追い剥ぎのジャン・アンゴ、ヴァリアー雲の守護者を目指す   作:G-ラッファ

7 / 10
☆簡単な紹介

・ジャン・アンゴ…ONEPIECEに登場する、武器投げを得意とする賞金稼ぎ。話の展開上、当作品では「描写はないけどあり得なくはない」レベルに技能を盛ります。
 所持匣兵器は雲の炎で増殖する「雲プラナリア」。


・ヴァリアー…家庭教師ヒットマンREBORN!に登場する、主人公が跡を継がされるマフィア組織の暗殺部隊。
 入隊条件に多国籍言語の習得があるのを忘れていたけど気にしてはいけない

・XANXUS…大空を司るヴァリアーのボス。怒ると怖い

・スペルビ・スクアーロ…ひたすらに強く声が大きい剣士。声が疫災のクイーンと同じ。雨の守護者

・ベルフェゴール…ヴァリアー構成員の1人にしてナイフ使いのガチの王子様。メカクレ属性で手が早い。嵐の守護者

・フラン…カエル帽子のダウナー少年。ベルフェゴールとはよく殺し合いを演じるほどの仲良しで、色んな意味で今回のネックになる人物。霧の守護者

・ルッスーリア…足技が得意な肉体派オネエ。ネクロフィリア設定があるけど作中で生かされた記憶はあんまりない。晴の守護者

・レヴィ・ア・タン…ムッツリスケベの雷オヤジ。インテリ設定があるけど作中で(略)雷の守護者




標的7 幹部戦来る!!

「"妓配王"!!!」

 

 ジャンが放つ鋭い狙撃。だがテネーレも引けを取らず、武器投げの予備動作から方向を察知して早めの回避行動を取る。

 お返しとばかりに向けられた銃口からは緑色の稲妻が覗いており、彼が雷の炎の使い手であることを示していた。

 

「危ねっ!」

 

 硬化の特徴を持ち、7属性随一の突破力を持つ雷の炎でコーティングされた弾丸は遮蔽物たちを貫通するに留まらず壁を深く穿っている。事実上のガード不可攻撃であることを理解したジャンは舌打ちしつつ、レヴィとの特訓を思い出していた…

 

 

「雷の炎は電気に近い性質を持つ、回避の際は周辺の水や金属からの感電にも気を配れ。出力を抑えていなければ死んでいたぞ」

 

「ガフッ息が焦げ臭いぜ…硬化だけでも厄介なのにそこまで警戒しなきゃならねェとはな」

 

 それはある日の特訓風景…雷の炎を纏った攻撃を回避したジャンが運悪く水溜りに着地してしまい、感電してしまった時のこと。

 元の世界で鍛えていただけあり死には至らなかったものの、それなりのダメージを受けたことで一時中断。休憩ついでの座学を行っていた。

 

「直接戦闘において雷の炎は嵐に次ぐ脅威だ。だが動きが直線的になりがちな点や環境への依存性など弱点が無いわけではない。雲の炎による搦手で翻弄すれば勝機を見出すことができるだろう」  

 

 搦手というレヴィの言葉に唸るジャン。賞金稼ぎを始めてからは武器投げ一筋でやってきており、往来の性格もあって戦いの選択肢を増やす事にあまり乗り気ではなかった。

 

「雲プラナリアはトリッキーな匣兵器だ、使うタイミング次第ではいかようにも相手の虚を突くことができるだろう。それともう1つ、貴様には面白い芸があることを忘れるな」

 

「面白い芸…このサボテンのことか?この間の試練で使ってみたがあっさり攻略されちまったからなァ」

 

 雲の炎で頭部のサボテンを増殖させる一芸は不意打ち性能こそ高いものの、自分の視野が狭まるという弱点がある。現にベルフェゴールは弱点を即座に見抜いて匣兵器を囮にし、背後を取るために利用されてしまったのだ。

 

 これまで名だたる海賊を相手にしてきたジャンは実力こそ確かだがこの世界の戦い方にはまだ不慣れであり、なかなか白星を上げられずにいる。レヴィはいまいちピンと来ていないジャンの肩を叩くと、わずかに口角を上げて微笑んだ。

 

「認めたくはないがベルフェゴールは突出した天才だ。勝手も分からぬ世界でいきなり戦う相手ではない。それに異質な存在であることは貴様のアドバンテージともいえる。今できることを磨くことだな」

 

「異質がアドバンテージ…デデデデ、レヴィさんは指導が上手いんだな。おれは組織に属したことはねェが…アンタが上官として優れているのは分かるぜ」

 

「!!!い、今なんと?」

 

「え?アンタが上官としてサイコーって…」

 

「もう一度頼む!あいつらいつもオレを軽く見てきてな、貴様のようにまっすぐ褒められる機会が無くてな…」

 

「お、おう…アンタも苦労してるんだな」

 

 久しぶりに誰かに褒められ号泣するレヴィを慰めながら、やや引き気味のジャンは組織に属することの大変さを痛感するのだった… 

 

─────────────

 

(雲プラナリアは閉所でこそ輝くが、おれが一度に注入できる死ぬ気の炎はそこまで多くねェからな…相手の匣兵器も分からねェうちに出すのは危ねえ)

 

「いつまで隠れている気だね?」

 

 倒した机の裏にいたジャンを狩るべくテネーレが回り込んでくる。雷の炎を纏った刃をかわして投げナイフで牽制、もう一度距離を取り直すと再びの膠着状態となった。

 触れたものを感電させる雷の炎使いの攻撃は防御という選択肢を取ることができない。正面切って戦うにも雲の炎では相性が悪く、元の世界とは違う勝手の悪さに舌を打つ。

 

 テネーレはそんなジャンの様子に興味を持ったのか、銃口を向けつつもある問いを投げかけた。

 

「お前はマフィアではないと言ったな、この時代の戦い方にも慣れていないように見える。あのヴァリアーが素人を雇うとも思えないが…何があった?」

 

「デデデデ、どうも異世界転移ってヤツらしいぜ!こっちの世界じゃ海賊なんて大した脅威じゃねえってんだから驚いたよ。そういうアンタも匣から武器を出さないんだな」

 

 テネーレが持っているのはイタリアの銃メーカー ベレッタ社のオートマチックに銃剣を装着したものである。ジャンがいた世界から見れば先進的な代物である一方で、この時代─少なくともミルフィオーレクラスの幹部が持つには些か頼りない旧時代の遺物。

 今さらされるとは思っていなかった指摘にテネーレは少し驚いた後、ジャンを照門に捉えながら語り始めた。

 

「これは前のボスから…アリア様からいただいたものだ。私はミルフィオーレなどという組織も、あの白蘭という男も認めてはいない。これを使い続けるのは私なりの覚悟だよ殺し屋」

 

「デデデデ!芯のある奴は嫌いじゃないぜ。そういうのに限って厄介だから敵に回したくはねェんだけどな。あとおれは賞金稼ぎだ、殺しはやらねェ。報奨金が下がっちまうからな」

 

「そうか…爪弾き者同士のつまらぬ争いだ、手早く済ませよう」

 

 そう言ってテネーレは懐から取り出した匣に炎を注入する。そして中から飛び出してきたのは…雷の炎を纏ったカラスであった。

 

 雷カラスは展開と同時に取り付いて視界を塞ぐ。ジャンの肉体はカラスの嘴程度で傷つく鍛え方をしていないもののさすがは匣兵器、雷の炎を纏ったそれは肉を抉るには十分な破壊力を有していた。

 

「クソッこいつ…おれの反撃させないよう深追いせずに纏わりついてきやがる!」

 

「雷カラスは突出したパワーやスピードこそないが知能が高くてね、足止め能力はアニマル匣の中でも上位と言っていい。匣にすべてを任せるのは性に合わん。獲物を狩るのは私の役目だからな」

 

─ドン!

 

 視界を塞ぐ雷カラスに気を取られていると銃声が響き渡り、同時に脇腹へ痛みが走った。さらに銃弾に纏った雷の炎が全身を通り抜け、肉体を感電させる。

 ジャンの体が痺れたのを見逃さずに急接近すると、テネーレは慣れた手つきで銃剣を振りかざした。

 

「チィ…ッ!」

 

 ジャンは懐からこぼれ落ちたベルフェゴールのナイフを蹴り上げて足での狙撃を実行する。ナイフは頬を掠めるに留まったものの、稼いだ僅かな時間は硬直を解くのに十分であった。

 テネーレは頬から流れる血もそのままにマガジンを交換しつつ、どこか納得がいかない様子で問いかける。

 

「足で武器を弾いたとは思えない精度だな…だがいつまで単身で戦うつもりだ?匣兵器の有無がどれだけのアドバンテージを得るかくらいは聞いているだろう」

 

(雲プラナリアは被弾ありきだ、出したところであのカラスはおれにしか攻撃してこないしヤツの銃とも相性がいいとは思えねェ…ここはアレの方が良さそうだな)

 

「デデデデ、忠告ありがとよ!だがこっちの事情ってもんがあるんでな!オラッ!」

 

 ジャンは手甲に仕込んだクローを展開しつつリングに炎を灯すと雷カラスに不意打ちを仕掛けた。いくら知能が高いと言えど所詮は鳥、死角からの攻撃を避けきることは叶わず右翼を損傷する。

 だが致命傷は与えられず、飛行が多少たどたどしくなったくらいで排除には至らなかった。

 

 それでも不敵な笑みを浮かべるジャンに何かを察したテネーレはもう一丁のハンドガンを装備すると、室内を移動しながら二丁拳銃を連射して制圧を試みた。

 

(匣兵器を使わずに雲の炎を灯しただけだと…?あれでは戦力差は埋まらないはず。あの男、一体何を隠している…?)

 

 硬化の炎を纏った銃弾の雨と対処を妨害する雷カラスの波状攻撃を必死にいなしながらそれでも笑うジャン。誰が見ても不利な状況でなぜ余裕をかますのか…不可解な行動はテネーレの焦燥感を煽り、最も信頼できる殺し方…銃剣での直接攻撃を選ばせた。

 

(これだけ攻めても匣兵器を使わないということはこの場では使えない理由があると見た。ならば一気に間合いを詰めてペースを崩せば…!?)

 

「デデデデ…そう来ると思ったぜ」

 

 テネーレは予想外の行動に虚を突かれた。間合いを詰めると同時にジャンもまた駆け出してきたのである。雷カラスの妨害を強引に振り切って。

 だが一度決めた体への指示はそう簡単に撤回できない。テネーレが発砲で牽制しつつ銃剣を振るって攻撃する一方で、ジャンはスライディングで足元へと潜り込んだ。

 

「アンタも結局はこの世界の人間だ、匣兵器が前提の戦い方が染み付いてる。だから余所者がどんなに不利でも匣を使わない、何かあるような素振りを見せていたら焦るんじゃねェかと思ってな」

 

「では秘策は無かった、ただのブラフだと?」

 

「いいや、あるぜ。元の世界から持ち込んだこいつがな!」

 

 そう言うとジャンは奇抜な帽子─に生えている頭部のサボテンに炎を注ぎ込んでいく。

 雲の炎の特性は”増殖”…目論見に気付いた時にはもう手遅れ、テネーレの体は急激に増殖していくサボテンの針に刺され、果肉に勢いよく突き上げられた。

 

「…ッ!!!」

 

「そういや名前を決めてなかったな…羅生門、デデデデ!いいじゃねェか羅生門!」

 

 天井に叩きつけられたテネーレはそのまま気を失う。こうして初の幹部戦は奇策を講じたジャンの勝利で幕を閉じるのだった─

 

─────────────

 

 決着からしばらく後…意識を取り戻したテネーレは未だ殺されていないこと、乱雑ながらも手当てを受けていることに驚きつつも起き上がる。

 ようやく明瞭になってきた視界にはジャンと、破壊工作を終えたスクアーロが映っている。それは個人の勝手な行動ではなくヴァリアーとしての方針で見逃されていることを意味していた。

 

「なぜ殺さなかった…トドメを刺す機会はいくらでもあったはずだ」

 

「言っただろ?おれは殺し屋じゃねえってな。だがタダで見逃したとあっちゃヴァリアーの顔が立たねェ…情報と引き換えに保護ってのはどうだ?」

 

「ミルフィオーレを裏切れと…ははは、確かに安くない対価だ。いいだろう。私はどの道失脚、提供する情報で死ぬのは”身内”ではないしな」

 

「身内じゃない…古城を拠点にしているのはホワイトスペルの連中か?」

 

 テネーレはスクアーロの問いに頷いた。

 

「ボンゴレの本拠地であるイタリア戦線を任せるにはあまりにも無能な男だよ。実戦慣れした我々ブラックスペル、できればγ(ガンマ)あたりを置くべきなのだがな」

 

 2つの組織が合併してできたミルフィオーレファミリーの人事は平等とは言えず、実権を握っている白蘭率いるホワイトスペルが何かと優遇されがちである。

 それを差し引いても激戦が予想されるイタリアの地で聞いたこともないような男が指揮を任されているというのは不自然であり、スクアーロは強い違和感を覚えていた。

 

「ガキどもがいる日本に戦力を集中させてやがるのか…?守護者がイタリア入りしたという情報は?」

 

「聞いていないな、少なくともブラックスペル側は。だが私たちにも話を通さず部隊を動かしている可能性は十分にある。せいぜい気をつけることだ」

 

「ハッ!てめぇに言われるまでもねぇ。う゛お゛ぉ゛ぉ゛いサボテン頭!じきに本部の回収部隊が来る、そいつを助けたきゃ自分で担いで来い!!!」

 

 ジャンは一足先に出口へと走っていくスクアーロを見送りながら抱き起こすと、武器の束と同じように脇に抱えた。

 

「まさか異邦人に命を救われるとは…本当にいいのか?私は部下を殺されている、報復のためお前たちに牙を剥くかもしれないんだぞ」

 

「デデデデ!そんなの元の世界じゃ日常茶飯事よ。この間も似たような理由で襲ってきた海賊を返り討ちにしたばかりだしな。アンタの銃はおれが預かっとくからまだ死ぬなよ!」

 

「そうか…感謝する」

 

 組織の、時代の変化を認められなかったテネーレは憑き物が落ちたように笑う。その後の取り調べにも協力的でボンゴレに数々の情報を提供し、ファミリーの損耗回避に大きく貢献したそうな…

 

───────────────

 

「聞いたわよ〜アナタの活躍♡初陣で情報提供者をゲットするなんてすごいじゃな〜い!」

 

「おいお前、フランが横流ししたナイフ失くしてないだろうな?」

 

「えっ!?」

 

 数日後─ヴァリアー本隊と合流したジャンたちは決戦の地である古城へと向かっていた。

 テネーレより提供された監視ルートは正確だったようで未だ戦闘は起きておらず、予定よりも順調に歩みを進めている。持て余した守護者たちにちょっかいをかけられる不便を被ることになったものの、素直に協力してくれたテネーレに感謝していた。

 

「う゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛いうるせえぞ静かにしろ!連中に聞かれたらどうすんだ!!!」

 

「ミーは隊長が一番うるさいと思いますけどねー」

 

「だとぅ!?」

 

「貴様たちいい加減にしろ、ボスが起きたらどうする」

 

「「「「…」」」」

 

 XANXUSを起こして不機嫌にするのはマズいという意見の一致から全員が口を閉ざす中、沈黙を破ったのはスクアーロであった。

 

「おいサボテン頭!お前のことは本部には話を通しておいた。この作戦でクソボスが認めるような成果を上げてみろ」

 

 それは雲の守護者としての資質を認められたことを意味していた。スクアーロの挑発によりこちらの世界に来てから翻弄されっぱなしだったジャンの野心がふつふつと湧き上がる。

 

(たまには組織で成り上がるのも悪くはねェか…元の世界に帰るまでの間、おれはヴァリアーで名を上げる!)

 

「隊長!そろそろ作戦区域に入ります!我々は予定通りコンテナの護衛に回ります」

 

「よおぉし!準備はいいかカス共!」

 

「久しぶりの前線、暴れるわよ〜!」

 

「指揮官の首を取りボスに褒められるのはオレだ」

 

「ミーは後輩としてレヴィさんのやる気を尊重しますー…ゲロッ」

 

「サボる気だろてめー。オレより殺れなかったら罰ゲームな」

 

「チッしまらねぇ奴らだ…集合場所は古城だ、ザコは好きに連れて行け。それじゃ…」

 

「暴れるぜぇ!!!」

 

 




気が付いたら一ヶ月経ってました。ヤバいですね☆
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