滅びた財団世界から来た先生   作:山瀬 鳴

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インフルエンザで死んでました。許さねぇ…

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SCP財団
http://scp-jp.wikidot.com/


”かつての私とその使命”

"なるほど…コレ全部違法車種と…"

「はい。そうみたいです。もう少し調べる必要はありますが、ヘルメット団は自分達では入手出来ない武器まで保有しているようです」

"…これは裏がありそうだな…"

「だねぇ〜…」

"で、セリカは大丈夫?あまり動いてないとはいえ、トラックの中で監禁されてただろう?"

「大丈夫…その…先生…ありがとう。助けてくれて」

"どういたしまして。先生、人助けは慣れてるからね"

「かっこよかったですよ先生!本当に頼もしいです☆」

"アハハ"

…私はただ、職務に忠実にいるだけだとは、流石に言えなかった。

今も昔も、それだけは変わらなかった。でも…

(職務じゃなくても、私は動いていたさ。これは、嘘偽りない)

誰かを助けるという思いは、今も昔も変わらないから。

 


 

その晩、夢を見ていた。

財団の研究によりわかったのだが、よくある摩訶不思議な夢の殆どは、微弱な精神汚染により見ているらしい。私の場合は精神汚染に耐性があるため、よく記憶の呼び起こしのような感じの夢を見る。

(あぁ…コレはあの時の…)

私は何も出来ない。かつての私の動きをただ繰り返すのみである。

長い長い廊下。財団の廊下であるが…見慣れてはいない。何故なら、ここはアメリカの財団本部だから。

「呼び出しとは…一体何だ?」

かつての私の発言通りに口を動かし、私は長い廊下を進んだ。

「ここだ。入り給え天戸研究員」

「入りたいから銃口降ろしてくれますか?なんです?アメリカ式の歓迎でしょうか?」

「…わかった」

そうして扉を指紋認証で開けた先に居たのは

「やぁ、よく来てくれたね空落天戸研究員。申し訳ないね。このようなお出迎えになってしまって」

「貴方が呼び出した張本人ですか。…申し訳ありませんが、どちら様で?」

ツイード地のスーツを着た、40代ほどのヨーロッパ系の男性がそこにいた。そう、彼は、

「私はO5-5。"黒歌鳥(ブラックバード)"か、"企業家( ジ・アントレプレナー )"か、"出納係(ザ・トレジャラー)"と呼ばれているが…まぁ、好きなように呼んでくれて構わない」

「…は?」

当時はまさか会えるとは思っていなかった。SCP財団のトップの13人である、O5評議会メンバーに。

「本来は認識阻害装置を噛ませて人と会うことが多いんだが…君には意味なかったよね。だからはなから外してあるよ」

「…すみませんね。お手数おかけして…」

「いやいや。君に会えるというだけで心躍ったさ」

「…それはどうも」

他愛のない会話。しかし、片手は拳銃に添えていた。戦闘でも…自決でも即刻出来るように。

「…で、要件はなんでしょうか」

「まぁまぁ落ち着き給えよ。その手にかけている物騒なものを置いて話をしようか」

「!?」

「ほら、そこに棚があるだろう?置き給え」

「…」

私は静かに棚に拳銃を置く。

「君を呼んだのは他でもない。…君がこの財団の異常性に気がついた数少ない人間だからだ」

「…一体何の話でしょうか」

「とぼけなくていい。…君は、Dクラスの存在意義を疑問に思っていたね」

「…そうですが」

「…彼らDクラス…そして、私以外のO5含めた財団職員の大勢は、とあるオブジェクトに汚染されている。いや、Dクラスはオブジェクトそのものだったな…」

「…どういう意味で?」

「君も顔色を変えることがあるんだね」

「…どういう意味ですかソレは」

「それはいいとして…これだ」

そこにあったのは、画面を光らせているパソコン。

SCP財団の保有する報告書。

「ここにSCP-2959の報告書がある。これを見て、君の思いを聞かせて欲しい」

彼はその後「What We Did, What We Were(かつての我らとその使命)」と呟き黙り込んだ。

私は報告書を読んだ。そして理解したのだ。かつての彼らとその終わりを。

「こ、れは…」

「言わなくていいさ。で、どう思った?」

「…聞かせてください」

「何をだい?」

「あなたは()()()()()()()()()?」

「…あぁ。現在同士を集めている最中さ」

「なら、協力します」

「…君ならそう言ってくれると信じてたよ」

そう言うと彼は私に紙を握らせた。

「私直通の電話番号だ。なにかあったらかけなさい」

「…ありがとうございます」

「これが仕事だからね」

 

世界終末開始から、2週間ほど前の話である。

 


 

翌朝。

「…それでは、アビドス対策委員会の定例会議を始めます。本日は先生にもお越しいただいたので、いつもより真面目な議論が出来ると思…ったのですが…」

「…うへ〜、先生なんかあったの?」

「先生、朝から真面目な顔で固まってる」

「ちょっと先生!?話聞いてるの?」

「先生?大丈夫ですか?☆」

”ん?あぁ…ごめん。なんでもないよ”

私は目を覚ましたから時からずっと、あの夢について考えていた。結局、O5-5は行方不明*1になっていた。だから彼の計画については知らずじまいだ。…彼は何をしようとしていたのだろうか…

「早速議題に入ります。本日は、私達にとって非常に重要な問題……『学校の負債をどう返済するか』について、具体的な方法を議論します。ご意見のある方は、挙手をお願いします!」

「はい!はい!」

「はい、1年の黒見さんどうぞ」

「……あのさ、まず名字で呼ぶの、やめない?ぎこちないんだけど」

「せ、セリカちゃん……でも、せっかく会議だし……」

「いいじゃーん、おカタ~い感じで。それに今日は珍しく、先生もいるんだし」

「珍しくというより、初めて」

「ですよね!なんだか委員会っぽくてイイと思いま~す☆」

結構ペツァディレーシュの会議はいい加減だったからこういう感じは久しぶりだ。まぁ、二人だけの会議だから仕方なかったが。

「はぁ……ま、先輩達がそう言うなら……とにかく!対策委員会の会計担当としては、現在我が校の財政状況は破産寸前としか言いようがないわっ!」

「たしか……借金って約9億6000万でしたっけ」

ホントイカれた金額だよ。

「そう……このままじゃ廃校だよ!みんな、わかってるよね?」

「うん、まあねー」

「毎月の返済額は、利息だけで788万円!私達も頑張って稼いでいるけど、正直利息の返済も追いつかない。これまで通り、指名手配犯を捕まえたり、苦情を解決したり、ボランティアするだけじゃ限界があるわ」

「……えっと…結論は?」

「このままじゃ、らちが明かないってこと!何かこう、でっかく一発狙わないと!」

「でっかく……って、例えば?」

「これこれ!街で配ってたチラシ!」

”?なになに?『ゲルマニウム麦飯石ブレスレットであなたも一攫千金』?…コレ詐欺だよ”

「えぇ!?」

「セリカちゃん...それ、マルチ商法だから......」

「へっ!? そっ、そうなの? 私、2個も買っちゃったんだけど!?」

「セリカちゃん、騙されちゃいましたね。可愛いです☆」

「……!!」

”ゲルマニウムにそんな効果はなかった筈だぞ…”

「えっと……それでは、黒見さんからの意見はこの辺で……他にご意見のある方……」

「はい!はい!」

「えっと……はい、3年の小鳥遊委員長。ちょっと嫌な予感がしますが……」

「うむうむ、えっへん!...我が校の一番の問題は、全校生徒がここにいる数人だけってことなんだよねー。生徒の数=学校の力。トリニティやゲヘナみたいに、生徒数を桁違いに増やせれば、毎月のお金だけでもかなりの金額になるはず」

「確かに良い案かもしれませんが、でもどうやって......」

「簡単だよ~他校のスクールバスを拉致ればオッケ~」

”…いやいい訳ねぇだろ!バカじゃねぇの!?”

「登校中のバスをジャックして、アビドスへの転入学書類にハンコを押さないと降りれなくする。これで生徒数が増えること間違いな~し!」

”いやアホか!んな手段認められるか!!!”

財団の3イカれを思い出し語気が強まる。だってあの3イカれがやりそうじゃないか…

「うへー...やっぱそうだよねー....」

「やっぱそうだよねー、じゃありませんよ、ホシノ先輩......もっと真面目に会議に臨んでいただかないと......」

「ん、それなら私にいい考えがある」

「……はい、2年の砂狼シロコさん」

「銀行を襲うの」

”…は?”

「確実かつ簡単な方法。ターゲットも選定済み。市街地にある第一中央銀行。金庫の位置、警備員の動線、現金輸送車の走行ルートは事前に把握してある」

「さっきから一生懸命見ていたのはそれですか!?」

「5分で1億は稼げる。はい、覆面も用意した」

そう言って五枚の覆面を取り出した。なんだよその行動力…

「うわー、これ、シロコちゃんの手作り~?」

「わあ、見てください☆ レスラーみたいです!」

「いやーいいねぇ~。人生一発でキメないと。ねぇ、セリカちゃん?」

「そんなわけないでしょ!! 却下! 却下!!!」

「そっ、そうですっ! 犯罪はいけませんっ!」

「......」

「そんなふくれっ面をしてもダメなものはダメです、シロコ先輩っ!」

”何故行けると思ったのか…”

「......はぁ。......みなさん、もうちょっとまともな提案をしていただかないと......」

「あのー! はい! 次は私が!」

「...はい、2年の十六夜ノノミさん。犯罪と詐欺は抜きでお願いします...」

「はい! 犯罪でもマルチ商法でもない、とってもクリーンかつ確実な方法があります!」

「アイドルです! スクールアイドル!」

「あ、アイドル!?」

「そうです! アニメで観たんですけど、学校を復興する定番の方法はアイドルです! 私たち全員がアイドルとしてデビューすれば...」

”アニメの見過ぎだろ…”

「却下」

「あら...これもダメなんですか?」

ホシノが言うのか…

「ノノミちゃんやユメ先輩みたいにスタイルが良い子ならまだしも、おじさんみたいな子がアイドルやってもね~」

「なんで? ホシノ先輩なら、特定のマニアに大ウケしそうなのに」

「うへ~、こんな貧弱な体が好きとか言っちゃう輩なんて人間としてダメっしょ~。ないわー、ないない」

梁野博士(変態野郎)なんかは普通に…いや、あの人は他人を全員平等に愛してるんだったな…あの人とは心理学専門同士よく会った。まぁ何度ウチの研究室の前の廊下で寝てたことか…

「決めポーズも考えておいたのに...」

「水着少女団のクリスティーナで~す♧」

「何が『で~す♧』よ! それに『水着少女団』って! だっさい!」

「えー...徹夜で考えたのに...」

徹夜でソレ…?

「あのう......議論がなかなか進まないんですけど、そろそろ結論を...」

「じゃあ先生は何か案ある? もし無かったら今出た案の中から選んでもらいたいんだけど」

”え?私?”

…いや、駄目だ駄目だ…借金してる企業に襲撃かけるなんて考え…!それこそ3イカれじゃないか…!

”どれも嫌なんだが?”

「......い......」

「いいわけないじゃないですかぁ!!」

”うおっ!?”

アヤネが不意にちゃぶ台返しをした。咄嗟に回避したがワンチャン私の頭にぶつかりそうになった。マジで危ねぇ…

「で、出たー! アヤネちゃんのちゃぶ台返し!」

「きゃあ、アヤネちゃんが怒りました! 非常事態です!」

”君達流石に反省しな…?”

 


 

同時刻、とある屋上

ワーオ!まさか()()()()がここに来ているとはね」

「まさか君が来ているとはねぇ…正史記録者(アカシックレコーダー)?」

「さぁて…それはさておき…私も動こうかな?」

「それじゃあキヴォトスの子供達?」

「楽しんでね!」

 


 

この世界線のオブジェクト等解説。

 

O5-5

財団職員時代、先生に接触してきたO5。この世界線ではO5評議会は結構面と向かって職員に接触することもあった。

 

SCP-2959 - かつての我らとその使命

オブジェクトクラス Keter-potissimi

Dクラスという存在とそれに付随する認識災害。先生とO5-5等、一部財団職員にしか気が付かなかった。先生が「命をホチキスの針の如く消費する」と形容した状態を生み出した元凶。

 

梁野博士

変態行動を繰り返してる日本支部の変人。他人を細分化出来ないことが行動の原因らしい。先生とは心理学関係で知り合いだった。

 

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*1
と言ってもあの空間の影響を受けた人物は跡形もなく消滅することもあるので行方不明=死亡と言ってよかったのだが




Q.なんで天戸先生は財団職員なのに倫理観マトモだったんですか?
A.SCP-2959の影響を受けていなかったから

O5司令部書類
原語版タイトル: O5 Command Dossier
訳者: YS_GPCR
原語版作者: thedeadlymoose
ソース: http://scp-jp.wikidot.com/o5-command-dossier
原語版ソース: http://scp-wiki.wikidot.com/o5-command-dossier

SCP-2959 - かつての我らとその使命
原語版タイトル: SCP-2959 - What We Did, What We Were
訳者: gnmaee
原語版作者: kinchtheknifeblade
ソース: http://scp-jp.wikidot.com/scp-2959
原語版ソース: http://scp-wiki.wikidot.com/scp-2959

梁野博士の人事ファイル
作者: yanyan1
ソース: http://scp-jp.wikidot.com/author:yanyan1
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