「・・・もう行くのか」
「あ?当たり前だろ、傷負ってたとはいえ、出遅れてんだ」
「怪我してたとはいえ、ね」
刻盧と樸鈴がヒーロースーツを着用する
「つーわけで、抜け出す」
「言い訳お願いね、治礼」
タッ
二人が窓から飛び出し、病室に治礼だけ残される
「止めた所で聞かなかっただろうが、医者の言うことは聞いてほしいものだな」
暗雲に覆われた空から雷が轟き、風が強さを増していく
「誇るがいい、我に力を示したことを」
渦巻いた風が地表を削る
「絶望するがいい、これから起こる天災に」
万事の背に生えた無数の触手が蠢き、地上が揺れる
「うおおお!?」
「地震か!」
「そんなものは前座にすぎんぞ」
バシャッ!
地面がひび割れ、隙間から水が吹き出す
「本命はこれからだ」『事象変化 炎』
水が炎に変化し、炎の海が広がる
「『
「『理壊 範囲』」
ヒーロー達が空中に浮き上がり、炎の海から逃れる
「ほう逃れたか、しかし無限に出来るわけではなかろう、いつまで持つか、見ものだな」
「てめぇの余裕もな!」
強化が殴りかかり、空気の壁に阻まれる
「くっそ、邪魔だなおい!」
「何も対策をしないわけがないだろう、これは貴様含め、近距離特化のヒーロー対策だ」
風が炎を巻き上げ、炎の竜巻が発生する
「して、隙を伺っているようだが」
雷鳴が轟き、気温が低下していく
「隙を見せるわけがないだろう」『駑螺射』
雷が竜巻に巻き込まれ、矢のように射出される
「んだあの技!デタラメがすぎんだろ!」
「軌道は直線的、光の先に立たなければいいんだ」
「そうだな」
「やはり貴様ら三人は対処できるか」バチッ
万事が緑谷達の隣に現れる
「ッ!万事!」
「てめぇ、いつの間に!」
「雷に乗ってきた、驚いているヒマがあるか?」ズズズッ
万事の背から触手が伸び、爆豪、緑谷、轟に狙いを定める
「『滅光』」
「『理壊 光』」
放たれる直前、上空から真っ黒な粘液が降りかかり光が消える
「貴方、殺す気で」
「死んだ所でどうしたというんだ?どうせ貴様らの抵抗が終われば我は世界を作り変える、その時に蘇るのだから変わりはない」
「世界を作り変えるって言うけど、どうやって作り変えるんだ!」
「問いか?ながらでいいのなら答えようじゃないか、緑谷出久」ボッ!
衝撃波が万事を中心に発生し、飛ばされる
「うわっ!」
「さて、貴様の問いに答えねばな」
ドッ!
正面に構えられた万事の拳に反応し、緑谷が打ち返す
「こうして話すのは久方ぶりだな、見たところ、歴代の個性を扱えているようだな」
「なんで僕に」
「言っただろう、問いに答えるとな」
「俺等を無視すんじゃねぇ!」BOBOBO
「今は緑谷出久と会話する時間だ、貴様は引っ込んでいろ『心無』」
「はーい!」ズルッ
触手の無い子触が飛び出し、爆豪を蹴飛ばす
「っ!テメェ!」
「やほやほー、そういうわけだから私とやろっか爆豪!」
緑谷の前に立つ万事は目を離さない
「どうやって世界を作り変えるか、その答えは世界を巻き戻し、個性が発現する前の世界にする、そこから世界を監視し、あらゆる不幸、不運が起きない世界を作るそれが、世界を作り変える事だ」
「そんな事出来るはずが無いじゃないか!いくら心さんの個性が、お前の力が凄くても、世界に干渉するなんて」
「可能だ、我は万事、その名の通り、全てを意のままにする、嘘偽り無いことは今の戦いで分かるだろう」
災害がヒーロー達に襲いかかり、ダメージを蓄積させている
「さあ、まだ抗うか?」
「当たり前だ、それに、心さんの本心を聞けてない!」
緑谷が右手に力を込める
「・・・やはり、こうなるか」
(何度未来を観測しても、貴様は変わらずその答えだ、そして聞いた後でさえ)
「策があるならやってみるがいい」
煙が発生し、緑谷の姿が万事の視界から消える
「『煙幕』か、それが意味をなさないことを理解しているだろう」『風刃』
周囲を風が渦巻き、煙を切り裂くように吹き飛ばす
吹き飛ばされた煙から黒い鞭が伸び、万事の腕に絡みつく
「『黒鞭』、この先に貴様がする行動は」
グイッ!
「心に入る!」ドスッ!
鞭に引き寄せられ、万事の体が勢いよく緑谷の拳に突き刺さる
万事の中に、何かが流し込まれる
「クハハ、ああそうだ、『譲渡』、そうすると知っていた、それをすれば普通は不可能である我が内に眠る子触に接触できる」
万事は笑い、それを受け入れる
「であれば、対話してくるがいい、あらゆる物事に感情を動かされない少女とな」
緑谷の体から力が抜け、落下を始める
「っ!無意識でも個性を使えるようになっていたわけではないのか」『無重力』
緑谷の周囲を薄暗い光が包むと宙に浮かぶ
「全く、予想外だな」チッ
万事の頬を黒い棘が掠める
「・・・早いな、念の為竜巻で泥花市周辺を囲んでいたんだが」
万事の前にブラックハングとホワイトヴェールが浮かんでいる
「災害でオレとホワイトヴェールを止められるわけねぇだろ」
「ええ、ところで、どうしてデクを放置しなかったのかしら、そのまま落ちたら焼け死ぬでしょうに」
「フハハ、何故、か」
ふむ、現時点でこの二人が来ることは無かったはずだが・・・未来視が外れたか
それにヒーロー達も段々と対応できるようになってきている、時間の問題か
「決まっている、子触の友であり、クラスメイトだからだ」