追い剥ぎのジャン・アンゴ、ヴァリアー雲の守護者を目指す   作:G-ラッファ

8 / 10
☆簡単な紹介

・ジャン・アンゴ…ONEPIECEに登場する、武器投げを得意とする賞金稼ぎ。話の展開上、当作品では「描写はないけどあり得なくはない」レベルに技能を盛ります。
 所持匣兵器は雲の炎で増殖する「雲プラナリア」。


・ヴァリアー…家庭教師ヒットマンREBORN!に登場する、主人公が跡を継がされるマフィア組織の暗殺部隊。
 入隊条件に多国籍言語の習得があるのを忘れていたけど気にしてはいけない

・XANXUS…大空を司るヴァリアーのボス。怒ると怖い

・スペルビ・スクアーロ…ひたすらに強く声が大きい剣士。声が疫災のクイーンと同じ。雨の守護者

・ベルフェゴール…ヴァリアー構成員の1人にしてナイフ使いのガチの王子様。メカクレ属性で手が早い。嵐の守護者

・フラン…カエル帽子のダウナー少年。ベルフェゴールとはよく殺し合いを演じるほどの仲良しで、色んな意味で今回のネックになる人物。霧の守護者

・ルッスーリア…足技が得意な肉体派オネエ。ネクロフィリア設定があるけど作中で生かされた記憶はあんまりない。晴の守護者

・レヴィ・ア・タン…ムッツリスケベの雷オヤジ。インテリ設定があるけど作中で(略)雷の守護者




標的8 古城奪還作戦来る!!

「くそっ…行け!嵐ハイエナ…ぐあっ!」

 

「"分解"なんて晴の炎の特性である”活性”で上回ればいいだけのことよ♪匣に頼り切りで歯応えがないわねぇ…」

  

 ルッスーリアは鍛え上げた肉体と活性の炎で匣兵器では覆せないスペックの差を見せつけ。

 

「何の音だ…雷鳴?みんな上を見ろ!」

 

「アエリーオ・レヴィ・ボルタ!!!フン、戦闘員がこの程度ではボスの器も知れているな」

 

 レヴィは雷エイを用いた上空からの奇襲で活路を開く。

 

「東の部隊がやられた!一度体勢を立て直して…なんだ!?いつの間に…!」

 

「全滅に気付くの遅すぎだろバーカ。バイバイ」

 

 ベルフェゴールは自部隊の全滅にすら気付けないほどの早さと静かさで死体の山を積み重ねていき…

 

「あ、やべ」

 

「新人とは聞いていたが迂闊すぎたな霧の守護者!一同かかれ…うわあああっ!!!」

 

「おー綺麗に転げ落ちて行きましたねー。今度ベルセンパイに試してみよ」

 

 フランは幻術による工作と撹乱で部隊間の連携を叩き潰す。

 

─う゛お゛ぉ゛ぉ゛い!!!弱すぎるぞぉ!

 

─ぎゃあああっ!!!…

 

「あちこちから悲鳴が聞こえるぜ…作戦が始まってからまだ5分も経ってねェよな?」

 

 森中に蔓延する悲鳴と血の匂いを嗅ぎながら、ジャンもまたスクアーロたちが食い破ったことでいくらか見晴らしが良くなった森を駆け抜けていた。

 今宵の作戦はいたってシンプル。闇に紛れて守護者たちが突破口を開きつつ一般隊員は残党の処理、安全が確保されたところでXANXUSを乗せた補給部隊が進軍という流れである。

 

 ジャンは素性が知られていないことを利用して、目標である古城へのルートからやや外れての奇襲を任されていたのだが…守護者たちの大暴れぶりに出番を食われつつあった。

 

(クソッ、このままじゃ歩いてただけになっちまう!考えろおれ!この状況で名を上げる方法を!)

 

 考えている間にも守護者たちは古城を目指して競い合い、雑兵どもを蹴散らしていく。その大胆不敵な動きは暗殺部隊というよりも凶悪な海賊たちのようである。

 

「…海賊?」

 

 こちらの世界に迷い込んでから10日ほど、ジャンは見落としていたあることに気付く。それはこれまで関わってきたマフィアという存在もまた非合法な人間の集まりであり、本質的には海賊と大して変わらないこと…

 そして彼らが海賊と似たようなものであれば、これまで元の世界で築いてきた行動予測が活かせるかもしれないことを。

 

「デデテデ、おれとしたことが難しく考えすぎていたようだな!情報はある、あとは今まで捕まえてきた賞金首どもの動きを思い出せば…!」

 

──────────────

 

『こちら第11小隊、応答せよ!上空に雷の匣兵器を確認!おそらく近隣の部隊は…ぎゃあああっ!!─』

 

「雷の守護者がポイントC6を通過。同じ雷では撃ち負ける、基地と進路を結んだ先に嵐属性の兵士を配置させろ」

 

 ここは森の奥深く、古城から離れたとある場所。無線機から絶えず聞こえてくる悲鳴の発信源をひたすらメモに取りながら、地図と照合する兵士たちがいた。彼らは全体を見る指揮官では処理しきれない、ミクロな戦局の動きを現場から観測・指揮するいわば移動司令部である。

 

 場数を踏んできた彼らはまさしく精鋭であり、凄まじい速度で進軍する守護者たちの動きをおおむね正確に追跡していた。

 

「守護者のものと思しき被害報告しか上がってこないな…まさか奴らのみで落としに来たのか?」

 

「監視網にかからない場所から補給もなしに侵攻できるとは思えない。後方にいるサポート部隊を潰して干上がらせる手もあるが…誰だ!」

 

 草木を踏み鳴らす動物ではない音に兵士たちが振り返り、身構える。茂みの中から姿を現したのは頭にサボテンを生やした半裸の男─ジャンであった。

 

「なんだこいつは!?ヴァリアーの隊員、か…?」

 

「奴らもプロだ、こんな奇妙な男は雇わないはず。だが民間人にも見えないな…まさかUMA…じゃ、ないよな」

 

 突如として現れた、こちらの世界ではまず見ない服装と体格の不審者に困惑する兵士たち。しかし困惑しながらも対応に当たっている者たちのリングには炎が灯っており、奥で役目を続行している者たちに至ってはすでに武器を展開している。

 

 ジャンは手を挙げて敵意がないことをアピールしつつも、その手際の良さから彼らが精鋭であることを確信し、湧き上がる大物食らいの血は無意識に口角を吊り上げていた。

 

「おれの世界にもいたんだよ…無能な船長を参謀が影から操る海賊団ってのが。そういうタイプは決まって普段は目立たない立ち回りをしてるもんなのさ」   

 

「海賊…?こいつクスリでもやってるんじゃないのか」

 

「戦場の目と耳であるアンタたちを討ち取れば挟撃もなくなるハズ…功績としてはなかなかデカいと思わねェか?」

 

「…いや違う、こいつは刺客だ!総員戦闘準…」

 

「遅ェ!”妓配王蹴擦捕”!!」

 

 ジャンが指先で命令を出すと同時に兵士たちを取り囲む森の中から、無数の武器が降り注いだ!予め分裂させた雲プラナリアに武器を持たせて配備、自ら注意を引くことで直前まで存在を気取られないようにしたのである。

 異世界からの不審者と雲プラナリアの兵器特性─2つのイレギュラーは彼らの平静をかき乱すには十分であり、対応にあたっていた兵士は奇襲の餌食となってしまう。

 

 それでも攻撃を避ける警戒を強めていた精鋭たちに対し自ら武器での狙撃を試みるも、即座に展開した槍によって弾かれてしまう。奇襲作戦にすら対処してきた精鋭たちに対し、ジャンは変わらず不敵な笑みを浮かべていた。

 

「敵は複数の可能性がある、前衛は匣兵器を展開しつつ多方向からの攻撃に警戒しろ!」

 

「了解!行ってこい雷鳥!」

 

「嵐ハイエナ!お前もだ!」

 

 兵士たちは即座に匣を展開して支援にあたらせる。雷鳥は全身に硬化の炎を纏ってジャンへ特攻を仕掛け、嵐ハイエナは嗅覚で敵を探しつつ分解の炎で隠れ場所を潰していく。

 そして自らもそれぞれの武器を構えてにじり寄り、敵とみなした男の隙を冷静に伺っていた。

 

(雷鳥ってやつは突っ込むだけで単純だな、雷カラスに比べれば大したことねぇ。問題はあの嵐ハイエナとかいうヤツだ…アレを放置してたらおれの匣が森ごと燃え尽きちまう)

 

「こっちも行くぜ!”妓配王"!!」

 

─グエェッ!?

 

─キャイン!

 

 ジャンは姿勢を屈めて回避しつつ、雷鳥の突撃に合わせて手甲のクローを展開した。勢いに乗った体は罠に気付いたところで回避できず、そのまま切り裂かれて匣へと戻っていく。

 そのまま脇に抱えた武器に手を伸ばして狙撃、嵐ハイエナを見事撃ち抜くとこちらも無力化に成功した。

 

「デデデデ!こっちに来てからクセモノとばかりやり合ってきたんでな!普通の匣兵器じゃ苦戦しないぜ!」

 

「…生け捕りは困難と判断、尋問は戦闘の中で行う」

 

 隊長と思われる男は匣兵器を瞬殺されたにも関わらず冷静に指示を出すと、自らも懐の匣兵器を展開する。そうして現れたのは─青い炎を纏いながら宙を漂う、細長い魚の群れであった。

 

(青い炎はたしか…鎮静の雨か!触れたら動きが鈍るってやつだな)

 

「1つ目の質問だ…ヴァリアーやボンゴレの要注意リストにお前のような男はいなかった。一体何者だ?」

 

「デデデデ…こっちじゃ無名の賞金稼ぎよ」

 

「賞金稼ぎ…金目当てでミルフィオーレに手を出す殺し屋について情報は?」

 

 質問された兵士は腕に装着した端末を軽く叩いて首を横に振る。隊長と思しき男は口元を手で覆いながら少し考え込むと、囲ませた兵に距離を詰めさせながらさらに質問を投げかける。

 

「こちらの指揮官が無能だと断言していたな。まるで誰が配置されたのか知っているかのように…周辺の監視員から被害報告は上がっていない。どんな諜報術を使った」

 

 そう、先日倒したテネーレは情報提供だけではなく定時報告まで偽装してくれていたのだ。そして目の前にいる男の質問はそれらの工作がまだ機能していることを意味する。

 せっかくの協力者を売るほど落ちぶれてはいない…かといって嘘をつけるほど器用でもないジャンは黙秘を貫くと、隊長はため息のあとに手を振り上げた。

 

「この男にそんな器用な真似ができるとは思えない、ブラックスペルの誰かが裏切ったか。指揮官殿に報告すると仕事が増える…やはりここで吐かせるしかない。やれ」

 

「「「「はっ!」」」」

 

 隊長の手が降りると同時に兵士たちが一斉に襲いかかる!ジャンはそれぞれの武器に灯された炎から厄介なものを判断すると、こちらも手を振り下ろして雲プラナリアに指示を出す。

 

「もう一度”妓配王蹴擦捕”だァ!!」

 

 ジャンと配置換えした雲プラナリアによる多方向からの波状攻撃がミルフィオーレを襲う!だが─

 

「何!?」

 

 2人が放った武器の弾幕はすべて撃ち落とされてしまったのである。隊長が予め展開していた匣兵器─雨ダツによって。

 

「まさか武器飛ばしなんて戦術が被るとはな。だがこれでお前の優位性は無くなった…情報を吐くなら今のうちだぞサボテン男」

 

───────────

 

 手柄を上げるために襲撃した移動司令部、その隊長はなんと武器飛ばしを得意とする同業者…偶然にしてはできすぎている展開に、ジャンは困惑を隠せずにいた。

 

「おいおいマジかよ…まさか異世界で同じスタイルの奴と鉢合わせちまうとはな」

 

「スタッツ」

 

「…ん?」

 

「スタッツ。それが俺の名前だ。どのみちお前はデータに無いんだ、それくらいは明かしても問題ないと思うが?」

 

「デデデデ!それもそうか。おれはジャン・アンゴ!いずれすべての海賊を捕らえ名を上げる男よ!」

 

(ジャン・アンゴ?響きから察するにフランスあたりだろうが…)

 

 スタッツは改めて目の前に立つ不審者の正体を考察するものの海賊を狩る賞金稼ぎでありながらボンゴレとの戦争に介入し、頭に生やした意図不明なサボテンのでたらめ具合は混乱を誘う。

 

 そして迂闊に漏らした"おれの世界"という言葉…この現場を任せてきた"真の隊長"がかつてパラレルワールドについて言及していたのを思い出し、違う時空からやってきたという突飛な結論が頭に浮かぶも。さすがにそれはないだろうと一笑に付す。

 隊員たちはこんな状況で笑うスタッツに怪訝な表情を向けつつも、異常事態を打破するための指示を待っていた。

 

「…悪い。奴も俺と同じ武器投げ使い、雲の炎を纏っているからおそらく実体だ。多方向から攻めるカラクリは不明だがこちらで対処する、お前たちはあの男だけに集中しろ!」

 

「「「了解!」」」

 

 スタッツの指示を受けた隊員たちは士気を取り戻すと、それぞれの炎を灯した武器を構えて再び一斉に襲いかかる!

 

「"六式・紙絵"!…なんてな」

 

 ジャンは槍による刺突をかわしてクローで反撃し、剣を振りかぶったことでがら空きになった腹へ蹴りを見舞って引き剥がす。兵士たちはよく鍛えられており決して弱くはないものの、ルッスーリアにしごかれ、元の世界で億超えの海賊を相手にしてきた男を仕留めるには物足りない。

 

「今だ嵐モグラ!奴の体勢を崩せ!」

 

「こいつ足元から…うおっ!?」

 

 だがそれは相手が兵士のみの話…何人かの兵士は戦闘に直接介入せず匣兵器による援護に回っており、多対一でどうしても生まれる隙を狡猾に突いてくる。

 嵐モグラと呼ばれる匣兵器に足を攻撃され体勢を崩したジャンに雷の炎を纏った鉢…電撃蜂の軍勢が一斉に襲いかかった。

 

(クソッまた雷かよ!武装硬化で針をしのいでもビリビリ来やがる!)

 

「"妓配王蹴擦捕"!」

 

 ジャンの指示を受けた雲プラナリアたちは武器を構えると匣兵器部隊に狙いを定める。そして茂みの間から狙撃を試みるが…

 

「─!」

 

 スタッツの周囲に浮かぶ雨ダツがそれを察知すると突撃し相殺、やはり兵士たちを守ってしまう。

 ジャンは武装硬化した腕で電撃蜂を叩き落としながら次の策を練ろうとするが、メイン戦術と匣兵器を封じられる中での打開策は簡単には見つからない。兵士たちもそれを理解しているようで、間合いを取りつつ周囲を取り囲み始めていた。

 

「どうするサボテン男、そろそろ吐く気になったか?お前の所属によっては命だけは助けてもいいぞ」

 

(おれたちの攻撃を撃ち落とす魚もだがそれ意外の連中と匣がうざってェ!奥の手として取っておきたかったが…!)

 

「"羅生門"!!!」

 

(死ぬ気の炎は覚悟で強さが決まる!マフィアも海賊も大して変わらねェってんだ…容赦してやる必要なんざはじめから無かったのさ!)

 

 ジャンが吹っ切れたことにより純度、大きさともに跳ね上がった雲の炎を注ぎ込まれた帽子のサボテンはみるみる増殖を始め、伸びた針は兵士たちを寄せ付けない盾となる。その増殖スピードは凄まじく、果敢にも立ち向かった男と嵐の炎ごと飲み込んでしまう。

 

「"シン・妓配王"!!!」

 

(増殖させたサボテンの針を飛ばしただと!?だが狙いは無茶苦茶、こちらへ飛んでくる数は大したことない!)

 

「雨ダツ!!」

 

 スタッツの指示を受けた雨ダツは主人と仲間を襲う針のみに突撃し、水に近い性質と鎮静の作用で針を無力化する。

 

「奥の手だったんだろうがやっている事は同じ、雨ダツにとっての脅威にはなり得ない。残念だったな」

 

「そりゃそうだ!今のはアンタたちに向けて飛ばしたわけじゃねェからな」

 

「?だったら一体どこへ…」

 

─…パキッ

 

─…バキッバキッ!ザザザッ!!!

 

「な、なんだ!?森の中に何かがいるぞ!」

 

「お前たちは標的から目を離すな!…そこだな!行け!雨ダツ!」

 

 大きなものが森の中を蠢き、草木をなぎ倒しながら多数近づいてくる音に困惑する兵士たち。揺らめく何かを視界に捉えたスタッツは雨ダツを突撃させて先手を取るも、その行為は"何か"にとっては最高のハンデでしかなかった。

 

 雨ダツの攻撃を受けた"何か"…もとい巨大化した雲プラナリアは分裂し、その姿を現す。先ほどジャンが飛ばしたサボテンの針を体内で増殖させているそれはあっという間に周囲を取り囲んだ。

 

「あの匣兵器が茂みから狙撃していたんだな。だがこの数は…多すぎる…!」

 

「魚が武器を撃ち落とすなら対応が間に合わないくらい増やしちまえばいいだけのこと…狩らせてもらうぜ!アンタの首を!」

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。