先に行った先輩が戻ってきて、三分以内に地上に戻れって言われた僕です
特訓で開発できたあれを使って戻れって事なのか?
でもあれは、心さん並の力を持った人がいないと
「緑谷!あれをすんのか!?」
「うん、ここから地上に数分で戻るにはそれしか方法はない、でも、あの技は心さん並の筋力がないと」
「うちの娘並か、俺がいるぞ?」
ブラックハングが自分を指差す
「大方、人間2人分ぶん投げられる力が必要なんだろ、俺に任せろ」
「・・・お願いします!」
「よっしゃあ!やるぜ緑谷ぁ!」『安無嶺過武瑠!』
切島の全身が硬化し、その足を緑谷が掴む
「『フルカウル80%!』」
緑谷の全身から緑色の閃光が走り、切島の硬度も上がり続ける
「準備は出来たみたいだな、それじゃあ」『黒巨手』
緑谷の足元に黒が浮き上がる
「ぶっ飛べぇ!」ビュンッ!
黒が勢いよく盛り上がり、緑谷と切島が天井に向かって飛ぶ
「「うぉぉぉぉ!」」
天井を砕きながら、全く速度を落とさずに二人は飛んでいく
緑谷は掴んでいる切島を高速で振り回し、切島は硬化を強め続ける
(心さんの思いつきで練習することになったこの技!)
(人にゃ向けられねぇが、壁壊して進むのには適してる!)
((『オブスタクルブレイカー!!』))
二人が開拓した穴を残された人たちが見つめる
「・・・イレイザー、どんな教育しとるん?」
「俺は放課後の自主練に何も指示出しをしてません、あいつらが自分からやってるんです」
「これも、エブリシングフィーラの影響なのか」
「地上への出口はありがたいけどよ、どうやって登るんだ?流石に俺の個性じゃ、こんな大人数が乗れる足場を固定出来ないが」
「俺に任せとけ、黒を掴んどきゃ操れるからな、全員が登れるぐらいの黒を操るのは訳ねぇよ」
「サンイーター連れてきます!」
「お、頼んだでルミリオン!」
開いた穴を見つめて、ブラックハングが黒を手元に集める
「ブラックハングさん」
「ん?イレイザーヘッドか、なんだ?言っとくが全員揃うまでこれ動かさねぇぞ、それとも別の用事か?」
「エブリシングフィーラはA組を良く鍛えてます、たまにB組や心操もですが」
「あぁ、それで?」
「向上心があるのはいいんです、何故彼女はそこまでして鍛えるのか」
「・・・子触が鍛える理由か、個性が発現する前からだが、アイツが異様に嫌ってることがあった」
「嫌ってること、ですか」
「自分の周囲から人が消えることだ、生死関係なく、人が自分から離れるのを異様に嫌った」
「それはどの程度」
「自分の手が届かない範囲に人が行くだけで泣きわめいたって言ったらわかるか?」
相澤が固まる
「まぁ個性が発現してからは、ちょっとマシになって自分の目の前で人が消えないように色々とするようになったな」
「・・・その一環で、鍛えるように?」
「ああ、自分が強くなれば、寿命は仕方ないが、それ以外で人を失うことがなくなるだろうって考えになって、数年経って、自分を鍛えるだけじゃなく、周りも鍛えれば、それだけ人を失わないんじゃないかっていう考えになって、今に至るな」
ブラックハングの周囲に黒がじわじわと集まっていく
「だがまぁ、最近妙なんだよなぁ」
「妙?」
「人格が変わって目の色が変わるなんて、今まで無かったんだぜ?」
ボゴッ!
地上に緑谷と切島が飛び出す
「切島くん!デクくん!?」
「麗日さん!心さんは何処!?」
「ケロ、空中よ」
蛙吹が空中を指差す
そこでは、白い足場に乗った心と空中に立つ治崎が睨み合っていた
「治崎がなんで空中に」
「大気を分解して、自分の足元に固めたみたいよ、精度が異常ね」
「「ホワイトヴェール!」」
ホワイトヴェールは右目で心の方を見ながら、左目で緑谷達を見ている
「一つ聞くけど、エブリシングフィーラの手伝いに行きたいかしら?」
「はい!」
「なら、そこの白線に乗りなさい、運んであげるわ」
ホワイトヴェールにそう言われ、緑谷、切島、麗日、蛙吹が白線に乗る
「あら・・・全員行くのね、リューキュウ、あなたのインターン生も行くみたいだけど、いいかしら?」
「・・・ウラビティ!フロッピー!無事に戻ってきなさい!」
「いいって事ね」ギュンッ!
ホワイトヴェールの視線が動き、心の隣に四人が到着する
「皆!なんで」
「心さんだけに、任せてられない!」
「俺が行ける範囲に血は流させねぇんだ!」
「心ちゃんに鍛えてもらったんだもん、手助けにはなれるよ!」
「子触ちゃんだけに任せられないわ、私達だって戦えるもの」
心は隣に立った友人達を見て、笑った
「数で上回ったつもりか、だが、意味はない」
治崎が空いている手で空気を掴み、棘のようにして飛ばす
しかし、心達の足場が移動し、棘は空を切る
見えない棘って、厄介だね!
(解)心は僕が繋げてるから見えるでしょ、緑谷君達が見えないけど
(理)・・・解析を共有したほうがいいわね
理壊、何かするの?
(理)ええ
『理の壊 枷』
緑谷達の視界に、大気の流れが映る
「うわっなにこれ!?」
「えーっと、解析を共有したんだって!これで、治崎が使う空気の棘が見えるはずだよ!」
「見えた所で、不安定な足場のお前達に何ができる」
再び、空気の棘が心を貫くように一直線で向かってくる
「刺さらせねぇ!」ガンッ!
「切島君!」
「硬化した俺の身体は、心の拳以外通さねぇ!」ガガガガッ!
切島が棘を受け止めるたびに火花が散り、治崎の額に血管が浮かぶ
「行くよデクくん!」
「ちゃんと軌道修正してちょうだい」
ブンッ!
麗日が個性で緑谷を軽くし、蛙吹が舌で緑谷を投げ飛ばす
「大丈夫、空中移動は、何回もやってきた!」『エアウォーク』
空気を蹴り、緑谷が治崎の真上へと移動する
「麗日さん!」
「うん!」パッ
個性が解け、緑谷が落下を始める
「そのまま来るなら、串刺しだ」
治崎が右手を上に向け、緑谷に向けて空気の棘を伸ばす
「そのまま落ちていいよ!」『空想 大散』
しかし、緑谷に伸びていた空気の棘はただの空気となって辺りに散らばった
「っ!」
「周りを下に見すぎだよ」
「『デトロイトォスマッシュ!!!』」
ドッ!
治崎の頬に緑谷の拳が直撃し、意識を刈り取る
「ガッ・・・」フラッ
そのまま個性が解け、治崎が地上へと落ち始める
「やべぇ!あのまま落ちたら死ぬぞ!!」
「大丈夫切島君、お母さんがいる」
『白布』
白が広がり、気絶した治崎を受け止める
「お疲れ様、あなた達」
数分後
「これで全員か」
ナイトアイが縛り上げられた幹部たちと治崎をみて言う
「ミリオから聞いていたが、玄野と自分を融合したのか」
「これ、元の姿に戻せないよな」
「戻せるなら戻したほうがいいんだが、細胞まで融合してんだ、引き剥がせねぇよ」
ブラックハングが頭をかく
「こんな禍々しい姿になってまで、
「彼の中ではそれほど大きなものだったんでしょ」
プルルルッ
電話の音が鳴り響く
「誰の携帯や?」
「あ、私だ」
心がポケットからスマホを取り出すと、治礼からの電話が来ていた
「治礼さん?」
『子触ちゃんか、急いで来てくれ!』
「え!ちょっと、どうしたんですか!」
『エリちゃんが頭を抱えて苦しみだしたんだ、近づいたところ、私の腕の傷が消えた、個性が発動している』
「!!」
『ぐっ、今自分自身を死ぬ寸前まで切り刻むことを繰り返しているが、そろそろ上回りそうだ、急いでくれ!』
「相澤先生!!」
心が相澤に声を掛ける
「なんだ」
「突然ですいませんが、来てください!」ガシッ
「は?おい理由を」
(理)仕方ないわ
『理の壊 距離』
二人の視界が変わり、ブラックハングの事務所の前に到着する
「あれ、何が起きたんだろって、そんな事より!」グイー
「おい、そんなに強く引っ張るな!」
バンッ!
心が扉を蹴り飛ばすと、エリを中心に白い閃光が走っており、その一番近くで治礼が頭を撫でながら自分の腕を切り続けていた
「落ち着けエリちゃん、大丈夫だ、大丈夫、私は消えない、だから、気持ちを落ち着けるんだ」
「先生!!」
「ああ、分かった!」ギンッ!
相澤が個性を発動させると閃光が止まり、エリが倒れる
「・・・間に合ったか」
「治礼さん!!」ダッ!
心が走り、治礼を抱きしめる
「良かった、間に合った、本当に良かった!」ギュゥゥ
「今度は君の子守か?全く」
「あー・・・失礼ですが、あなたは?」
「私はメディカルという、闇医者だな、エリちゃんの記憶を見て、警察に情報提供した人物だ、イレイザーヘッド」
「俺のことを知ってるんですね」
「こっちじゃ知らないやつはあんまりいないぞ、相手の個性を使用不能にするヒーロー、いい力に良い使い方じゃないか」
治礼は心に抱きしめられながら話を続ける
「助かったよ、エリちゃんの個性は使い方によっては様々な人を助けられるが、加減を知らなければ簡単に人を殺せ、殺すとは違うか、消滅させることが出来てしまう」
「やはり、個性の使い方を知らないと」
「ああ、あの状況なら仕方ないがな、そしてこの子は蓄積型だ、おでこの角が少し小さくなっている、さっきのあれはエネルギーが溜まりすぎたことによる暴発のようなものだろう、暴発した勢いで、扱い方を知らないエリちゃんは止められなかった」
「だから外部からの要因で個性の発動を止めなければいけなかったと」
「その通りだ、子触ちゃんなら、その術を持ってるだろうと思ったが、近くに抹消ヒーローがいるとは、運が良かった」
治礼は笑い、真面目な顔になる
「さっきのことで分かったが、この子が個性の扱い方を覚えるまで、お前が近くにいたほうがいい」
「そうですね、俺の個性がこの子の助けになれるなら嬉しい限りですが」
「・・・これって私が聞いてても大丈夫なやつ?」
治礼を抱きしめながら心が尋ねる
「あー・・・大丈夫だ、その子を保護したのはお前だし、お前なら何かあっても大丈夫だろうし」
「すっごい雑ですね先生!?どうしたんですか!」
「緑谷と切島の必殺技に驚いたり色々あったんだ」
「あ、それってあれですね、緑谷君が全身硬化した切島君を持って、誰かに投げ飛ばされた勢いで壁を破壊していく『オブスタクルブレイカー』!」
「名前決めてたんだな、まぁ、それら色々有りすぎて、正直頭が働かん」
「ほう?見たところ隈もあるし少々小汚い・・・食事は」
「毎食ゼリーです、合理的ですし」
「馬鹿か!?忙しいのは分かるが一食ぐらいマトモな食事を取れ!ヒーロー活動で死なずとも別の要因で死ぬぞ!?」
「ちょっと空想に相談して先生の弁当作ってもらうようにしますね」
「おい、勝手に」
「勝手にやりますよ、てか、A組内で度々話題になってるんですよ先生がマトモな食事してるのかどうなのか!誰が聞いてもはぐらかしてたのを今回で尻尾掴みましたからね!」
「随分と懐いてるな子触ちゃん」
「当たり前ですよ!生徒思いで厳しくも優しい先生なんですから!」
心はそう言い、触手に話しかけ始める
「だそうだ、ちゃんと受け取って食べるようにするんだな、イレイザーヘッド」
「・・・そうですね」
相澤は観念したように笑みを浮かべた
死穢八斎會もうちょっと続きます
具体的には次回まで
触手の中で誰が一番好き?
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空想
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解析
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強化
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破滅
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再生
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理壊