

 

「・・・・・・多分?」

 

 首を傾げながら多分できると伝えれば、リムルが困惑する様子を見せる。

 え?自然現象を魔素で引き起こせるのヤバくねって?そうなんだ〜。まぁ、雷落としたりすることできるし、すごいことではあるか。

 

『自然現象を引き起こす力か・・・・・・どうしてその力を望んだんだ?』

 

「ん〜・・・自然公園に遠足で行ったって幼馴染みに聞いて、元気になったら沢山の自然に触れ合いたいって考えていたら、そんなスキルになっちゃった感じ?

 身体が弱かったから、外に出ることもあまりできなくて、沢山の自然に触れて遊びたかったから、多分、それが影響したんだと思う。」

 

『遠足で自然公園・・・・・・。他には?海に行きたいとか、山で遊びたいとか、そんな話を幼馴染みにしたりしたか?』

 

 リムルからの質問に、一瞬だけ無言になる。でも、すぐにその質問をされた理由がわかったから、私は小さく笑った。

 

「沢山したよ〜。海に入って泳いでみたい。山の中でキャンプがしたい。一緒に虫取りをしに走り回りたい。遊園地にも行ってみたい。

 それと、行けなかった遠足の自然公園にあったアスレチックにも行ってみたいって話してた。

 旅行の雑誌とかも見てさ。綺麗な海だね〜。行ってみたいね〜って話したよ。

 あの時見たのは確か、グアムだったかな?エメラルドグリーンの海の写真があって、海は青いはずなのに緑でキラキラしてたから、緑色の宝石が溶けちゃったのかな?って話した記憶があるよ〜。」

 

『っ!!?』

 

 どんな話をしていたか思い出しながら、あの時はあんなこと言ったな〜と小さく笑って教えると、リムルが黙り込む。

 何度か瞬きをして、どうしたの?と問いかけると、リムルは私の体にそっと触れる。

 

『・・・・・・ミオ・・・なのか?』

 

 その言葉は疑問のはずなのに、どこか確信しているようで、私はゆらりと尻尾を揺らす。

 それがそうだよ、と言う意味であることがわかったのか、リムルは言葉を詰まらせたあと、私に飛びついてくる。

 すぐに尻尾でキャッチすると、リムルは私の尻尾をぎゅっと握りしめた。

 

『ミオ・・・・・・っ・・・・・・やっぱりコリンはミオなんだな!?あの時・・・っ・・・俺の前でいなくなった・・・・・・!!』

 

 聞こえてきた声は、泣いているように震えていて、リムルが・・・サトルくんが泣いているのだとすぐに理解することができた。

 ずっとずっと会いたかったサトルくん。やっと、私も彼に会えた。

 

「そうだよ〜。リムルはサトルくんなんだね〜。」

 

『っ・・・・・・ミオ・・・っ・・・』

 

 念話の回路を通して、サトルくんの泣き声が聞こえてくる。会いたかった。寂しかった。どうして先にいなくなっちゃったんだ。悲しかった。辛かった。ずっとずっと忘れられなかった。沢山話したかったのに・・・次々と聞こえてくる文句や思いを聞きながら、私は尻尾でキャッチした彼を背中の上に乗せる。

 立ち止まって喜び合うよりは、折角また会えたんだから、一緒に外を走り回りたかったから。

 今はリムルとなったサトルくんが満足するまで泣けるように、私は相槌を打ちながらも、ゆっくりと道を歩いていく。

 前世で一緒にいられなかった分、こっちでは一緒に遊ぼうねと思いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           ܀ꕤ୭*

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・落ち着いた〜?」

 

『う、うん。なんかすごく恥ずかしいところ見せちゃったな。ごめん。』

 

「大丈夫だよ〜。そもそもの話、私が先にいなくなっちゃったわけだしね〜。」

 

『いや、でも、やっぱり、ずっと俺が守ってやる!元気にしてやるんだ!って思っていた女の子の前でギャン泣きするとか、あまりにも恥ずかし過ぎる・・・。

 それに俺、前世では37歳まで生きていたんだぞ?それなのにあれって・・・』

 

 あれから私は、リムルを背中に乗せたまま洞窟の中を歩き回っていた。

 しばらく歩き続けていたこともあり、リムルはそれなりに落ち着いたみたいで、よかったよかったと安心する。

 でも、サトルくん。私のことを守ろうって、元気にしたいって思ってくれていたんだ。

 だからサトルくんだった時、沢山私とお話してくれたんだなぁ。

 

「私のこと守ろうとしてくれたんだ〜。ありがとね〜。」

 

『・・・なんでそんな風に思っていたのか絶対分かってないだろ、コリン。』

 

 それならお礼を言わないとね〜なんて、思いながら、ありがとうと伝えると、なんだか呆れたような声が聞こえてきた。

 あれ?私、何か変なこと言ったっけ?

 

「そう言えば、リムルはなんで死んじゃったの?」

 

『あ〜・・・実はさ・・・』

 

 なんてことを思いながら、元気だったサトルくんがリムルになっちゃったことを聞いてみると、リムルはすぐに教えてくれた。

 どうやら、リムルはサトルくんとして仕事をいっぱいしていたみたいだけど、仕事場でできた後輩?って人を通り魔のおじさんから助けた時に、背中をグッサリとやられちゃったらしい。それでそのままこっちにきてしまったのだとか。

 

「キミは変わらず優しい人だね〜。私にも沢山お話ししてくれたり、体調がいい時はこっそり外に連れ出したりしてくれたり、いろんなことを教えてくれたもんね。」

 

『そりゃそうだよ。大好きな幼馴染みが笑ってくれるなら、なんだってできるって思ってたからな。

 だからあの時、ミオがさようならって言ってきて、すごく悲しかったんだからな。』

 

「ごめんね〜・・・。でも、あの時の私、あ、もう起きれないんだな〜・・・って気づいちゃって・・・。本当はね、サトルくんに私のことは話さないでって母さん達に言ってたんだよ?

 大好きな幼馴染みには、苦しい顔とか悲しい顔は見せたくなかったから。」

 

『な!?それって俺に黙っていなくなろうとしていたのか!?』

 

「そ〜だよ〜。」

 

『そんなことしたら、俺、絶対に一生ミオを恨んでたからな!?おばさん達が教えてくれてよかった・・・!!

 お別れが言えないままいなくなられるとかどれだけSAN値減ると思ってるんだ!?』

 

 焦ったような様子で、最期に会うことがよかったと言ってくるリムル。

 だけど、そのあと、“いや、結局お別れ言えてなかったよな俺!?”とか言っているけど、私はわざと知らんぷりをして、あの時のことを思い出す。

 あの時、最期の最期でサトルくんにお礼を言ったけど、苦しいとか、悲しいとか、そんな感情が伝わるような顔をしていなかったかな?

 

「・・・ねぇ、リムル。」

 

『ん?どうしたんだ?』

 

「・・・ミオは・・・神凪澪央は最期・・・サトルくんに・・・三上悟くんに、笑顔でお別れを言えたかな?」

 

『!・・・うん。すごく優しい笑顔を見せてくれていたよ。穏やかで、本当に、ただ眠っちゃっただけなんじゃないかってくらいに。』

 

 “・・・まだ、目を覚まして、明るい笑顔を見せてくれるんじゃないかって思うくらいに”・・・泣きそうな声で紡がれた言葉に、私は短くそっかと小さく呟く。

 よかった。あの時私は、ちゃんと笑顔を見せることができたんだ。

 

『こっちのミオは、身体は弱くないんだよな?病気を持っていたりしないんだよな・・・?』

 

 リムルの言葉に安心しながら、てくてくと歩みを進めていると、リムルが不安そうな声でこっちの私は身体が弱かったり、病気を持っていたりしないのかと聞いてきた。

 私はすぐにその言葉に頷く。今の私は、元気いっぱいの仔狐さんなのです。

 ・・・あれ?仔狐って大きさじゃないかな?今の私は。

 

「だいじょ〜ぶだよ〜。今のミオことコリン=テンペストは、元気いっぱいの九尾様なので〜。」

 

『そっか。それならよかった。』

 

 緩やかに身体をぷにぷにが撫でる。どうやら私は、リムルによしよしされているようだ。

 

『前世ではできなかった分、こっちでは沢山遊んで、いろんな景色を見ていこうな。

 コリンに悪さをしようとするヤツがいたら、全部俺がやっつけてやる!』

 

 

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『そっか。ミオは身体が弱いんだな。だったら、俺がミオを守るよ!変なヤツがいたり、ミオに嫌なことを言ったりするヤツがいたら、絶対に俺に言ってくれよ!

 俺がそいつらをコテンパンにやっつけてやるからな!!』

 

 ────────────────────

 

 

 いつだったか、サトルくんが言ってくれた言葉と、どことなく同じことを言ってくるリムル。

 一瞬だけ目を丸くしてしまったけど、リムルの優しさは沢山伝わってきたので、私はゆらゆらと尻尾を揺らした。

 

「ありがとね〜、リムル。でも、今のリムルはスライムなので、私もリムルを守るからね〜。」

 

『ゔ・・・そ、それは言わないでくれよ・・・』

 

 なんだか落ち込んだような様子を見せるリムルに、私は笑い声を溢す。

 “笑うなよ〜!”って言われたけど、笑い声を止めることはできなくて、しばらくの間、私は笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           ܀ꕤ୭*

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・リムル=サトルくん。私=ミオと言うことを明かし合い、てくてくと歩く洞窟の中。

 魔素の流れからして、間違いなくこっちに外へと繋がる道がある。

 

『なぁ、コリン。だいぶ歩いてると思うけど、大丈夫か?疲れてないか?疲れたら遠慮なく休んでいいんだからな?』

 

「だ〜いじょ〜ぶだよ〜。私は体力お化けなので。」

 

『いや、体力お化けって・・・え?コリンのスキル・・・?』

 

 むむ?何やらリムルが独り言を言っている。あれかな?スキルの【大賢者】さんかな?

 

『・・・なぁ、コリン。コリンって、【疾走者】ってスキルがあるのか?』

 

「ん〜?ああ。確かにあるよ〜。沢山走り回りたいって考えた時にもらったスキルだね〜。」

 

 なんてことを考えていると、リムルからスキルに関して質問された。

 私は、すぐに自分が持ってるスキルだと教える。すると、リムルは再び【大賢者】さんから話を聞き始める。

 

『・・・すごいな。このスキルって、体力を維持し続けるためのものみたいだ。

 そこにエクストラスキルである【魔力駆動】による常に体力を回復させるスキルと【魔力吸収】と【魔力貯蔵】が組み合わさって、体力が減らなく・・・いや、本当にスタミナお化けだな!?魔素がなくならない限り動き回れるじゃないか!!』

 

「へぇ〜・・・そんな力あったんだ〜・・・」

 

『それも知らなかったのか!?』

 

「だって誰も教えてくれなかったので〜・・・。ヴェルも首を傾げてたし。つまり私は、何も知らないお狐さんなのです。」

 

 何やら私には、かなり様々なスキルが与えられていたようだ。体力が無くならない理由ってそれだったんだ。

 何も知らないお狐さんと言う言葉に、リムルが頭を抱えたような気がする。

 でも、仕方ないのです。本当にわからないんだもん。

 

『う〜ん・・・このままじゃコリンが無知のまま外に出ることになるな・・・俺が側にいれば【大賢者】でサポートできるけど・・・う〜ん・・・。』

 

 そんなことを思いながら、私はてくてくと広い洞窟の中を歩き回る。

 外に出るまでどれくらいかかるかな〜・・・。

 

 

 




 コリン=テンペスト
 あまりにも無知過ぎる九尾の仔狐。
 自分のスキルのことはほとんど知らない。ヴェルドラに教えてもらったことは知っている。
 これからも無知街道を突き進む・・・かもしれない。
 サトルくんは大好きな幼馴染み!
 【疾走者(ハシリツヅケルモノ)】・・・体力の消費を大きく抑えるためのユニークスキル。消費量を数値化すると、常に1ぐらいの消費量のため、ほとんど体力がなくならないと同義。
 【魔力駆動】・・・回収した魔素を常に体力の回復に割り当てる常時稼働型スキル。魔素が貯蔵されている限り体力は常に回復されている。
 【魔力貯蔵】・・・常に一定量の魔素を貯蔵しているタンク。【魔力吸収】のタンクとは別口のタンクで、予備バッテリーのようなもの。
 【魔力吸収】・・・魔素を吸収するためのスキルだが、実は常時起動型スキル。任意で吸収口を解放することで吸収量を増やせる。

 リムル=テンペスト
 コリンが10歳の時に亡くなってしまった幼馴染みであることを確信して泣いてしまったスライム。
 あの日からずっと、彼女を忘れることができず、恋もすることができなかった過去を持つ。
 これからは元気に走り回れるかつての幼馴染みと一緒に過ごせることに喜びを見せたが、あまりにも無知すぎて絶句した。
 お、俺がコリンを守らないと・・・!!過保護レベルが上がった。
 ミオは大好きな幼馴染み!

 大賢者さん
 リムルが心配するので実は裏でめちゃくちゃコリンの解析を頑張っているユニークスキルさん。リムルが触れてるのを通じて、コリンの体毛から能力を解析しまくっていた。

九尾主ちゃんの恋愛√は・・・(オチ有の場合、後日お相手のアンケートを取ります)

  • 一対一の相手有END√
  • 一対複数の愛されEND√
  • 恋愛なしの愛されEND√
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