「いらっしゃい!」
店の中には、一人の先客と店主かいた。
「あら、小夜じゃない。それと,,,その子が月夜見の一人息子?」
話しかけてきたのは先客の女の子。
見た目は10歳くらいで綺麗な金髪を濃いピンクのリボンでツインテールしている。
同じ色のワンピースの裾は白いレースで縁取られていて袖口や襟元には可愛らしいビーズの飾りがあった。
肌は透き通るように白く佳夜を見つめる紅い瞳は妖しげに輝いている。口元に目をやると八重歯というには鋭すぎる、例えるなら牙だろう犬歯がチラチラと覗いていた。膝に乗っている黒猫が女の子の妖しさをより増幅させるような気がした。
「お?今代はなかなかいい感じだな。」
店主らしい少女が声をかけてくる。
銀髪のボブカットのせいか幼く見えるがそれを差し引いても恐らく16歳と思われる見た目。そこに生えている狐と思われる耳と五本の尻尾が人間ではないことを物語っている。
眼鏡の奥から覗くとび色の瞳は、佳夜をじっと見つめていた。
「とりあえず座んな。客を立たせたままってのもアレだし。」
「あ、はい。」
適当に空いている席に座った小夜の隣に佳夜も座ったところで店主が口を開く。
「私は、この「こんこん亭」の店主。月影華梨(つきかげかりん)だ。見ての通り化け狐さ。で、そっちの幼女が,,,,,」
「幼女言うなし。,,,私は、マリー・フレデリカ・ツェペシュだ。マリーでいい。私は吸血鬼だ。んで、この黒猫は、私の使い魔のノア。一応化け猫だから人間に近い姿を取ったりもする。引っ掛かれると九割の確率で死ぬから気を付けてくれ。」
「僕は月夜見佳夜です。よろしくお願いします。」
「そう緊張するな。私たちはお前に危害を加えたりはしない。」
意外にも凄く友好的である。
特にノアは、突然マリーの膝から降りたかと思うと、ちょこちょこと佳夜に寄ってきて喉を鳴らしながらすりよってきた。
「人懐こいんですね。」
「,,,いや、ノアが私以外にそんなことをしたのは初めてだな。お前猫は好きか?」
「はい。」
「そうか。良ければ膝の上にでも乗っけてやってくれ。」
佳夜はノアを抱き上げて膝に乗せてやり、顎の辺りを軽く撫でてやった。
その間ノアはされるがまま、完全に無抵抗だった。
「良かったね佳夜くん。ノアちゃんに気に入られて。これでよほどのことがない限り死なないよ。」
小夜が言う。
確かに引っ掛かれるだけで死ぬような猫が味方なら殆ど死ぬことはないだろう。
そして、ノアの主人であるマリーとも友好な関係が築けるだろう。
「おや、もうこんな時間か。小夜ちゃん達はもう帰った方がいいね。そろそろ危ないのが出てくる。それに外も暗いし。マリーこの子達送ってってあげて。」
「わかった。ノアは留守番しててくれ。,,,二人とも行くぞ。」
そういってマリーは立ち上がり、それに続いて二人も立った。
暗い道を家まで送ってもらいそのまま別れた。
_次の日_
放課後、今日も小夜と一緒に帰ろうと話しながら校門まで向かうと、そこにはノアが行儀よくちょこんと座って待っていた。
二人を見つけると「にゃ~ん」と機嫌良く一声鳴いた。
「迎えに来てくれたのか?よしよし。」
佳夜はいいながらそっと抱き上げて神社までの道を歩き始めた。
昨日のなんだか緊張した雰囲気とは違い今日はなんだかウキウキする。
(早く二人に会いたいな)
少し速足になっていたらしく後ろから小夜の声がした。
「ちょっとぉ。もちっとゆくたいさるこーや,,,」
「ごめん。つい。」
店について戸を開けると、そこにマリーの姿はなかった。
「おぉ。小夜ちゃんと佳くん。あ、マリーなら上で寝てるよ。」
華梨は、店の奥の階段を示して言った。
佳夜はノアを抱いたままその階段を上っていった。
上り切るとそこには二つの扉があって片方に〈Mary〉と書かれた札が掛かっていた。
ノックをしてドアノブに手をかける。
鍵は開いていたので普通に入った。
中には物書き机とベットがあった。
黒を基調とした部屋は何となく昔からあったような雰囲気がした。
ところで肝心のマリーはというとベットの上ですやすやと寝息を立てている。
ちゃんと毛布を被っている。
佳夜はそんな姿を見て気づく。それは、毛布で隠れていても分かる、昨夜との違い。
蝙蝠の羽のような形の翼。
_考えてみれば昨夜、何故気に止めなかったのだろう。
あのとき彼女には、翼などなかった。吸血鬼と言われてまず想像しそうなものなのに。_
考えを巡らせている佳夜の腕の中でノアがもそもそと動いていた。
「ん?どうした?」
それに佳夜が気づくと同時にノアは佳夜の腕から抜け出した。
そして、着地したとき、彼女はマリーが言っていた『人間に近い姿』になっていた。
大体十代後半くらいの見た目で髪は黒いセミロングくらいのストレート。メイド服に猫耳と長い尻尾の少女の姿だ。
「!?」
「あ、驚かせて申し訳ありません。とりあえず詳しいことは、ご主人をおこしてからで。」
そう言うとベットの方を向いて優しく主人に呼び掛ける。
「お嬢様~。マリーお嬢様~。」
「あと、五分,,,」
「佳夜さん来てますよ~。」
その言葉にモゾモゾと起き上がるマリー。
状況を把握。
「,,,なんでお前がわあしのへあにいるんだよぉ,,,」
寝ぼけた声で怒る。
可愛い。
「ノックはした。」
「よし。ならいい。着替えるからでてけ。」
(いいのかよっ!!)
心の中で突っ込みつつ部屋を出て階段を降りる。
ここまで!
中途半端ですみません。
はい。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
良ければ感想をください。
では、また次回。