滅びた財団世界から来た先生   作:山瀬 鳴

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SCP財団
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プロローグ
あの腐りきった終わりから


()()()()で最後に見たのは、最愛の上司の死に顔だった。

…最愛というと語弊があるが、別に恋愛関係にあったわけじゃない。共に仕事をし、共にバカをやり、そして…共に終末を乗り越えようとした、最高の上司だった。まぁ、年齢は1つしか違わなかったが。

SCP財団。異常存在から世界を守る剣であり、人々を守る盾であり、彼らを守る手でもある我々は、突如発生した異常空間に飲み込まれた。

世界を瞬く間に覆った()()は、人々の身体を崩落させ、捩じ切らせ、容赦なく破壊した。

財団の最高意思決定機関『O5評議会』はこの一連の事象をすぐさまApollyonクラスのオブジェクトと制定。すぐに収容に向かったのだが、結果は虚しく、()()()()()()O()5() ()()()()()()()()()()2()()()()()()財団臨時中央委員会は正式にXK-クラス:世界終焉シナリオと認定。これにより人類文明は壊滅に陥った。そう。その筈だ。()()()()()()

「……律儀に音声ログを残すなんて、研究員が染み付いてしまいましたね。私も」

私はレコーダーの再生ボタンを押した。

 


 

『…No.896…O5全滅並びに臨時委員崩壊から5週間経過…頼みの綱のThaumielオブジェクトも殆どぶっ壊れていました。クソが…』

『口が悪いよ空落 天戸(からおち あまと)研究員』

『フルネームで呼ばないでください先輩。ログ担当は相変わらず空落研究員と中宮 神子(なかみや かなこ)研究主任の二人です』

『毎度律儀だね…』

『そうですかね』

『この状態でいつまで持つかね…』

『…私達が死ぬのも時間の問題ですね』

『だね…そのログ装置もバッテリー温存の為に適度に切らないと』

『ですね』

 

『………今日も綺麗な青空だ。以上』

 


 

この数時間後、先輩は死んだ。

 

『君は生きて』

 

そう遺言を残して、財団が制作していた時空転移装置を起動させた。

そして私が最後に見たのは、笑った彼女が弾け飛ぶ姿だった。

 

「先輩。もう無理です」

 

私は死ぬ。今ここで。

この世界には財団は存在しなかった。私は異物だ。もういいんだ。疲れたんだ。私も。

 

“―――探しました。天戸さん”

「…なんでしょうか。私は今から死ぬのですが」

“貴方に―――”

「…なるほど。確かにそれも一興ですかね」

…また誰かに託されるというのも、存外悪くない。

 


 

「…私のミスでした」

”…まぁ、それもあるでしょうね”

「私の選択、そしてそれによって招かれたこの全ての状況。

結局、この結果にたどり着いて初めて、あなたの方が正しかったことを悟るだなんて……」

”そんなことよくあります。私も失ってから気がつくことが多すぎました”

「……今更図々しいですが、お願いします」

”…こんなろくでもない人間でよければ”

「先生。

きっと私の話は忘れてしまうでしょうが、それでも構いません」

”………まぁ、でしょうね”

「何も思い出せなくても、おそらくあなたは同じ状況で、同じ選択をされるでしょうから……」

”……あの選択が、正しいのかは、知りませんが”

「ですから……大事なのは経験ではなく、選択。

あなたにしかできない選択の数々」

”えぇ。財団職員である、私にしかできない選択…”

「責任を負うものについて、話したことがありましたね」

”ありましたねそんなこと”

「あの時の私には分かりませんでしたが……。今なら理解できます」

”………そうですか”

「大人としての、責任と義務。そして、その延長線上にあった、あなたの選択。

それが意味する心延えも」

”……買いかぶらないでください。私は只、職務に忠実だっただけです”

「ですから、先生。

私が信じられる大人である、あなたなら。

この捻じれて歪んだ先の終着点とは、また別の結果を……」

”…………えぇ。こんな巫山戯たKクラスシナリオは、もう懲り懲りです”

「そこへ繋がる選択肢は……きっと見つかるはずです。

だから先生……どうか」

”…………わかりました。さよなら。◯◯◯◯◯◯。また何時か、会いましょう”




メイスト読みながら書いているので遅くなりますが、失踪はしないようにします。
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