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SCP財団
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天戸先生、アビドスへ征く。
『ハイ…ハイ。了解しました…チッ…』
『…また?』
『…はい。カウンセリング後、即刻終了処分だそうです』
『…そう』
『ホント…ここは命をホチキスの針の如く消費する…イカれてるとしかいいようがない』
『何故、彼らは疑問に思わないんだろうか、ね…。確かに、Dクラスの存在意義は私も可怪しいとは思っていたけど』
『…やっぱわからないですか…』
『…そういや、天戸くんは教師になろうとしてたんだってね。それがなんで財団に?』
『………元々、人を助けたかったんです。だから、子供達の助けになれる先生になろうとしてました…しかし、財団に入れば世界を救えると言われて…だけど、こんなクソみたいな場所だったとは…』
『…優しいんだね、天戸くんは』
『…そうなんでしょうか』
『うん。こんな薄汚れた場所でも、他人のことを思えるんだから』
『…それは先輩もでしょう?』
『そうかもね…じゃあ、この書類を…』
『先輩この後暇でしょ。逃がしませんからね?』
『えぇ!?そんなご無体なぁ!』
『いやちゃんと仕事してください!!』
”…あぁ、もう朝か…”
…なんだか懐かしい夢だったな。って、もうこんな時間か。さっさと着替えてオフィスにいかないと…
…やっぱり、あそこはイカれていやがった。最後の最後まで、命を消耗品として見ていやがった。
それにしても、シャーレに住めてよかった。他に家持つと面倒だからなぁ…財団時代もあのオフィスに寝泊まりしてたからなぁ…
”………それにしても…何この書類の山”
財団時代と変わらないんだけどこの量…まぁ行政機関だしこんなもんか…
「おはようございます!先生」
”ん?あぁ、おはようアロナ”
「ここ数日間、シャーレに関する噂もたくさん広まっているみたいですし、他の生徒から助けを求める手紙も届いています。これは良い兆候です!私たちの活躍が始まるということですから」
”だろうね。ちなみにどれくらい来てるんだ?”
「えぇっと、30通は超えていますね」
”まぁ、そんなものだろうね”
「ですが…ちょっと不穏な物も…」
”…見せてもらっても?”
「はい。コチラになります」
[連邦捜査部の先生へ。
こんにちは。私はアビドス高等学校の奥空アヤネと申します。
今回、どうしても先生にお願いしたいことがあり、このような形でお手紙を差し上げました。
単刀直入に申し上げますと、私たちの学校は現在、地域の暴力組織に追い詰められています。
私たちの校舎が狙われているのです。今は何とか持ちこたえていますが、弾薬や補給物資が尽きかけています。このままでは学校を占拠されてしまうかもしれません。先生、どうか私たちの力になっていただけませんか?]
…これは、嫌な予感がするな。こういうのを放置して碌なことがあった試しがない。
”アロナ、ここにすぐに向かう。アビドス高等学校について情報が欲しい。頼める?”
「え?即決ですか!?」
”善は急げだ。見たところ、時間もなさそうだしね”
「わかりました。情報ですね。えっとですね…昔はとても大きい自治区でしたけど、気候の変化砂漠化して街が厳しい状況になっていると聞きました」
「どれほど大きいかというと、街のど真ん中で道に迷って遭難する人がいるぐらいだそうです!」
「あはは、まさか、そんなことあるんでしょうか...?いくらなんでも街のど真ん中で遭難だなんて...。さすがにちょっとした誇張だと思いますが…。それより学校が暴力組織に攻撃されているなんて…ただ事ではなさそうですが…」
”気候変動か…砂漠…飲料水は多めに持っていくか”
それじゃ、行きますか。アビドス。まぁ、多少ならなんとかなるでしょ。
聞いてないわこんなに広いなんて。確かに私も誇張表現と思ってたが…誇張抜きで迷うわ…しかも古い地図しかなくて余計迷うし…
(不味いな…脱水症状出てきた…このままだと死ぬぞ…)
「…ん?…あの…。…大丈夫?」
”?あぁ…”
誰だ…?この子は…
「あ、生きてた。道のど真ん中に倒れてるから、死んでるのかと」
”いや…脱水症状で…”
「…え?喉が乾いて倒れてた?…ホームレス?えっと....」
ホームレスとは失敬な…
「…えっとつまり用事があって数日前この街に来たけど、お店が一軒もなくて脱水と空腹で力尽きた、と。ただの遭難者だったんだね」
”そういうことだね”
「ああ。ここは元々そういう所だから。食べ物がある店なんか、とっくに無くなってるよ」
”マジか”
「こっちじゃなくて、もっと郊外の方に行けば市街地があるけど」
”いや、ここ初めてで…”
「…なるほど、この辺は初めてなんだね」
「...ちょっと待って」
?
「はい、これ。エナジードリンク。ライディング用なんだけど…今はそれぐらいしか持ってなくて。でも、お腹の足しにはなる。えっと、コップは...」
”あぁ…ありがとう”
「…!あ…それ…」
あ、流石に直はまずかったか…?口自体はつけてないが…
「…ううん、何でもない。…気にしないで」
”?すまない。助かったよ”
「うん。見た感じ、連邦生徒会から来た大人の人みたいだけど…お疲れ様。学校に用があって来たの?」
”そうだね”
「この近くだと、うちの学校しかないけど…もしかして...アビドスに行くの?」
”あ、君がアビドスの子かい?”
「うん。…そっか。久しぶりのお客様だ」
「それじゃあ、私が案内してあげる。すぐそこだから…」
”あぁ…悪いね…ッ!?”
ヤバっ…脚攣った…
「ど、どうしたの?」
”脚…攣っちゃった…”
「うーん…どうしよう」
”乗せてって…いや、そのタイプなら無理か…なら背負ってくれ…両脚逝った…”
「…。まあ、そのほうがいいか。ロードバイクはここに停めて、と…」
「それじゃ…。…あ待って」
”?”
「えっと…さっきまでロードバイクに乗ってたから…そこまで汗だくってわけじゃないけど、その…」
”あぁ…別に大丈夫だから…”
「気にならないなら、まあいいか。それじゃ..」
「しっかり掴まってて」
うおっ…結構速いな…!?
「ただいま」
「おかえり、シロコせんぱ...い?うわっ!?何っ!?そのおんぶしてるの誰!?」
「わあ、シロコちゃんが大人を拉致してきました!」
「拉致!?もしかして死体!?シロコ先輩がついに犯罪に手を…!!」
「みんな落ち着いて、速やかに死体を隠す場所を探すわよ!体育倉庫にシャベルとツルハシがあるから、それを…」
死体とは失敬な…まだ生きてるよ…私は。私だけは。
「…。いや…普通に生きてる大人だから。うちの学校に用があるんだって」
「えっ?死体じゃ、なかったんですか…?」
「拉致したんじゃなくて、お客さん?」
「そうみたい....」
”んん…始めまして”
「わぁ、びっくりしました。お客様がいらっしゃるなんて、とっても久しぶりですね」
「そ、それもそうですね…でも来客の予定ってありましたっけ…」
”シャーレ顧問の空落天戸です。よろしく”
「....え、ええっ!?まさか!?」
「連邦捜査部シャーレの先生!?」
「わあ★支援要請が受理されたのですね!良かったですね、アヤネちゃん!」
「はい!これで…弾薬や補給品の援助が受けられます。あ、早くホシノ先輩にも知らせてあげないと…あれ?ホシノ先輩は?」
「委員長は隣の部屋で寝てるよ。私、起こしてくる」
…!今の銃声か?
「じゅ、銃声!?」
「!!」
「わわっ!?武装集団が学校に接近しています!カタカタヘルメット団のようです!」
…なんだそのネーミングセンス…
「あいつら…!!性懲りもなく!」
「ホシノ先輩を連れてきたよ!先輩!寝ぼけてないで、起きて!」
「むにゃ…まだ起きる時間じゃないよー」
「ホシノ先輩!ヘルメット団が再び襲撃を!こちらの方はシャーレの先生です」
「ありゃ~そりゃ大変だね…あ、先生?よろしく、むにゃ」
…今一瞬冷ややかな目をしたな…
「先輩、しっかりして!出動だよ!装備持って!学校を守らないと!」
「ふぁあー。…むにゃ。おちおち昼寝もできないじゃないかー、ヘルメット団めー」
「すぐに出るよ。先生のおかげで、弾薬と補給品は十分」
「はーい、みんなで出撃です★」
「私がオペレーターを担当します。先生はこちらでサポートをお願いします!」
”…いや、現場指揮と支援射撃を行う。大丈夫、多少慣れてるよ”
「?そ、そうですか。ならお願いします」
”よし、総員!戦闘準備!”
「カタカタヘルメット団残党、校外エリアに撤退中」
「わあ★私たち、勝ちました!」
「あははっ!どうよ!思い知ったか、ヘルメット団め!」
「…先生射撃上手いね」
”…そうでもないさ”
この目…まただな…
「皆さんお疲れ様でした。学校に帰還しましょう」
…ホシノだったか。気にかけたほうがいいな…