追い剥ぎのジャン・アンゴ、ヴァリアー雲の守護者を目指す   作:G-ラッファ

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☆簡単な紹介

・ジャン・アンゴ…ONEPIECEに登場する、武器投げを得意とする賞金稼ぎ。話の展開上、当作品では「描写はないけどあり得なくはない」レベルに技能を盛ります


・ヴァリアー…家庭教師ヒットマンREBORN!に登場する、主人公が跡を継がされるマフィア組織の暗殺部隊。


・ベルフェゴール…ヴァリアー構成員の1人にしてガチの王子様。メカクレ属性で手が早い


・フラン…カエル帽子のダウナー少年。ベルフェゴールとはよく殺し合いを演じるほどの仲良しで、色んな意味で今回のネックになる人物
 




標的2 晴の試験来る!!

 

 

う゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛い゛! ! ! どういう事か説明しろぉ゛! ! !

 

 空間転移を操る『ワムワムの実』の能力者により異世界へ飛ばされた追い剥ぎのジャン・アンゴ。

 現状把握のために侵入した不気味なほどに白く、近未来的な施設での戦闘をなんとか切り抜けた彼は独立暗殺部隊ヴァリアーを名乗る男たちと出会う。

 

 なんとも緊張感のない雰囲気に見合わず2人の…正確にはベルフェゴールと呼ばれている男の実力は本物で、ものの数分で基地を制圧してしまった。

 そんな彼らに気に入られ、右も左も分からないジャンは連れてこられたイタリアという国で…

 

 建物内に響き渡る、鼓膜が破れるかと思うほどの怒号に晒されていた。

 

「何がどうなったら頭にサボテン生やしたカスを連れてくる羽目になるんだぁ゛!?アジトの位置をバラしてんだぞぉ゛!!!」

 

「スクアーロったら今日も絶好調じゃない♪それで2人とも!どうしてカレを連れてきたのかしら?確かミルフィオーレの輸送基地を叩く任務だったわよね?」

 

 髪をトサカのように立てたサングラスの男…ルッスーリアはクネクネとした動きで2人に迫る。

 

「ミーも反対はしたんですよー?ベルセンパイが面白そうだし連れてこうぜって聞かなかったんですー」

 

「だとぉ!?」

 

「しししっ、まあ落ち着けよ。スクアーロが前に言ってた"アレ"、このオッサンが使えるんじゃないかと思ってさ」

 

 『アレ』…その言葉に思い当たることがあるのか、先ほどまで怒り狂っていたスクアーロはベルフェゴールの言い訳に制止し、今度は血に飢えたサメのような眼光をジャンに向ける。

 

 暗殺部隊が連れ去った人間に向ける"アレ"という言葉からは試し斬りの的だとか、ヤバい薬物の検体だとか、そういった末路しか思い浮かばないが…

 目の前にいる4人はふざけているようで一切の隙がなく、数多の修羅場をくぐってきたジャンですら戦闘はおろか逃走すら希望が持てないほどの精鋭だと認めざるを得ない。

 

 どちらの可能性にかけるか天秤にかけている間にも彼らのケンカは激化していく中で、スクアーロが漏らした一言は思い浮かべていた扱いとはかけ離れたものだった。

 

「こいつを雲の守護者にだぁ!?やっぱりふざけてるじゃねえか!!!」

 

「いーじゃん面白そうだし。それにこのオッサンけっこうやるぜ?」

 

「お、おいちょっといいか?その"雲の守護者"ってな…」

 

「あ゛ ぁ゛ ! ?」

 

「…」

 

 このスクアーロという男、声から放つ空気までとにかく圧が凄まじい。これまで元の世界で見てきたチンケな海賊たちとはまるで別物…七武海クラスはあるというのがジャンの見立てだった。

 

 それはそれとして"雲の守護者"がなんなのかは聞かねばならないのだが…今にも殺し合いが始まりそうな空気を壊したのは、先ほども仲裁していたルッスーリアだった。

 

「は〜い!アタシからテ・イ・ア・ン!守護者のことは置いといて…ひとまずヴァリアーの入隊試験を受けてもらうというのはどうかしら〜!アナタも行くとこないんでしょ?」

 

「お、おう。元の世界へ戻るにしても情報が足りねェからな」

 

「んふ♡アタシたちの母体であるボンゴレファミリーはウラのウラまで精通しているの。手がかりも見つかると思うわ。その引き換えにアナタの力を借りる…悪くない条件だと思うけどどうかしら?」

 

 現在のジャンは金なし、宿なし、知識なしと何も持ち合わせておらず、情報を集めるための仮巣が必要なのは事実である。

 それに暗殺部隊ならば唯一持ってきたもの…自分の腕っぷしを活用することができる。先日のミルフィオーレは民間人ではなく武装したギャングであり、戦うことへの抵抗は薄い。

 

 現実的な交換条件と判断し頷くジャンにご満悦なルッスーリアは彼を庇うように立つと、高らかに小指を立てて宣言した。

 

「ということで…ヴァリアー入隊試験はじめるわよ〜!」

 

「チッ…おいサボテン頭!そいつの試験をクリアしたら次はレヴィのところに行け!ペーペーどもは勝手に連れてきた始末書を出しやがれぇ!!!」

 

 スクアーロは一通り叫ぶと銀髪を靡かせて部屋を出ていく。彼に続いて幹部たちも退出する中、2人だけがその場に残された。

 

(なんとか首の皮が繋がったな。それにしても…)

 

 ジャンはルッスーリアから向けられるアツい視線に悪寒が走っていた。それは他の隊員たちとは違う…貞操の危機に対するもの。

 自分の世界にはニューカマーランドという猛者たちの国がある。まだ会ったことはないのだが…おそらくこんな感じの連中なのだろう。

 

「ちなみにアタシ…ネクロフィリア※なの♡この場所を知った以上はただでは帰れないから頑張って頂戴!」

 

※死体性愛者のこと。

 

 

「…クソ!やっぱりあいつらについて行くんじゃなかったぜ!!!」

 

 後悔先に立たず。悲痛な叫びはスクアーロにも負けない音量で、アジトの中を駆け巡るのだった…

 

───────────────

 

「…というわけで入隊試験、晴の試練を始めるわよ〜!」

 

 ジャンの叫びから少し後、2人は基地内部に設置されたとある場所を訪れていた。

 正方形のフィールドをロープで囲い、触れることができぬよう緑色の稲妻が迸る…それは格闘技で使用されるリングを改造した、デスマッチ用の特設フィールドであった。

 

 ファーつきの隊服を脱いだルッスーリアの体は細くも実践に必要十分な筋肉を纏っており、彼が一流の暗殺者であることを物語っている。

 ジャンもまた防具を脱いでリングに上がる。もちろんトレードマークのサボテン帽子は被ったままで。

 

「デデデ!なるほど試合形式か。てっきり殺し合いをさせられるのかと思ってたぜ」

 

「そんなことしないわよ♡アタシの試練は身体能力を試させてもらうわ。ルールは好きに決めて頂戴」

 

「ほう!ずいぶん自信があるんだな。そうだな…そいつを賭けるってのはどうだ?」

 

 ジャンが指を差したのはルッスーリアのサングラス…試合の時ですら外そうとしないそれだった。

 理由は素顔に興味があるというのもあるが、元の世界では"追い剥ぎ"の二つ名で呼ばれるほどに腕を買われていた奪取の技術…それがこの世界でどこまで通用するのか、試すのにちょうどよい機会だと考えたからである。

 

「あら!アタシの素顔が見たいなんて照れるわ〜!時間は3分ワンマッチでどうかしら?奪うのに成功したらボーナス♡それじゃあ試練…スタートよ!」

 

 入隊試験がついに始まった。ジャンは手始めに小細工なし、己の身体能力のみを使ってまっすぐに向かっていくことにした。体躯に似合わぬ早さにルッスーリアが驚いている間にも、2人の距離はみるみる縮まっていく…

 

「デデデデ!油断したな!最初の試練は楽し…何!?」

 

「最初の試練は…何かしら?」

 

 突如消えたルッスーリアに背後から声をかけられ硬直するジャン。あと1歩半というところまでは目の前にいたはずの彼が、認識する暇もなく回り込んできたのである。

 

「アンタ能力者か…?それなら!」

 

 まっすぐがダメなら死角を突けば良い…今度は姿勢を低くしつつ複雑な動きで牽制し、相手の視線を惑わせる作戦に出た。いつも敵から武器を奪う際に用いる手慣れた動き、これなら優位に立てるはずである。

 

(サングラスのせいで目の動きは分からねェが…ここだっ!)

 

 視野から外れた相手は首を動かして捉えるしかない。ジャンはその瞬間にフェイントを入れた上で、死角ギリギリから飛びかかった!フェイントにかかったルッスーリアの足捌きが一瞬遅れ、体幹がわずかに揺らぐ。今度こそ完璧に不意を突いた一撃である。だが…

 

「いじめちゃいや〜ん♡」

 

「なっ…!?」

 

 なんとルッスーリアは無茶な体制からのバク宙で強引に距離を取り直した。そして驚くべきはもう一つ、地面の一蹴りで数メートル上空まで飛び上がってみせたのである。

 ルッスーリアは空中で体制を整えると、今度は落下の勢いを利用した飛び膝蹴りを繰り出す。それは試合が始まって以来、初の攻勢だった。

 

 拳での迎撃を試みたジャンは不意を突かれたために武装色の覇気が間に合わず、素手で膝蹴りを受け止める。鍛え上げられた2つの肉体が衝突した末に競り勝ったのはルッスーリアの膝…ずしり、と来る衝撃に顔が歪み、体は小さく吹き飛ばされた。

 

「イデデデ…ただの飛び膝蹴りでなんて威力してやがる!これが暗殺部隊の実力か…」

 

「これが遊びで良かったわね♡メタル・ニーを仕込んでたらアナタの拳は粉々だったわよ?でも…」

 

「アタシも燃えてきたわ〜!」

 

 骨のある男との試合…10年前を思い出したルッスーリアは恍惚の表情を浮かべると、ここで初めて構えを取る。それは彼が得意とする格闘技”ムエタイ”のものだった。

 

 ムエタイの構えのまま、独自のフットワークを駆使して小刻みに移動し続けるルッスーリア。左右の移動は徐々に速度を増していき…あまりの速さにまるで分身しているかのような錯覚を覚える。

 元いた世界で海軍などが使う体術”六式”の剃と紙絵を組み合わせたかのような神がかり的な動きに、ジャンはこれまでいかに自分が遊ばれていたかを痛感していた。

 

「こっちからも行かせてもらうわ!死なない程度に抑えるから安心して♡」

 

 ルッスーリアは左右に小さく振れてから身を屈めてのインファイトを仕掛ける。それに対して回避が不可能と判断し、武装硬化で腕の防御力を上げて対応したジャンも負けていない。

 

 武装色の覇気…体や武器を硬化させる技術はこちらの世界でも通用し、いかに鍛え上げた暗殺者の肉体であっても分が悪いようだ。完璧に防いだ初撃以降は明らかにパンチに迷いがあり、無闇に振るうと彼の拳が傷つくことを物語っていた。

 

「いきなり硬くなるなんて…アナタの世界では面白い事ができるのね?」

 

「悪いな、事前に確認しておくべきだったぜ!こうでもしないと体がもたなそうなんでな…ッ!」

 

 ジャンは攻め手が弱まった隙をついて攻勢に移る。だが見様見真似の体術がスペシャリストに通用するわけもなく、残像が残るほどの俊敏なステップですべてかわされてしまう。

 視界に入ったタイマーが示すは残り30秒…このままでは逃げ切られてしまうと判断した焦りからか、ジャンは大振りの裏拳をスカしてしまった。

 

「それは悪手ってやつよ♡ちょっ〜と痛いけど我慢し・て・ね♡」

 

 ルッスーリアはガラ空きの腹に強烈な蹴りを叩き込む。回転を加えたそれは生身で出せる破壊力を軽く凌駕しており、いくら厚い筋肉に覆われたジャンであっても失神は確実である。

 

 …生身の体ならば。

 

「やっと捕まえたぜ…ルッスーリアさんよォ!」

 

 ジャンはわざと隙を作って大技を誘導し、腹に打ち込んでくることを予測して武装硬化を施しておいたのである。

 ヒットストップを利用され、逆に隙を生んでしまったルッスーリアは太い腕でがっしり掴まれている。片足だけが地面についている状態では踏ん張りが効かず、抵抗も虚しくじりじりと手繰り寄せられていく。

 

「この勝負はもらった!さあ、素顔を見せてもらうぜ…!」

 

「そんな!アタシが負けるなんて!…な〜んちゃって♡」

 

 ルッスーリアが指輪に炎を灯した次の瞬間、信じられないほどの力でジャンの体は空中に投げ出された。片足の自由を奪った状態で、である。

 予想外の出来事に受け身を忘れたジャンは背中を強打し悶える。そうしている間にも残り時間は減っていき…試合終了を知らせるブザーが鳴り響いた。

 

「はい、お疲れ様〜!久しぶりに本気になっちゃったわ!」

 

 そう語るルッスーリアはまだまだ余裕と言った表情である。差し伸べられた彼の手を取って立ち上がると、指輪に灯った黄色い炎を恨めしく睨みつけた。

 

「炎を使うなんてアリかよ…」

 

「申告ナシの肉体強化はお互い様よ♡それと結果は合格!次の試練に進んで頂戴!」

 

「それはありがとよ。…で、その炎があると身体能力が上がるのか?ミルフィオーレって奴が使ってきた炎とは色も違うな」

 

「それを知るのが次の試練!この世界の戦い方をしっかり学んでもらわないとね」

 

 どうやら炎にはいくつかの種類と恩恵があるらしい。ルッスーリアと握手を交わしたジャンは次の試練…レヴィ・ア・タンが待つ部屋へと向かっていった。

 

───────────────

 

「どうだルッスーリア、あいつは使えそうか?」

 

 試練が終わり、ジャンが立ち去ったリングにスクアーロが姿を現した。とはいえ本当はずっと部屋におり、ルッスーリアもそれに気付いていたのだが…

 

「なかなかいいカンジよ?遊びとはいえ死ぬ気の炎を使うまで追い込まれるなんて久しぶりだもの」

 

 ルッスーリアは先ほどの試合で得た感覚をものにするため鍛錬を始めていた。肉体を自在に硬化させる技術…あれが手に入ればもっと上に行けるという確信を胸にして。

 

(フン…雑兵のカスどもよりは使えるようだな)

 

 久しぶりにアツくなっている彼の様子を見、甘い判定を下したわけではないと理解したスクアーロはそれだけ確認すると、機嫌良さげに鼻を鳴らして部屋を出ていく。

 ミルフィオーレとの抗争が続く中で訪れた久しぶりの使えそうな人材…スクアーロは報告のためにとある男の部屋へと向かっていった。

 

 

 追い剥ぎのジャン・アンゴ 晴の試練…合格

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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