展開にずっと悩む毎日です
精神世界
「ここは」
『九代目、ここがあの子の精神世界みたいだ』
『なんというか、まっさらだ、何も無いね』
緑谷の周囲には継承者達が並び、守るように立っている
『何があるか分からねぇ、九代目、離れるんじゃないさ』
「分かりました」
子触の精神世界を歩いていくが、何処まで行っても白い光景が広がるばかり
『…おかしい』
「何がおかしいんですか、与一さん」
『これだけ何もないって状況がおかしいんだ、子触さんの記憶があっても良いはずなのに』
『皆!あそこに何かあるみたいだ!』
志村が指差す先に、黒い物体が浮かんでいる
全員が急いで向かうと、そこには触手で雁字搦めになった子触がいた
「心さん!」
「ん…?あれ、緑谷君と、誰?」
茶色の瞳が開き、緑谷達を見渡す
「いや、誰でもいいけども、なんでここにいるの?」
「世界を作り変えるなんて、本当に心さんが望んでるの!?」
「あぁなるほど、どうやったか心に入り込んで本人に聞きに来たわけだ、意志が本物なのか」
一拍おいて、言葉を発する
「本当だよ、世界を作り変えて、平和な世界を作るっていうのは私の意志」
「どうしてそんな事を」
「どうして、か、ねえ緑谷君、実は私、あんまり感情が働かないの」
「え?」
「ヴィランが暴れた、ヒーローが鎮圧した、被害はこれだけ、テレビで流れるニュースはそういう物が多い」
子触は言葉を続ける
「感情が動かされる事は無かったけど、万事に教えられてたから、悲しむ人がいることは知ってた、そういう人達をどうすれば減らせるか、そもそもヴィランが何でいるのか、考えたんだ」
『その結果、世界を作り変えるという考えに至ったと?』
「そういう事、誰か分からない人」
「待ってよ、感情が動かないって、じゃあいつもの心さんは!」
「あれ?緑谷君一回見たでしょ、触手が無い私をさ、あの時とおんなじだよ」
触手が蠢く
「まぁ、私の話はいいんだよ、緑谷君達には出てってほしいんだけど、出ていく気はないんでしょ」
「だから、落とすね」
バキッ!
緑谷の立っていた地面が割れ、建造物が乱立した空間に落下していく
「うわっ!?」
『坊主!』
「緑谷君を追っかけないほうがいいよ、消滅はしないだろうけど、形は失うだろうからさ」
子触は継承者達を見ながら言う
『・・・』
「んー、そんなに睨まれても、ここに来たのは緑谷君含めてあなた達の判断でしょ?残念ながら緑谷君の説得は私に効かなかったし、ここから出られなくなったわけだけど」
『下に広がっているビル群は一体何だ?』
「触手達の精神世界だから私は知らないよ、まぁゆっくりしなよ、緑谷君が戻ってこないことにはあなた達もどうしようもないだろうしさ」
『落ち着きすぎじゃないか?今私達が君に仕掛ける可能性が無いわけじゃない』
「そうだね、でも、私をどうにか出来る確証が無いのにそんな事出来るわけ無いでしょ、少なくとも、緑谷君の無事を確保出来るまでは」
side緑谷
「うわあああ!」
落下した緑谷の体が地面に触れ、音もなく落下が止まる
「ここは…」
風が吹き荒れ、周囲のビルから視線を感じ、触手が飛び出している
「変な感じだ、不安が段々と強くなってくる、心さんの影響を受けてるのか?」
『悲しむ人は何でなくならないんだろう』
「えっ!?」
緑谷の頭に重なった声が響く
『災害だとか人のせいだとか、色々あるけど、その原因は無くせないのかな』
「心さん?」
『悲劇で誰かがいなくなるのはイヤ、だから』
地面が触手に変化し、緑谷ににじり寄ってくる
『私の個性に世界を変えてもらう』
「っ!黒鞭を」
緑谷が手を伸ばし、黒鞭を出そうとするが何も起きなかった
「出ない!?」
(そんな、いつもなら使えるのに、精神世界だから!?)
「緑谷さん!」
突然頭上から声が聞こえ、見上げると空想が手を伸ばしていた
「空想さん!?」
「説明は後です、私の手を!」
「っうん!」
空想の手を掴むと同時に緑谷の体が精神世界から消えた
現実世界
「っは!?」
「無茶しましたね、緑谷さん」
緑谷が目を覚ますと、空想にお姫様抱っこをされていた
「へぁ!な、なんでこの体制に!?」
「一番支えやすい体制ですし、少々素早く動く必要がありますから」
「え」
「緑谷出久が中から消えたと思ったが、貴様が原因か」『壊更』
空想の正面に、光が集まっている
「うわぁ!?」
「『空想超過
放たれた光が空想にふれる直前、動きが止まり、霧散した
「ほう」
(我が光の性質を変えたか)
「しかしその技、長く使えば貴様の存在が消えるだろう」
「・・・ええ、分かっていますとも、心と繋がっていない今、私含め触手は皆存在を削っています、ですが」
「『破滅超過 破滅の化身』」
「『強化超過 暴』」
全身から蒸気を立ち昇らせる強化と紫色の波動を纏った破滅が万事を殴り飛ばす
「心を正気に戻して、全てが正常になるなら、消滅したって構いませんよ」
「テメェと相打ちが最低条件だがなぁ!」
「今度は見逃さない」
殴り飛ばされた万事に向かってオールマイト達も向かっていく
「いいですか緑谷さん、これから理壊と合流し、心の精神世界に人を送り込みます」
「そんな事できるの!?」
「ええ、解析が調べたんですから確実です、今、緑谷さんの中には継承者の方々が存在しないはずです」
「うん」
「緑谷さんと継承者の皆さんはOFAで繋がっています、そこに理壊が手を加え、人を送り込むという方法です」
「あ!いかせな」
グニャァ
「邪魔です」
パァンッ!
突然現れた心無に目もくれず、空想は緑谷を抱えたまま突き進んでいく
「心さんの精神世界に誰を送るつもりなの?」
「適任がいるんです、個性的にも、関係的にも心を引きずり出せそうな方が、緑谷さん達からすれば少々受け入れがたい方ですが」
「?」
「来たわね」
「理壊さん!?体が」
「気にしないで、個性はまだ使えるわ」
緑谷の前に立つ理壊の体は手先にヒビが入りながらも、全身から黒い粘液を飛ばしていた
「覚悟はできたかしら、死柄木弔?」
「死柄木!?」
「あー待て緑谷出久、警戒すんのも分かるが俺に敵対する気はねぇよ」
「そんなの、信用できるわけが」
「そりゃそうだ、お前はヒーローで俺はヴィラン、端っから分かり合える気はねぇ、だが」
死柄木が緑谷をまっすぐ見据える
「子触を止めて、戻してぇのは同じ筈だ」
「っ!」
「手を握ったかしら、今からOFAの理を壊するわ、そこから先は、死柄木弔、貴方が心を引っ張り出すのよ」
「分かってるよ」
緑谷の手を死柄木が掴み、そこに理壊が粘液を纏わりつかせた